FX・実測データ
FOMC・雇用統計・日銀、ドル円が最も動くのはどれ?実測で比較
「経済指標で動く」とは誰もが言いますが、どれがどれだけ動かすのかを数字にした記事はほとんどありません。ドル円の1時間足で、FOMC22回・米雇用統計34回・日銀会合22回の発表時刻を含む1時間の値幅を、同じ時間帯の平常時と比べました。結果はFOMCが平均87.0pipsで平常の4.6〜5.3倍、雇用統計は夏時間で101.2pips、日銀は昼の12時台が3.50倍。それぞれ危険な時間帯がまったく違います。
この記事の結論
- 倍率で最大はFOMC。発表を含む1時間の平均は87.0pipsで、ふだん17〜19pipsしか動かない深夜3〜4時台の4.6〜5.3倍です。
- FOMCは30分後の記者会見でもう一度動きます。発表+会見の2時間合計は平均133.8pips、最大293.3pips。
- 米雇用統計は夏時間の21時台が平均101.2pips(平常の3.29倍)。冬時間の22時台は58.4pipsで、発表時刻が1時間ずれます。
- 日銀会合は昼の12時台が平均65.6pipsで平常の3.50倍。ふだん最も静かな時間帯が、年8回だけ跳ねます。
- 建玉は平均ではなく最大で決めること。最大値は雇用統計226.4pips、FOMC220.9pips、日銀会合の3時間で475.6pipsでした。
結論:最も動くのはFOMC。平常の4.6〜5.3倍
「経済指標で相場が動く」とは誰もが言いますが、どの指標がどれだけ動かすのかを数字で示した記事はほとんどありません。そこでドル円の1時間足を使い、発表時刻を含む1時間の値幅を、同じ時間帯の平常時と比較しました。
対象は3つ。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表、米雇用統計、日本銀行の金融政策決定会合です。開催日は米連邦準備制度理事会と日本銀行の公式カレンダーから取りました。
| イベント | 該当回数 | 発表1時間の平均値幅 | 同じ時間帯の平常時 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| FOMC(冬時間・日本時間4時台) | 7回 | 91.0pips | 17.0pips | 5.34倍 |
| FOMC(夏時間・日本時間3時台) | 15回 | 85.1pips | 18.5pips | 4.61倍 |
| 米雇用統計(夏時間・21時台) | 21回 | 101.2pips | 30.7pips | 3.29倍 |
| 日銀会合(12時台) | 22回 | 65.6pips | 18.7pips | 3.50倍 |
| 米雇用統計(冬時間・22時台) | 13回 | 58.4pips | 34.6pips | 1.69倍 |
| 日銀会合(13時台) | 22回 | 32.9pips | 19.8pips | 1.66倍 |
| 日銀会合(11時台) | 22回 | 35.3pips | 21.9pips | 1.61倍 |
※集計期間は2023年11月末〜2026年9月。値幅は1時間足の高値と安値の差。平常時は同じ時間帯の平日から該当日を除いた平均。
倍率で見ればFOMCが圧倒的です。日本時間の深夜3時台・4時台はふだん17〜19pipsしか動かない時間帯で、そこに85〜91pipsが入ります。ふだん静かな時間に爆発するため、体感の衝撃はさらに大きくなります。
FOMC:深夜3時か4時、そして会見でもう一度動く
発表時刻は日本時間で1時間ずれる
FOMCの政策金利発表は米東部時間の午後2時です。日本時間では夏時間なら翌日の午前3時、冬時間なら翌日の午前4時。米国の夏時間は3月の第2日曜から11月の第1日曜までなので、年に2回この時刻が切り替わります。
本番は発表の30分後にもう一度来る
FOMCは発表だけで終わりません。その30分後から議長の記者会見が始まります。声明文には書かれていない今後の方針が語られるため、発表直後に動いた方向が会見で反転することも珍しくありません。
そこで発表の1時間と会見の1時間を合わせた2時間の値幅を合計すると、22回の平均は133.8pips、最大は293.3pipsでした。
FOMCの夜は、発表の1時間だけで平均87.0pips、会見まで含めた2時間で平均133.8pipsが動きます。発表直後の値動きを見て方向が決まったと判断し、損切りを外したり逆に飛び乗ったりするのが最も危険です。会見で戻される展開は実際に起きています。
なお、今回の集計期間で最大だった回は発表1時間だけで220.9pipsでした。平常時の17pipsに対して13倍です。
米雇用統計:夏時間の21時台が本番
21時30分か22時30分か
米雇用統計(非農業部門雇用者数など)は、原則として毎月第1金曜日の米東部時間8時30分に発表されます。日本時間では夏時間が21時30分、冬時間が22時30分です。
ここに実測上の面白い差が出ました。
| 区分 | 平均値幅 | 平常時 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 夏時間の21時台(21回) | 101.2pips | 30.7pips | 3.29倍 |
| 冬時間の22時台(13回) | 58.4pips | 34.6pips | 1.69倍 |
倍率に大きな開きがありますが、これは平常時の値幅そのものが違うためです。冬時間の22時台は、雇用統計がない日でも34.6pipsとよく動く時間帯。すでに動いている時間に指標が乗るため、倍率としては小さく見えます。一方、夏時間の21時台は平常30.7pipsのところに101.2pipsが入ります。
夏冬をまとめた34回の平均は84.8pips、中央値は65.9pips、最大は226.4pipsでした。中央値が平均より20pips低いのは、ときどき飛び抜けて大きな回があるためです。「ふだんは60〜70pips、たまに200pips超」というのが実像です。
日銀会合:昼の12時台に集中する
発表時刻が決まっていないのが特徴
日銀の金融政策決定会合には、FOMCや雇用統計のような固定された発表時刻がありません。会合の議論が終わり次第公表されるため、正午前後になることが多いものの、日によって前後します。
実測でも、この性質がそのまま表れました。
| 時間帯 | 平均値幅 | 平常時 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 11時台 | 35.3pips | 21.9pips | 1.61倍 |
| 12時台 | 65.6pips | 18.7pips | 3.50倍 |
| 13時台 | 32.9pips | 19.8pips | 1.66倍 |
中心は12時台(3.50倍)ですが、前後の11時台と13時台も平常の1.6倍に膨らんでいます。発表がいつ来るかわからないため、警戒が3時間に広がるというわけです。
11時から14時までの3時間を合計すると、日銀会合日は平均133.7pips。平常日の同じ3時間は60.5pipsなので、2.21倍です。最大は475.6pipsでした。
日本時間12時台は、日銀会合がない日の平均が18.7pipsしかありません。これは24時間のなかでも下位の水準です。月に1〜2回だけ、最も静かな時間帯が最大級に動く。昼休みにチャートを見て「今日は動かないな」と判断した日が、たまたま会合日だったというのが最悪のパターンです。
2026年の日銀の金融政策決定会合は、1月23日・3月19日・4月28日・6月16日・7月31日・9月18日・10月30日・12月18日(いずれも結果公表日)です。年8回しかないので、カレンダーに入れておけば必ず避けられます。
指標の夜をどう扱うか
- STEP 1年間のカレンダーを先に押さえるFOMCは年8回、日銀会合も年8回、米雇用統計は毎月第1金曜。合計しても年間で約28日です。米連邦準備制度理事会と日本銀行は翌年分の日程を事前に公表しています。
- STEP 2夏時間と冬時間で発表時刻がずれることを織り込むFOMCは日本時間3時か4時、雇用統計は21時30分か22時30分。3月の第2日曜と11月の第1日曜に切り替わります。「いつも21時半」という覚え方は半年だけ正しい覚え方です。
- STEP 3発表直後の値動きを方向の確認材料にしないFOMCは会見で戻されることがあり、発表+会見の2時間で平均133.8pips動きます。最初の数分で判断して飛び乗るのは、最も分の悪い入り方です。
- STEP 4持ち越すなら200pips動いても耐える量にする雇用統計の最大は226.4pips、FOMCは220.9pips、日銀会合の3時間合計は475.6pips。平均ではなく最大を基準に建玉を決めるのが、指標日を生き残る条件です。
よくある質問
Q. FXで一番相場が動く経済指標は何ですか?
A. 倍率で見ればFOMCの結果発表です。発表を含む1時間の平均値幅は87.0pipsで、同じ時間帯の平常時(17〜19pips)の4.6〜5.3倍でした。値幅の絶対値では米雇用統計の夏時間21時台が101.2pipsで最大です。日銀の金融政策決定会合は12時台が65.6pipsで平常の3.50倍でした。
Q. FOMCの結果は日本時間の何時に出ますか?
A. 米東部時間の午後2時です。日本時間では米国が夏時間の期間(3月第2日曜〜11月第1日曜)は翌日の午前3時、冬時間は翌日の午前4時になります。その30分後から議長の記者会見が始まり、発表と会見の2時間を合わせた値幅は平均133.8pipsでした。
Q. 米雇用統計は何時に発表されますか?
A. 原則として毎月第1金曜日の米東部時間8時30分です。日本時間では夏時間が21時30分、冬時間が22時30分。実測では夏時間の21時台が平均101.2pips(平常の3.29倍)、冬時間の22時台が58.4pips(1.69倍)でした。倍率の差は、冬時間の22時台がもともとよく動く時間帯であるためです。
Q. 日銀の金融政策決定会合は何時に結果が出ますか?
A. 固定の時刻はありません。会合の議論が終わり次第公表されるため、正午前後が多いものの日によって前後します。実測では12時台が平均65.6pips(平常の3.50倍)で中心ですが、11時台と13時台も平常の1.6倍に膨らみました。年8回で、日本銀行が事前に日程を公表しています。
Q. 指標発表の前にポジションを閉じるべきですか?
A. 閉じるかどうかは方針次第ですが、持ち越すなら最大値を基準に量を決めてください。今回の集計での最大は雇用統計226.4pips、FOMC220.9pips、日銀会合の3時間合計475.6pipsです。平均ではなく最大に耐えられる建玉であることが、指標日を生き残る条件になります。
Q. 指標発表の瞬間はスプレッドが広がりますか?
A. 国内のFX会社はスプレッドを原則固定として提示していますが、指標発表時など相場が急変する局面は「例外」として明示されており、広がることがあります。加えて約定が滑る(スリッページ)ことも起こります。発表の瞬間に成行で入る手法は、値幅だけでなく取引コストの面でも不利になります。
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出典・参考資料
- ドル円1時間足(2023年11月29日〜2026年9月16日/Yahoo Finance チャートAPI、JPY=X)を筆者が集計
- 米連邦準備制度理事会「FOMC Calendars」(FOMC開催日)
- 日本銀行「金融政策決定会合の運営」および過去の開催日程(日銀会合の結果公表日)
値幅は筆者が1時間足データから独自に集計したものです。データ提供元の仕様により各FX会社の配信レートとは差が出ることがあります。過去の値動きは将来を保証しません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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