国際・国連
日本はなぜ常任理事国になれない?ロシア外相の反対と3つの理由
2026年9月26日、ロシアのラブロフ外相が国連総会の演説で、日本とドイツの安保理常任理事国入りに反対しました。日本は非常任理事国に加盟国で最も多い12回選ばれ、2000年には国連予算の2割を負担していた国です。それでもなぜ常任理事国になれないのか。国連憲章の条文、国連の拒否権リスト、分担率の決議、過去の採決記録を集計して、3つの理由と今後の見通しを整理しました。
この記事の結論
- ラブロフ外相は9月26日の国連総会で、日本とドイツが「軍国主義と報復主義の道を歩んでいる」として常任理事国入りに反対し、インドとブラジル、アフリカの代表拡大は支持しました。
- 日本がなれない一番の理由は、国連憲章の改正に「5つの常任理事国すべてを含む、加盟国の3分の2の批准」が必要なことです(第108条)。ロシアと中国が公然と反対している限り、改正は発効しません。
- ほかにも、イタリア・韓国・パキスタンなど12か国の「コンセンサス連合」が常任理事国の追加そのものに反対していること、新しい常任理事国に拒否権を与えるかで日本などG4とアフリカの案が食い違っていることが壁になっています。
- 日本の実績は突出しています。非常任理事国は最多の12回(24年)。2000年の国連分担率は20.573%で、中国・ロシア・英国・フランスの合計(13.709%)の1.5倍でした。2025〜27年も6.930%で、ロシアの3.3倍です。
- 安保理が広がったのは過去に1回だけ(1963年採択・1965年発効)。このときはフランスとソ連が反対、英米が棄権したのに、最終的には全常任理事国が批准して1年8か月で発効しました。ただし常任理事国を増やした改正は、発効から80年あまりで一度もありません。
ロシアのラブロフ外相は国連総会で何と言った?
国連総会では毎年9月に、各国の首脳や閣僚が順番に演説する「一般討論」が開かれます。2026年は第81回の会期で、ロシアからはラブロフ外相が9月26日に演説しました。国連の公式ニュース(UN News)によると、ラブロフ外相は安全保障理事会(安保理)の改革について、ドイツと日本に新しい議席を与えるべきではないと述べ、その理由として両国が「軍事化と報復主義の道に踏み出した」と主張しました。日本の報道では「軍国主義の道を歩んでいる」と訳されています。
| 国・地域 | ラブロフ外相の立場 | 常任理事国入りをめぐる立場 |
|---|---|---|
| 日本 | 反対(新しい議席を与えるべきでない) | G4(日本・ドイツ・インド・ブラジル)の一員として常任理事国入りを目指す |
| ドイツ | 反対(同上) | G4の一員 |
| インド | 常任理事国入りを支持 | G4の一員 |
| ブラジル | 常任理事国入りを支持 | G4の一員 |
| アフリカ | 代表の拡大を支持 | アフリカ連合として常任2議席を要求 |
ロシアは安保理を広げること自体には反対していません。同じG4でも、インドとブラジルは支持し、日本とドイツだけを外すという「国を選ぶ」反対です。時事通信は、ロシアがこの立場を「改めて」示したと伝えています。演説ではほかに、ウクライナでの「特別軍事作戦」の目的は達成されると述べ、欧州が和平協議を妨害していると批判しました。
1週間で続いた「日本の軍国主義」という言葉
今回の発言は、単独で出てきたものではありません。この1年、とくにこの1週間で、日本の歴史や「軍国主義」に触れる発言が常任理事国の側から続いています。
- 2025年11月18日中国の国連大使「日本は根本的に資格がない」国連総会で安保理改革を話し合う会合で、中国の傅聡(ふそう)国連大使が、高市首相の台湾をめぐる国会答弁を批判し、「このような国は常任理事国を求める資格が根本的にない」と発言しました(新華社)。
- 2026年9月22日高市首相が国連総会で演説安保理の現在の形は1945年当時の情勢を映したものだとして、常任・非常任の双方を増やす改革が「不可欠」と訴えました。旧敵国条項の早急な削除も求め、常任理事国が他国を侵略し、自国の行為をめぐる決議に拒否権を使う現状を批判しました(外務省)。
- 2026年9月24日習近平氏「日本軍国主義の侵略者と戦った」ワシントンでの米中首脳会談の夕食会で、習近平国家主席が第2次大戦での米中の協力を強調しました。トランプ大統領も歓迎式典で米中を大戦の「同盟国」と呼びました(時事通信)。
- 2026年9月25日米国が「第2次大戦の同盟国」を文書に明記ホワイトハウスが首脳会談のファクトシートで、米中が第2次大戦の同盟国として共に戦ったことを両首脳が思い起こした、と記しました(時事通信)。
- 2026年9月26日ロシアのラブロフ外相が日独に反対国連総会の一般討論で、日本とドイツの常任理事国入りに反対し、インド・ブラジルを支持しました(UN News)。
今の常任理事国5か国は、第2次大戦の連合国の主要国です。国連憲章第23条には、今も常任理事国として「中華民国」「ソヴィエト社会主義共和国連邦」と書かれたままです。1971年に中国の代表権が中華人民共和国へ移り、1991年にソ連の席をロシアが引き継いだときも、憲章は書き換えられませんでした。日本が安保理を今の世界に合わせて変えるべきだと訴えるのに対し、中国とロシアは「戦後の国際秩序」や大戦の歴史を持ち出して反論する、という構図です。
日本が常任理事国になれない3つの理由
日本が常任理事国になるには、国連憲章の第23条(安保理の構成)を書き換える必要があります。そして憲章の書き換えには、ほかの条約にはない高いハードルが設けられています。
理由①:憲章改正には5常任理事国すべての「批准」が必要
この憲章の改正は、総会の構成国の3分の2の多数で採択され、且つ、安全保障理事会のすべての常任理事国を含む国際連合加盟国の3分の2によって各自の憲法上の手続に従って批准された時に、すべての国際連合加盟国に対して効力を生ずる。
国連憲章第108条(国連広報センターの訳)
改正は2段階です。まず国連総会で加盟国の3分の2(今の193か国なら129か国)が賛成して採択します。次に各国が国内の手続きで批准し、批准した国が3分の2に達して、しかもその中に5つの常任理事国がすべて入っているときに、はじめて発効します。
つまり常任理事国は、安保理の決議だけでなく、憲章の改正にも事実上の拒否権を持っています。総会でどれだけ多くの国が賛成しても、ロシアか中国のどちらか1か国が批准しなければ、日本の常任理事国入りは実現しません。2025年11月の中国、2026年9月のロシアと、2つの常任理事国が国連の場で公然と反対を表明している今、これが最大の壁です。
理由②:常任理事国の追加そのものに反対する国がある
反対は中国とロシアだけではありません。2005年7月、イタリア・韓国・パキスタンなど12か国が、常任理事国は今の5か国のまま増やさず、選挙で選ぶ理事国を10から20に増やすという決議案(A/59/L.68)を出しました。このグループは「コンセンサス連合(Uniting for Consensus)」と呼ばれています。
決議案を出した12か国は、アルゼンチン、カナダ、コロンビア、コスタリカ、イタリア、マルタ、メキシコ、パキスタン、韓国、サンマリノ、スペイン、トルコです。ドイツに対するイタリア、インドに対するパキスタン、日本に対する韓国、ブラジルに対するアルゼンチン・メキシコのように、G4の各国と同じ地域の国が多く入っています。近隣の国だけが常任の席を得ることへの警戒が、反対の背景にあります。
理由③:「拒否権をどうするか」で改革案がまとまらない
日本は2005年、ドイツ・インド・ブラジルと組んだG4として決議案(A/59/L.64)を出しました。しかし同じ時期に、アフリカ連合(AU)とコンセンサス連合もそれぞれ別の案を出し、どの案も採決に至りませんでした。3つの案の違いは次のとおりです。
| 案(2005年) | 常任理事国 | 選挙で選ぶ理事国 | 新しい常任理事国の拒否権 |
|---|---|---|---|
| G4案(日本・ドイツ・インド・ブラジル) | 5→11(アフリカ2・アジア2・中南米1・西欧その他1を追加) | 10→14 | 当面は使わない。発効15年後の見直しで決める。合計25か国 |
| アフリカ連合案 | 5→11(配分はG4案と同じ) | 10→15 | 今の常任理事国と同じく与える。合計26か国 |
| コンセンサス連合案 | 5のまま(増やさない) | 10→20(再選を認める) | 新しい常任理事国はつくらない。合計25か国 |
※国連文書A/59/L.64(2005年7月6日)、A/59/L.67(同7月18日)、A/59/L.68(同7月21日)より作成。G4案の共同提案国は、フランスなど27か国。
G4案とアフリカ連合案は、常任理事国を6つ増やすところまでは同じです。違いは拒否権で、アフリカ連合は「新しい常任理事国にも拒否権を」と求め、G4は「当面は使わない」と譲っています。ここが一本化できず、2009年からは国連総会の「政府間交渉」で話し合いが続いていますが、条文をもとに交渉する段階には入っていません。
2024年9月に国連総会が採択した「未来のための協定」でも、安保理改革は重要課題とされたものの、常任理事国を増やすかどうか(議席の種類)は「合意を見いだす努力を強化する」という表現にとどまりました。拒否権についても「改革の重要な要素」として、範囲や使い方の制限を含めて議論を続けるとされています。
データ①:日本は非常任理事国に加盟国最多の12回
常任理事国でない国は、2年任期の「非常任理事国」として安保理に入ります。国連の公式一覧(2027〜28年任期の当選国まで)で、1946年以降に選ばれた回数を数えました。
| 国 | 選ばれた回数 | 理事国だった年数 | 最近の任期 |
|---|---|---|---|
| 日本(G4) | 12回 | 24年 | 2023〜24年 |
| ブラジル(G4) | 11回 | 22年 | 2022〜23年 |
| アルゼンチン | 9回 | 18年 | 2013〜14年 |
| コロンビア | 8回 | 16年 | 2026〜27年(任期中) |
| インド(G4) | 8回 | 16年 | 2021〜22年 |
| パキスタン | 8回 | 16年 | 2025〜26年(任期中) |
| イタリア | 7回 | 13年 | 2017年 |
| ドイツ(G4) | 6回 | 12年 | 2019〜20年 |
※国連安保理の公式サイト「Countries Elected Members」から集計。ドイツは西ドイツ時代を含み、ベルギー・カナダ・パナマも6回で同数。イタリアの2017年は、オランダと任期を1年ずつ分けたもの。
日本は1956年12月18日に国連に加盟し、1958年に初めて非常任理事国になりました。直近は2023〜24年の任期で、2022年の選挙では184票を集めています。加盟してからの70年(1957〜2026年)のうち24年、約3分の1は安保理の中にいた計算で、平均すると約6年に1回のペースです。
非常任理事国は任期が終わると続けて再選されることができないため(第23条2)、どれだけ実績があっても、2年務めたら必ずいったん席を離れます。常任の席がない限り、安保理に「常にいる」ことはできないというのが、日本が常任理事国入りを目指す理由の一つです。
データ②:2000年の日本は中国・ロシア・英国・フランスの合計より多く払っていた
国連の通常予算は、加盟国が経済規模などをもとにした「分担率」に応じて負担します。国連総会の決議から、2000年と今(2025〜27年)の分担率を並べました。
| 国 | 2000年 | 2025〜27年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 米国常任 | 25.000% | 22.000% | −3.000ポイント |
| 中国常任 | 0.995% | 20.004% | +19.009ポイント |
| 日本 | 20.573% | 6.930% | −13.643ポイント |
| ドイツ | 9.857% | 5.692% | −4.165ポイント |
| 英国常任 | 5.092% | 3.991% | −1.101ポイント |
| フランス常任 | 6.545% | 3.858% | −2.687ポイント |
| ロシア常任 | 1.077% | 2.094% | +1.017ポイント |
| ブラジル | 1.471% | 1.411% | −0.060ポイント |
| インド | 0.299% | 1.106% | +0.807ポイント |
※2000年は国連総会決議A/RES/52/215、2025〜27年はA/RES/79/249の分担率。「常任」は安保理の常任理事国。
2000年の日本の分担率は20.573%で、米国(25%)に次ぐ2位でした。常任理事国の中国(0.995%)・ロシア(1.077%)・英国(5.092%)・フランス(6.545%)を全部足しても13.709%で、日本1か国の3分の2しかありません。「お金を出しているのに発言権がない」という日本の主張は、この時期に最も説得力がありました。
その後、日本の分担率は約3分の1の6.930%まで下がり、中国(20.004%)に抜かれて3位になりました。それでもロシアの3.3倍、英国・フランスの約1.7〜1.8倍で、ロシアと英国の合計(6.085%)より多い状態が続いています。2005年のG4決議案も、理事国を選ぶときは平和への「さまざまな貢献」を考慮すべきだと書いています。
憲章第23条は、非常任理事国を選ぶときに加盟国の「貢献」を考慮するよう求めていますが、常任理事国の資格については何も定めていません。分担率が高くても、憲章改正の手続き(理由①)を越えられなければ常任理事国にはなれません。
データ③:拒否権は誰が使っている?2000年以降の62件
常任理事国は、安保理の決議案に1か国でも反対すれば否決できます(第27条3)。国連のダグ・ハマーショルド図書館が公開している拒否権の一覧から、拒否権で否決された決議案(一部は修正案)を国別に数えました。
| 常任理事国 | 2000年以降 | 2022年2月以降 | 最後に使った日 |
|---|---|---|---|
| ロシア | 40件 | 14件 | 2026年9月17日(核不拡散) |
| 米国 | 22件 | 8件 | 2025年9月18日(中東・パレスチナ) |
| 中国 | 18件 | 5件 | 2026年9月17日(核不拡散) |
| 英国 | 0件 | 0件 | 1989年12月23日(パナマ) |
| フランス | 0件 | 0件 | 1989年12月23日(パナマ) |
※国連ダグ・ハマーショルド図書館「Vetoes」一覧(2026年9月27日取得)より集計。1つの決議案に複数の国が拒否権を使った場合は、それぞれの国に1件ずつ数えた(2000年以降は62件、2022年2月以降は22件。うち2件は決議案への修正案で、2023年12月の米国と2025年2月のロシア)。2022年の最初の拒否権は、ウクライナ侵攻の翌日の2月25日。
2000年以降に拒否権を使ったのはロシア・米国・中国の3か国だけで、英国とフランスは1989年12月を最後に一度も使っていません。ロシアはシリア、ウクライナ、北朝鮮などをめぐる決議案で多く使い、中国はその多くでロシアと並んで反対しています。米国の拒否権は、ほとんどが中東・パレスチナをめぐるものです。
高市首相が国連演説で「常任理事国が他国を侵略し、自国の行為をめぐる決議に拒否権を使っている」と批判したのは、2022年2月25日や9月30日などに、ロシアがウクライナ侵攻をめぐる決議案を自ら否決したことを指しています。
ソ連は日本の国連加盟にも拒否権を使った
同じ一覧には、日本にかかわる拒否権も残っています。日本の国連加盟を安保理が推薦しようとした決議案は、1952年9月18日と1955年12月15日の2回、ソ連の拒否権で否決されました。日本が国連に加盟できたのは、日ソ共同宣言で国交を回復した後の1956年12月18日です。1983年9月には、大韓航空機撃墜事件をめぐり日本・米国・韓国・カナダの要請で開かれた安保理でも、決議案がソ連の拒否権で否決されています。
常任理事国の1か国が反対すると日本の願いが止まるという構図は、70年前の国連加盟のときにもあった、ということです。
前例:安保理が広がったのは1963年の1回だけ
国連憲章が改正されたのは、発効から80年あまりで3回だけです。そのうち安保理の構成を変えたのは、1963年に採択された1回しかありません。このとき安保理は11か国から15か国になりましたが、増えたのは選挙で選ぶ非常任理事国(6→10)だけで、常任理事国は増えていません。
| 国 | 1963年12月17日の総会での投票 | その後 |
|---|---|---|
| 中華民国(当時の常任理事国) | 賛成 | 批准 |
| フランス | 反対 | 批准 |
| ソ連 | 反対 | 批准 |
| 英国 | 棄権 | 批准 |
| 米国 | 棄権 | 批准 |
※国連デジタルライブラリーの採決記録(総会決議1991A(XVIII)、賛成97・反対11・棄権4)。改正は1965年8月31日に発効しており、第108条により全常任理事国の批准が済んでいたことになる。
総会の採決では、常任理事国5か国のうち賛成したのは中華民国だけでした(日本は賛成)。フランスとソ連は反対、英国と米国は棄権です。それでも加盟国の大勢が賛成に回ったことで、5か国とも最終的に批准し、採択から1年8か月後の1965年8月31日に発効しました。
総会で反対した常任理事国が、後で批准に応じた前例はあるということです。ただし1963年の改正は、新しい独立国が増えたアジア・アフリカの席を増やすもので、常任理事国自身の特権には触れていません。自分たちと同じ拒否権を持つかもしれない国を増やす改正は、性質がまったく違います。
常任理事国になると何が変わる?メリットとデメリット
日本が常任理事国になった場合に変わることと、注意したい点を整理します。
| 項目 | 常任理事国になると | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 安保理の席 | 選挙なしで常に議席がある | 今は2年任期で、連続の再選ができない |
| 拒否権 | G4案では当面は使わない | 拒否権のない常任理事国は前例がない |
| 情報と発言力 | すべての議題の協議に、切れ目なく加われる | あらゆる紛争で、賛否の立場を問われ続ける |
| 費用 | PKO(平和維持活動)の予算では、常任理事国は別枠で割り増しの負担になる | 通常予算の分担率は今と同じ計算 |
| 安全保障 | 国連の強制措置を決める側に回る | 軍事的な関与への期待と、専守防衛との整合が議論になりうる |
※PKO予算の分担で常任理事国が別枠(レベルA)となり割り増しで負担する仕組みは、国連総会決議A/RES/55/235による。
今後の見通し:安保理改革はいつ動く?
ロシアと中国が公然と反対している以上、日本の常任理事国入りが近いうちに実現する見込みは低いと言わざるをえません。今後の節目を並べます。
- 2026年11月ごろ国連総会の安保理改革の討論毎年秋に開かれ、2025年は11月18日の会合で中国の国連大使が日本を名指ししました。今年も中国・ロシアがどこまで日本に触れるかが焦点です。
- 2026年12月18日日本の国連加盟70周年高市首相は国連演説で、今年が「日本が国連に加盟してから70年目の年」に当たると述べました。
- 2027年1月1日次の国連事務総長が就任グテーレス事務総長の任期は2026年末まで。新しい事務総長が安保理改革にどう向き合うかも注目点です。
- 2027年前半政府間交渉の次の会期2009年から続く交渉で、例年は年明けから初夏にかけて開かれます。条文にもとづく交渉に進めるかが、改革が動くかどうかの目安になります。
憲章を変えずにできる改革は、すでに始まっています。2022年4月には、安保理で拒否権が使われたら10営業日以内に総会を開いて討論し、拒否権を使った国には最初に発言する機会を与える決議(A/RES/76/262)が採択されました。常任理事国の席の問題が動かないあいだは、日本も非常任理事国としての参加と、こうした運用面の改革を通じて安保理に関わることになりそうです。
※見通しは2026年9月27日時点の公式発表と報道にもとづく筆者の整理です。新しい動きがあれば追記します。
よくある質問
Q. 日本はなぜ常任理事国になれないのですか?
A. 常任理事国を増やすには国連憲章の改正が必要で、改正には5つの常任理事国すべてを含む加盟国の3分の2の批准がいります(第108条)。ロシアと中国が反対を公言しているほか、イタリアや韓国などの「コンセンサス連合」も常任理事国の追加に反対し、新しい常任理事国の拒否権をめぐっても各国の案がまとまっていないためです。
Q. ロシアのラブロフ外相は何と言って反対したのですか?
A. 2026年9月26日の国連総会の一般討論で、日本とドイツが「軍国主義と報復主義の道を歩んでいる」として、両国に新しい議席を与えるべきではないと述べました。同じ演説で、インドとブラジルの常任理事国入り、アフリカの代表拡大は支持しています。
Q. 日本の常任理事国入りに反対している国・賛成している国はどこですか?
A. 反対を公言しているのは、常任理事国のロシア(2026年9月)と中国(2025年11月に国連大使が「日本には根本的に資格がない」と発言)です。常任理事国の追加そのものには、イタリア・韓国・パキスタンなど12か国のコンセンサス連合が反対しています。賛成側では、フランスが2005年のG4決議案の共同提案国になり、米国は2024年9月(当時のバイデン政権)に日本・ドイツ・インドの常任理事国入りへの支持を表明しました。
Q. 常任理事国になれば日本も拒否権を持てますか?
A. すぐには持てません。日本などG4の2005年の決議案では、新しい常任理事国は、拒否権の扱いを発効15年後の見直しで決めるまで拒否権を使わないとしています。一方、アフリカ連合は新しい常任理事国にも拒否権を与えるよう求めています。
Q. 日本は非常任理事国に何回なっていますか?
A. 12回で、国連加盟国の中で最多です(直近は2023〜24年)。1956年の国連加盟後の70年のうち、24年間を安保理の理事国として過ごしています。2位はブラジルの11回です。
Q. 安保理改革はいつ実現しますか?
A. 時期の見通しは立っていません。2009年から国連総会で政府間交渉が続いていますが、条文にもとづく交渉には入っておらず、2024年の「未来のための協定」でも常任理事国を増やすかどうかは合意できませんでした。過去に安保理が広がったのは1963年採択・1965年発効の1回だけです。
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出典・参考資料
- UN News:Lavrov issues call for new Eurasian ‘security architecture’(2026年9月26日)
- 外務省:第81回国連総会における高市早苗内閣総理大臣の一般討論演説(2026年9月22日)
- 国連広報センター:国連憲章テキスト(第23条・第27条・第108条、改正の経緯)
- 国連安全保障理事会:Countries Elected Members(非常任理事国の選出一覧)
- 国連ダグ・ハマーショルド図書館:Security Council Meetings & Outcomes Tables: Vetoes(2026年9月27日取得)
- 国連総会決議:A/RES/52/215(1998〜2000年の分担率)、A/RES/79/249(2025〜27年の分担率)、A/RES/55/235(PKOの分担)、A/RES/76/262(拒否権が使われたときの総会討論)、A/RES/79/1(未来のための協定)
- 国連総会決議案:A/59/L.64(G4案)、A/59/L.67(アフリカ案)、A/59/L.68(コンセンサス連合案)
- 国連デジタルライブラリー:総会決議1991A(XVIII)の採決記録(1963年12月17日)
- 外務省:日本の国連安保理非常任理事国への選出について(外務大臣談話)(2022年6月10日)
- 時事通信:日独は「軍国主義の道歩んでいる」 ロシア外相、国連総会で主張/トランプ氏、中国は「同盟国」 習氏「日本軍国主義と戦った」/米中は第2次大戦の「同盟国」 会談文書明記
- 新華社:中国代表:日本根本没有资格要求成为安理会常任理事国(2025年11月19日、中国語)
本記事は2026年9月27日時点の公式資料と報道にもとづきます。発言の評価は筆者の整理で、特定の国の立場を支持するものではありません。アイキャッチ背景:James D. Forrester「United Nations Headquarters – Security Council chamber, angled view (cropped)」(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)を明るさ調整・文字入れ。


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