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米CPIでドル円はどう動く?10月14日発表と過去291回の値動き
2026年10月14日(水)の日本時間21時30分に、米国の9月分の消費者物価指数(CPI)が発表されます。10月27〜28日のFOMCの前に出る最後の物価統計で、ドル円は158円台で介入への警戒と米金利の高止まりがせめぎ合っています。CPIの発表日にドル円は本当に大きく動くのか。米労働省の発表日291回(2002年6月〜2026年9月)について、前日からのドル円の変化を全部数えました。
この記事の結論
- 9月分の米CPIは10月14日(水)21時30分(日本時間)に発表されます。前回8月分は総合が前年比3.4%、食品とエネルギーを除くコアが2.4%でした。
- 2002年以降の291回を通して見ると、CPI発表日のドル円の動きは普段の日とほぼ同じ(1.01倍)でした。ところが2022年以降の56回は平均0.87円動き、普段の日の1.28倍。1円以上動いた日も29%にのぼります。
- 2022年以降は、総合の前年比が前月より上がった回の73%でドル高、下がった回の70%でドル安になりました。2019年以前はどちらも五分五分で、物価の方向が素直に効くようになったのは最近のことです。
- 下げのほうが大きいのも特徴です。減速した回の平均は−0.62円、加速した回は+0.33円。発表日の値動きの上位8回のうち6回がドル安(円高)でした。
- クリーブランド連銀の予測(10月9日時点)では、9月分は総合3.60%に加速、コア2.39%でほぼ横ばい。2022年以降にこの組み合わせになった12回は、10回がドル高(平均+0.30円)でした。ただし、予想どおりなら値動きは小さくなりやすく、予想から外れたときが要注意です。
米CPIの発表日はいつ?10月14日21時30分
CPI(Consumer Price Index、消費者物価指数)は、米国の消費者が買うモノやサービスの値段の動きを示す統計です。米労働省の労働統計局(BLS)が毎月中旬に発表し、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げや利下げを決める際の大きな材料になります。発表は米東部時間の朝8時30分で、夏時間の今は日本時間21時30分です。
| 日時(日本時間) | 発表 | ポイント |
|---|---|---|
| 10月14日(水)21:30 | 米CPI(9月分) | 今回の主役。総合とコアの前年比・前月比 |
| 10月15日(木)21:30 | 米PPI(9月分) | 企業どうしの取引価格。CPIの翌日 |
| 10月27〜28日 | FOMC | 結果は日本時間29日(木)3時。CPIが利上げ判断の材料に |
| 11月10日(火)22:30 | 米CPI(10月分) | 米国が冬時間になり、日本時間は1時間遅くなる |
米労働省「CPI」ページ・CPI発表予定、FRB「FOMC日程」から作成。PPIの日時は米労働省の発表予定による。
米国は11月1日に夏時間が終わるため、11月10日の10月分は日本時間22時30分になります。夏時間と冬時間の切り替えはFXのサマータイムはいつから?で、FOMCの見方はFOMCとは?わかりやすく解説でまとめています。
前回8月分は総合3.4%・コア2.4%
8月分は、総合が前年比3.4%で7月と同じ、コアは2.5%から2.4%に下がりました。前月比(季節調整済み)では総合0.4%・コア0.3%です。総合を押し上げているのはエネルギーで、前年比16.3%、ガソリンは27.4%上がっています。原油高がドル円に与える影響は原油高でなぜ円安?で検証しました。
CPI発表日にドル円はどれくらい動く?291回を集計
FRED(セントルイス連銀の統計データベース)の円ドル相場(ニューヨーク正午の値)を使い、CPIの発表日とその前の営業日の差をとりました。発表は朝8時30分なので、正午の値には発表後3時間半の動きが入ります。比べる相手は、同じ期間のCPI発表日以外のすべての営業日です。
| 期間 | CPI発表日の平均変動 | 普段の日の平均変動 | 1円以上動いた割合 |
|---|---|---|---|
| 2002〜2019年(211回) | 0.45円 | 0.47円 | 11%普段は11% |
| 2020〜2021年コロナ禍・ゼロ金利(24回) | 0.26円 | 0.33円 | 12%普段は5% |
| 2022年〜インフレ・利上げ局面(56回) | 0.87円 | 0.68円 | 29%普段は22% |
| 全期間(291回) | 0.52円 | 0.50円 | 15%普段は12% |
FRED「DEXJPUS」と米労働省のCPI過去リリース(発表日)から筆者が集計。変動は前営業日比の絶対値の平均。
意外なことに、2019年までのCPI発表日は普段の日とほとんど変わらず、2020〜2021年はむしろ普段より静かでした。物価が2%前後で落ち着き、FRBの政策を大きく左右しなかったためと考えられます。ところがインフレが急加速した2022年以降は、発表日の平均の変動が0.87円(変化率で比べて普段の1.28倍)に広がりました。円の水準そのものも上がっているので、比較は変化率でしています。
年別:2022年の1.13円をピークに落ち着きつつある
| 年 | CPI発表日の平均変動 | 回数 |
|---|---|---|
| 2017年 | 0.42円 | 12回 |
| 2018年 | 0.37円 | 12回 |
| 2019年 | 0.27円 | 12回 |
| 2020年 | 0.24円 | 12回 |
| 2021年 | 0.28円 | 12回 |
| 2022年 | 1.13円 | 12回 |
| 2023年 | 0.95円 | 12回 |
| 2024年 | 0.99円 | 12回 |
| 2025年 | 0.69円 | 11回 |
| 2026年 | 0.45円 | 9回 |
2025年は政府閉鎖で10月分が発表されず11回。2026年は9月11日発表分までの9回。
2026年に入ってからの9回は平均0.45円と、2022〜2024年の半分以下です。ただし、総合の前年比は3月から上がり始め、5月には4%台に乗りました。物価が再び市場の関心を集めれば、発表日の値動きも大きくなる可能性があります。
物価が加速したらドル高?方向は「前年比の上下」で7割当たる
次に、ドル円の方向を調べました。本来は「市場予想より上か下か」で比べるべきですが、過去の予想値は公的な形で残っていません。そこで、総合の前年比が前月より上がったか(加速)・下がったか(減速)で分けました。前年比は、改定されない季節調整前の指数から計算しています。
| 発表の内容 | 2022年以降 | 2019年以前 |
|---|---|---|
| 総合の前年比が加速 | ドル高 19/26回(73%)平均+0.33円 | ドル高 52/106回(49%)平均+0.03円 |
| 総合の前年比が減速 | ドル安 21/30回(70%)平均−0.62円 | ドル安 52/102回(51%)平均−0.08円 |
前年比が前月と同じだった回は除外。FRED「CPIAUCNS」「DEXJPUS」から筆者が集計。
2019年以前は、物価が加速してもドル高になったのは49%と、ほぼコイン投げでした。2022年以降は加速で73%がドル高、減速で70%がドル安と、はっきり方向が出ています。インフレ率が高いと、物価の数字がそのままFRBの利上げ・利下げの見通しを動かし、日米の金利差を通じてドル円に響くためです。
総合とコアの組み合わせで見ると
| 2022年以降の組み合わせ | ドル円の方向 | 平均の変化 |
|---|---|---|
| 総合もコアも加速 | ドル高9・ドル安5(14回) | +0.36円 |
| 総合は加速・コアは横ばい以下 | ドル高10・ドル安2(12回) | +0.30円 |
| 総合は減速・コアは横ばい以上 | ドル高3・ドル安3(6回) | +0.25円 |
| 総合もコアも減速 | ドル高6・ドル安18(24回) | −0.83円 |
コアは食品とエネルギーを除く指数(FRED「CPILFENS」)。
総合もコアも減速した24回は18回がドル安で、平均−0.83円と最も大きく動きました。2022年11月や2023年1月の急落は、まさにこのパターンです。反対に、エネルギーで総合だけが上がりコアは落ち着いている回は、12回中10回がドル高でしたが、平均+0.30円と小幅でした。
CPIでドル円が大きく動いた日ランキング
291回のうち、前日からの変化が大きかった上位8回です。
| 発表日 | ドル円の変化 | 内容 |
|---|---|---|
| 2022年11月10日 | −4.37円146.15→141.78円 | 前年比7.7%へ減速。予想を下回り利上げ減速の観測 |
| 2016年12月15日 | +3.26円115.06→118.32円 | 前日にFRBが利上げ(FOMCの結果も含む値動き) |
| 2024年7月11日 | −3.15円161.73→158.58円 | 前年比3.0%へ減速。同日に日本の為替介入(財務省公表) |
| 2023年1月12日 | −2.83円132.58→129.75円 | 前年比6.5%へ減速が続く |
| 2022年8月10日 | −2.37円134.95→132.58円 | 前年比8.5%へ減速(ピーク越え) |
| 2022年12月13日 | −2.33円137.47→135.14円 | 前年比7.1%へ減速 |
| 2023年7月12日 | −2.30円140.51→138.21円 | 前年比3.0%へ大きく減速 |
| 2025年2月12日 | +2.25円152.37→154.62円 | 前年比3.0%へ加速。コアも加速 |
FRED「DEXJPUS」(NY正午)から集計。前年比は季節調整前の総合指数による。
8回のうち6回がドル安(円高)です。最大は2022年11月10日の−4.37円で、物価のピーク越えがはっきりし「利上げのペースが落ちる」との見方が一気に広がりました。この日のドル円は5営業日後には−5.70円まで下げています。ドル高に傾いていた相場ほど、減速の数字が出たときの巻き戻しが大きくなりやすいといえます。
ほかの材料が重なった日もある
2016年12月15日は前日にFRBが利上げを決めており、2024年7月11日は日本が為替介入をした日(財務省の公表による)です。日々のデータではCPIだけの影響を切り分けられない点に注意してください。
10月14日の米CPIでドル円はどうなる?3つのシナリオ
クリーブランド連銀が毎日更新している物価の予測(Inflation Nowcasting、10月9日時点)では、9月分は次のとおりです。
原油高で総合は上がる一方、コアは横ばいという見立てです。過去のパターンを当てはめると、次の3つが考えられます。
| 結果 | 2022年以降の実績 | 見方 |
|---|---|---|
| 総合が加速・コアは横ばい以下クリーブランド連銀の予測どおり | ドル高10/12回 | 平均+0.30円。予想どおりなら織り込み済みで小動きになりやすい |
| 総合もコアも加速コア前年比2.5%以上など | ドル高9/14回 | 平均+0.36円。10月の利上げ観測が強まればドル高の材料 |
| 総合もコアも減速総合3.3%以下・コア2.3%以下など | ドル安18/24回 | 平均−0.83円。過去は最も大きく動いたパターン |
実績はCPI発表日のドル円の前営業日比(NY正午)。シナリオの数値の目安は筆者によるもの。
注意したいのは、過去の実績が「前月より上がったか下がったか」で分けたものだという点です。相場は市場予想との差に反応するので、総合が予想どおり3.6%前後なら、加速していても値動きは限られるかもしれません。報道によると、市場はコアの前月比が0.3%以上になるかを注目しており、そうなればFOMCでの追加利上げ観測が再び強まるとの見方があります。
一方で、ドル円は158円台と高い水準にあり、政府・日銀の為替介入への警戒も続いています。米国の長期金利の動きは米10年債利回り上昇はなぜ?、10月のドル円全体の傾向は2026年10月のドル円見通しでまとめています。
発表前後に取引するときの注意
発表直後の数分間は、FX会社の提示するスプレッド(売値と買値の差)が広がったり、注文が思った値段で約定しなかったりすることがあります。損切りの注文が想定より不利な値段で決まることもあるため、発表をまたいでポジションを持つ場合は、量を抑えておくのが基本です。
※シナリオは公開情報と過去データにもとづく筆者の整理で、将来の相場を予想・保証するものではありません。
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米CPIとドル円のよくある質問
Q. 米CPIの次の発表はいつですか?
A. 9月分は2026年10月14日(水)の米東部時間8時30分、日本時間21時30分に発表されます。10月分は11月10日(火)で、米国が冬時間になるため日本時間22時30分です。
Q. CPIの発表でドル円はどれくらい動きますか?
A. 2022年以降の56回では、発表日のドル円は前日から平均0.87円動きました。普段の日(平均0.68円)の約1.3倍で、1円以上動いた回が29%ありました。2026年の9回は平均0.45円と落ち着いています。
Q. CPIが上振れするとドル高・円安になりますか?
A. 2022年以降は、総合の前年比が前月より上がった26回のうち19回(73%)でドル高になりました。物価が高いとFRBの利上げ観測が強まり、日米の金利差が広がる見方が出るためです。ただし相場は市場予想との差に反応するため、予想どおりなら動きは小さくなりがちです。
Q. CPIが下振れしたら円高になりますか?
A. 2022年以降、総合の前年比が下がった30回のうち21回(70%)でドル安・円高になり、平均0.62円下げました。総合とコアがそろって下がった回は24回中18回がドル安で、平均0.83円と最も大きく動いています。
Q. 総合とコアはどちらが大事ですか?
A. FRBは一時的な要因を除いた基調を重視するため、市場ではコア(食品とエネルギーを除く)が注目されがちです。過去の集計では、総合だけが上がりコアが落ち着いていた回のドル高は平均0.30円と小幅でした。
Q. 発表をまたいでポジションを持っても大丈夫ですか?
A. 発表直後はスプレッドが広がったり、注文が想定と違う値段で約定したりすることがあります。損切り注文も不利な値段で決まることがあるため、発表をまたぐ場合は取引量を抑えるなど、損失の上限を決めておくことが大切です。
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出典・参考資料
- 米労働省(BLS):Consumer Price Index(9月分の発表予定)、CPI 2026年8月分、CPI過去リリース一覧(2002年6月〜2026年9月の発表日)、CPI発表予定
- セントルイス連銀 FRED:DEXJPUS(円ドル相場)、CPIAUCNS、CPILFENS
- クリーブランド連銀:Inflation Nowcasting(2026年10月9日更新)
- FRB:FOMC日程
内容は2026年10月10日時点の情報にもとづきます。CPI発表日のドル円の集計・分類は筆者によるもので、FREDの円ドル相場は日次(NY正午)のため、発表直後の瞬間的な値動きは含みません。市場の注目点は各種報道によります。アイキャッチ画像は自作です。
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