相続した実家を売るには、登記、遺産分割、査定、確定申告の順に進みます。売るのが遅れると税金が大きく変わります。空き家の3,000万円控除は、相続から3年目の年末までに売らないと使えません。2023年に相続した人の期限は2026年12月31日です。国税庁と法務省の資料で、順番と期限を整理しました。
(相続人3人以上は2,000万円)
使えないときの税金の試算
譲渡所得の税率
結論:最初に登記、次に「控除が使える家か」を確認する
相続した家を売る順番は、①遺産分割、②相続登記、③控除の要件の確認、④査定と売却、⑤翌年の確定申告です。登記をしないと売れませんし、要件を確かめずに貸したり売ったりすると控除を失うことがあります。
試算では、1,000万円で売ったときの手取りは、控除が使えれば約960万円、使えなければ約776万円でした。差は約185万円です。
この記事の立場
この記事は公的資料をもとに制度と計算を整理したものです。特定の業者や売却をすすめるものではありません。金額はすべて前提を置いた試算で、実際の税額や手続きは個別の事情で変わります。判断の前に税務署・法務局・税理士・司法書士などで確認してください。
相続から売却までの期限の年表
亡くなった日を起点にすると、次の期限が順に来ます。
| いつまで | 何を | 根拠・注意 |
|---|---|---|
| 知った時から3か月 | 相続放棄するかを決める | 家庭裁判所に申述。実家だけ放棄することはできない |
| 翌日から10か月 | 相続税の申告(かかる人だけ) | 税務署へ |
| 取得を知ってから3年 | 相続登記 | 2024年4月より前の相続は2027年3月31日まで |
| 3年目の年の12月31日 | 空き家の特例を使える売却の期限 | 例:2023年の相続なら2026年12月31日 |
| 相続税の申告期限の翌日から3年 | 相続税の取得費加算を使える売却の期限 | 空き家の特例とは併用できない |
| 売った年の翌年の確定申告 | 譲渡所得の申告 | 控除で税金が0円でも申告が必要 |
手順1:遺産分割をして相続登記をする
売るのは名義人です。亡くなった人の名義のままでは売れません。遺産分割で誰が相続するかを決めて、相続登記をします。相続人申告登記は義務を果たす手段で、売却には使えません。期限や費用は相続登記の期限は2027年3月31日|過去の相続も対象、過料と手順にまとめました。
兄弟の共有名義にすると、売るときに全員の同意が要ります。売ると決めているなら、代表者の名義にして売却代金を分ける「換価分割」という方法もあります。税金の扱いが変わることがあるので、税理士に確認してください。
手順2:空き家の3,000万円控除が使えるか確かめる
国税庁のタックスアンサーNo.3306によると、主な要件は次のとおりです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 建てた時期 | 1981年(昭和56年)5月31日以前 |
| 建物の種類 | 区分所有の登記がない建物(一般的なマンションは対象外) |
| 住んでいた人 | 亡くなる直前に、亡くなった人だけが住んでいた(老人ホーム入所は条件つきで可) |
| 相続後の使い方 | 売るまで、事業・貸付・居住に使っていない |
| 売り方 | 耐震基準を満たして売る、解体して土地を売る、または買主が翌年2月15日までに耐震改修か解体をする |
| 売った時期 | 相続から3年を経過する日の年の12月31日まで、かつ2027年12月31日まで |
| 価格 | 1億円以下 |
| 買主 | 親子や夫婦など特別の関係がある人でない |
よくある失敗:一度貸すと使えなくなる
相続してから売るまでに、家を貸したり自分で住んだりすると要件から外れます。「とりあえず貸して、後で売ろう」と決める前に、損得を比べてください。比較は空き家を売る・貸す・持つ・解体の10年比較|手取りの試算表にまとめました。
相続人が3人以上いるときは、2024年以後の売却で控除の上限が2,000万円になります。申告には、市区町村が発行する被相続人居住用家屋等確認書が必要です。交付に時間がかかることがあるので、売ると決めたら早めに窓口に確認してください。
手順3:査定を取って売り方を決める
売り方は、買主を探す仲介と、不動産会社が買い取る買取の2つです。古い家では、買主に解体してもらう前提で土地として売ることもあります。買取の価格や、どこで手取りが逆転するかは空き家の買取と仲介の違い|手取りが逆転する価格を金額別に計算で計算しました。査定は複数社に取って、金額の根拠を聞いてください。
手順4:税金を計算する
税金の対象は売値そのものではなく、次の譲渡所得です。
譲渡所得=売った金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除
親が買った値段が分からないときは、売った金額の5%を取得費にできます。相続した家の所有期間は、亡くなった人が取得した日から数えるのが原則なので、多くは所有5年超の長期譲渡所得になり、税率は復興特別所得税を含めて20.315%です。
| 1,000万円で売った場合 | 控除あり | 控除なし |
|---|---|---|
| 売った金額 | 1,000万円 | 1,000万円 |
| 取得費(5%) | 50万円 | 50万円 |
| 譲渡費用(仲介手数料) | 39.6万円 | 39.6万円 |
| 譲渡所得 | 910.4万円 | 910.4万円 |
| 特別控除 | 910.4万円まで | 0円 |
| 税金(20.315%) | 0円 | 約184.9万円 |
| 手取り | 約960.4万円 | 約775.5万円 |
税金は売った翌年の確定申告で納めます。控除を使って税金が0円になる場合も、申告しないと控除は受けられません。相続税を払った人は、取得費加算の特例と比べて有利なほうを選びます(同じ家で両方は使えません)。
売れなかったときの選択肢
買い手が見つからない家もあります。そのときは、自治体の空き家バンクへの登録、隣の家への打診、買取業者への相談があります。土地だけなら相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう道もありますが、建物があると申請できず、審査手数料(1筆1万4,000円)と負担金がかかります。持ち続けるなら、税金が上がる条件を空き家の固定資産税「6倍」の実額は3〜4倍|計算例と勧告378件で確認してください。
よくある質問
Q. 実家を売るのに相続登記は必要ですか?
A. 必要です。亡くなった人の名義のままでは売れません。相続人申告登記では売却できないので、遺産分割をして相続登記をします。
Q. 空き家の3,000万円控除はいつまでですか?
A. 現行では2027年12月31日までの売却が対象です。さらに、相続から3年を経過する日の年の12月31日までに売る必要があります。2023年に相続した場合は2026年12月31日です。
Q. 親がいくらで買ったか分かりません。税金はどうなりますか?
A. 売った金額の5%を取得費にできます。3,000万円で売れば150万円です。実際の取得費が5%より少ない場合も同じです。
Q. マンションでも空き家の控除は使えますか?
A. 区分所有の登記がある建物は対象外なので、一般的なマンションには使えません。1981年6月以降に建てられた家も対象外です。
Q. 税金が0円なら確定申告は不要ですか?
A. 必要です。特例は一定の書類を付けて確定申告をすることが条件です。市区町村の被相続人居住用家屋等確認書も要ります。
あわせて読みたい
出典・参考資料
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 国税庁 No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋
- 国税庁 No.3258 取得費が分からないとき
- 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
- 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
- 法務省「相続土地国庫帰属制度について」


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