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日米同時利上げなら円高?金利差2.75%が動かない9月会合の焦点

2026 9/13
FX
2026年9月13日
日米同時利上げと金利差2.75%を示すアイキャッチ画像

※アフィリエイト広告を利用しています

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  • FOMC 9月15〜16日
  • 日銀 9月17〜18日
  • 米利上げ観測 9割弱

米労働省が9月11日に発表した8月の消費者物価指数(CPI)で、コア指数の前月比が市場予想を上回る伸びとなりました。これを受けて市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)が9月15〜16日のFOMCで利上げに踏み切るとの予想が9割近くまで高まっています。実現すれば2023年7月以来、実に3年1か月半ぶりの利上げです。

そしてその翌日、9月17〜18日には日本銀行の金融政策決定会合が開かれます。こちらも利上げ観測が出ており、日米の中央銀行が同じ週に、そろって利上げするという異例の展開が現実味を帯びてきました。

この記事では、FRBと日銀の政策金利変更の全履歴を自分で集計し、「同時利上げ」が為替にとって何を意味するのかを数字で整理します。結論を先に言えば、両方が0.25%ずつ上げると、日米の金利差は2.75%のまま1ミリも動きません。

目次

まず事実確認:9月に何が決まるのか

今週の日程を整理します。FOMCの開催日はFRB公式サイトの2026年カレンダー、日銀の開催日は日本銀行の「金融政策決定会合の運営」ページで確認できる一次情報です。

会合 開催日 現在の政策金利 市場の見方
FOMC(米国) 9月15日(火)〜16日(水) 3.50〜3.75% 利上げ予想が9割弱
日銀 金融政策決定会合 9月17日(木)〜18日(金) 1.00%程度 1.25%への利上げ観測

9月のFOMCは「SEP(経済見通しサマリー)」が公表される回にあたります。いわゆるドットチャート、つまり参加者一人ひとりが考える将来の金利水準が示される回で、単なる金利の上げ下げ以上に情報量が多い会合です。日銀の結果発表は18日(金)で、同日午後には総裁の定例記者会見が予定されています。

利上げ観測の引き金になった米8月CPI

きっかけは9月11日に発表された8月の消費者物価指数です。米労働統計局(BLS)の公表データを自分で取得して計算すると、数字はこうなります。

指標 前月比 前年同月比 市場予想(前月比)
コアCPI(食品・エネルギー除く) +0.29% +2.45% +0.2%
総合CPI +0.32% +3.40% —
計算方法:BLSの季節調整済み系列(コア)と原系列(総合)の指数値から筆者が前月比・前年比を算出。2026年8月のコア指数337.765、7月336.789から前月比+0.29%。総合は2026年8月334.980、2025年8月323.976から前年比+3.40%。

注目したいのは、コアの前年比は2.45%と、実は落ち着いて見える点です。にもかかわらず市場が利上げに傾いたのは、前月比という「足元の勢い」が予想を上回ったからです。年率に直すと0.29%の12か月分は約3.5%。この勢いが続けば2%目標には戻らない、という計算が効いています。

市場の反応は金利に出ています。米2年国債利回りは8月26日の4.19%から9月10日には4.56%へ、わずか2週間で0.37ポイント上昇しました。政策金利の上限3.75%を0.8ポイントも上回る水準で、これは1回の利上げでは説明がつきません。

市場の受け止めは、予測市場の織り込み確率にも表れています。

Polymarket Japan @polymarketjapan・2026年9月11日【速報】米CPIの結果を受けて、9月FOMCでの利上げ確率が81%に上昇/結果は概ね予想通り。瞬間的にドル円は買われたものの、その後下落。FOMCで0.25%利上げを8割超織り込んでいる。Xで元の投稿を見る
補足:この投稿はFOMCを「16〜17日」としていますが、FRBの公式カレンダー上の9月会合は15日〜16日です。なお報道ベースの織り込みは9割弱で、予測市場の81%とは集計元が異なります。

集計①:米利上げは「3年1か月半ぶり」という重み

FRBの政策金利(FF金利の誘導目標上限)の変更履歴を、セントルイス連銀のデータベースから全期間ダウンロードして変更点だけを抜き出しました。直近の動きはこうなっています。

日付 変更 方向 位置づけ
2023年7月27日 5.25%→5.50% 利上げ これが最後の利上げ
2024年9月19日 5.50%→5.00% 利下げ 利下げ局面の開始
2024年11月8日 5.00%→4.75% 利下げ —
2024年12月19日 4.75%→4.50% 利下げ いったん打ち止め
2025年9月18日 4.50%→4.25% 利下げ 2度目の利下げ局面
2025年10月30日 4.25%→4.00% 利下げ —
2025年12月11日 4.00%→3.75% 利下げ 直近の利下げ
2026年9月16日(予想) 3.75%→4.00% 利上げ 1,147日ぶりの利上げ

2023年7月27日から2026年9月16日までは1,147日あります。ここで利上げがあれば、3年1か月半ぶりの方向転換ということになります。

金利市場の反応は、長期金利にもはっきり出ています。

日本経済新聞 電子版 @nikkei・2026年9月12日やまぬ米長期金利の上昇、一時4.99% CPI高止まりで米利上げ確実視Xで元の投稿を見る
補足:米10年国債利回りはセントルイス連銀のデータでも9月10日に4.95%と、8月末の4.79%から0.16ポイント上昇しています。

集計②:日米が同じ方向を向くのは2024年3月以来はじめて

ここからがこの記事の本題です。日銀が2024年3月にマイナス金利を解除してから今日まで、日米の中央銀行はどう動いてきたのか。日本銀行の「金融市場調節方針の変更について」の公表文を1本ずつ確認し、FRBの変更履歴と並べてみました。

日付 日銀 FRB
2024年3月19日 マイナス金利解除(0〜0.1%) 据え置き
2024年7月31日 0.25%へ利上げ 据え置き
2024年9〜12月 据え置き 3回の利下げ(5.5%→4.5%)
2025年1月24日 0.5%へ利上げ 据え置き
2025年9〜12月 据え置き 3回の利下げ(4.5%→3.75%)
2025年12月19日 0.75%へ利上げ (12月11日に利下げ)
2026年6月16日 1.0%へ利上げ 据え置き
2026年9月(予想) 1.25%へ利上げ 4.0%へ利上げ

数えてみるとこうなる

2024年3月以降、日銀は5回すべて利上げ、FRBは6回すべて利下げ。合計11回の政策変更で、両者の方向が一致したことは一度もありません。とくに2025年12月は、11日にFRBが利下げし、その8日後の19日に日銀が利上げするという、真逆の動きが同じ月に起きています。今回が実現すれば、2年半ぶりに日米が同じ方向を向くことになります。

集計③:金利差2.75%は「動かない」

為替を考えるうえで最も重要なのがここです。日米の政策金利差を時系列で並べます。

時点 米(上限) 日本 金利差
2024年3月(解除直後) 5.50% 0.10% 5.40ポイント
2025年1月 4.50% 0.50% 4.00ポイント
2026年6月 3.75% 1.00% 2.75ポイント
現在(9月13日) 3.75% 1.00% 2.75ポイント
同時利上げ後(予想) 4.00% 1.25% 2.75ポイント
5.40pt2024年3月の金利差
2.75pt現在の金利差
±0.00pt同時利上げによる変化

金利差は2年半で5.40ポイントから2.75ポイントへ、ほぼ半分になりました。そして今週両方が0.25%ずつ上げても、金利差は2.75ポイントのまま変わりません。「日米とも利上げ」という一見大きなニュースは、金利差という物差しで見るとゼロなのです。

ではドル円は動かないのか。答えは「すでに動いている」です。

日付 ドル円 8月末からの変化
2026年8月31日 159円73銭 —
2026年9月3日 156円01銭 3円72銭の円高
2026年9月9日 153円27銭 6円46銭の円高
2026年9月11日 154円04銭 5円69銭の円高
出典:欧州中央銀行の参照為替レート(frankfurter.dev経由で取得)。日次の終値ベース。

2週間弱で5円を超える円高です。金利差の水準が変わらないのに為替が動いた——ここに為替相場の本質があります。市場が反応しているのは金利差の「水準」ではなく「これからどちらに向かうか」という期待です。米国が利下げを続けるという前提が崩れ、日銀が利上げペースを上げるという見方が強まった。差の絶対値ではなく、差が縮む速さの見通しが変わったから円高が進んだわけです。

過去の答え合わせ:1998年と2025年はそっくりだった

「利下げしたばかりなのに、すぐ利上げに転じる」というのは珍しい動きです。過去にどれくらいあったのか、FRBの誘導目標データから「最後の利下げ→次の利上げ」の間隔をすべて計算しました。1990年以降は6回です。

最後の利下げ 次の利上げ 間隔 背景
1992年9月4日 1994年2月4日 17.0か月 景気回復の確認後
1996年1月31日 1997年3月25日 13.8か月 —
1998年11月17日 1999年6月30日 7.4か月 予防的利下げの巻き戻し
2003年6月25日 2004年6月30日 12.2か月 —
2008年10月29日 2015年12月16日 85.5か月 金融危機後のゼロ金利
2020年3月16日 2022年3月17日 24.0か月 コロナ後のインフレ
2025年12月11日 2026年9月16日(予想) 9.2か月 今回

今回の9.2か月(279日)は、1990年以降で2番目に速い方向転換にあたります。最短は1998年から1999年にかけてのケースでした。

1998年の3回と2025年の3回

この1998〜1999年のケースが、今回と驚くほど似ています。並べてみます。

項目 1998〜1999年 2025〜2026年
利下げの回数 3回 3回
利下げ幅の合計 0.75%(5.50→4.75) 0.75%(4.50→3.75)
利下げの期間 9月〜11月 9月〜12月
利下げの性格 予防的(金融不安への保険) 予防的(景気減速への保険)
その後 翌年6月から3回利上げし完全に巻き戻し 今週、巻き戻しが始まるか

1998年の3回の利下げは、翌1999年に6月30日・8月24日・11月16日の3回の利上げで、きれいに元の5.50%まで戻されました。「保険として下げた分は、必要なくなったら返す」という中央銀行の行動様式が、そのまま現れた事例です。

ではその年、ドル円はどうなったか

ここが今回いちばん重要な参考データです。FRBが利上げを再開した1999年、ドル円は次のように動きました。

120.86円1999年6月30日(利上げ再開日)
102.26円1999年12月30日
-18.60円半年で15.4%の円高

米国が3回も利上げした半年間で、ドル円は18円60銭、率にして15.4%の円高が進みました。しかも当時の日銀はゼロ金利政策の真っ最中で、日米の金利差は開く一方だったのに円高になったのです。

ここから読み取れること

金利差が開いても円高になることがあり、金利差が変わらなくても為替は大きく動きます。1999年に円高を進めたのは、金利差ではなく日本経済の回復期待と資本の流れでした。「利上げ=その国の通貨が買われる」という単純な図式は、現実には何度も裏切られています。

今週の3つのシナリオとドル円の読み方

ここまでの数字を踏まえて、今週の会合で起こりうる展開を整理します。

シナリオ 金利差 ドル円への影響
両方が利上げ
(本命)
2.75pt
(変化なし)
すでに織り込み済み。焦点はFOMCのドットチャートが「今後も続く」と示すか、日銀総裁が次回への含みを持たせるか。文言次第で上下どちらにも振れる
米だけ利上げ、
日銀は据え置き
3.00pt
(拡大)
金利差が広がり円安方向。ただし日銀の据え置きが「次回利上げの地ならし」と読まれれば円安は限定的
米は据え置き、
日銀は利上げ
2.50pt
(縮小)
最も円高が進みやすい組み合わせ。利上げ織り込みが9割弱まで進んでいるだけに、見送りの反動は大きい

いずれのシナリオでも、値動きの主役は「決定そのもの」ではなく「次に何をするかの示唆」になります。9月のFOMCはドットチャートが出る回ですから、2026年末・2027年の金利見通しが上方修正されるかどうかが最大の見どころです。日銀側は、18日午後の総裁会見で「1.25%の次」に言及があるかに注目が集まります。

為替の水準は数時間で変わります。この記事の数値は2026年9月13日時点で公的機関のデータから取得したものです。取引の判断はご自身の責任でお願いします。

日米同時利上げに関するよくある質問

Q. 日米が同じ週に利上げするのは初めてですか?

A. 少なくとも日銀が2024年3月にマイナス金利を解除して以降、日米の政策金利が同じ方向に動いたことは一度もありません。それ以前は日本が長くゼロ金利・マイナス金利だったため、そもそも日銀が利上げする機会自体がほとんどありませんでした。「同じ週に、そろって利上げ」はきわめて珍しい組み合わせです。

Q. 両方が利上げすると円高と円安、どちらですか?

A. 0.25%ずつの利上げなら金利差は2.75ポイントのまま変わらないため、金利差だけを見れば中立です。実際には「この先どちらの利上げが続くか」という期待で動きます。すでに8月末から9月11日にかけて5円69銭の円高が進んでおり、相当部分は織り込まれていると考えられます。

Q. 米国の利上げは3年ぶりとのことですが、正確には?

A. FRBの最後の利上げは2023年7月27日(5.25%→5.50%)です。2026年9月16日に利上げがあれば1,147日ぶり、つまり3年1か月半ぶりの利上げとなります。

Q. なぜ利下げしたばかりなのに利上げするのですか?

A. 2025年9月から12月の3回の利下げは、景気減速に備えた「予防的」な性格が強いものでした。物価の上昇が収まらないことが確認されれば、保険として下げた分を戻すのが自然な判断になります。1998年にも同じ構図があり、3回の予防的利下げは翌1999年に3回の利上げで完全に巻き戻されました。

Q. 会合の結果はいつわかりますか?

A. FOMCの結果は日本時間9月17日(木)未明に発表され、直後にパウエル議長の記者会見があります。日銀は9月18日(金)の昼ごろに結果が公表され、午後に総裁の定例記者会見が行われます。ドル円が最も動きやすいのはこの2つの会見の時間帯です。

まとめ

  • 米8月CPIのコアが前月比+0.29%と予想を上回り、9月FOMC(15〜16日)での利上げ観測が9割弱に高まった。実現すれば2023年7月以来1,147日ぶり
  • 日銀の会合は17〜18日。1.0%から1.25%への利上げ観測があり、日米が同じ週にそろって利上げする可能性がある
  • 2024年3月以降の政策変更11回はすべて日米で方向が逆。今回実現すれば2年半ぶりに方向が一致する
  • 両方が0.25%ずつ上げても金利差は2.75ポイントのまま変わらない。それでもドル円は8月末から5円69銭の円高が進んでいる
  • 1998年の3回の予防的利下げは翌年3回の利上げで巻き戻され、その半年でドル円は18円60銭の円高になった。利上げが円安に直結するとは限らない

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