暖房はいつから?47都市の「暖房を入れる日」を平年値で計算したら東京は11月8日だった
エアコンのカタログに載っている電気代の目安は、じつは「11月8日から4月16日まで暖房を使う」という前提で計算されています。これは東京をモデルにした数字です。では自分の街はいつからなのか。気象庁の平年値を使って、47都市の暖房開始日・終了日・暖房シーズンの長さを計算しました。
2026年9月21日時点/気象庁の平年値(1991〜2020年)にもとづく試算
(カタログの前提と同じ日)
東京より31日早い
鹿児島は117日
(東京を1.00とした比)
エアコンの「電気代の目安」は11月8日から4月16日までで計算されている
エアコンのカタログには「期間消費電力量」という数字が必ず載っています。1年間エアコンを使ったときの消費電力量の目安で、多くの人が電気代を比べるときに見ている値です。この数字がどういう条件で計算されているかを、業界団体である日本冷凍空調工業会が公開しています。
| 項目 | 前提条件 |
|---|---|
| 規格 | JIS C 9612:2013 |
| 外気温度 | 東京をモデルとしている |
| 設定温度 | 冷房27℃/暖房20℃ |
| 暖房期間 | 11月8日〜4月16日(160日間) |
| 冷房期間 | 5月23日〜10月4日 |
| 運転時間 | 6時〜24時の18時間 |
| 住宅 | 平均的な木造住宅(南向き) |
つまりカタログの電気代は「東京に住んでいて、11月8日から4月16日まで、20℃設定で1日18時間つける人」の数字です。北海道の人にも沖縄の人にも、同じ前提の数字が印刷されています。
そこで、この「日平均気温が14℃を下回る初日」というものさしを、全国47都市の平年値にそのまま当てはめてみました。以下は気象庁が公開している日ごとの平年値(1991〜2020年の30年平均)をもとにした計算結果です。
47都市の暖房開始日・終了日一覧
「暖房開始」は日平均気温がはじめて14℃を下回る日、「暖房終了」は春に再び14℃以上へ戻る日です。いちばん右の列は、その街で1シーズンに必要な暖房の量(暖房度日)を東京を1.00として比べたものです。
| 都市 | 暖房開始 | 暖房終了 | 日数 | 必要量(東京=1.00) |
|---|---|---|---|---|
| 札幌 | 10/8 | 5/22 | 226日 | 2.74 |
| 青森 | 10/14 | 5/19 | 217日 | 2.28 |
| 盛岡 | 10/10 | 5/15 | 217日 | 2.39 |
| 仙台 | 10/25 | 5/3 | 190日 | 1.68 |
| 秋田 | 10/18 | 5/10 | 204日 | 2.00 |
| 山形 | 10/17 | 5/2 | 197日 | 2.04 |
| 福島 | 10/24 | 4/26 | 184日 | 1.65 |
| 水戸 | 10/30 | 4/25 | 177日 | 1.38 |
| 宇都宮 | 10/30 | 4/22 | 174日 | 1.41 |
| 前橋 | 11/1 | 4/18 | 168日 | 1.27 |
| 熊谷 | 11/4 | 4/16 | 163日 | 1.17 |
| 千葉 | 11/13 | 4/13 | 151日 | 0.90 |
| 東京 | 11/8 | 4/14 | 157日 | 1.00 |
| 横浜 | 11/13 | 4/12 | 150日 | 0.89 |
| 新潟 | 10/29 | 4/29 | 182日 | 1.53 |
| 富山 | 10/31 | 4/25 | 176日 | 1.41 |
| 金沢 | 11/5 | 4/23 | 169日 | 1.27 |
| 福井 | 11/1 | 4/21 | 171日 | 1.36 |
| 甲府 | 10/31 | 4/15 | 166日 | 1.30 |
| 長野 | 10/19 | 5/1 | 194日 | 2.02 |
| 岐阜 | 11/9 | 4/13 | 155日 | 1.09 |
| 静岡 | 11/17 | 4/8 | 142日 | 0.75 |
| 名古屋 | 11/9 | 4/12 | 154日 | 1.06 |
| 津 | 11/12 | 4/14 | 153日 | 0.99 |
| 彦根 | 11/4 | 4/24 | 171日 | 1.29 |
| 京都 | 11/9 | 4/14 | 156日 | 1.08 |
| 大阪 | 11/15 | 4/9 | 145日 | 0.87 |
| 神戸 | 11/17 | 4/10 | 144日 | 0.87 |
| 奈良 | 11/5 | 4/15 | 161日 | 1.15 |
| 和歌山 | 11/15 | 4/9 | 145日 | 0.86 |
| 鳥取 | 11/4 | 4/20 | 167日 | 1.21 |
| 松江 | 11/5 | 4/20 | 166日 | 1.18 |
| 岡山 | 11/4 | 4/15 | 162日 | 1.15 |
| 広島 | 11/11 | 4/11 | 151日 | 0.98 |
| 山口 | 11/5 | 4/16 | 162日 | 1.14 |
| 徳島 | 11/15 | 4/10 | 146日 | 0.86 |
| 高松 | 11/13 | 4/11 | 149日 | 0.94 |
| 松山 | 11/14 | 4/11 | 148日 | 0.87 |
| 高知 | 11/17 | 4/4 | 138日 | 0.75 |
| 福岡 | 11/17 | 4/7 | 141日 | 0.75 |
| 佐賀 | 11/13 | 4/8 | 146日 | 0.89 |
| 長崎 | 11/18 | 4/5 | 138日 | 0.70 |
| 熊本 | 11/14 | 4/4 | 141日 | 0.84 |
| 大分 | 11/15 | 4/10 | 146日 | 0.83 |
| 宮崎 | 11/19 | 3/31 | 132日 | 0.60 |
| 鹿児島 | 11/29 | 3/26 | 117日 | 0.46 |
| 那覇 | — | — | — | — |
開始日が10月中に来るのは13都市、11月になるのは33都市でした。最も早い札幌の10月8日と、本土で最も遅い鹿児島の11月29日のあいだには52日の開きがあります。同じ「11月の初め」でも、札幌ではとっくに暖房シーズンの真ん中で、鹿児島ではまだ3週間以上先の話ということになります。
シーズンの長さは約2倍、必要な熱量は約4倍ちがう
暖房シーズンの長さは、札幌の226日に対して鹿児島は117日。日数だけでもおよそ2倍の差があります。ただし、実際にかかる暖房費の差はこれより大きくなります。日数が長いだけでなく、1日あたりの寒さも違うからです。
そこで使うのが暖房度日という考え方で、「14℃に足りない分」を1年ぶん足し上げた数字です。上の表のいちばん右の列がそれにあたります。東京を1.00とすると、札幌は2.74、盛岡2.39、青森2.28。逆に長崎は0.70、宮崎0.60、鹿児島は0.46でした。
「何月から」より確かなのは、室温が18℃を切ったかどうか
ここまで日付の話をしてきましたが、実際につけるかどうかを決める基準は、外の気温ではなく部屋の温度です。世界保健機関(WHO)は2018年の住宅と健康に関するガイドラインで、寒い季節の室内温度について最低18℃を強く推奨しています。
日本でも、国土交通省が支援した「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」(実施は日本サステナブル建築協会)が、室温と健康の関係を具体的な数字で示しています。2,307軒・4,131人を対象にした調査の中間報告では、朝5時の居間の室温が18℃未満だった住宅の居住者について、次の結果が報告されました。
- 2.6倍総コレステロールが基準範囲を超える人の割合室温18℃以上の住宅を基準にした調整オッズ比。年齢・性別・世帯所得・生活習慣などの影響を取り除いたうえでの数字です。
- 1.9倍健康診断で心電図の異常所見がある人LDLコレステロールが基準を超える人も1.6倍でした。
- 1.62倍就寝前の室温が12℃未満の住宅で、過活動膀胱の症状がある人夜間に何度もトイレに起きる症状です。断熱改修で就寝前の室温が上がった住宅ではこの確率が0.5倍に下がり、逆に室温が下がった住宅では1.8倍に上がりました。
この調査が18℃を線引きに使っているのは、英国保健省の最低室温推奨値が18℃だからで、WHOの推奨とも一致します。暖房を我慢する判断は、電気代だけの問題ではないということです。
暖房の節約額も、街によって2.7倍ちがう
資源エネルギー庁の省エネ性能カタログには、暖房の使い方を変えたときの節約額が載っています。外気温6℃のとき、2.2kWのエアコンの設定を21℃から20℃に下げると年間53.08kWh、1日1時間短くすると年間40.73kWhの省エネになるという試算です。
これを現在の電気料金の目安単価(全国家庭電気製品公正取引協議会が2022年7月に改定した31円/kWh)で計算し直すと、次のようになります。
| やること | 年間の省エネ量 | 東京の目安 | 札幌に置き換えると |
|---|---|---|---|
| 設定温度を1℃下げる(21→20℃) | 53.08kWh | 約1,640円 | 約4,500円 |
| 1日1時間短くする | 40.73kWh | 約1,260円 | 約3,460円 |
| フィルターを月1〜2回掃除する | 31.95kWh | 約990円 | 約2,710円 |
右端は、カタログの試算が東京の暖房期間を前提にしていることをふまえ、暖房度日の比(2.74)を掛けたものです。寒い地域ほど、同じひと手間で戻ってくる金額が大きくなります。逆に鹿児島なら0.46倍で、1℃下げても年750円ほどの計算になります。
Q. 暖房は何月からつけるのが普通ですか?
A. 気象庁の平年値でみると、日平均気温が14℃を下回るのは47都市のうち33都市が11月、13都市が10月です。北海道・東北・長野では10月中旬までに、関東から西では11月上旬から下旬にかけて来ます。那覇だけは一度も14℃を下回りません。
Q. 10月に暖房をつけるのは早すぎますか?
A. 地域によります。札幌は10月8日、盛岡は10月10日、青森は10月14日に日平均気温が14℃を割るので、10月に暖房を入れるのはむしろ平年並みです。一方、東京や大阪で10月につけるのは平年より2週間から1か月ほど早い判断になります。
Q. 暖房の設定温度は何度がいいですか?
A. 資源エネルギー庁は冬の暖房時の室温の目安として20℃を示しています。ただしこれは「室温」であって設定温度ではありません。設定20℃でも足元が18℃を下回る家は多いので、温度計で実際の室温を確認してください。
Q. エアコンのカタログの電気代は、自分の地域でもあてになりますか?
A. そのままでは合いません。カタログの数字は東京の気象条件で、暖房期間を11月8日から4月16日として計算されています。暖房度日で比べると、札幌では約2.7倍、長崎では約0.7倍が目安になります。
Q. 沖縄に暖房器具は必要ないのですか?
A. 那覇の日平均気温は真冬でも16.8℃までしか下がらないため、この記事の基準では暖房シーズンはゼロ日です。ただし最低気温の平年値は1月下旬に14.4℃まで下がり、住宅の断熱が本土ほど厚くないため、朝晩に補助的な暖房を使う家庭はあります。
・気象庁「過去の気象データ検索 平年値(日ごとの値)」1991〜2020年の平年値 https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php
・一般社団法人 日本冷凍空調工業会「期間消費電力量を省エネ性の目安にお選びください」(JIS C 9612:2013の算出基準) https://www.jraia.or.jp/product/home_aircon/e_saving_energy.html
・国土交通省「住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響とは?(断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告・第3回)」平成31年1月24日 https://www.mlit.go.jp/report/press/house07_hh_000198.html
・WHO「Housing and health guidelines」(2018年) https://www.who.int/publications/i/item/9789241550376
・資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ エアコン」 https://seihinjyoho.go.jp/frontguide/pdf/guide_aircon.pdf
・公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会「新電力料金目安単価」(2022年7月改定・31円/kWh) https://www.eftc.or.jp/qa/
※暖房開始日・終了日・暖房度日は、気象庁の日ごとの平年値をもとに当サイトが計算した試算値です。


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