新米2026はなぜ安い?
5kg3,003円で古米より安い「逆転」の正体
農林水産省が9月11日に公表した全国スーパーのコメ平均価格は、8月31日〜9月6日の週で5kg 3,003円。前週より109円下がり、前年の同じ週(4,155円)より1,152円・27.7%安い水準です。3,100円を割り込むのは104週ぶり。しかも店頭では「今年の新米のほうが去年の古米より安い」という逆転現象が起きています。理由は在庫・増産・需要減の三つが同時に重なったこと。この記事では農水省の週次データを2025年と並べて、なぜ安いのか、いつまで下がるのかを整理します。
この記事でわかること
- スーパーのコメ5kg平均は3,003円(8/31〜9/6)。銘柄米3,023円・ブレンド米2,900円で、2月の4,204円から1,200円下がった
- 去年の同じ週は4,155円。去年は新米が出て値上がりしたのに、今年は新米が出て値下がりしている
- 安い理由は①民間在庫が7月末162万トンで過去最多 ②2025年産が747万トンと68万トン増産 ③高値で消費者がコメ離れ
- JA全農にいがたの2026年産コシヒカリ概算金は60kg 1万8,500円(前年比約4割安)。5kg換算の玄米原価は約1,540円
- 下げ止まり要因は政府備蓄米の9月中の買い戻し。買うなら「新米」表示のルールを知っておくと得
農水省の週次データで見る「新米が出たら安くなった」
農水省は全国約1,000店舗のスーパーのPOSデータから、コメ5kgあたりの平均販売価格を毎週公表しています。最新の8月31日〜9月6日の週は3,003円(税込)。8月3日の週から4週連続の値下がりで、3,000円割れが目前です。
(8/31〜9/6)−27.7%前年同週比
(4,155円→3,003円)104週ぶり3,100円を下回った+32.0%販売数量の前年同週比
(安くなって売れている)
直近5週の推移
| 週 | 全平均(5kg・税込) | 前週比 |
|---|---|---|
| 8/3〜8/9 | 3,220円 | +22円 |
| 8/10〜8/16 | 3,191円 | −29円 |
| 8/17〜8/23 | 3,156円 | −35円 |
| 8/24〜8/30 | 3,112円 | −44円 |
| 8/31〜9/6 | 3,003円 | −109円 |
下げ幅が週を追うごとに大きくなっているのがポイントです。9月に入って各地の新米が本格的に並び始め、新米が「安い側」の価格を引っ張っていることがわかります。銘柄米(販売量の84%)は3,023円、ブレンド米など(16%)は2,900円で、ブレンド米は約1年1か月ぶりの3,000円割れです。
【速報】コメ平均販売価格2年ぶり3100円を下回る 3003円/5kg(前週比−109円) 農水省https://t.co/9c2nldRb07
— テレ朝NEWS (@tv_asahi_news) September 11, 2026
2025年と月ごとに並べると「逆転」がはっきり見える
同じ農水省データから、各月の第1週の価格を2025年と2026年で並べました。2月時点では今年のほうが高かったのに、3月に逆転し、9月には差が1,152円まで広がっています。
| 月(第1週) | 2025年 | 2026年 | 差(前年比) |
|---|---|---|---|
| 2月 | 3,829円 | 4,204円 | +375円(+9.8%) |
| 3月 | 4,077円 | 4,013円 | −64円(−1.6%) |
| 4月 | 4,214円 | 3,873円 | −341円(−8.1%) |
| 5月 | 4,268円 | 3,742円 | −526円(−12.3%) |
| 6月 | 4,176円 | 3,644円 | −532円(−12.7%) |
| 7月 | 3,589円 | 3,403円 | −186円(−5.2%) |
| 8月 | 3,737円 | 3,220円 | −517円(−13.8%) |
| 9月 | 4,155円 | 3,003円 | −1,152円(−27.7%) |
2025年の動きを見ると、6〜7月に随意契約の政府備蓄米が出回って一時3,500円台まで下がったあと、9月に新米が出ると4,155円へ跳ね上がり、その後は4,000円超で高止まりしました(11月には4,416円の最高値)。ところが2026年は1月以降ずっと下落基調で、新米シーズンに入ってさらに下がるという、去年と正反対の形になっています。
5kgあたり1,152円の差は、月に10kg(5kg×2袋)を買う家庭なら月2,304円、年間で約2万7,600円の違いになります。去年の秋に感じた「米が高い」はこの分だけ軽くなった計算です。
新米2026が安い3つの理由
理由① 民間在庫が過去最多——7月末162万トン
農水省の調査では、2026年6月末の民間在庫は243万トンで、前年6月末(155万トン)より88万トン多い水準でした。7月末でも162万トンと、この時期としては過去最多です。去年の高値でコメを仕入れた卸や小売は、新米が出る前に古米を売り切らなければならず、値下げしてでも在庫を減らす動きが広がりました。
理由② 2025年産が68万トン増産、2026年産も豊作見込み
2025年産の主食用米などの生産量は747万トンで、2024年産(679万トン)から68万トン増えました。高値を受けて農家が作付けを増やした結果です。さらに2026年産も増産が見込まれ、「売れ残った2025年産の在庫」と「2026年産の増産」が重なるダブル過剰が指摘されています。政府備蓄米の2026年産買い入れ(20万7,521トン)は入札4回で予定量に達し、これは2011年以降で最も少ない回数でした。コメ余りで売り手が急いだためです。
理由③ 高値で消費者が離れた
農水省のデータでは、価格が下がった今年2月以降は販売数量が増加基調で、直近の週は前年同週比で32.0%増。逆に言えば、去年4,000円超のときは買い控えが起きていたということです。コメの需要は人口減少と食生活の変化で年10万トンほど減る傾向が続いており、高値がそれを加速させました。
JA全農にいがたは2026年産の一般コシヒカリの概算金(JAが農家に支払う前払い金)を玄米60kgあたり1万8,500円と決めました。2025年産の当初と比べて約40%の値下がりで、全農は「過去に例がない下落率」としています。60kgで1万8,500円は、5kg換算で約1,540円。ここに精米・袋詰め・輸送・小売のマージンが乗って店頭価格になります。新米が2,000円台で売れるのはこの原価水準があるからです。
「古米より新米が安い」逆転現象は何が起きているのか
通常、新米は古米より高く売られます。ところが今年は各地で逆転が起きています。新潟県長岡市の米穀店では、店頭に残る2025年産の「こしいぶき」が5kg 3,500円なのに対し、2026年産の新米は3,000円と、すべての品種で500円ほど安い設定です。店側は「高く仕入れた古米を損してでも安く売り、在庫を減らして新米の販売に力を入れたい」と話しています。
報道では「新米のほうが3割安い」「2,000円を切る店もある」といった例も伝えられました。仕入れ値が高かった古米は値下げの余地が小さく、仕入れ値が4割下がった新米は最初から安く出せる——仕入れ時期の差がそのまま店頭価格の逆転になっているわけです。
袋に「新米」と表示できるのは、農産物規格規程(玄米及び精米に関する表示)で収穫した年の12月31日までに精米・包装されたものに限られます。年が明けると同じ2026年産でも「新米」とは書けません。安く並んでいるのが本当に2026年産かは、袋の「産年」と「精米年月日」で確認できます。
いつまで下がる?下げ止まりの要因と続落の要因
「新米が出そろう10月にかけてさらに下がる」という見方と、「政府の買い戻しで下げ止まる」という見方が同時にあります。材料を整理します。
| さらに下がる要因 | 下げ止まる要因 |
|---|---|
| 2026年産の新米が9〜10月に本格出荷。主産地の新潟・東北産が並ぶと平均価格を押し下げる | 政府備蓄米の買い戻し。農水省は2025年に放出した備蓄米について、在庫が積み上がる2025年産を中心に9月中に買い戻す方針(NHK 8月27日) |
| 民間在庫162万トン(7月末・過去最多)の処分売りが続く | 概算金4割安で農家の手取りが急減。作付けを減らす動きが出れば来年以降の供給は絞られる |
| 日本経済新聞は6月時点で「新米5kgの店頭価格が3,000円を下回る可能性」を指摘。実際に3,003円まで来た | 卸の相対取引価格(2025年産7月分)は60kg 3万2,486円と前年比21%高のまま。高値在庫の評価損が出尽くすまで小売が値下げを渋る可能性 |
週次データの下げ幅は8月末から拡大しており、次の公表(9月7日〜13日の週)で3,000円を割り込む可能性が高いと見られます。一方で、備蓄米の買い戻しが実施されれば市場から古米が引き上げられるため、2,000円台のどこかで下げ足が鈍るというのが自然なシナリオです。去年のように「9月に上がる」展開は、在庫の量から考えにくい状況です。
よくある質問
Q. 2026年の新米はいくらで買えますか?
A. 農水省調査の全国スーパー平均は8月31日〜9月6日の週で5kg 3,003円(税込)です。銘柄米は3,023円、ブレンド米などは2,900円で、店によっては新米5kgが2,000円台前半で並んでいます。
Q. 新米2026はなぜ安いのですか?
A. ①民間在庫が7月末162万トンと過去最多、②2025年産が747万トンと前年比68万トン増産で2026年産も増産見込み、③去年の高値で消費者がコメ離れした、の3つが重なったためです。産地の概算金も前年比約4割下がっています。
Q. 古米より新米が安いのは本当ですか?
A. 本当です。新潟県長岡市の米穀店では2025年産こしいぶきが5kg 3,500円、2026年産の新米が3,000円と500円安く設定されています。高く仕入れた古米を損してでも処分し、新米の販売に切り替えたい店側の事情によるものです。
Q. コメの値段はいつまで下がりますか?
A. 新米が本格的に出そろう9〜10月は下押し圧力が続き、週次データは4週連続で下落中です。ただし農水省が9月中に2025年産中心の備蓄米買い戻しを予定しており、これが実施されると下げ止まり要因になります。
Q. 去年の同じ時期はいくらでしたか?
A. 2025年9月1日〜7日の週は5kg 4,155円でした。今年の3,003円は1,152円(27.7%)安い水準です。去年は新米が出て値上がりし、11月には4,416円の最高値をつけました。
Q. 「新米」と表示できる条件は何ですか?
A. 農産物規格規程により、収穫した年の12月31日までに精米・包装されたものに限って「新米」と表示できます。年をまたぐと同じ2026年産でも新米とは表示できないため、袋の産年と精米年月日を確認すると確実です。


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