さんまが高いのはなぜ?
2026年は分布量が6割減
水産研究・教育機構が2026年7月28日に公表した長期漁海況予報によると、日本の漁場へ来るサンマの分布量は42.9万トン。前年の109.9万トンから61.0%減で、調査を始めた2003年以降で最も低い水準です。しかも魚体は小型化。2025年が前年比1.67倍の回復年だっただけに、一転しての厳しい予報になりました。45年ぶんの水揚げデータとあわせて、なぜ高いのかを整理します。
この記事でわかること
- 2026年の来遊量は昨年を下回る見通し。経度180度以西の分布量は42.9万トン(前年の39%)
- これは調査開始の2003年以降で最低の水準(比較できない2020年を除く)
- 魚体も小さく、1歳魚の体重は100g台〜110g台が中心。8〜9月は90g台〜100g台
- 全国の水揚げは2008年の34万3,225トンから2022年の1万7,910トンへ、19分の1まで落ちた
- 2025年は6万4,738トンと前年比1.67倍まで戻していたが、それでもピークの18.9%にすぎない
2026年のサンマ予報——「昨年を下回る」「小型化する」
サンマの漁模様は、毎年7月末に水産研究・教育機構が発表する長期漁海況予報でおおよその見当がつきます。2026年度の予報のポイントは3つでした。
- 来遊量は昨年の水準を下回る——日本の漁場に来る魚の量そのものが減ります
- 魚体が小さい——漁獲の主役になる1歳魚の体重は100g台〜110g台が中心。8〜9月は90g台〜100g台が主体で、10月以降にようやく110g台〜130g台になります
- 漁場が遠い——8〜9月の漁場は北海道からウルップ島の東方沖、東経152度〜168度の公海が中心。10月でも東経160度以西の公海が中心です
この調査は水産庁の委託で2003年から毎年6〜7月に行われているもので、表層トロール網を使ってサンマの分布量を直接推定します。2026年は5月28日から7月12日にかけて93調査点で実施され、採集されたサンマは41,578個体(前年は136調査点で51,608個体)でした。
予報は、経度180度以西の分布量42.9万トンについて「調査を開始した2003年以降24年間のうち、比較可能な推定ができなかった2020年を除いて最も低い値」と明記しています。不漁が常態化した2019年以降の数年と比べても、さらに低いということです。
45年の水揚げデータが示す「19分の1」
全国さんま棒受網漁業協同組合が公表している1981年以降の水揚量を並べると、この魚に起きたことの大きさが見えてきます。
| 年 | 水揚量 | 2008年ピーク比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1990年 | 310,592トン | 90.5% | 30万トン台が当たり前だった時代 |
| 2008年 | 343,225トン | 100.0% | 統計上の最多 |
| 2015年 | 112,264トン | 32.7% | 10万トン台へ |
| 2019年 | 40,517トン | 11.8% | 「記録的不漁」が話題に |
| 2022年 | 17,910トン | 5.2% | 統計上の最少 |
| 2023年 | 24,433トン | 7.1% | 底打ち |
| 2024年 | 38,695トン | 11.3% | 回復へ |
| 2025年 | 64,738トン | 18.9% | 前年比1.67倍 |
※全国さんま棒受網漁業協同組合「さんまの水揚量(年)」より当ブログが作成。
ピークの2008年(34万3,225トン)から最少の2022年(1万7,910トン)まで、94.8%の減少=19分の1。1981年から2010年までの30年平均が24万1,834トンだったのに対し、直近10年(2016〜2025年)の平均は5万4,084トンと、4分の1以下になっています。
2025年は6万4,738トンと前年の1.67倍に回復し、店頭でも「今年はサンマが安い」と感じた人が多かったはずです。ところがそれでもピークの18.9%にすぎません。そして2026年は、その回復のあとに最低水準の予報が出た形になります。
なぜ獲れなくなったのか——3つの要因
- 要因1資源量そのものが減っているサンマは寿命2年という短命な魚で、資源量の年変動がもともと大きい種です。そこへ長期的な減少傾向が重なりました。分布量の直接推定調査でも、2003年の開始以来もっとも低い水準が2026年に記録されています。
- 要因2分布が沖へ、北へ動いた2026年の予報でも、8〜9月の漁場は東経152度〜168度の公海とされています。日本の近海ではなく、はるか沖合まで行かないと魚群に出会えません。燃料費と航海日数がかさむぶん、同じ量を獲っても原価が上がる構造です。海水温の上昇で、サンマが好む冷たい水の帯が北へ押し上げられていることが背景にあります。
- 要因3公海での国際的な漁獲競争日本のEEZの外側にあたる北太平洋の公海では、複数の国・地域の漁船が操業しています。2015年に発足した北太平洋漁業委員会(NPFC)が漁獲上限の設定などの管理を導入してきましたが、資源の回復には時間がかかります。
「小さい」ことが価格に効く
2026年の予報でとくに重いのが魚体の小型化です。1歳魚の体重は100g台〜110g台が中心で、8〜9月は90g台〜100g台が主体。かつて店頭に並んだ150g級の「特大」は、走りの時期にはほとんど期待できません。
水揚量が同じでも、1尾あたりが軽ければ尾数は増えても「太ったサンマ」の割合は減ります。結果として、脂の乗った大型は数が限られ、そこに値段が集中する——近年の店頭で「大きいものだけ極端に高い」と感じるのは、この構造によるものです。
よくある質問
Q. 2026年のサンマは不漁ですか?
A. 予報では厳しい見通しです。水産研究・教育機構が2026年7月28日に公表した長期漁海況予報では、来遊量は昨年の水準を下回るとされ、経度180度以西の分布量は42.9万トンと前年の109.9万トンから61.0%減少しました。これは調査を開始した2003年以降でもっとも低い水準です。
Q. なぜサンマは高いのですか?
A. 水揚げの絶対量が減っていることに加え、漁場が公海まで遠くなって燃料費と航海日数がかさむこと、さらに魚体が小型化して大型の割合が減っていることが重なっています。2026年の予報では1歳魚の体重が100g台〜110g台中心とされ、脂の乗った大型は数が限られます。
Q. どれくらい獲れなくなったのですか?
A. 全国さんま棒受網漁業協同組合の統計では、最多だった2008年の34万3,225トンに対し、最少の2022年は1万7,910トン。94.8%減、19分の1です。1981〜2010年の30年平均24万1,834トンに対し、直近10年の平均は5万4,084トンと4分の1以下になっています。
Q. 2025年は安かった気がしますが?
A. 2025年の水揚げは6万4,738トンで前年比1.67倍と回復しました。実際、産地の単価も前年を下回っています。ただしそれでもピークだった2008年の18.9%にすぎず、「高止まりのなかでの一時的な戻り」という位置づけでした。2026年は一転して最低水準の予報が出ています。
Q. 大きいサンマはいつ出回りますか?
A. 予報によれば、1歳魚の体重は8〜9月が90g台〜100g台、10月以降に110g台〜130g台が主体になります。脂の乗りを重視するなら、走りの8〜9月より10月以降のほうが期待できる年ということになります。
Q. サンマの漁獲は管理されているのですか?
A. されています。日本のEEZ内は漁獲可能量(TAC)制度の対象で、その外側の北太平洋の公海については、2015年に発足した北太平洋漁業委員会(NPFC)が2019年以降、漁獲上限の設定を含む規制を導入してきました。ただし寿命2年という魚の性質もあり、資源の回復には時間がかかります。


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