相続登記は2024年4月に義務になりました。それより前の相続で登記していない不動産も対象で、期限は2027年3月31日です。今日(2026年11月2日)からあと149日です。遺産分割が終わっていなくても義務を果たす方法はあります。法務省のQ&Aをもとに、期限・過料・やることを整理しました。
不動産の登記期限
知った日から
場合の過料
登録免許税
結論:まず名義を確認し、話がまとまらなければ相続人申告登記
やることは3つです。①登記簿で名義を確かめる、②遺産分割をまとめて相続登記をする、③3月末までにまとまらなければ相続人申告登記で義務を果たす、です。
過料(行政上の金銭の制裁)は、期限を過ぎたらすぐに科されるものではありません。法務省によると、まず登記官から催告があり、それでも正当な理由なく登記しないときに裁判所へ通知される流れです。ただ、期限が消えるわけではないので、早めに動くほうが安全です。
この記事の立場
この記事は公的資料をもとに制度と計算を整理したものです。特定の業者や売却をすすめるものではありません。金額はすべて前提を置いた試算で、実際の税額や手続きは個別の事情で変わります。判断の前に税務署・法務局・税理士・司法書士などで確認してください。
相続した時期ごとの期限一覧
「いつ相続したか」と「いつ知ったか」で期限が変わります。法務省のQ&Aをまとめると次のとおりです。
| ケース | 期限 | 必要なこと |
|---|---|---|
| 2024年4月1日より前に、相続を知った不動産 | 2027年3月31日まで | 相続登記(または相続人申告登記) |
| 2024年4月1日以後に、相続で取得したと知った不動産 | 知った日から3年以内 | 相続登記(または相続人申告登記) |
| 遺産分割で取得した不動産 | 遺産分割の日から3年以内 | 分割の内容に応じた登記。相続人申告登記では代えられない |
義務は不動産を特定して知った日から始まります。親が持っていたかもしれない土地を具体的に知らない段階では、義務は発生しません。また、兄や姉が揉めて遺産分割が終わっていない場合は、相続する気がない人にも義務があります。分割前は全員が法定相続分で共有している状態だからです。
登記しないと何が起きるか|過料までの3段階
- 登記官が催告する義務違反を把握すると、登記をするよう催告書を送ります。法務省によると、催告のきっかけは、別の不動産の登記で出された遺言書や遺産分割協議書に、未登記の不動産も書かれていたときなどに限られます。
- 裁判所へ通知する催告の期限内に登記がなく、正当な理由も認められないと、登記官が裁判所に通知します。
- 裁判所が過料を決める過料は10万円以下の範囲で、裁判所が決めます。
「正当な理由」として法務省が挙げているのは、次の5つです。これ以外でも、個別の事情で認められることがあります。
- 相続人が極めて多く、戸籍の収集や相続人の把握に時間がかかる
- 遺言の有効性や遺産の範囲が争われている
- 本人が重病などの事情を抱えている
- 配偶者からの暴力の被害者などで、避難を余儀なくされている
- 経済的に困窮していて、登記の費用を負担できない
過料より困るのは「売れない」こと
名義が亡くなった人のままだと、その不動産は売れません。相続人申告登記も、売却や抵当権の設定には使えないと法務省が説明しています。売るつもりがあるなら、いずれ正式な相続登記が必要です。売却の流れは相続した実家を売る手順|登記・査定・税金を期限順に年表で整理にまとめました。
遺産分割がまとまらないときの相続人申告登記
相続人申告登記は、自分が相続人であることを登記官に申し出るだけで義務を果たせる、簡単な手続きです。2024年4月に始まりました。注意点は3つあります。
- 義務を果たしたことになるのは、申し出た本人だけです。全員分にするには全員の申出が要ります(連名でまとめることもできます)。
- 持分を示す登記ではないので、売却や担保設定には使えません。
- 後から遺産分割が成立したら、その日から3年以内に分割の内容で登記する義務が別にあります。
費用はいくら?登録免許税と2027年3月末までの免税
相続登記の登録免許税は、不動産の価額の0.4%(1,000分の4)です。価額は固定資産評価額が基準で、評価額1,000万円なら4万円です。これに戸籍などの取得費がかかり、司法書士に頼めば報酬が加わります。報酬は事務所によって違うので、見積もりで確かめてください。
次の2つの土地は、2027年3月31日までの登記なら登録免許税が免除されます。登記の義務の期限と同じ日です。
- 相続で土地を取得した人が、登記をしないまま亡くなった場合の、その人名義にする登記
- 価額が100万円以下の土地の相続登記
親の不動産の全体が分からないとき
2026年2月2日に所有不動産記録証明制度が始まりました。亡くなった人が登記簿上の所有者になっている不動産を、登記官が一覧にして証明してくれる制度です。市区町村ごとの名寄帳では拾えない他の地域の不動産を探す手がかりになります。
今日からやる順番
- 登記簿で名義を確かめる法務局やインターネットの登記情報で確認します。祖父母の名義のままなら、関係する相続人が増えて戸籍の収集に時間がかかります。
- 戸籍を集める亡くなった人の出生から死亡までの戸籍と、相続人の戸籍を集めます。広域交付で本籍地以外の窓口でも請求できる場合があります。
- 遺産分割の話し合いをする3月末に間に合わなそうなら、並行して相続人申告登記を準備します。
- 法務局へ申請する法務局の手続案内は予約制です。自分で難しければ司法書士に相談します。
登記した実家を持ち続けるか売るかは、空き家を売る・貸す・持つ・解体の10年比較|手取りの試算表で10年分の手取りを比べています。持ち続けるときの税金は空き家の固定資産税「6倍」の実額は3〜4倍|計算例と勧告378件を見てください。
よくある質問
Q. 30年前に亡くなった祖父の名義のままです。対象ですか?
A. 対象です。2024年4月1日より前に相続を知った不動産で登記がないものは、2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。
Q. 期限を1日でも過ぎたら10万円取られますか?
A. すぐに科されるわけではありません。登記官の催告があり、それでも正当な理由なく登記しないと裁判所に通知され、裁判所が10万円以下の範囲で過料を決めます。
Q. 遺産分割がまとまりません。どうすればいいですか?
A. 相続人申告登記で義務を果たせます。自分が相続人であることを申し出る手続きで、単独でできます。ただし売却はできず、分割が成立したら3年以内に正式な登記が必要です。
Q. 実家を相続しないつもりでも義務はありますか?
A. 遺産分割が終わるまでは、法定相続分で共有している状態なので義務があります。分割で他の人の所有に決まれば義務はなくなります。相続放棄をした場合は相続人ではなくなります。
Q. 相続登記の費用はいくらですか?
A. 登録免許税は固定資産評価額の0.4%で、1,000万円なら4万円です。100万円以下の土地などは2027年3月31日まで免税です。別に戸籍の取得費と、頼む場合は司法書士の報酬がかかります。


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