経済|スーパー・小売
マルエツ閉店はどこ?イオン系100店閉鎖の基準と過去11年の閉店数
「マルエツ」「カスミ」「いなげや」などを首都圏で営むイオン系のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)が、2026年10月9日の決算会見で2030年度までに約100店を閉める方針を示しました。どの店が閉まるのか、100店はどれくらいの規模なのか。会社の決算資料から、グループ760店の内訳と、過去11年に実際に閉めた店の数を調べました。
この記事の結論
- USMHは、2030年度までに約100店を閉める方針です。閉店する店の名前や時期は公表されていません(2026年10月10日時点)。井出武美社長は、店舗年齢が40〜50年の店や、店の状態、周辺の人口の動きをみて選ぶとし、エリアは「若干ルーラル(郊外)が多くなる見込み」と話しました。
- グループの店は2026年8月末で760店(マルエツ308・カスミ200・いなげや129・イオンフードスタイル123)。100店はその13.2%で、およそ7.6店に1店にあたります。
- 過去11年(2016〜2026年2月期)にUSMHが閉めた店は合計89店・年平均8.1店でした。今回の100店は、この11年分を上回る数です。2031年2月までの約4年半で割ると年22店前後になり、これまでの約2.7倍のペースです。
- 背景は物価高です。客数と買い上げ点数が計画に届かず、今期の営業利益の予想は100億円から10億円へ9割減、最終損益は80億円の赤字に修正されました。一方で3年間に50店ほどを新しく出す計画で、店の数の純減は50店規模になる見込みです。
イオン系スーパー100店閉店とは?発表の中身
USMHは、イオンの子会社で、首都圏のスーパーをまとめる持ち株会社です。2026年3月には、マックスバリュ関東・ダイエーの関東事業・イオンマーケット(ピーコックストア)を一つにした「イオンフードスタイル」が加わり、店の数は一気に760店まで増えました。今回の閉店方針は、この4社をあわせた2030年度までの「構造改革計画」の一部です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表 | 2026年10月9日、2027年2月期 第2四半期の決算会見(井出武美社長) |
| 閉店の規模 | 2030年度までに約100店(決算資料では「100店舗規模の見直し」) |
| 対象の会社 | マルエツ・カスミ・いなげや・イオンフードスタイル(ダイエー、マックスバリュ、ピーコックストアなど) |
| 選び方 | 店舗年齢が40〜50年の店、店の現状、人口動態などを加味 |
| エリア | 特定していないが、若干ルーラル(郊外)が多くなる見込み |
| 店名・時期 | 公表されていない |
| 新しい店 | 今後3年間で50店程度を出店する計画(純減は50店規模) |
| ねらい | 不採算店の見直しで年24億円の改善。全社平均の店舗年齢を12.1年から10.0年へ若返らせる |
USMH「2027年2月期 第2四半期決算説明資料」と、決算会見での井出社長の発言(流通ニュース・朝日新聞の報道)をもとに作成。
「100店がすぐ閉まる」わけではありません
100店は2030年度までに少しずつ進める方針で、今すぐまとめて閉店するという発表ではありません。また、閉店と並行して新しい店も出すため、グループの店の数がそのまま100店減るわけでもありません。
マルエツはどこが閉店する?会社別・エリア別の760店
結論から言うと、閉店する店の名前は、まだどこも公表されていません。マルエツが対象に含まれるかどうかも、現時点では会社から示されていません。SNSでは特定の店名やブランドを挙げる投稿もありますが、会社の発表で確認できるものではありません。
手がかりになるのは、グループ全体の店の内訳です。2026年8月末時点の店舗数は次のとおりです(10月9日時点も同じ)。
| 会社 | 店舗数 | 屋号別の内訳 |
|---|---|---|
| マルエツ | 308店 | マルエツ 222、マルエツ プチ 79、リンコス 7 |
| カスミ | 200店 | フードスクエア 90、フードマーケット 82、フードオフストッカー 17、ブランデ 5、その他 6 |
| いなげや | 129店 | いなげや 107、ina21 16、ブルーミングブルーミー 6 |
| イオンフードスタイル | 123店 | ダイエー 59、マックスバリュ 28、ピーコックストア 28、フードスタイル 8 |
| 合計 | 760店 | うち約100店(13.2%)を2030年度までに閉める方針 |
USMH「2027年2月期 第2四半期 決算参考資料」付録A(事業会社 店舗の状況)から作成。フードスタイルはダイエー3店・ピーコックストア5店から業態を変えた店です。
郊外の183店が「若干多め」の対象に
USMHは首都圏を3つのエリアに分けて店を管理しています。社長が「若干多くなる」と話したルーラル(郊外)は、東京23区・横浜・川崎と、その周りの通勤圏をのぞいた地域です。
| エリア | 範囲 | 店舗数 |
|---|---|---|
| ダウンタウン | 東京23区・横浜市・川崎市 | 285店(38%) |
| アーバン | 多摩東部・埼玉外環〜大宮・京葉〜東葛 | 292店(38%) |
| ルーラル(郊外) | 上記以外の首都圏 | 183店(24%) |
USMH「決算参考資料」の新店・閉店の状況(エリア別、2026年8月末)とエリア区分けから作成。
もう一つの基準である「店舗年齢40〜50年」は、1970年代後半から1980年代半ばに開いた店にあたります。グループ全体の平均の店舗年齢は12.1年(2026年8月末)なので、40年を超える店はかなり古い部類です。ただし、会社は古い店の「建て替え・立地移動」も進めるとしており、古い店がすべて閉店になるとは限りません。
2026年に閉店したマルエツ・カスミの店一覧
100店とは別に、USMHは2026年3〜8月の半年だけで11店を閉め、11店を新しく開いています。このうちマルエツは5店で、行徳店(千葉県市川市)・みやぞの店(流山市)・上本郷店(松戸市)・柳崎店(埼玉県川口市)・ナリア武蔵浦和店(さいたま市)と、いずれも千葉・埼玉の店でした。
| 閉店日 | 店名 | 所在地 |
|---|---|---|
| 2026年3月29日 | フードスクエア イオンタウン木更津朝日店 | 千葉県木更津市 |
| 2026年4月26日 | マルエツ ナリア武蔵浦和店 | さいたま市 |
| 2026年5月6日 | フードスクエア ビバモール加須店 | 埼玉県加須市 |
| 2026年6月14日 | フードマーケット 龍ヶ岡店 | 茨城県龍ケ崎市 |
| 2026年6月21日 | マックスバリュエクスプレス大牧店 | さいたま市 |
| 2026年6月28日 | マックスバリュエクスプレス六郷土手駅前店 | 東京都大田区 |
| 2026年7月19日 | マルエツ 行徳店 | 千葉県市川市 |
| 2026年7月26日 | マルエツ みやぞの店 | 千葉県流山市 |
| 2026年8月23日 | マルエツ 上本郷店 | 千葉県松戸市 |
| 2026年8月30日 | マルエツ 柳崎店 | 埼玉県川口市 |
| 2026年8月30日 | FOOD OFFストッカー三郷店 | 埼玉県三郷市 |
USMH「2027年2月期 第2四半期 決算参考資料」付録B(新店・閉店明細)から作成。
決算資料には「下期も店舗閉鎖を予定」と書かれています。今後閉まる店は、それぞれの店頭の掲示や、各社の公式サイトの店舗情報で告知されるのが一般的です。
100店閉店はどれくらい多い?過去11年の閉店数と比較
USMHが毎年発表している決算参考資料から、2016年2月期以降の11年分について、1年間に開いた店と閉めた店の数を集めました。
| 決算期 | 新店 | 閉店 | 期末の店舗数 |
|---|---|---|---|
| 2016年2月期 | 30店 | 15店 | 494店 |
| 2017年2月期 | 22店 | 13店 | 503店 |
| 2018年2月期 | 15店 | 7店 | 511店 |
| 2019年2月期 | 13店 | 8店 | 516店 |
| 2020年2月期 | 10店 | 7店 | 519店 |
| 2021年2月期 | 9店 | 10店 | 518店 |
| 2022年2月期 | 8店 | 5店 | 521店 |
| 2023年2月期 | 15店 | 7店 | 529店 |
| 2024年2月期 | 5店 | 5店 | 529店 |
| 2025年2月期いなげや(128店)が加わる | 8店 | 5店 | 660店 |
| 2026年2月期 | 12店 | 7店 | 665店 |
| 11年の合計 | 147店 | 89店 | - |
| 今後の計画2031年2月までの約4年半と仮定 | 3年で約50店 | 年22店前後 | - |
USMH 各年の「決算参考資料」の店舗数(マルエツ・カスミ・マックスバリュ関東、2025年2月期以降はいなげやを含む)から集計。決算期は前年3月〜その年の2月。棒の長さは年22店を100%として表示。
11年間で最も多く閉めたのは2016年2月期の15店で、ここ数年は年5〜7店にとどまっていました。100店という数は、11年分の閉店(89店)をまとめても上回る規模です。
ただし、グループの店は2024年11月のいなげや合流と2026年3月のイオンフードスタイル発足で、約520店から760店に増えています。店の数に対する割合で比べると、過去11年は1年に店の1.5%を閉めていたのに対し、今後は2.9%前後になる計算です。規模が大きくなった分を差し引いても、閉店のペースはおよそ2倍に上がります。
なぜ閉店する?物価高で営業利益が9割減
井出社長は会見で、インフレが「想定以上に厳しく」、閉める店の数を積み上げたと説明しました。決算資料からも、その苦しさが読み取れます。
| 2027年2月期 | 4月の予想 | 10月の修正後 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 11,332億円 | 10,968億円 |
| 営業利益 | 100億円 | 10億円 |
| 経常利益 | 96億円 | 8億円 |
| 当期純利益 | 1.5億円 | △80億円 |
USMH「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年10月9日)から作成。△は赤字。
修正の理由として会社は、客数と買い上げ点数が計画を下回ったことと、物価上昇や競争の激化で値下げなどの価格対応を強めたことを挙げています。2026年3〜8月の半年は営業損益が32.8億円の赤字で、売上は新会社の分で14%増えたものの、人件費や販促費、改装費がそれ以上に増えました。さらに、業績悪化に伴う店の減損や、来年度以降の閉店に備えた損失を見込み、最終損益は80億円の赤字になる見通しです。
閉店を含むコスト改革で年80億円の改善をめざす
| 取り組み | 効果額(2030年度) |
|---|---|
| 不採算店舗の見直し(100店舗規模) | 24億円 |
| 不採算事業の見直し(ネットスーパー拠点の集約など) | 18億円 |
| 物流の効率化・共同化 | 14億円 |
| その他コスト(店舗・本部) | 24億円 |
| 合計 | 80億円 |
USMH「2027年2月期 第2四半期決算説明資料」(2030年度までの構造改革計画・コスト構造改革)から作成。
閉店だけで見込む効果は24億円です。ネットスーパーの拠点も2025年度の150か所から107か所に集約しており、こうした不採算事業の見直しで18億円を見込んでいます。浮いたお金は、都心の300坪型の店や、総菜・生鮮を広げた新しい店づくりに回す計画です。
近くのマルエツ・カスミが閉店したらどうなる?
閉店の対象になった店は、公表されしだい店頭の掲示や各社の公式サイトで知らせるのが通常です。今の時点で確かに言えるのは次の3点です。
今わかっていること
・どの店が閉まるかは未公表。発表された「100店」は2030年度までの目安です。
・閉店と同時に、3年で50店ほどの新しい店を開く計画があり、近くに同じグループの店ができる場合もあります。
・会社は郊外で古い店を閉める一方、都心では小型店(マルエツ プチなど)を増やす方向です。
買い物の備え
よく使う店が古い建物の郊外店なら、近くにある同じグループの店や、ほかのスーパーを一度確認しておくと安心です。ポイントカードや電子マネーの残高、ネットスーパーの配達エリアなどの扱いは店ごとに案内されるため、閉店のお知らせが出たら内容を確認しましょう。
身近な店の撤退では、トイザらス撤退はなぜ?も話題になりました。物価高の影響は、食品の内容量を減らす実質値上げにも表れています(シャウエッセン実質値上げ)。
マルエツ・イオン系スーパー閉店のよくある質問
Q. マルエツはどこの店が閉店しますか?
A. 2026年10月10日時点で、閉店する店の名前は公表されていません。USMHは2030年度までに約100店を閉める方針を示し、店舗年齢40〜50年の店や人口動態などをみて選ぶとしています。マルエツが対象に含まれるかどうかも、会社からは示されていません。
Q. マルエツは全部なくなりますか?
A. なくなりません。グループの760店のうち約100店を見直す方針で、マルエツは308店あります。2026年もマルエツ プチなど5店を新しく開いており、今後3年間で50店ほどを出店する計画もあります。
Q. いなげやも閉店の対象ですか?
A. 閉店方針はマルエツ・カスミ・いなげや・イオンフードスタイル(ダイエー、マックスバリュ、ピーコックストアなど)のグループ全体が対象です。どの会社の店が何店閉まるかは公表されていません。
Q. いつ閉店しますか?
A. 2030年度までに段階的に進める方針で、具体的な時期は未公表です。決算資料では2026年度の下期にも店舗閉鎖を予定しているとしています。
Q. なぜ100店も閉店するのですか?
A. 物価高で客数や買い上げ点数が計画に届かず、値下げなどの価格対応も重なって利益が大きく減ったためです。今期の営業利益の予想は100億円から10億円に下方修正され、最終損益は80億円の赤字の見通しです。古い店や採算の悪い店を閉め、新しい店づくりに投資を振り向けるとしています。
Q. 100店閉店は過去と比べて多いですか?
A. 多いです。USMHが過去11年(2016〜2026年2月期)に閉めた店は合計89店、年平均8.1店でした。100店を2031年2月までの約4年半で閉めるとすると、年22店前後で、これまでの約2.7倍のペースになります。
あわせて読みたい
出典・参考資料
- USMH:2027年2月期 第2四半期決算説明資料(2026年10月9日。2030年度までの構造改革計画)
- USMH:2027年2月期 第2四半期 決算参考資料(店舗の状況・新店・閉店明細)
- USMH:通期連結業績予想の修正に関するお知らせ(2026年10月9日)
- USMH:決算短信・決算説明資料(2016年2月期〜2026年2月期の各決算参考資料「店舗数」)
- 流通ニュース:U.S.M.H/30年までに100店舗閉鎖、コスト構造改革で80億円の効果見込む(井出社長の会見発言)
- 朝日新聞「イオン系食品スーパー、100店閉店へ インフレの逆風『想定以上』」(2026年10月9日)
内容は2026年10月10日時点の情報にもとづきます。過去11年の閉店数の集計、1年あたりのペースと割合の計算は筆者によるもので、今後のペースは100店を2026年9月〜2031年2月の約4年半で閉めると仮定した目安です。アイキャッチ画像は自作です。


コメント