FX・ドル円見通し
2026年10月のドル円見通し|5年連続円安の10月を53年分で検証
ドル円は9月25日に一時159円台まで上がったあと、片山財務相が「日米首脳会談でトランプ大統領から円安への懸念が示された」と明かして反落し、週末は157円台前半で終えました。10月は、米雇用統計・米CPI、そしてFOMCと日銀会合が同じ週に並ぶ月です。さらに10月のドル円は2021年から5年連続で円安になっています。FRBが公表している1973年以降の正午レートで10月を53回ぶん数え、この「10月は円安」が本当か、今年も当てはまりそうかを確かめました。
この記事の結論
- 2000〜2025年の26回の10月で、ドル円が月間で上がった(円安になった)のは17回。12か月の中で最も多く、2021〜2025年は5年連続です。
- ただし1973〜1999年の10月は13勝14敗で、むしろ円高の月でした。53年の通算では30勝23敗とほぼ五分五分です。「10月は円安」は2000年以降の傾向にすぎません。
- 10月は、ふだんの値幅は12か月で11番目と小さいのに、月間の変化率の大きさ(平均)は2番目に大きい月です。1998年10月の−14.7%は、変動相場制に移った1973年以降の636か月で最大の円高でした。
- 9月が円高で終わった年の10月は、円安が26回中12回(46%)に下がります。2026年の9月は、8月末の約160円から円高方向に動いています。
- 2026年10月の山場は、10月2日の米雇用統計、14日の米CPI、そして29日未明のFOMC→29日夜の米GDP→30日の日銀会合(展望レポート)と財務省の介入額公表が48時間に集まる月末です。この記事の見立ては154〜160円のレンジを中心に、160円を超えると介入への警戒が強まる、というものです。
9月のドル円:160円から反落し、157円台で10月へ
9月のドル円は、月初の160円台から一気に円高へ振れ、9日には153円台半ばまで下がりました。日米の財務当局が円安をけん制し、日銀の利上げが近いとの見方が強まったためです。その後、9月16日にFRBが3年ぶりの利上げ(政策金利3.75〜4.00%)、18日に日銀が1.25%への利上げを決め、日米がそろって利上げする中で、ドル円は再び159円台まで戻しました。
流れが変わったのは9月25日です。片山財務相が記者会見で、22日の日米首脳会談でトランプ大統領から円安への懸念が示されたと明かしました。同じ日に城内経済財政相も「アベノミクス的な意味でのリフレ政策の局面は終わっている」と述べ、「高市政権は円安を容認している」という見方に修正を迫りました。ドル円は25日の海外時間に一時156.93円まで下がっています。
財務省の公表では、2026年の円買い介入は4月30日〜5月6日の3日間で11兆7,348億円、7月30日からの1か月で15兆3,993億円、合計27兆1,341億円です。7月29日に163円86銭(FRB正午レート)まで上がった円安は、この介入で止まりました。介入の効果については為替介入15兆円で過去最大なのに円安?で詳しく書いています。
※9月の値はFRBのH.10(ニューヨーク正午レート、9月18日まで)とYahoo Financeの1時間足。
10月は円安の月?53年分の10月を全部数えた
FRBは、1971年からのドル円の日次レート(ニューヨーク正午)を公開しています。変動相場制に移った1973年から2025年まで、各月の最終営業日のレートを前の月と比べ、上がった(円安)か下がった(円高)かを数えました。
2000年以降の26年に限ると、10月の円安は17回で、12か月の中でいちばん多くなりました。下のグラフは月ごとの勝敗(円安になった回数)です。
月ごとの「円安になった回数」(2000〜2025年の26回)
前月の最終営業日から、その月の最終営業日までのFRB正午レートの変化。上がった回を「勝ち」=円安として数えた。
ところが、1973〜1999年の10月は13勝14敗で、逆に円高に傾いていました。1977年・1978年・1987年・1988年・1990年・1998年と、5%を超える円高が6回もあります。53年を通すと30勝23敗で、偶然の範囲と区別がつきません。
2000年以降の17勝9敗も、コインを26回投げて17回表が出る程度の偏りです(それ以上の偏りが偶然に出る確率は約8%)。直近5年の円安は、2022年の日米金利差の拡大、2024年の米大統領選、2025年の自民党総裁選と、毎年別の理由で起きています。「10月だから円安」ではなく、その年の10月に何が起きるかを見るべきです。10年分の月別の勝率はドル円が上がりやすい月はどこ?で集計しています。
2026年に関係しそうなのは、9月の向きです。1973年以降、9月が円安で終わった年の10月は27回中18回(67%)が円安でしたが、9月が円高で終わった年は26回中12回(46%)にとどまります。2026年の9月は、8月末の約160円から157円台へ円高方向に動いており、このまま月末を迎えると「円安の10月」の追い風は弱い側に入ります。
10月はふだん静かで、当たると大きい
10月のもう一つの顔は「振れ幅」です。月の中の最高値と最安値の差(値幅)の中央値は、12か月で11番目と小さい月です。ところが、月間の変化率の大きさの平均では2番目に大きくなります。ふだんは静かで、たまに極端な年がある、ということです。
- 1998年10月2日で12円の円高。53年で最大の円高月(−14.7%)FRB正午レートで10月6日の131.15円が、8日には118.85円に。9月末の136.59円から10月9日の117.00円まで、7営業日で約20円動きました。ヘッジファンドが円を借りて運用する「円キャリートレード」の巻き戻しが一気に起きたとされています。
- 2008年10月リーマン・ショック後の円高(−7.2%)9月末の105.94円から10月24日には92.64円へ。世界的な株安の中で、円が買われました。
- 2011年10月31日史上最高値圏での円売り介入8兆722億円10月28日の75.72円(FRB正午レート)という円の最高値圏で、財務省が1日で8兆722億円の円売り介入を実施し、31日の正午レートは77.97円まで戻りました。
- 2022年10月21日151円台で円買い介入5兆6,202億円32年ぶりの151円台に達した夜に介入が入り、正午レートは前日の149.82円から146.35円へ。24日にも7,296億円の介入がありました。
- 2024年10月1か月で10円の円安(+6.4%)9月末の142円台から、10月末には153円台へ。強い米雇用統計と米大統領選をにらんだドル買いが続きました。
財務省の記録(1991年以降)で10月に介入があったのは1994年・2003年・2011年・2022年の4年です。とくに2011年と2022年は、それぞれ円売り・円買いの両方向で歴史に残る規模でした。10月は「介入の月」とまでは言えませんが、節目の水準に来た年は大きく動いてきた月です。
過去10年の10月:値幅は平均4.9円、直近3年は7.3円
2016〜2025年の10月を、月の高値・安値まで含めて並べました。直近3年は値幅が大きく、2022年・2024年・2025年はいずれも7円を超えています。
| 年 | 9月末→10月末 | 10月の変化 | 高値・安値 | 値幅 | 主な材料 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2016年 | 101.20円→104.57円 | +3.37円 | 105.50円(28日)/101.21円(3日) | 4.28円 | 米利上げ観測の再燃 |
| 2017年 | 112.47円→113.00円 | +0.53円 | 114.44円(27日)/111.65円(16日) | 2.78円 | — |
| 2018年 | 113.36円→113.05円 | -0.31円 | 114.51円(4日)/111.39円(26日) | 3.13円 | — |
| 2019年 | 107.94円→108.79円 | +0.85円 | 109.04円(29日)/106.51円(3日) | 2.54円 | — |
| 2020年 | 105.66円→104.55円 | -1.11円 | 106.11円(7日)/104.03円(29日) | 2.08円 | 米大統領選を前に小動き |
| 2021年 | 111.94円→113.62円 | +1.68円 | 114.68円(20日)/110.84円(4日) | 3.84円 | — |
| 2022年 | 144.43円→147.81円 | +3.38円 | 151.94円(21日)/143.56円(5日) | 8.38円 | 10/21に円買い介入(5.6兆円) |
| 2023年 | 149.34円→149.11円 | -0.23円 | 151.53円(31日)/148.19円(10日) | 3.34円 | — |
| 2024年 | 142.78円→153.20円 | +10.42円 | 153.87円(28日)/143.02円(1日) | 10.85円 | 強い米雇用統計・米大統領選 |
| 2025年 | 148.60円→153.90円 | +5.30円 | 154.44円(30日)/146.61円(1日) | 7.83円 | 自民党総裁選で高市氏が勝利 |
10年のうち円安は7回で、円高の3回(2018年・2020年・2023年)はいずれも1円前後の小さな下げでした。一方で、2024年・2025年はどちらも月初の1日が安値で、そこから月末にかけてほぼ一方向に円安が進んでいます。
※Yahoo Financeの日足(ロンドン時間の区切り)。月末値はFRB正午レートとは数十銭ずれることがあります。
2026年10月のイベントカレンダー(日本時間)
10月の米国はまだ夏時間なので、米国の経済指標は日本時間の21時30分に出ます(米国の夏時間は11月1日まで)。
| 日付 | イベント | ドル円への意味 |
|---|---|---|
| 9月30日(水)21:30/19:00 | 米PCE(8月分)/財務省の介入額公表(8月27日〜9月28日) | 9月前半の円高に介入があったかが分かる |
| 10月1日(木)8:50 | 日銀短観(9月調査)/9月会合の「主な意見」 | 追加利上げに前向きな意見が多ければ円高材料 |
| 10月2日(金)21:30 | 米雇用統計(9月分) | 強ければFRBの10月追加利上げ観測→ドル高 |
| 10月12日(月) | 日本はスポーツの日、米国はコロンブス・デー | 日米同時の祝日。為替は取引できるが参加者が少ない |
| 10月14日(水)21:30 | 米CPI(9月分) | 利上げ後もインフレが続くかの答え合わせ |
| 10月29日(木)3:00 | FOMCの結果発表(27〜28日開催) | 9月に続く連続利上げか、様子見か |
| 10月29日(木)21:30 | 米GDP速報値(7〜9月期) | FOMCの約18時間後。景気の強さを確認 |
| 10月30日(金)昼ごろ | 日銀会合の結果・展望レポート(29〜30日開催) | 9月に続く利上げなら円高材料。15時30分から総裁会見 |
| 10月30日(金)19:00 | 財務省の介入額公表(9月29日〜10月28日) | 10月に介入があったかが分かる |
| 11月3日(火) | 米中間選挙 | 10月末は選挙前のポジション調整が重なる |
とくに月末は、29日未明のFOMC、29日夜の米GDP、30日昼の日銀会合と夜の介入額公表が、約40時間の間に並びます。9月のFOMC(16日)と日銀会合(18日)の間は2日ありましたが、10月はほぼ連続です。どのイベントでドル円が最も動いてきたかはFOMC・雇用統計・日銀、ドル円が最も動くのはどれ?で実測しています。
なお、米国の予算は、9月1日に米下院が12月11日までのつなぎ予算案を賛成多数で可決し、中間選挙前の政府閉鎖は避けられる見通しと報じられています(時事通信)。2025年は10月1日から政府閉鎖が起き、雇用統計などの発表が止まりましたが、今年はその心配が小さくなっています。
※日程は日本銀行・FRB・米労働統計局・米経済分析局・財務省の公表予定(2026年9月26日時点)。変更されることがあります。
2026年10月のシナリオ:154〜160円が中心
ここまでのデータと日程から、10月のドル円を3つの筋書きに分けました。どれになるかは、主に「FRBと日銀のどちらが10月に動くか」で決まります。
- メイン154〜160円のレンジ米指標がほどほどで、FRBも日銀も10月は様子見、または両方が動いて金利差が変わらない場合。160円に近づくと、25日に明かされたトランプ大統領の懸念や、7月の介入(163円台)の記憶から、上値が重くなりやすい水準です。下は、9月9日の153円台が一つの目安になります。
- 円安160円を超えて162〜163円をうかがう10月2日の雇用統計や14日のCPIが強く、FRBの10月連続利上げが現実味を帯び、日銀は据え置く場合。ただし2026年は、160円を超えた局面で2回(4月29日の160.23円の翌日、7月29日の163.86円の翌日)介入が入っており、160円を超えるほど介入への警戒が強まります。
- 円高150〜153円へ米指標が弱くFRBが様子見に回る一方、日銀が10月30日の展望レポート回で連続利上げに踏み切る場合。2026年の最安値は2月12日の152.64円(FRB正午レート)で、ここを下回ると円高が加速する可能性があります。
過去10年の10月の値幅は平均4.9円、直近3年は7.3円でした。157円台から上下5円の幅は、10月としては珍しくありません。レバレッジをかけて取引するなら、5円逆に動いても耐えられる証拠金を置いておくのが目安になります。入金額と追証の関係はFXの入金はいくら必要?で計算しています。
10月末は、米中間選挙を控えたポジション調整の時期とも重なります。1974年以降13回の中間選挙の前後でドル円がどう動いたかは米中間選挙でドル円はどう動く?で全部数えています。
※シナリオは公開情報と過去データにもとづく筆者の見立てで、将来の相場を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
よくある質問
Q. 2026年10月のドル円はどうなりそうですか?
A. この記事では154〜160円のレンジを中心に見ています。10月2日の米雇用統計・14日の米CPIが強くFRBが10月も利上げし、日銀が据え置けば160円超、逆に日銀が10月30日に連続利上げすれば150〜153円への円高もありえます。160円を超えると、政府・日銀の介入への警戒が強まります。
Q. 10月は円安になりやすいのですか?
A. 2000〜2025年の10月は17勝9敗で円安が12か月で最も多く、2021〜2025年は5年連続で円安でした。ただし1973〜1999年は13勝14敗で円高寄りで、53年通算ではほぼ五分五分です。統計的に強い傾向とはいえません。
Q. 10月に為替介入があったことはありますか?
A. あります。財務省の記録では1994年・2003年・2011年・2022年の10月に介入がありました。2011年10月31日には1日で8兆722億円の円売り介入、2022年10月21日には5兆6,202億円の円買い介入が行われています。
Q. 10月で一番注意すべき日はいつですか?
A. 10月29日(木)〜30日(金)です。29日午前3時にFOMCの結果、同日21時30分に米GDP速報値、30日昼に日銀会合の結果と展望レポート、19時に財務省の介入額公表が続きます。月初では10月2日21時30分の米雇用統計、中旬では14日21時30分の米CPIが山場です。
Q. 9月が円高だと10月はどうなりやすいですか?
A. 1973年以降、9月が円高で終わった年の10月に円安になったのは26回中12回(46%)で、9月が円安で終わった年の27回中18回(67%)より少なくなっています。2026年の9月は約160円から157円台へ円高方向に動いています。
Q. 10月12日のスポーツの日はFXの取引ができますか?
A. できます。日本はスポーツの日、米国はコロンブス・デーで日米同時の祝日ですが、為替市場は開いていて、国内のFX会社も通常どおり取引できます。参加者が少なくスプレッドが広がることがある点には注意してください。
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出典・参考資料
- FRB:H.10 Historical Rates for the Japanese Yen(1971年〜のニューヨーク正午レート)
- 財務省:外国為替平衡操作の実施状況(介入実績と公表予定)
- 日本銀行:金融政策決定会合の開催日程/公表予定
- FRB:FOMC開催日程/米労働統計局:2026年10月の公表日程/米経済分析局:公表日程
- 報道:時事通信「城内経財相『リフレ局面、終わった』」、日本経済新聞「『トランプ氏が円安懸念』日米首脳会談で 片山財務相が明かす」(いずれも2026年9月25日)
- 市場データ:Yahoo Finance(ドル円 JPY=X の日足・1時間足)
本記事は2026年9月26日時点の公開情報と市場データにもとづく解説で、特定の取引を勧めるものではありません。月ごとの勝敗は月末値どうしの比較で、月中の値動きとは異なります。
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