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坂本花織さん心臓手術を告白、不整脈とは?アブレーションと学校検診
フィギュアスケート女子でミラノ・コルティナ五輪銀メダルの坂本花織さんが、共同通信の取材に応じ、2017年7月に不整脈で心臓の手術(カテーテルアブレーション)を受けていたことを明かしました。平昌五輪シーズンが始まった時期で、現役中は公表していませんでした。不整脈とはどんな状態なのか、カテーテルアブレーションとはどんな治療なのか、健康診断で見つからないことはあるのか。国立循環器病研究センターや学会の資料、文部科学省の統計、ISU(国際スケート連盟)の公式記録で確かめました。
この記事の結論
- 坂本花織さんは共同通信の取材に、ジュニア時代の2016年に練習中の動悸が始まり、2017年5月に心電図で不整脈が判明、同年7月にカテーテルアブレーションの手術を受けて完治したと語りました。不整脈の種類(病名)は報道では明かされていません。
- ISUの公式記録で照合すると、手術の半年後の2018年1月に四大陸選手権で優勝、手術から約7か月後の平昌五輪で6位に入っています。その後、世界選手権で4回優勝し、2026年3月の世界選手権を最後に現役を終えました。
- カテーテルアブレーションは、足の付け根などの血管から心臓に細い管を入れ、高周波で不整脈の源を焼く治療です。国立循環器病研究センターは、成功すれば根本的に治るとする一方、合併症は0.5〜2%前後(心房細動では0.5〜5%)あると説明しています。
- 学校では小1・中1・高1の全員に心電図検査が行われています(学校保健安全法施行規則)。文部科学省の令和7年度の統計で「心電図異常」とされたのは高校1年で3.31%(約30人に1人)。ただし発作のときだけ出る不整脈は、検査の時にとらえられるとは限りません。

坂本花織さんは何を告白した?報道の内容を整理
デイリースポーツとDeep Edge Plusが配信した共同通信の記事によると、坂本さんは神戸市内で取材に応じ、平昌五輪シーズンが始まった2017年7月に不整脈で心臓の手術を受けていたことを明かしました。2026年3月の世界選手権で現役を終えるまで、この経験は公表を控えていたといいます。報道で確認できた内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| どこで・いつ | 神戸市内で共同通信の取材に応じた。Deep Edge Plus(共同通信)が10月23日、デイリースポーツが10月24日付で配信 |
| 症状の始まり | ジュニア時代の2016年、練習中に動悸が出始めた。心臓の鼓動が「ドクン、ドクン」ではなく「ドドドドドド」だったと表現 |
| 悪化のしかた | 最初はリンクのフェンスにもたれかかれば治まったが、頻度が月1回、2回、3回と増え、寝転んで脚を上げないと治まらないほどになった |
| 健康診断 | 異常は確認されなかった |
| 診断 | 2017年5月に心電図で不整脈が判明 |
| 治療 | 2017年7月、カテーテルで不整脈を起こす電気回路を遮断する「カテーテルアブレーション」の手術を受け、完治 |
| 現在 | コーチやプロスケーターとして活動。「今は何も問題はなく、超元気」 |
出典:デイリースポーツ「坂本花織さん 心臓手術の過去を告白」(2026年10月24日5時00分)、Deep Edge Plus「坂本花織さん、心臓手術を告白」(2026年10月23日)。いずれも共同通信の記事です。
坂本さんは、手術を経て大舞台に強い「強心臓」が生まれたと、明るい調子で振り返っています。報道では、引退するまで死の恐怖を感じた経験を公表していなかったとも伝えられました。
不整脈の「種類」は明かされていない
報道に書かれているのは「不整脈」と「カテーテルアブレーション」までで、WPW症候群や発作性上室頻拍、心房細動といった具体的な病名は出ていません。この記事でも坂本さんの病名や病状は推測せず、不整脈とアブレーションについては一般的な説明として紹介します。
手術から約7か月で平昌五輪へ|その後の成績をISU公式記録で照合【独自集計】
報道で語られた病気の経過と、ISU(国際スケート連盟)の公式記録にある大会の結果を、当サイトで一つの時系列に並べました。手術を受けた2017年7月は、翌年2月の平昌五輪に向かうシーズンが始まる時期でした。
- 2016年練習中に動悸が出始めるジュニア時代。最初はフェンスにもたれれば治まったが、だんだん頻度が増えた(報道)
- 2017年3月世界ジュニア選手権で3位台北で開催(ISU公式記録)
- 2017年5月心電図で不整脈が判明それまでの健康診断では異常は確認されていなかった(報道)
- 2017年7月カテーテルアブレーションの手術平昌五輪シーズンの始まりの時期。完治したという(報道)
- 2018年1月四大陸選手権で優勝台北で開催。手術から半年後(ISU公式記録)
- 2018年2月平昌五輪で6位女子フリーは2月23日。手術から約7か月後(ISU公式記録)
主な国際大会の順位(2016-17〜2025-26シーズン)
| シーズン | 大会 | 順位 |
|---|---|---|
| 2016-17 | 世界ジュニア選手権 | 3位 |
| 2017-18 | 四大陸選手権 | 優勝 |
| 2017-18 | 平昌五輪 | 6位 |
| 2018-19 | グランプリファイナル | 4位 |
| 2018-19 | 四大陸選手権 | 4位 |
| 2018-19 | 世界選手権(さいたま) | 5位 |
| 2019-20 | 四大陸選手権 | 5位 |
| 2020-21 | 世界選手権 | 6位 |
| 2021-22 | 北京五輪 | 3位(銅メダル)・団体銀 |
| 2021-22 | 世界選手権 | 優勝 |
| 2022-23 | 世界選手権 | 優勝 |
| 2023-24 | 世界選手権 | 優勝 |
| 2024-25 | 世界選手権 | 2位 |
| 2025-26 | ミラノ・コルティナ五輪 | 2位(銀メダル)・団体銀 |
| 2025-26 | 世界選手権 | 優勝(自己ベスト238.28点) |
出典:ISU 選手プロフィール(Kaori SAKAMOTO)、大会結果(2017世界ジュニア・2018四大陸・平昌五輪・2019世界選手権ほか)。団体の銀メダルはISUプロフィールの記載。2017-18シーズンの世界選手権には出場していません(2018年世界選手権の女子の結果に名前なし)。2019-20シーズンの世界選手権は開催されていません。
集計すると、手術のあと坂本さんは五輪に3回出場して6位・銅・銀、世界選手権には7回出場して表彰台5回、うち優勝4回でした。共同通信は世界選手権4度目の優勝を「日本勢最多」と伝えています。2026年の世界選手権のフリー158.97点・合計238.28点は、ISUの記録でいずれも自己ベストです。
不整脈とは?脈が速い・遅い・乱れる状態の総称
国立循環器病研究センターの解説「不整脈」によると、不整脈とは脈がゆっくり打つ、速く打つ、または不規則に打つ状態のことです。脈が1分間に50以下を徐脈、100以上を頻脈といいます。
不整脈には病気によるものと、そうでない生理的なものがあります。運動や精神的な興奮、発熱で脈が速くなるのはだれにでも起こる生理的な頻脈です。一方で、はっきりした理由がないのに突然、脈拍が120以上になる場合は病的な頻脈の可能性があり、動悸や息切れのほか、胸痛やめまい、失神が起こることもあるとされています。
主な不整脈の種類(国立循環器病研究センターの説明から)
| 種類 | どんな状態か | 主な対応 |
|---|---|---|
| 期外収縮 | 30歳を超えるとほぼ全員にみられる。脈が1拍欠けたように感じることがある | 症状がなく原因の病気もなければ、多くは治療不要 |
| 洞(機能)不全症候群・房室ブロック | 脈が遅くなる(徐脈)。ふらつきや失神の原因に | 症状があればペースメーカー |
| WPW症候群・発作性上室性頻拍 | 生まれつき余分な電気の通り道(副伝導路)があり、頻脈発作が起こる | 発作がつらい場合はカテーテルアブレーション |
| 心房細動・心房粗動 | 心房が細かく不規則に動く。脳梗塞の原因にもなる。70歳を超えると数〜10%の人に | 抗凝固療法が基本。薬やカテーテルアブレーション |
出典:国立循環器病研究センター「不整脈」(2023年9月22日更新)をもとに当サイトで要約。坂本さんがどの種類にあたるかは報道されていません。
「突然始まって突然止まる」動悸は受診のサイン
同センターは、WPW症候群の項で、治療が必要になる病的な動悸の例として「脈拍数が150以上で突然始まり、突然止まる動悸」や、まったく不規則に脈を打つ動悸を挙げています。坂本さんの表現した「ドドドドドド」という感覚が医学的にどの不整脈にあたるかは分かりませんが、運動していないのに急に脈が速くなる、横になるまで治まらないといった動悸が繰り返すときは、自己判断せず循環器内科などで相談することが大切です。
この記事は診断の代わりにはなりません
ここで紹介したのは国立循環器病研究センターの一般向けの説明です。動悸や失神がある場合は医療機関を受診し、治療中の人は自己判断で薬をやめたり変えたりしないでください。意識を失って倒れた人がいたら、迷わず119番とAEDの準備を。
カテーテルアブレーションとは?どんな手術で、リスクは
坂本さんが受けたカテーテルアブレーションについて、国立循環器病研究センターは次のように説明しています。
- どこから入れる?:通常、足の付け根やひじの血管に局所麻酔をして、そこから細い管(カテーテル)を心臓の中まで入れます
- 何をする?:カテーテルの先から高周波を流し、心臓の筋肉の一部に軽いやけどをさせて不整脈の源を取り払います。高周波を流すときに痛みがあることもありますが、強い痛みではないとされています
- 効果は?:成功すると不整脈が根本的に治り、薬物治療は不要になります。WPW症候群、発作性上室性頻拍、特発性心室頻拍、心房粗動、心房細動などで良好な成績が得られているといいます
- リスクは?:心臓の壁に穴があく心臓タンポナーデ、脳梗塞、房室ブロックなどの合併症が起こることがあり、その頻度は0.5〜2%前後(心房細動では0.5〜5%)とされます。「絶対に安全と言い切れる方法」ではないため、治療前に医療機関で十分な説明を受けるよう勧めています
報道は、坂本さんの手術について「心臓に挿入したカテーテルで不整脈を起こす電気回路を遮断する治療法」と説明しています。胸を大きく開く手術ではなく、血管からカテーテルを入れる治療だという点は、こうした一般的な説明と一致します。
治ったあと、運動はできる?
日本循環器学会と日本小児循環器学会の「学校心臓検診のガイドライン」(2016年版)は、学校生活での運動の目安を管理指導区分A〜Eで示しています。Eは「同年齢の平均的児童生徒にとっての」強い運動も参加可という区分です。上室頻拍などの項目では、高周波カテーテルアブレーションで合併症なく根治した場合は「E可または管理不要」(観察の間隔は1〜3年)とされています。
もちろん、どこまで運動してよいかは一人ひとりの病状で違い、主治医が判断します。それでも、根治すれば強い運動やクラブ活動も可能になりうるという考え方は、坂本さんが手術後に競技の第一線で戦い続けたことと重なります。
健康診断で見つからないことはある?学校の心臓検診の仕組み
坂本さんの場合、報道によると健康診断では異常が確認されず、2017年5月に心電図で不整脈が分かりました。では、学校ではどんな心臓の検査が行われているのでしょうか。
心電図は小1・中1・高1の全員が受ける
学校保健安全法施行規則は、児童生徒の健康診断の項目に「心臓の疾病及び異常の有無」を挙げ(第6条)、これを心電図検査その他の臨床医学的検査で調べると定めています(第7条第6項)。ただし小学校2年生以上、中学・高校の2年生以上などは心電図検査を省略できるため、実際には小学校1年、中学校1年、高校1年の全員が心電図を受けるしくみです。
学会のガイドラインによると、学校心臓検診は1954年に大阪・藤井寺地区の4校で始まったのが最初とされ、1973年の施行規則改正で定期健康診断としての実施が義務づけられ、1995年から小1・中1・高1の全員に心電図検査が義務づけられました。
「心電図異常」は高1で約30人に1人【独自集計】
文部科学省の学校保健統計は、健康診断の結果をもとに「心電図異常」の割合を公表しています(6歳・12歳・15歳だけを調査)。最新の令和7年度と、比べられる過去の年度を並べました。
| 年度 | 小学校 | 中学校 | 高校 |
|---|---|---|---|
| 平成27年度 | 2.35% | 3.17% | 3.33% |
| 令和元年度 | 2.42% | 3.27% | 3.27% |
| 令和6年度 | 2.59% | 3.01% | 3.09% |
| 令和7年度 | 2.52% | 3.40% | 3.31% |
出典:文部科学省「令和7年度学校保健統計(学校保健統計調査の結果)について」(2026年2月13日公表)の「主な疾病・異常等の推移」。令和2〜5年度は調査時期の異なる数値を含み他の年度と比較できないと注記されているため、表から外しました。「何人に1人」は当サイトの計算。
令和7年度は小学1年で2.52%(約40人に1人)、中学1年で3.40%(約29人に1人)、高校1年で3.31%(約30人に1人)でした。平成27年度と比べると小・中学校はやや高く、高校はほぼ同じ水準です。「心電図異常」には治療のいらないものも多く含まれ、そのまま病気の人の割合を示すわけではありません。
発作のときにしか出ない不整脈もある
心電図は、検査をしているその時の心臓の電気の動きを記録するものです。ガイドラインは、24時間記録するホルター心電図でさえ、記録中に症状が出たり、心電図の変化がとらえられたりするとは限らないと説明しています。また国立循環器病研究センターは、WPW症候群について一定の年齢にならないと頻脈の発作は起こらないことが多いとしています。
坂本さんの不整脈がなぜ健康診断で見つからなかったのかは報道されておらず、この記事でも理由は分かりません。ただ一般論として、検診で「異常なし」でも、運動中などに繰り返す動悸があれば、そのことを医師に伝えて詳しく調べてもらうことが大切だといえます。
子どもの動悸を軽く見ない
ガイドラインによると、学校心臓検診で見つかる症状のない子どものうち、その後に発作性上室頻拍を起こすのは10〜20%と考えられています。逆に、検診で異常がなくても症状が出ることはあります。部活中に「胸がドキドキして止まらない」と訴える子がいたら、休ませて様子を見るだけでなく、医療機関の受診を検討してください。
坂本花織さんの心臓手術と不整脈についてよくある質問
Q. 坂本花織さんは何の手術を受けたのですか?
A. 共同通信の取材に、2017年7月に不整脈で心臓の手術を受けたと明かしました。治療法は、心臓に入れたカテーテルで不整脈を起こす電気回路を遮断する「カテーテルアブレーション」で、完治したと報じられています。不整脈の具体的な種類(病名)は報道では明かされていません。
Q. 手術のあと、坂本花織さんはどんな成績を残しましたか?
A. ISUの公式記録では、手術の半年後の2018年1月に四大陸選手権で優勝し、2018年2月の平昌五輪で6位でした。その後、北京五輪で銅メダル、ミラノ・コルティナ五輪で銀メダルを獲得し、世界選手権では2022・2023・2024・2026年の4回優勝しています。
Q. 不整脈とはどんな状態ですか?
A. 国立循環器病研究センターによると、脈がゆっくり打つ、速く打つ、または不規則に打つ状態のことで、1分間の脈が50以下を徐脈、100以上を頻脈といいます。運動や発熱で脈が速くなるような生理的なものもあり、すべてが病気というわけではありません。
Q. カテーテルアブレーションは安全ですか?
A. 足の付け根やひじの血管からカテーテルを入れ、高周波で不整脈の源を焼く治療で、成功すると根本的に治り薬が不要になるとされます。一方で国立循環器病研究センターは、合併症の頻度を0.5〜2%前後(心房細動では0.5〜5%)とし、絶対に安全とは言い切れないため十分な説明を受けるよう勧めています。
Q. 学校の健康診断で心電図は毎年とりますか?
A. 学校保健安全法施行規則により、心電図検査は小学校1年・中学校1年・高校1年の全員が受けます(ほかの学年は省略できます)。文部科学省の令和7年度の統計で「心電図異常」とされた割合は、高校1年で3.31%でした。
Q. 健康診断で異常がなくても不整脈のことはありますか?
A. 発作のときにだけ出る不整脈は、検査のタイミングによっては記録されないことがあります。学会のガイドラインも、24時間のホルター心電図でさえ症状や心電図の変化がとらえられるとは限らないとしています。繰り返す動悸があれば、医師に伝えて相談してください。
あわせて読みたい
出典・参考資料
- 報道:デイリースポーツ「坂本花織さん 心臓手術の過去を告白 17年に不整脈治療し完治」(2026年10月24日、共同通信)
- 報道:Deep Edge Plus「坂本花織さん、心臓手術を告白 平昌オリンピックシーズンが始まった2017年7月に」(2026年10月23日、共同通信)
- ISU(国際スケート連盟):選手プロフィール Kaori SAKAMOTO、大会結果(2017世界ジュニア、2018四大陸、平昌五輪、2019世界選手権、2018-19グランプリファイナル、2019四大陸)
- 国立循環器病研究センター:循環器病について知る「不整脈」
- 日本循環器学会・日本小児循環器学会:学校心臓検診のガイドライン(2016年版)
- e-Gov法令検索:学校保健安全法施行規則(第6条・第7条)
- 文部科学省:学校保健統計調査-令和7年度の結果の概要(公表資料PDF)
成績の時系列・回数の集計、「何人に1人」の計算は、各資料をもとに当サイトが行ったものです。内容は2026年10月25日時点の情報です。医療に関する記述は一般的な説明で、個別の診断や治療の代わりにはなりません。アイキャッチと本文の写真:Vbrunophotog(Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0、写真1・写真2)をトリミングし、アイキャッチは明るさを調整して文字を加えています。


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