くらし解説
「ローンと同じ」は要注意──カーリースのトラブルが年400件超
2026年8月8日
毎月定額で新車に乗れる「カーリース(車のサブスク)」が個人にも広がる一方、契約をめぐるトラブルの相談が全国の消費生活センターに年間400件超寄せられています。「ローンと同じと言われて契約したら走行距離制限があった」「解約を申し出たら約50万円の解約料を請求された」「契約満了時に車がもらえると思っていたら残価の支払いが必要だった」──。この記事では、国民生活センターが公表した実際の相談事例をもとに、カーリースのトラブルの典型パターンと、契約前に必ず確認すべきポイント、トラブルになったときの相談先までをわかりやすく解説します。
465件
2024年度のカーリース相談件数(PIO-NET)。2021年度の約1.4倍
約72万台
個人向けリース車の保有台数(2025年3月末)。4年で約1.7倍に増加
約50万円
実際の相談事例で請求された中途解約料の例
188
困ったときの消費者ホットライン(いやや!)
カーリースとは?購入とはまったく違う「賃貸借契約」
カーリースとは、リース会社が所有する車を一定期間借りて利用できるサービスです。車を購入する場合は販売店との「売買契約」ですが、カーリースはリース会社との「賃貸借契約」であり、車の所有者はあくまでリース会社です。利用者(借りる側)は車検証上の「使用者」にはなりますが、「所有者」にはなりません。
月々のリース料は、次のような仕組みで決まります。
- 車の価格から「残価」を差し引く残価とは、契約満了時に想定されるその車の残存価値のことです。車両価格からこの残価を差し引いた分が支払いのベースになります。
- 諸費用とリース手数料を加算する登録費用・税金・保険料・オプション費用、契約期間中の点検整備費用など車の維持に必要な費用と、リース手数料が上乗せされます。
- 総額を契約期間で分割して毎月支払う車検などの突発的な大きな出費がなく、毎月の支払額がほぼ一定になる点がメリットです。
以前は法人向けが中心でしたが、ライフスタイルの多様化や新車の供給体制の変化により、ここ数年で一般消費者向けの契約が増加しています。日本自動車リース協会連合会の統計によると、個人向けリース車の保有台数は2021年3月末の約43.8万台(リース車全体の11.1%)から、2025年3月末には約72.4万台(同16.9%)へと約1.7倍に拡大しました。
カーリースの相談件数は年400件超で高止まり
国民生活センターによると、全国の消費生活センター等に寄せられたカーリースに関する相談件数(PIO-NET登録分)は、2021年度の322件から増加し、直近は年間400件台後半で高止まりしています。
| 年度 | 相談件数 | 推移 |
|---|---|---|
| 2021年度 | 322件 | |
| 2022年度 | 444件 | |
| 2023年度 | 485件 | |
| 2024年度 | 465件 |
相談者の年代は30歳未満から80歳代以上まで幅広く分布しており、特に50歳代の中高年層の割合が高いのが特徴です。相談内容を見ると、カーリースの仕組みや契約内容を契約時に十分把握していないことが原因で、中途解約時や契約満了時にトラブルになっている事例が多く寄せられています。
実際にあったカーリースのトラブル事例4選
国民生活センターが公表した相談事例から、典型的な4つのパターンを紹介します。いずれも実際に寄せられた相談です。
事例1:「ローンと同じ」と言われたら走行距離制限付きのリース契約だった
事例2:「つなぎのつもり」の契約で解約料約50万円を請求された
事例3:契約満了後、残価を支払わないと車を受け取れないと言われた
事例4:「9年後に車が自分のものになる」と勧誘されたが実際は違った
なぜトラブルになる?購入・ローンとの違いを比較表で確認
4つの事例に共通するのは、「購入と同じ感覚で契約したら、実は制約の多い賃貸借契約だった」という認識のズレです。国民生活センターは、①消費者にとってカーリースの仕組みや購入との違いを認識しにくいこと、②特に中途解約時や契約満了時の条件がトラブルになりやすいこと、の2点を問題点として挙げています。
一括購入・自動車ローン・カーリースの違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 一括購入 | 自動車ローン | カーリース |
|---|---|---|---|
| 契約の性質 | 売買契約 | 売買契約+立替払い | 賃貸借契約 |
| 車検証上の所有者 | 本人 | ローン会社(完済後は本人) | リース会社 |
| 頭金(初期費用) | 不要(全額支払い) | 必要 | 原則不要 |
| 走行距離制限 | なし | なし | 原則あり |
| 中途解約 | ─ | 残債を一括返済すれば可能 | 原則不可(違約金が発生) |
| 車の改造・カスタマイズ | 自由 | 自由 | 原状回復できる範囲内のみ |
| 満了時の残価精算 | ─ | なし | 残価設定型(オープンエンド)は必要 |
また、多くのカーリースでは残価を維持するために月間500〜2,000km程度の走行距離制限が設けられ、超過すると1kmあたり数円〜数十円の超過料金がかかるのが一般的です。返却時に大きな傷やへこみ、消えないニオイ・汚れ、改造などがあれば、原状回復費用を請求されることもあります。
契約前に必ず確認したい5つのチェックポイント
カーリース自体は違法なサービスではなく、頭金なしで新車に乗れる・維持費が定額化できるなど、使い方次第でメリットのある仕組みです。問題は「購入との違いを理解しないまま契約すること」に尽きます。国民生活センターのアドバイスを踏まえ、契約前に次の5点を必ず確認しましょう。
- その契約は「購入」か「リース」かまず大前提として、勧められている契約が購入契約なのかカーリース契約なのかを確認してください。「ローンと同じ」という説明をうのみにせず、自分の希望と違う契約ならはっきり断りましょう。
- 契約期間・残価設定の有無・支払総額月額の安さだけでなく、契約期間と支払総額、残価が設定されているか(オープンエンドかクローズドエンドか)を書面で確認しましょう。ボーナス月加算の有無も要チェックです。
- 走行距離制限などの利用制限月間・年間の走行距離上限と超過時の精算単価、改造・カスタマイズの可否を確認し、自分の使い方(通勤距離・長距離レジャーの頻度)で収まるか試算しましょう。
- 中途解約の可否と解約料の計算方法原則中途解約できないことを前提に、解約が認められる条件、解約料・違約金の計算方法と概算額を必ず確認しましょう。転勤・免許返納・収入減など、途中で車が不要になる可能性も考慮を。
- 契約満了時の車の扱いと精算方法満了時に「返却」「残価を払って買い取り」「再リース」のどれが選べるのか、返却時の原状回復や残価精算の条件を確認しましょう。「最後は車がもらえる」と言われたら、その条件が契約書に明記されているかを必ず見てください。
トラブルになったときの対処法と相談先
すでに契約してしまって「話が違う」と感じたときは、1人で抱え込まず早めに相談することが重要です。時間が経つほど選択肢は狭まります。
| 相談先 | 内容 |
|---|---|
| 消費者ホットライン「188(いやや!)」 | 最寄りの消費生活センターを案内する全国共通の3桁番号。カーリースの契約トラブル全般の相談窓口 |
| リース会社・販売店の相談窓口 | まずは契約書を手元に置き、契約内容と説明の食い違いを具体的に伝える。やり取りは記録に残す |
| 国民生活センター「消費者トラブルFAQサイト」 | 自己解決をサポートする情報提供サイト。類似事例の対処法を確認できる |
| 法テラス・弁護士会 | 高額な解約料・残価精算の支払い義務を争う場合の法律相談 |
カーリースのトラブルに関するよくある質問
Q. カーリースは途中で解約できますか?
A. 原則としてできません。リース会社は契約期間全体を前提にリース料を決めているため、中途解約できる場合でも通常は解約金・違約金が発生します。実際の相談事例では約50万円の解約料を請求されたケースもあります。契約前に、解約が認められる条件と解約料の計算方法を必ず確認してください。
Q. カーリースは契約満了時に車がもらえますか?
A. 契約によります。満了時の扱いは「返却」「残価を支払って買い取り」「再リース」など契約内容で異なり、「もらえるプラン」でない限り自動的に自分のものにはなりません。「最後は車がもらえる」と口頭で言われても、契約書にその条件が明記されているかを必ず確認してください。
Q. 走行距離制限を超えるとどうなりますか?
A. 返却時に超過分の精算金を請求されるのが一般的です。多くのカーリースでは残価維持のため月間500〜2,000km程度の上限が設定され、超過1kmあたり数円〜数十円の精算単価が定められています。通勤や帰省で長距離を走る人は、契約前に自分の月間走行距離を把握しておきましょう。
Q. 返却時に傷やへこみがあると費用を請求されますか?
A. 請求される場合があります。カーリースの車はリース会社の所有物のため、大きな傷・へこみ、落ちないニオイや汚れ、改造などがあると原状回復費用が発生します。さらに残価精算のあるオープンエンド方式では、査定額が残価を下回った差額を請求されることもあります。
Q. カーリースのトラブルはどこに相談すればいいですか?
A. 消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。契約書や勧誘時のやり取りのメモを手元に用意して相談するとスムーズです。高額な解約料や残価精算の支払い義務を争う場合は、法テラスや弁護士会の法律相談も選択肢になります。
まとめ:カーリースは「購入との違い」を理解してから契約する
カーリースのトラブルの本質は、「毎月定額で新車に乗れる」という分かりやすいメリットの裏にある中途解約の制約・走行距離制限・残価精算・満了時の条件が、契約時に十分伝わっていないことにあります。相談件数は年間400件超で高止まりし、個人向けリースの拡大とともに誰もが当事者になり得る状況です。
検討する際は、①それが購入かリースかの確認、②契約期間・支払総額・残価の確認、③中途解約と満了時の条件の確認、の3つを契約書の書面で徹底してください。そして少しでも「話が違う」と感じたら、消費者ホットライン「188」へ。契約前のひと手間が、数十万円の予期せぬ請求からあなたを守ります。
あわせて読みたい
・国民生活センター「カーリースに関する消費者トラブルにご注意!−カーリースってどんな契約?特徴と注意点−」(2025年9月17日報道発表)
・一般社団法人日本自動車リース協会連合会「リース統計」
※相談件数・事例・年代構成はPIO-NET登録データ(2025年7月31日までの登録分)に基づきます。


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