2027年4月 消費税減税
食料品の消費税1%はいつから?
対象品目と年5万7000円の試算を解説
2026年8月5日の閣議決定で、飲食料品の消費税を2027年4月1日から2年間だけ8%→1%に下げる方針が固まりました。二人以上の世帯なら年およそ5万7000円の減税です。ただし公式統計で検算すると、この減税は食料の値上がりおよそ22か月分しか埋めません。減税期間は24か月です。
この記事でわかること
- 実施は2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間。1989年の導入以来はじめての減税
- 1%になるのは軽減税率の対象と同じ飲食料品。酒類と外食は10%、新聞は8%のまま
- その結果、1%・8%・10%の3つの税率が同時に走る
- 0%ではなく1%なのは、レジのシステムが「税率0%」を扱えないため
- 当ブログ試算で二人以上の世帯は年5万7000円、単身世帯は年3万円の負担減
- 減税幅6.48%は、直近の食料の値上がりペースだと約22か月分にあたる
- 2年後の2029年4月には1%→8%。価格は一気に6.9%押し上げられる計算
食料品の消費税1%はいつから?2027年4月1日から2年間
政府は2026年8月5日の臨時閣議で、飲食料品の消費税率を2027年4月1日から2年間に限り、現在の8%から1%に引き下げる基本方針を決定しました。物価高対策の柱と位置づけられています。
1989年に税率3%で消費税が導入されてから、税率が下がるのはこれが初めてです。過去は3%→5%→8%→10%と上がる一方でした。

決定から施行までのスケジュール
- 2026年8月5日臨時閣議で基本方針を決定飲食料品を2年間1%とし、残る1%相当は現金給付で「実質ゼロ」にする方針が固まった。
- 2026年9月税制改正大綱の取りまとめ対象品目の線引きや経過措置の詳細を詰める段階。ここで実務の細部が決まる。
- 2026年秋臨時国会に関連法案を提出国会で可決されて初めて確定する。現時点ではまだ法律になっていない。
- 2027年4月1日飲食料品が1%に事業者はそれまでにレジ・受発注・会計システムの改修を終える必要がある。
- 2029年4月1日8%に戻る高市首相は「2年間の減税が終了した後は、現行の8%の軽減税率に戻す」と国会で答弁している。
対象になるもの・ならないもの。3つの税率が同時に走る
1%になるのはいまの軽減税率(8%)の対象になっている飲食料品です。線引きは新しく作られるわけではなく、2019年から続く軽減税率のルールがそのまま使われます。
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| 税率 | 対象 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1% | 軽減税率の対象となる飲食料品 | スーパー・コンビニの食品、飲料、テイクアウト、出前、宅配 |
| 8% | 定期購読契約の新聞(週2回以上発行) | 新聞の購読料。軽減税率の対象だが今回の引き下げからは外れる |
| 10% | 酒類、外食、標準税率のもの | ビール・日本酒、レストランでの食事、店内飲食、日用品全般 |
ここで注意したいのが新聞です。新聞は現在8%の軽減税率が適用されていますが、閣議決定された方針で1%に下げると明記されたのは飲食料品だけ。新聞は8%に据え置かれる見通しです。その結果、2027年4月からは1%・8%・10%という3つの税率が同時に存在することになります。
さらにややこしいのが返品・値引きの扱いです。消費税法では、返品や値引きは元の取引に適用された税率で処理します。つまり2027年3月に8%で売った食品が4月に返品されれば、その処理は8%のまま。施行直後は、帳簿の上で1%と8%の飲食料品が混在します。事業者の区分経理が一段と複雑になるのはこのためです。
同じ食べ物でも「どこで食べるか」で変わる
軽減税率の線引きは、何を買ったかではなくどこで・どのように食べるかで決まります。このルールは1%になってもそのままです。
- ハンバーガーを持ち帰る→1%/店内で食べる→10%
- コンビニ弁当を持ち帰る→1%/イートインで食べる→10%
- ピザの宅配→1%/ケータリング(出張調理)→10%
- みりん風調味料(アルコール1%未満)→1%/本みりん(酒類)→10%
税率の差はこれまでの2ポイント(8%と10%)から、9ポイント(1%と10%)へ広がります。店内か持ち帰りかで支払額が大きく変わるため、レジでの確認はより重要になります。
なぜ0%ではなく1%なのか。理由はレジのシステム
もともと掲げられていたのは「食料品の消費税ゼロ」でした。それが1%になった理由は、政治的な妥協というよりレジの技術的な制約です。
レジシステムを扱う事業者への取材報道によると、税率を0%に設定するとシステム上「税率0%」という区分が存在しないため、数字そのものが消えてしまうといいます。たとえば野菜と酒を同時に買った場合、野菜を0%にするとシステムが判別できず、野菜まで酒と同じ10%で計算されてしまう恐れがあるということです。
レジ事業者は取材に対し、0%に対応するにはシステム改修におよそ6か月、その後のテストと検証に3〜6か月かかり、合計で1年ほど必要になると答えています。一方で1%なら既存の設定値を書き換えるだけで済むケースが多く、報道では最大5〜6か月とされています。2027年4月という期限から逆算すると、0%は物理的に間に合わないという判断です。
残る1%分は「給付」で実質ゼロにする設計
政府は、1%に残った税負担に相当する分を中低所得の現役勤労者向けの現金給付で戻し、「実質ゼロ化」を実現するとしています。報道によれば、この給付は2027年6月以降、所得に応じて支払われる見通しです。
この2年間の減税はあくまでつなぎの措置という位置づけです。2029年度に「所得に連動したきめ細かな給付」制度を本格導入するまでの橋渡しとされており、そのタイミングで税率は8%に戻す設計になっています。
1世帯でいくら安くなる?公式統計から試算した
実際にいくら負担が減るのかを、公的統計だけを使って計算しました。使ったのは次の2つです。
- 総務省「家計調査」2025年平均の食料費(1世帯あたり月平均額)
- 総務省「消費者物価指数」2025年基準のウエイト(食料に占める酒類・外食の割合)
手順1:食料費のうち、減税対象はどれだけか
家計調査の「食料」には酒類と外食も含まれています。これらは減税対象外なので、まず取り除く必要があります。消費者物価指数のウエイト(万分比)を使うと、次のようになります。
消費者物価指数のウエイトは、食料が2754、うち酒類が111、外食が508。差し引いた2135が減税対象にあたる飲食料品です。食料全体に占める割合は77.5%。つまり家計の食費のうち、およそ4分の3強だけが1%になります。
手順2:8%から1%で、税込価格は6.48%下がる
税抜100円の食品は、8%なら108円、1%なら101円。税込価格の下落率は7÷108=6.481%です。「7%分安くなる」と語られがちですが、税込価格で見た値下がり幅は6.48%が正確な数字になります。
手順3:世帯別の減税額
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| 世帯の区分 | 食料費(月) | 減税額(月) | 減税額(年) |
|---|---|---|---|
| 二人以上の世帯 | 94,895円 | 約4,770円 | 約5万7200円 |
| 総世帯(平均) | 77,394円 | 約3,890円 | 約4万6700円 |
| 単身世帯 | 49,321円 | 約2,480円 | 約2万9700円 |
※食料費は総務省「家計調査」2025年平均の月平均額。うち77.5%を減税対象とみなし、6.481%を乗じて算出した当ブログの試算です。テイクアウトの扱いなど、統計上の分類と税制上の分類は完全には一致しません。
残る1%分も給付で戻るなら、二人以上の世帯が対象の飲食料品に払っている消費税は年約6万5400円。これが丸ごと戻る計算になります。ただし給付は中低所得の現役勤労者が対象とされており、全世帯が受け取れるわけではありません。給付の対象から外れる世帯にとっては、減税分の年5万7200円が実際の恩恵ということになります。
「お得感は1か月で相殺」は本当か。値上がり何か月分かを検算した
報道では、大阪のスーパーの担当者が「初めの1か月ぐらいはお得感が出ると思うが、毎月のように値上げになっているので……」と語っています。では実際、減税分は何か月分の値上がりで消えるのでしょうか。消費者物価指数で計算しました。

総務省の消費者物価指数(2026年7月分・全国)によると、食料の前年同月比は+3.5%。この上昇ペースが続くと仮定して、減税幅6.481%が何か月分の値上がりに相当するかを品目別に出しました。
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| 品目 | 前年同月比 | 減税は値上がり何か月分か |
|---|---|---|
| 食料(全体) | +3.5% | 約22か月分 |
| 生鮮食品を除く食料 | +3.0% | 約26か月分 |
| 調理食品 | +3.5% | 約22か月分 |
| 乳卵類 | +3.5% | 約22か月分 |
| 肉類 | +3.9% | 約20か月分 |
| 飲料 | +5.5% | 約14か月分 |
| 菓子類 | +6.1% | 約13か月分 |
| 野菜・海藻 | +6.5% | 約12か月分 |
| 生鮮魚介 | +12.4% | 約6か月分 |
| 穀類 | −2.2% | 下落中のため相殺されない |
※総務省「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年7月分」の前年同月比をもとに、6.481%÷上昇率で算出した当ブログの試算。
食料全体で見れば、減税分が値上がりに食われるまでおよそ22か月=1年10か月かかります。「1か月で相殺」は体感としての表現で、金額の計算とは違います。
ただし、ここからが問題です。減税の期間は24か月(2年間)。つまり減税が終わるより前に、値上がりが減税分を食い尽くすことになります。年3.5%のペースが続くなら、2年間の値上がりは+7.1%。減税の−6.48%と差し引きすると、2029年3月の食料価格は減税前とほぼ同じ水準(+0.2%)に戻る計算です。
そして2029年4月には6.9%の反動が来る
もうひとつ見落とされがちなのが、減税が終わるときの跳ね上がりです。1%から8%に戻ると、税込価格は108÷101=+6.93%押し上げられます。値上がりが続いた末に、そこへ6.9%が一度に乗る形になります。
値下がり幅
減税を消すまで
期間
反動
りそな総合研究所の研究員は報道で、2年後の引き上げについて「消費者からすると増税と変わらない」「見合った所得の増加がない限り、消費の減少は避けられない」と指摘しています。2027年4月より、むしろ2029年4月のほうが家計には重いという見方です。
この減税で注意しておきたい3つのこと
1. 「8%分ぴったり下がる」とは限らない
高市首相自身が国会で「価格設定は事業者がするものですから、8%分ぴったり下がるとは考えておりません」と述べています。原材料費や人件費の上昇が続いているため、減税分を値下げに回さず、値上げの見送りという形で吸収する企業も出てくると見られます。税率が下がっても、店頭価格がその分下がる保証はありません。
2. 外食は10%のまま。外食離れが起きる可能性
スーパーで買って家で食べれば1%、店で食べれば10%。差は9ポイントです。外食産業からは客離れへの懸念が出ており、対策としてテイクアウト商品の拡充を検討する店も出ています。同じ料理でも、持ち帰るかどうかで支払額が1割近く変わる点は覚えておくとよいでしょう。
3. まだ法律ではない
2026年9月時点で決まっているのは閣議決定された基本方針までです。関連法案は秋の臨時国会に提出される予定で、成立して初めて確定します。対象品目の細かい線引きや経過措置の詳細も、これから決まる部分が残っています。
よくある質問
Q. 食料品の消費税1%はいつからいつまで?
A. 2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間です。2026年8月5日の閣議決定による方針で、関連法案は2026年秋の臨時国会に提出される予定です。法案が成立して初めて確定するため、現時点では確定した制度ではありません。
Q. お酒や外食も1%になる?
A. なりません。酒類と外食は10%のままです。対象は現在の軽減税率(8%)が適用されている飲食料品で、テイクアウトや出前は含まれますが、店内飲食は含まれません。また新聞は軽減税率の対象でありながら、今回の方針では引き下げの対象に入っておらず、8%に据え置かれる見通しです。
Q. なぜ「ゼロ」ではなく「1%」なのですか?
A. レジシステムの制約です。多くのレジは「税率0%」という区分を想定しておらず、0%にすると数字が消えたり、ほかの税率と混同されたりする恐れがあります。報道によれば0%対応には改修と検証で約1年かかる一方、1%なら最大5〜6か月。2027年4月という期限に間に合わせるための現実的な選択とされています。
Q. 1世帯あたりいくら安くなりますか?
A. 当ブログの試算では、二人以上の世帯で年およそ5万7000円、単身世帯で年およそ3万円です。総務省「家計調査」2025年平均の食料費(二人以上の世帯で月94,895円)のうち、酒類・外食を除いた77.5%が対象とみて、税込価格の下落率6.481%を掛けて算出しています。
Q. 2年後に8%へ戻ると、どのくらい上がりますか?
A. 税込価格で約6.9%の上昇です(108÷101=1.0693)。2027年4月の値下がり幅6.48%より大きくなるのは、1%の価格を基準に計算するためです。2029年4月には、それまでの値上がりに加えてこの反動が乗ることになります。
まとめ
- 飲食料品の消費税は2027年4月1日から2年間だけ8%→1%。1989年の導入以来、初めての減税
- 対象はいまの軽減税率と同じ飲食料品。酒類・外食は10%、新聞は8%のままで、3つの税率が並ぶ
- 0%でなく1%なのは、レジが「税率0%」を扱えず、改修に約1年かかるため
- 減税額は当ブログ試算で二人以上の世帯が年約5万7200円、単身世帯が年約2万9700円
- 減税幅6.48%は、食料の値上がり約22か月分。減税期間24か月のほうが長い
- 2029年4月の反動は+6.93%。家計にとっては2027年より2029年のほうが重い
次の節目は、2026年秋の臨時国会です。法案が通れば対象品目と経過措置の細部も確定します。動きがあり次第、この記事に追記していきます。
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参考・出典
- 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年7月分」
- 総務省統計局「家計調査報告(二人以上の世帯)」(2025年平均の結果を使用)
- 国税庁「消費税の軽減税率制度について」
- 時事ドットコム「消費減税方針を閣議決定 食品1%、来年4月から2年間」(2026年8月5日)
- 日本経済新聞「食品消費税27年4月から1%、政府が午後決定へ」
- 関西テレビ「食料品消費税『1%』に落とし穴?」(レジの制約と首相・専門家の発言)
※世帯別の減税額と「値上がり何か月分か」は、上記の公的統計をもとにした当ブログの試算です。制度は法案成立前のため、今後変更される可能性があります。

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