台風で旅行をやめたら
キャンセル料は取られるのか
9月19日(土)からの5連休に、台風が近づく可能性が出てきました。ここで多くの人が迷うのが「今キャンセルしたら、いくら取られるのか」。結論から言うと、返金のルールは「誰と契約したか」で3つに分かれ、そのうち2つは国の告示や鉄道の規則に文章で書かれています。パッケージツアー・鉄道・航空・宿泊それぞれの原文を当たって、戻るお金と戻らないお金の線を引きます。
この記事でわかること
- パッケージツアーは標準旅行業約款 第16条第2項第3号により、台風で「安全かつ円滑な実施が不可能となるおそれが極めて大きいとき」は取消料を払わずに解除できると明記されている
- 鉄道は旅客営業規則 第282条で、運休や2時間以上の遅延なら手数料なしで全額払いもどし。出発前でも請求できる
- 航空は欠航が決まる前が分かれ目。ANAは「実際の運航状況に関わらず」対象空港の航空券を無手数料で変更・払い戻しすると公表している
- いちばん保護が弱いのが宿の直予約。国のモデル宿泊約款は違約金の率そのものが空欄で、各施設が自分で決める仕組みになっている
- どの契約でも、足止め中の宿泊費・交通費は自己負担。天災による日程変更は変更補償金の対象からも外されている
台風でキャンセルしたときの返金は「誰と契約したか」で決まる
気象庁によると、マリアナ諸島にある熱帯低気圧が17日朝までに台風に変わる見込みです。予報では18日に小笠原近海、20日午後に日本の南(北緯31.1度・東経139.2度付近)、21日午後に日本の東へ進むとされ、中心気圧は975hPa、中心付近の最大風速30m/sまで発達する予想になっています。連休の後半に本州の東側を通る進路ですが、現時点の予報円は大きく、進路はまだ動きます。以下の返金ルールは、どの進路になっても変わらない部分だけを整理したものです。
連休への影響は15日の時点で広く報じられ、大きな反響を呼びました。
【大雨】台風25号発生へ…5連休を直撃かhttps://t.co/YlFhfrYOlE
日本の南では台風が発生する見込みで、シルバーウィークは雨模様になる予報も。広く大雨となる可能性もあるため、最新の情報に注意が必要。 pic.twitter.com/z4aLiQQhuT
— ライブドアニュース (@livedoornews) September 15, 2026
※この投稿は「台風25号発生へ」と報じていますが、気象庁が台風番号を付けるのは熱帯低気圧が台風に変わってからです。9月16日19時10分の発表時点では、まだ「熱帯低気圧」として扱われています(17日朝までに台風に変わる見込み)。
同じ「台風で旅行をやめる」でも、返ってくる金額はまったく違います。理由は単純で、旅行の中身ごとに適用される約款が別々だからです。旅行会社のツアーなら旅行業法にもとづく標準旅行業約款、新幹線ならJRの旅客営業規則、飛行機なら各社の運送約款と個別の運用、宿の直予約ならその施設の宿泊約款。それぞれ独立して動いています。
まず全体像を整理します。
| 契約の相手 | 台風のときの原則 | 根拠 | いつまでに動くか |
|---|---|---|---|
| 旅行会社のツアー | 取消料ゼロ で解除できる | 標準旅行業約款 第16条第2項第3号 | 旅行開始前(出発前) |
| 新幹線・在来線 | 全額・無手数料 で払いもどし | 旅客営業規則 第282条・第282条の2 | 運休が発生した後(出発前でも可) |
| 飛行機 | 無手数料 の対象期間が設定される | 各社の運送約款と特別取扱 | 原則として出発時刻まで |
| 宿の直予約 | 施設しだい 一律の決まりがない | 各施設の宿泊約款(モデル宿泊約款) | 施設が定めた期日 |
| 予約サイト経由の宿 | プランしだい 即時徴収型もある | プランごとのキャンセル規定 | プランに表示された期日 |
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ポイントは、上の2つは国の告示と鉄道の規則で文章として決まっているのに対し、下の2つは相手しだいだということです。順番に原文を見ていきます。
パッケージツアーは「取消料を支払うことなく」解除できる条文がある
旅行会社のツアー(募集型企画旅行)には、旅行業法第12条の3にもとづく標準旅行業約款が適用されます。国土交通省・観光庁が告示として定めたひな形で、大手旅行会社の約款はほぼこれに沿っています。
通常のキャンセル料は最大で旅行代金の50%
台風がなければ、キャンセル料は出発日までの日数で決まります。国内旅行の場合は別表第一で次のように上限が定められています。
| 解除する時期(国内旅行) | 取消料の上限 | 2026年9月19日出発なら |
|---|---|---|
| 20日目(日帰りは10日目)に当たる日以降 | 旅行代金の20%以内 | 8月30日〜9月11日 |
| 7日目に当たる日以降 | 旅行代金の30%以内 | 9月12日〜9月17日 |
| 旅行開始日の前日 | 旅行代金の40%以内 | 9月18日 |
| 旅行開始当日 | 旅行代金の50%以内 | 9月19日 |
| 旅行開始後の解除・無連絡不参加 | 旅行代金の100%以内 | 出発した後 |
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※「〜に当たる日」はいずれも旅行開始日の前日から起算してさかのぼって数えます。9月19日出発なら起算日は9月18日で、そこから数えて7日目が9月12日、20日目が8月30日です。表の日付はこの数え方で当てはめました。上限なので、実際の率は契約書面に書かれた各社の設定によります。
台風は、その例外として条文に書かれている
ここからが本題です。標準旅行業約款 第16条第2項は、取消料の原則を定めた第1項に対する例外を並べており、その第3号にこう書かれています。
旅行者は、次に掲げる場合において、前項の規定にかかわらず、旅行開始前に取消料を支払うことなく募集型企画旅行契約を解除することができます。
三 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。
つまり「台風でもキャンセル料は取られる」というのは、ツアーに関しては正確ではありません。条件を満たせば取消料はゼロで、しかもそれを請求するのは旅行者の側の権利として書かれています。
争点は「おそれが極めて大きい」と言えるかどうか
実務でもめるのはここです。条文は「不可能となるおそれが極めて大きいとき」と書いており、なんとなく天気が心配という段階では足りません。目安になるのは、自分の主観ではなく外から確認できる事実です。
- 気象庁が暴風警報・大雨特別警報などを発表している、または発表が見込まれる
- 鉄道会社が計画運休を発表している
- 航空会社が欠航または無手数料の取扱対象期間を発表している
- 行き先の自治体が避難情報を出している
これらが出ていれば、旅行会社に電話をするときも「第16条第2項第3号に当たると考えています」と根拠を示して話せます。逆に、進路がまだ大きくぶれている段階では、旅行会社側が通常の取消料を案内してくることも十分にありえます。
旅行会社の側から中止する場合は第17条第1項第7号が使われ、旅行者に取消料は発生しません。第19条により、旅行開始前の解除なら解除の翌日から7日以内に払い戻されます。
すでに旅行が始まったあとで台風のため続行できなくなった場合は第18条が適用されます。この場合に戻るのは、まだ受けていないサービス分の金額から、旅行会社がすでに宿や交通機関に支払った取消料・違約料を差し引いた残りです(第18条第3項)。出発前に切るのと出発後に切られるのとでは、戻る額がはっきり違います。迷うなら出発前に判断するほうが有利だという理由がここにあります。
新幹線・在来線は、運休が決まれば全額が無手数料で戻る
JRのきっぷは、旅行業約款ではなく旅客営業規則で扱われます。台風で問題になるのは第7章第3節第5款「運行不能及び遅延」です。
対象になるのは運休だけではない
第282条第1項は、次のいずれかが起きたときに旅客が取扱いを選べると定めています。
- 列車が運行不能となつたとき(第1号)
- 接続駅で1時間以上接続を欠いたとき、または着駅到着時刻に2時間以上遅延したとき(遅延が確実なときを含む・第2号)
- 車両故障など、旅客の責任とならない事由で乗車できないとき(第3号)
選べる取扱いは、旅行の中止と払いもどし(第282条の2)、有効期間の延長(第283条)、無賃送還(第284条)、他経路乗車(第285条)などです。
出発前でも払いもどしを請求できる
見落とされやすいのが第282条第2項です。
旅客は、旅行開始前又は使用開始前に、前項各号に定める事由が発生したため、事故発生前に購入した乗車券類が不要となつた場合は、これを駅に差し出して、すでに支払つた旅客運賃及び料金の払いもどしを請求することができる。
つまり、まだ駅に行っていなくても、その列車が運休すると決まった時点で全額の払いもどしを請求できます。第282条の2が定める払いもどし額は、乗車券は中止駅から着駅までの運賃、特急券・指定席券・グリーン券はいずれも料金の全額。通常のキャンセルで差し引かれる払いもどし手数料の規定は、この条文には出てきません。JR各社共同の案内サイトも「列車が運休していることにより、旅行をとりやめる場合は、運賃・料金の全額を無手数料でお返しします」と説明しています。
「有効期間の延長」という選択肢もある
すぐに払い戻すのではなく、きっぷをそのまま使う日をずらす方法もあります。第283条により、運行不能が理由の場合はきっぷを駅に預けた日から開通後5日以内で旅行を再開する日の前日までを有効期間に足せます。連休後半にずらせば行ける、というときはこちらが有利です。
ネット予約とIC予約は「何もしない」のが正解になることがある
ここは損をしやすいポイントです。JR各社の案内によると、エクスプレス予約などのICサービスは列車が運休すると自動で払い戻し手続きが行われます。えきねっとやe5489も、きっぷを受け取る前に運休が決まれば自動的に払い戻されます。
JR各社の案内は、ICサービスについて「ご自身で手続きした場合、通常の払い戻しとみなされ、手数料がかかる場合があります」と注意しています。運休が発表されたあとにアプリから自分で取り消すと、無手数料の扱いを受けられない可能性がある、ということです。運休が決まっている区間なら、まず自動処理を待つのが安全です。
手続きの期限と、旅行会社で買ったきっぷ
あわてて当日に窓口へ並ぶ必要はありません。JR各社の案内によれば、運休・遅延した列車の払い戻し手続きの期限は1年間です。混雑していれば後日でも構いません。ただし2つ注意点があります。
- 旅行会社で購入したきっぷはJRの駅窓口では払い戻せません。JRの駅で「遅延証明」を受けたうえで、後日その旅行会社で払い戻しを受けます
- 定期券と回数券は、5日以上連続して不通の場合に限って有効期間の延長や払いもどしの対象になります
この条文が使えるのは、あくまで「運休」や「2時間以上の遅延」が現実になってからです。まだ平常運転の段階で自分の都合として払い戻すと、通常どおりの手数料が差し引かれます。台風が近づいているときは、各社の計画運休の発表(多くは前日までに出ます)を確認してから動くのが基本になります。
飛行機は「欠航が決まる前」に手続きするのがいちばん得
航空券がおもしろいのは、欠航していなくても無手数料になる仕組みが用意されている点です。ANAは公式サイトで次のように説明しています。
悪天候などで遅延・欠航が見込まれる際、実際の運航状況に関わらず、対象空港の航空券は手数料無しで変更(振替)および払い戻しを承ります。
結果としてその便が飛んだとしても、対象空港・対象期間に含まれていれば手数料はかからない、ということです。手続きの期限は出発時刻までとされています。特典航空券も、取消手数料と取消手数料マイルなしで変更・払い戻しができます。
| 項目 | ANA(国内線) | JAL(国内線) |
|---|---|---|
| 無手数料になる条件 | 遅延・欠航が見込まれる対象空港の航空券。実際の運航状況を問わない | 発着案内の便名横または備考欄に「*」か「!」が表示されている、もしくは特別な取り扱い対象空港の一覧に出発地・到着地が該当すること |
| 自分で確認する場所 | ウェブの予約照会画面に無手数料の案内が出るか | 発着案内(国内線)の記号と、対象空港一覧 |
| 手続きの期限 | 出発時刻まで | 払い戻し有効期限(航空券の有効期限)内 |
| 他社便・新幹線への振替 | ANA便への振替。区間変更に伴う交通費は自己負担 | 悪天候ではできない。機材故障など自社都合のときだけANA便や新幹線に変更可 |
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見落とされやすいのが最後の行です。JALは、他社便や新幹線への変更ができるのを「運航への影響を及ぼす要因が、弊社都合(機材故障など)の場合のみ」と明記しています。台風は自社都合ではないので、台風のときに「代わりに新幹線に振り替えてほしい」は通りません。選べるのは同じ航空会社の便への振替か、払い戻しかの二択です。
実務上のコツは、対象空港・対象期間が発表されたらすぐ判断することです。欠航が確定してから電話窓口に集中すると、つながらないうちに出発時刻を過ぎてしまいます。ウェブの予約照会画面に無手数料の案内が出ているかどうかを、まず自分で確認するのが早道です。
実際の告知はこう出る
台風が近づくと、航空各社はこうした案内をXでも流します。LCCも同じ考え方です。9月の台風24号のとき、Peachは「運賃タイプや実際の運航状況にかかわらず、手数料無料で振替・払い戻しを承ります」と告知していました。ふだんは変更・払い戻しに手数料がかかる格安運賃でも、この取扱いの対象になるということです。
【台風24号による運航への影響について】9/2時点
台風の影響が見込まれる一部の便におきまして、運賃タイプや実際の運航状況にかかわらず、手数料無料で振替・払い戻しを承ります。
対象便や航空券の特別な取り扱いについては、下記リンクよりご確認ください。https://t.co/OHDd9EmT9p
— 【公式】Peach (@Peach_Aviation) September 2, 2026
JALも運航情報の公式アカウントから、台風のたびに変更・払い戻しの手続きページを案内しています。対象かどうかの確認はここが起点になります。
【国内線/変更・払戻】台風24号に伴う航空券の変更・払い戻し手続きは、こちらをご確認ください。[条件の確認・手続き方法] https://t.co/wvbzWHuxcA
— JAL 運航情報【公式】 (@JAL_flight_info) September 4, 2026
※いずれも2026年9月の台風24号のときの投稿です。対象便・対象空港は台風ごとに設定され直すので、実際の判断は必ず各社の最新の告知で確認してください。
パッケージツアーの航空券は旅行会社が手配したものなので、航空会社のサイトからは手続きできません。ANAも「パッケージツアー・団体旅行・その他はご購入された旅行会社や航空会社にお問い合わせください」と案内しています。ツアーなら、前章の第16条第2項第3号の話に戻ります。
いちばん守られていないのは、宿の直予約
ここが本記事でもっとも意外な部分かもしれません。旅館・ホテルの宿泊契約にも国が示したひな形(モデル宿泊約款)がありますが、違約金の率が決まっていません。
モデル宿泊約款の違約金表は、数字が空欄になっている
モデル宿泊約款の別表第2は「違約金(第6条第2項関係)」という表で、縦軸に契約申込人数(14名まで/15〜99名/100名以上)、横軸に「不泊・当日・前日・9日前・20日前」といった区分が並びます。ところが、その交点に入っているのは「%」という記号だけで、具体的な数値は入っていません。表の注記も「%は、基本宿泊料に対する違約金の比率です」と書くにとどまります。
旅行業約款が「20%以内」「40%以内」と上限つきで告示されているのとは対照的に、宿泊の違約金率は各施設が自分で埋めて掲示する仕組みです。同じ台風・同じ前日キャンセルでも、宿によって0%のこともあれば100%のこともある、という差はここから生まれます。
それでも交渉の足場になる2つの条文
率が自由だからといって、何を言っても無駄というわけではありません。使える条文が2つあります。
1つめは第6条第2項。違約金を請求できるのは「宿泊客がその責めに帰すべき事由により宿泊契約の全部又は一部を解除した場合」と限定されています。台風で交通機関が止まって到達できないケースが「宿泊客の責め」に当たるのかは、当然に議論の余地があります。
2つめは第7条第1項第7号。「天災等不可抗力に起因する事由により宿泊させることができないとき」は、ホテル側から契約を解除できると定められており、同条第2項は「宿泊客がいまだ提供を受けていない宿泊サービス等の料金はいただきません」と続きます。宿の側が休業や閉鎖を決めたのなら、その分の料金は請求されません。
実際の連絡では、この順で確認するのが筋の通った進め方です。
- まず施設が営業するかどうかを聞く(休業なら第7条で料金は不要)
- 営業する場合は、台風時の特例があるかを聞く。暴風警報や計画運休を条件に免除する宿は少なくありません
- 予約サイト経由なら、プラン画面のキャンセル規定が優先されます。前払い・変更不可のプランは、台風でも戻らない設計になっていることがあります
※モデル宿泊約款はあくまで参考として示されたひな形で、実際に適用されるのは各施設が掲示している宿泊約款です。予約時に表示されたキャンセル規定を必ず確認してください。
台風では「そもそも補償されない」お金がある
返金の話とは別に、はじめから補償の対象外とされているものがあります。ここを期待していると、あとで落胆します。
| 費目 | 扱い | 根拠・理由 |
|---|---|---|
| 足止め中のホテル代 | 自己負担 | 航空・鉄道の払いもどし規定は運賃・料金の返金までで、宿泊費は対象に含まれない |
| 代わりの移動にかかった交通費 | 自己負担 | ANAは「区間・経路を変更する場合、移動に伴う交通費はお客様のご負担」と明記 |
| 日程が変わったことへの補償金 | 支払われない | 標準旅行業約款 第29条第1項第1号イで天災地変による変更を除外 |
| 旅行会社への損害賠償 | 請求できない | 同 第27条第2項。天災地変による損害は賠償責任の対象外 |
| 行けなかったイベントのチケット代 | 主催者しだい | 興行が実施された場合は原則払い戻しなし |
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変更補償金の除外は意外に知られていません。第29条は「別表第二に掲げる契約内容の重要な変更」があれば旅行代金の一定率以上を支払うと定めていますが、その直後に除外事由として「イ 天災地変」が置かれています。台風で行き先や宿が変わっても、補償金は出ないという設計です。
一般的な国内旅行傷害保険は、旅行中のケガや賠償責任、携行品の損害が対象で、台風で旅行をやめたときの取消料そのものは対象外であることがほとんどです。取消料を補償するのは「旅行キャンセル保険」など別の商品で、天候を理由にできるか、いつまで加入できるかは商品ごとに条件が異なります。加入を検討するなら、補償の対象に「気象状況による旅行中止」が明記されているかを確認してください。
連休に台風が近づいたときの動き方
順番を間違えると損をします。判断の材料が出そろう順に並べると、次のようになります。
- 3日前まで予報円の大きさを見る。まだ動かない進路予報の円が大きい段階では、旅行会社も「おそれが極めて大きい」とは認めにくい時期です。この段階で自分の都合として解除すると、通常の取消料(20〜30%)がかかります。やることは、契約書面のキャンセル規定と、予約サイトのプラン条件を読み返すことだけで十分です。
- 2日前航空会社の対象空港・対象期間の発表を確認悪天候による無手数料の取扱いは、欠航が決まるより前に発表されます。自分の発着空港が入っていれば、この時点で無手数料の変更・払い戻しが可能になります。ウェブの予約照会画面に案内が出ているかを確認します。
- 前日計画運休と警報が出そろう。ここが判断の山鉄道の計画運休は多くが前日に発表されます。暴風警報・大雨警報と合わせて、ツアーなら第16条第2項第3号を主張する材料がそろうタイミングです。宿にも、この段階で営業の可否と特例の有無を確認します。ツアーの取消料は前日で40%以内、当日で50%以内に上がるため、判断を1日延ばすコストは小さくありません。
- 当日の出発前出発時刻までに手続きを済ませる航空券の無手数料手続きは原則として出発時刻までです。鉄道は運休が決まっていれば出発前でも全額の払いもどしを請求できます。ツアーは、旅行が始まる前に解除するかどうかで戻る額が変わります。
- 旅行開始後戻る額は「差し引き後」になる出発してしまうと、ツアーは第18条の世界に入り、未提供分から旅行会社が支払済みの取消料等を差し引いた残りしか戻りません。鉄道は途中で中止した場合、乗らない区間の運賃と、運休した列車の特急料金などが戻ります。
警報の発表時刻、計画運休の発表内容、航空会社の対象期間の告知は、あとから交渉する際の材料になります。画面を保存しておくと、電話がつながらず後日の手続きになった場合でも話が早くなります。
台風と旅行キャンセルのよくある質問
Q. 台風の予報が出ているだけで、ツアーのキャンセル料は無料になりますか?
A. なりません。標準旅行業約款 第16条第2項第3号が求めているのは「旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき」です。暴風警報の発表や計画運休の発表など、外から確認できる事実がそろってから主張するのが現実的です。
Q. 新幹線が運休したら、手数料は引かれますか?
A. 引かれません。旅客営業規則 第282条第1項第1号にあたるため、第282条の2により乗車券の運賃と特急料金などが払いもどしの対象になります。通常のキャンセルで差し引かれる払いもどし手数料の規定は、この条文には含まれていません。出発前でも第282条第2項で請求できます。
Q. えきねっとやエクスプレス予約は、自分で取り消したほうがいいですか?
A. 運休が決まっている場合は、待つほうが安全です。JR各社の案内では、ICサービスは運休時に自動で払い戻し手続きが行われ、「ご自身で手続きした場合、通常の払い戻しとみなされ、手数料がかかる場合があります」と注意されています。えきねっと・e5489も、受取前に運休が決まったきっぷは自動的に払い戻されます。
Q. 飛行機が結局飛んだ場合、無料で払い戻した手続きは取り消されますか?
A. ANAは「実際の運航状況に関わらず」対象空港の航空券を手数料なしで変更・払い戻しすると案内しています。対象空港・対象期間に含まれていれば、結果的にその便が運航しても手数料はかかりません。対象かどうかは各社の発表で確認してください。
Q. ホテルのキャンセル料に上限はありますか?
A. 国が定めた上限はありません。観光庁のモデル宿泊約款の別表第2は「%」という記号だけで、具体的な率は空欄のまま各施設が設定する形になっています。旅行業約款が「20%以内」などと上限つきで告示されているのとは仕組みが違います。
Q. 台風で宿が休業した場合は、宿泊料を払う必要がありますか?
A. 必要ありません。モデル宿泊約款 第7条第1項第7号は「天災等不可抗力に起因する事由により宿泊させることができないとき」に施設側から解除できると定め、同条第2項で「宿泊客がいまだ提供を受けていない宿泊サービス等の料金はいただきません」としています。
Q. 台風で空港に足止めされたホテル代は誰が払いますか?
A. 自己負担が原則です。航空各社は、悪天候や自然災害による遅延・欠航に伴う地上交通費・宿泊費は利用者負担と案内しています。標準旅行業約款 第27条第2項も、天災地変による損害は旅行会社の賠償責任の対象外としています。
Q. 2026年のシルバーウィークはいつですか?
A. 9月19日(土)から23日(水)までの5連休です。21日が敬老の日、23日が秋分の日で、間に挟まれた22日(火)が祝日法の「国民の休日」にあたります。内閣府の祝日一覧にも「2026/9/22,休日」と登録されています。
まとめ:出発前に、根拠を持って動く
台風のキャンセルで損をしないためのポイントは3つです。
- ツアーは条文がある。第16条第2項第3号を根拠に、取消料ゼロでの解除を求められます。ただし「おそれが極めて大きい」と言える材料(警報・計画運休・欠航)が必要です
- 鉄道と航空は自動的に守られる。鉄道は運休が決まれば全額・無手数料、航空は欠航が決まる前から無手数料の対象になります。ネット予約の鉄道は、あわてて自分で取り消さないことも大事です
- 宿だけは自分で確認する。国の上限がないため、営業の可否と特例の有無を早めに聞くしかありません
そして共通するのは、出発前に判断したほうが戻る額が大きいということです。ツアーの取消料は前日で40%以内、当日で50%以内、出発後は100%以内まで上がり、出発後に打ち切られた場合は差し引き計算になります。判断を先送りするほど、選べる手が減っていきます。
あわせて読みたい
出典
- 観光庁「標準旅行業約款」(国土交通省告示第千五百九十三号)第16条・第17条・第18条・第19条・第27条・第29条、別表第一
- JR旅客営業規則 第2編第7章第3節第5款「運行不能及び遅延」第282条・第282条の2・第283条
- 観光庁「モデル宿泊約款」(国振第416号)第6条・第7条、別表第2
- JR各社「事故などで運休・遅延が生じた場合の扱い」(JR線ご利用案内)
- ANA「運航に影響が見込まれる際の変更・払い戻しについて」(国内線)
- JAL よくあるご質問「国内線|予約便が欠航・遅延した(もしくは予想される)場合、予約の変更、払い戻しはできますか。」
- 気象庁「台風情報」(2026年9月16日18時の実況・予報)
- 内閣府「国民の祝日について」(syukujitsu.csv)


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