ジャングリアの173億円赤字はなぜ?数字の大半は子会社株の評価損、運営会社の赤字は約89億円
沖縄県今帰仁村のテーマパーク「ジャングリア沖縄」の親会社が、開業後はじめての決算で約173億円の最終赤字になったと報じられました。ただし173億円は、パークの営業で1年に出た赤字ではありません。官報の決算公告と報道をもとに、赤字の正体、来場者数の計算、お金の流れ、これから何を見ればいいかを整理します。
2026年9月25日時点の情報です
最終赤字
最終赤字
(想定は150万人)
追加融資(沖縄公庫)
ジャングリア173億円赤字|わかっていること
沖縄タイムスが9月23日に報じ、日本経済新聞なども続きました。報道でわかっているのは次のことです。
- ジャングリアの運営会社の親会社、ジャパンエンターテイメントホールディングス(JEHD)の開業後初の決算が、約173億円の最終赤字
- 主な理由は、子会社でパークを運営するジャパンエンターテイメント(JE)の株式評価損
- JE自身の最終赤字は約89億円(関係者の話)
- 開業から今年7月までの1年間の来場者は延べ100万人で、当初見込みの150万人を大きく下回った。1日あたり約2,700人で、千人ほどの日も多い
- 政府系の沖縄振興開発金融公庫が10月上旬に30億円をつなぎ融資する(日経)
- JEHDは9月25日に定時株主総会を開き、経営状況を説明する

なぜ173億円?赤字の大半は「子会社株の評価損」
173億円という数字を読むときに一番大事なのは、親会社と運営会社は別の会社だという点です。
| 会社 | 役割 | 最終赤字 | 赤字の中身 |
|---|---|---|---|
| ジャパンエンターテイメントホールディングス(JEHD) | 親会社(持株会社) | 約173億円 | 主にJEの株式評価損 |
| ジャパンエンターテイメント(JE) | パークの運営会社 | 約89億円 | パークの営業そのものの損益 |
JEHDは、JEの株を持つことが主な仕事の会社です。JEが赤字を続けると、JEHDが持っているJE株の価値が下がったと判断され、帳簿の上で値下がり分を損失として計上します。これが「株式評価損」です。
・パークの営業で出た赤字は、運営会社JEの約89億円です
・親会社JEHDの173億円は、JE株の値下がりを帳簿で認めた結果で、この分の現金が1年で出ていったわけではありません
・JEHDの総資産は、官報によると2025年6月末で337億9,500万円。173億円はその約51%にあたり、親会社の資産のおよそ半分を帳簿上で落とした計算になります
一方で、評価損を出すということは、JEHD自身が「JEの価値は投資したときよりずっと低い」と認めたことでもあります。現金が減っていないから問題ない、という話ではありません。
運営会社JEの赤字の推移|官報の決算公告
JEは2018年6月に設立され、官報で毎年決算を公告しています。開業までは売上がないので、赤字が続くのはある意味で予定どおりでした。
| 決算期 | 最終損益 | 総資産 | この期にあったこと |
|---|---|---|---|
| 2019年3月期 | ▲2億9,309万円 | 3億3,080万円 | 設立(2018年6月) |
| 2020年3月期 | ▲3億3,704万円 | 30億4,249万円 | — |
| 2021年3月期 | ▲1,300万円 | 69億6,000万円 | 本店を那覇市から名護市へ移す(2020年4月) |
| 2022年3月期 | ▲7,300万円 | 73億1,600万円 | — |
| 2023年3月期 | ▲19億2,000万円 | 243億3,800万円 | 総資産が前期の3倍超に |
| 2024年3月期 | ▲10億1,800万円 | 420億2,200万円 | — |
| 2025年6月期(15か月) | ▲50億9,800万円 | 627億2,900万円 | 決算月を6月に変更。開業直前で売上なし |
| 2026年6月期 | 約▲89億円(報道) | 未公告 | 2025年7月25日開業。初めて売上が立つ |
2025年6月期までにたまった赤字(利益剰余金)は▲86億4,300万円でした。ここに2026年6月期の約89億円が加わると、増資などの手当てがなければ、たまった赤字はおよそ175億円に膨らむ計算です(当サイトの試算)。
注目したいのは、開業して売上が立った年のほうが、準備期間より赤字が大きいことです。開業後は人件費や運営費に加えて、施設の減価償却や借入金の利息も毎年かかるようになります。
来場者100万人は何が足りなかったのか
| 項目 | 想定 | 実績 |
|---|---|---|
| 年間の来場者 | 150万人 | 延べ100万人(スパ利用客を含む) |
| 1日あたり(365日で割った数) | 約4,110人 | 約2,740人 |
| 達成率 | — | 約67% |
| 年間の売上 | — | 100億円超の見通し(開業1年の会見) |
売上100億円を来場者100万人で割ると、1人あたり約1万円です。同じように運営会社の赤字約89億円を100万人で割ると、1人あたり約8,900円の赤字になります。1人来てもらうたびに1万円の売上が入る一方で、それに近い額の赤字が出ている、というのが単純計算での姿です。
開業1年の会見に同席した地元シンクタンクのりゅうぎん総合研究所は、1年間の経済効果を494億円と発表しました。これまで観光客が素通りしがちだった本島北部に、人の流れができたと評価しています。パークの会社は赤字でも、宿泊や飲食、交通などで地域にお金が落ちている、という見方です。
伸び悩みの理由として、開業当初から暑さや雨への対策の不足、アトラクションの待ち時間の長さ、抽選制で体験できないアトラクションがあることなどが指摘されてきました。運営会社は屋根付きの休憩場所や新しいアトラクションを増やして対応しています。
ジャングリアのお金の流れ|700億円はどこから来たか
- 2018/6運営会社JEが設立森岡毅氏の株式会社刀が発起人となり、沖縄のテーマパーク事業の準備会社として作られました。
- 2022/9クールジャパン機構が刀に80億円の出資を決定出資先は運営会社ではなく刀です。機構は、刀が進める沖縄テーマパーク事業などを支援する狙いだと発表しています。
- 2025/7/25開業総事業費は約700億円。開業時の借入れは、沖縄公庫も加わった366億円の協調融資です。
- 2026/420億円の追加融資沖縄公庫、商工組合中央金庫、琉球銀行などが計20億円を貸しました。
- 2026/7開業1年で来場者100万人運営会社のトップが「来場者数は残念ながら思うように至っていない」と話しました。
- 2026/9/25JEHDの定時株主総会173億円の赤字と今後の財務について説明します。
- 2026/10上旬沖縄公庫が単独で30億円をつなぎ融資赤字が続くなかで、当面の資金繰りを支えるためのお金です。
わかっている借入れだけでも、366億円+20億円+30億円=416億円です。開業後の追加融資50億円のうち、30億円は政府系金融機関が単独で出します。
ジャングリアは潰れる?これから見るべき3つのこと
「潰れる」と検索する人が増えていますが、9月25日時点で閉園や撤退の発表はありません。追加の融資が決まっていることは、金融機関が当面の資金繰りを支えていることを意味します。そのうえで、今後の見通しは次の3つで判断できます。
・株主総会で何が決まるか:増資、経営陣の交代、事業計画の見直しなど、財務を立て直す手当てが出るかどうか
・来場者数と1人あたりの売上:2年目に1日2,700人からどこまで増やせるか。割安チケットで人数を増やすと、1人あたりの売上は下がります
・2026年6月期の決算公告:JEの正式な数字(売上・営業損益・総資産)が官報に載れば、89億円の中身がはっきりします。前の期は10月15日に公告されています
よくある質問
Q. ジャングリアはなぜ173億円も赤字になったのですか?
A. 173億円は親会社ジャパンエンターテイメントホールディングスの最終赤字で、主な理由は子会社の運営会社の株の価値が下がったとして計上した株式評価損です。パークの営業で出た赤字は、運営会社の約89億円です。
Q. 173億円と89億円は合わせて262億円の赤字ですか?
A. いいえ。親会社の173億円は、運営会社が赤字を続けたことで株の価値を帳簿上で下げた結果です。同じ赤字を親会社と子会社の両方から見た数字なので、足し算はしません。
Q. ジャングリアは潰れますか?
A. 9月25日時点で閉園や撤退の発表はありません。沖縄振興開発金融公庫が10月上旬に30億円を追加で融資すると報じられています。9月25日の株主総会で、財務の立て直し策が出るかどうかが注目点です。
Q. 1年目の来場者数は何人ですか?
A. 開業から今年7月までの1年間で延べ約100万人(スパ利用客を含む)です。当初の見込みは150万人で、1日あたりでは約4,110人の想定に対して約2,740人でした。
Q. クールジャパン機構はジャングリアに80億円を出したのですか?
A. 機構が2022年9月に出資を決めた80億円の出資先は、運営会社ではなく株式会社刀です。機構は、刀が進める沖縄テーマパーク事業などを支援する狙いだと発表しています。
Q. ジャングリアを運営しているのはどこですか?
A. 株式会社ジャパンエンターテイメント(本店・沖縄県名護市)です。その親会社がジャパンエンターテイメントホールディングスで、2025年の決算公告時点の代表はどちらも加藤健史氏です。
・官報決算データベース「株式会社ジャパンエンターテイメント」決算公告一覧(2019年3月期〜2025年6月期)catr.jp
・官報決算データベース「株式会社ジャパンエンターテイメントホールディングス 第3期決算公告」(2025年6月期)catr.jp
・クールジャパン機構「インバウンド需要を喚起する事業も数々展開するマーケティング精鋭集団「刀」へ出資」(2022年9月28日)PDF
・沖縄タイムス(2026年9月23日)記事
・日本経済新聞「ジャングリアに沖縄公庫がつなぎ融資30億円」(2026年9月24日)記事
・朝日新聞(2026年7月25日)記事
・gamebiz(2025年10月15日、第7期決算公告)記事
※1日あたりの来場者数、1人あたりの売上・赤字、総資産に対する評価損の割合、たまった赤字の見込みは、上記の数字から当サイトが計算しました。
※写真はWikimedia Commonsのフリーライセンス画像(CC BY-SA 4.0)で、一部トリミング・明るさ調整をしています。


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