FOMCとは、アメリカの金利を決める会議。ただし市場が深夜3時に聞いているのは「この先の予告」
ニュースで毎回のように出てくる「FOMC」。アメリカの中央銀行FRBが、政策金利を上げるか下げるかを決める会議です。2026年9月16日には0.25%の利上げを決め、1,148日ぶりに利上げへ転じました。この記事では、誰が・いつ・何を決めているのかという基本から、日本時間の発表時刻、2026年の全日程、ドットチャートの見方、そして日本の円相場や住宅ローンにどう届くのかまでを、FRBの公表資料で確かめながら整理します。
2026年9月24日時点。数字はFRBの声明・経済見通し・議長会見と、本サイトによるドル円の集計です
(2026年9月17日から)
議論の参加者は19人
次は10月27〜28日
(平常の4.6〜5.3倍)
結論:FOMCとは、アメリカの政策金利を決める会議
FOMCは「Federal Open Market Committee」の頭文字で、日本語では連邦公開市場委員会と訳されます。アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度)の中にある、金融政策を決める会議です。日本でいえば、日本銀行の「金融政策決定会合」にあたります。
決めるのはFF金利(フェデラルファンド金利)の誘導目標です。FF金利は、銀行どうしがひと晩だけお金を貸し借りするときの金利で、FOMCはその目標を「3.75〜4.00%」のように幅で決めます。
いちばん短い金利は、すべての金利のいちばん上流にある「蛇口」のようなものです。ここが動くと、ローンや預金の金利、国債の利回り、そしてドルと円の交換レートまでが順番に動きます。世界中の市場がFOMCの結果を待つのはそのためです。
FOMCのメンバーは誰?投票する12人と、参加者19人
FOMCで投票するのは12人です。ワシントンにいるFRB理事会の理事が7人、ニューヨーク連邦準備銀行の総裁が1人、残る11地区の連邦準備銀行の総裁のうち4人が1年交代の輪番で加わります。投票しない総裁も会議には出席して意見を述べるため、議論に参加するのは19人です。
| 区分 | 人数 | 2026年の顔ぶれ・補足 |
|---|---|---|
| FRB理事 | 7人 | ウォーシュ議長(2026年6月の会議から)、ジェファーソン副議長ほか。前議長のパウエル氏も理事として在任 |
| ニューヨーク連銀総裁 | 1人 | 常に投票し、副議長を務める |
| 輪番の地区連銀総裁 | 4人 | 2026年はクリーブランド・フィラデルフィア・ダラス・ミネアポリス |
| 投票しない地区連銀総裁 | 7人 | 会議に出席して議論に加わるが、投票はしない |
議長は会議を取りまとめ、結果発表の30分後に記者会見を開きます。2026年は議長が交代した年で、ウォーシュ議長の初めての会議は6月でした。9月の利上げは、交代から3回目の会議で決まったことになります。
FOMCは何のために金利を動かす?2つの目標(デュアル・マンデート)
FOMCには法律で2つの目標が与えられています。物価の安定と雇用の最大化で、「2つの使命(デュアル・マンデート)」と呼ばれます。物価については、個人消費支出(PCE)物価指数で年2%の上昇を目標にしています。物価だけを目標にする中央銀行が多いなかで、雇用にも責任を負っている点がアメリカの特徴です。
| 目標 | 中身 | 2026年9月の状況 |
|---|---|---|
| 物価の安定 | PCE物価で年2% | 2026年の見通しは3.7%。議長は会見で「インフレは5年以上目標を上回り、高すぎるし長すぎる」と説明 |
| 雇用の最大化 | 働きたい人が働ける状態 | 失業率は4.1%前後。議長は「雇用はよい状態」との認識 |
物価が高すぎれば金利を上げて景気の過熱を抑え、雇用が悪化すれば金利を下げて景気を支える、というのが基本の考え方です。2026年9月は、雇用が安定しているなかで物価だけが目標を大きく上回っていたため、利上げが選ばれました。
FOMCは何時に発表?2026年の日程と日本時間
FOMCの結果(声明)は、会議2日目のアメリカ東部時間の午後2時に発表されます。日本時間では、アメリカが夏時間の期間(3月第2日曜〜11月第1日曜)は翌日の午前3時、冬時間の期間は翌日の午前4時です。その30分後から議長の記者会見が始まります。
| 会議の日程 | 結果発表(日本時間) | 経済見通し | 決定 |
|---|---|---|---|
| 1月27〜28日 | 1月29日 午前4時 | ― | 据え置き |
| 3月17〜18日 | 3月19日 午前3時 | あり | 据え置き |
| 4月28〜29日 | 4月30日 午前3時 | ― | 据え置き |
| 6月16〜17日 | 6月18日 午前3時 | あり | 据え置き |
| 7月28〜29日 | 7月30日 午前3時 | ― | 据え置き |
| 9月15〜16日 | 9月17日 午前3時 | あり | 0.25%利上げ |
| 10月27〜28日 | 10月29日 午前3時 | ― | 次回 |
| 12月8〜9日 | 12月10日 午前4時 | あり | ― |
「経済見通し」がある回は、あとで説明するドットチャートも公表されます。3月・6月・9月・12月の年4回です。また、会議の内容をまとめた議事要旨は約3週間後に公表されます(7月会合の議事要旨は8月19日)。
2026年の決定と反対票:半年で向きが逆になった
FOMCの採決では、決定に賛成しなかったメンバーの名前と、その人が何を望んだかが声明に書かれます。2026年の6回分を並べると、反対票の向きが半年で逆転していたことが分かります。
| 会議 | 決定 | 採決 | 反対した人の希望 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 据え置き | 10対2 | 利下げ(2人) |
| 3月 | 据え置き | 11対1 | 利下げ(1人) |
| 4月 | 据え置き | 8対4 | 利下げ1人、利下げを示唆する文言に反対3人 |
| 6月 | 据え置き | 12対0 | なし(ウォーシュ議長の初会合) |
| 7月 | 据え置き | 9対3 | 利上げ(3人) |
| 9月 | 0.25%利上げ | 12対0 | なし |
年初は「もっと下げたい」という反対が出ていたのに、7月には「上げたい」という反対が3人に増え、9月は全員一致の利上げになりました。反対票は次の決定の予告編になりやすい——これがFOMCの結果を読むときのいちばん実用的なコツです。
市場が見ているのは決定より「予告」:声明・反対票・会見
9月の利上げは、発表の前から市場で8割を超える確率で予想されていました。予想どおりの決定は、すでに相場の値段に入っています。それでも発表の夜に相場が大きく動くのは、市場が決定そのものよりこの先の手がかりを聞いているからです。本サイトがドル円の1時間足で集計したFOMC22回分(2023年11月〜2026年9月)の値幅は次のとおりです。
| 時間帯 | ドル円の値幅 | くらべる相手 |
|---|---|---|
| ふだんの日の同じ時間帯 | 17〜19pips | 日本時間の深夜3〜4時台 |
| FOMC発表を含む1時間 | 平均87.0pips | 平常の4.6〜5.3倍 |
| 発表+会見の2時間 | 平均133.8pips | 最大は293.3pips |
| 発表1時間の最大 | 220.9pips | 平常の約13倍 |
87pipsは約87銭です。しかも発表で動いた方向が、30分後の会見でひっくり返ることもあります。市場が深夜に確かめているのは、次の3つです。
- 声明前回から、どの言葉が変わったか2026年6月から声明はぐっと短くなり、毎回「委員会は物価の安定を実現する(The Committee will deliver price stability)」と言い切る形になりました。言い切る言葉は、それだけで市場への合図になります。
- 反対票誰が、どちら向きに反対したか7月の「利上げしたい」3人が9月の利上げを予告していたように、反対票は次の一手を映します。
- 会見議長が次の会議について何を言い、何を言わなかったか発表の30分後から始まります。声明に書かれていない方針が語られるため、発表直後の値動きが反転することがあります。
ドットチャートの見方:年末の金利を「1人1点」で予想した表
ドットチャートは、3月・6月・9月・12月の経済見通し(SEP)と一緒に公表される図です。FOMCの参加者が「各年の年末に、政策金利は何%がふさわしいか」を1人1点ずつ打ったもので、誰の点かは分からない仕組みになっています。2026年9月は18人が点を出しました。ウォーシュ議長は会見で「6月と同じく、自分の見通しは出していない」と説明しています。
2026年末にふさわしい政策金利(2026年9月の見通し)。点は誘導目標の幅のまんなかの値で、いまの3.75〜4.00%のまんなかは3.875%。出典:FRB「Summary of Economic Projections」Figure 2
まんなかの値(中央値)は4.1%で、「年内にあと1回、0.25%の利上げ」がいちばん多い見方です。ここで大事なのは、3か月前との違いです。
| 項目(中央値) | 6月の見通し | 9月の見通し |
|---|---|---|
| 政策金利 2026年末 | 3.8% | 4.1% |
| 政策金利 2027年末 | 3.6% | 4.1% |
| PCE物価 2026年 | 3.6% | 3.7% |
| 失業率 2026年 | 4.3% | 4.1% |
| 政策金利 長期 | 3.1% | 3.2% |
6月の時点では、2026年末の中央値は3.8%=「年内の利上げはなし」がまんなかでした。それがわずか3か月で「あと1回上げる」に変わり、実際に9月に利上げしています。
FOMCは日本にどう影響する?円相場・住宅ローン・株
アメリカの金利が上がると、金利の高いドルを持ちたい人が増えるため、円安・ドル高になりやすいのが基本です。ただ、日本の金利も動いていれば話は変わります。為替を考えるときは、日米の金利差という1本の物差しで見ると分かりやすくなります。
| 時点 | アメリカ | 日本 | 金利差 |
|---|---|---|---|
| 2026年9月16日まで | 3.75% | 1.00% | 2.75% |
| 9月17日〜(FOMCが利上げ) | 4.00% | 1.00% | 3.00% |
| 9月24日〜(日銀も利上げ) | 4.00% | 1.25% | 2.75% |
日銀も9月18日に1.25%への利上げを決めたので、金利差は2.75%に戻りました。差だけを見れば変わっていません。ところが18日のドル円は157円台へ円安に動きました。日銀の決定に反対が2人いて「次の利上げは遠い」と受け止められたためです。ここでも相場を動かしたのは、決定ではなく「この先の予告」でした。
| 項目 | アメリカの利上げの影響 | 理由 |
|---|---|---|
| 住宅ローン(変動) | 直接の影響はほぼなし | 変動金利は日銀の短期の政策金利に連動する |
| 住宅ローン(固定) | 上がりやすい | 目安の長期金利が、アメリカの長期金利につられやすい |
| ガソリン・輸入食品 | 上がりやすい | 円安になれば輸入価格が上がる |
| 外貨預金・米国債 | 利回りは上がる | ただし為替で元本が目減りするリスクは別 |
| アメリカの株 | 逆風になりやすい | ただし同時に円安なら、円で見た評価額は増えることもある |
株と為替が逆に動いて打ち消し合うこともあるため、「利上げ=損」という式はありません。日本の家計に届くのは、主に為替と長期金利を通じた間接的な経路です。
積み立て投資の人は、深夜3時に起きるべき?
一方、FXなど短い期間で取引している人にとっては、年に8回の要注意の夜です。発表の1時間だけで2円以上動いた回もあります。ポジションの量は、平均ではなく最大の値動きに耐えられるかで決めてください。
まとめ:FOMCは「金利を決める会議」であり「予告する会議」
・目標は物価の安定(PCE物価で2%)と雇用の最大化。2026年9月は物価を理由に0.25%の利上げ
・結果は日本時間の午前3時(冬は4時)、30分後に議長会見。ドル円は発表1時間で平常の約5倍動く
・市場が聞いているのは決定より予告。声明の言葉・反対票・会見の3つ
・ドットチャートは約束ではなく天気予報。位置より前回からの動きを見る
・日本には為替と長期金利を通じて届く。変動金利の住宅ローンを直接動かすのは日銀
次のFOMCは10月27〜28日で、結果は日本時間10月29日の午前3時に出ます。12月8〜9日の会議ではドットチャートも更新されます。ニュースで「FOMC」と聞いたら、金利の数字だけでなく、反対票と議長のひとことを確かめてみてください。見出しの読み方が変わるはずです。
※本記事は公表資料にもとづく一般的な解説であり、特定の金融商品や取引をおすすめするものではありません。相場の先行きは誰にも断定できません。投資の判断はご自身でお願いします。
FOMCについてよくある質問
Q. FOMCとは何ですか?わかりやすく教えてください。
A. アメリカの中央銀行FRBの中にある、政策金利を決める会議です。正式名は連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)。日本銀行の金融政策決定会合にあたります。銀行どうしがひと晩お金を貸し借りするときの金利(FF金利)の目標を決め、その変化が預金やローンの金利、為替、株価へと波及していきます。
Q. FOMCの結果は日本時間の何時に発表されますか?
A. アメリカ東部時間の午後2時です。日本時間では、アメリカが夏時間の期間(3月第2日曜〜11月第1日曜)は翌日の午前3時、冬時間の期間は翌日の午前4時になります。30分後から議長の記者会見が始まります。2026年の残りは10月29日午前3時と12月10日午前4時(いずれも日本時間)です。
Q. FOMCは年に何回ありますか?2026年の日程は?
A. 年8回、1回2日間です。2026年は1月27〜28日、3月17〜18日、4月28〜29日、6月16〜17日、7月28〜29日、9月15〜16日、10月27〜28日、12月8〜9日。このうち3月・6月・9月・12月は経済見通しとドットチャートが公表されます。
Q. FOMCで投票するのは誰ですか?
A. 12人です。FRB理事会の理事7人、ニューヨーク連邦準備銀行の総裁1人、残る11地区の連銀総裁から1年交代で4人。2026年の輪番はクリーブランド・フィラデルフィア・ダラス・ミネアポリスです。投票しない総裁も議論には参加するため、会議の参加者は19人になります。議長は2026年6月の会議からウォーシュ氏が務めています。
Q. ドットチャートはどう見ればいいですか?
A. 各参加者が「年末の政策金利は何%がふさわしいか」を1人1点で打った図です。まんなかの値(中央値)を見ると、会議の多数派の考えが分かります。2026年9月の中央値は2026年末4.1%で、年内あと1回の利上げを示しています。ただし約束ではなく見通しなので、6月の3.8%から3か月で変わったように動きます。点の位置より、前回から上に動いたか下に動いたかを見るのがコツです。
Q. FOMCで利上げすると、日本の住宅ローンは上がりますか?
A. 変動金利の住宅ローンには直接の影響はほぼありません。変動金利は日本銀行の短期の政策金利に連動するためです。固定金利は長期金利が目安になるため、アメリカの長期金利につられて日本の長期金利が上がると、間接的に上がりやすくなります。
Q. FOMCの日はFXをしないほうがいいですか?
A. 本サイトの集計では、FOMCの発表を含む1時間のドル円の値幅は平均87.0pipsで、平常の4.6〜5.3倍でした。会見を含む2時間では平均133.8pips、最大293.3pipsです。持ち越すなら最大の値動きに耐えられる量にし、発表直後の動きだけで方向を判断しないことが大切です。毎月の積み立て投資であれば、発表の夜に何かをする必要はありません。
・FRB「Federal Reserve issues FOMC statement」2026年1月28日〜9月16日の各回(決定内容・採決)9月16日の声明を見る
・FRB「Summary of Economic Projections」2026年9月16日(経済見通し・ドットチャート)FRBの経済見通しを見る
・FRB「Transcript of Chairman Warsh’s Press Conference」2026年9月16日議長会見の記録(PDF)を見る
・FRB「About the FOMC」(構成・FF金利の説明)FRBのページを見る
・FRB「Meeting calendars」(2026年の日程)日程を見る
・FRB「FOMC Policy on External Communications of Committee Participants」(沈黙期間)方針(PDF)を見る
※ドル円の値幅は、ドル円1時間足(2023年11月〜2026年9月、FOMC22回)を本サイトが集計したものです。
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