空き家の買取は不動産会社が直接買う方法、仲介は買主を探す方法です。買取価格は相場の7〜8割という解説が多く、高い家なら仲介が有利です。ただ手数料と売れるまでの費用を引くと、300万円の家なら買取が85%で並び、売れるまで2年かかるなら話はさらに変わります。金額別に計算しました。
(不動産会社各社の解説)
仲介報酬の上限(税込)
並ぶ買取価格の割合
並ぶ買取価格の割合
結論:買主がすぐ見つかるなら仲介、見つからないなら買取
売れる見込みがある家は、仲介のほうが手取りが多くなります。一方、何か月も買主が現れない家、荷物を片付けられない家、控除の期限が迫っている家では、買取の速さが価値を持ちます。買取価格を「相場の何割か」だけで判断せず、同じ条件の手取りで比べるのが大事です。
この記事の立場
この記事は公的資料をもとに制度と計算を整理したものです。特定の業者や売却をすすめるものではありません。金額はすべて前提を置いた試算で、実際の税額や手続きは個別の事情で変わります。判断の前に税務署・法務局・税理士・司法書士などで確認してください。
買取と仲介の違い一覧
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買う人 | 一般の個人など | 不動産会社 |
| 価格 | 市場で決まる | 相場の7〜8割が目安とされる |
| 仲介手数料 | かかる | 直接の売買ならかからない |
| 売れるまで | 数か月〜売れないことも | 数週間〜1か月程度とされる |
| 荷物や傷み | 片付けを求められやすい | 現状のまま相談できることが多い |
| 売った後の責任 | 契約不適合責任の負担を特約で調整 | 免除の特約が付くことが多い |
「7〜8割」は公的な数字ではありません
この割合は、不動産会社の解説記事でよく使われる目安で、5〜8割と幅をとる解説もあります。古い空き家では、解体費を引いて査定されるため、もっと低くなることもあります。実際の価格は査定を取らないと分かりません。
手取りが並ぶ買取価格を金額別に計算
仲介で売ると、手数料のほかに、売れるまでの維持費がかかります。ここでは売れるまで6か月、維持費を年22万円(10年比較の前提と同じ)として11万円を引きました。仲介の手取りと同じになる買取価格の割合が、右端の数字です。
| 仲介で売れる値段 | 手数料 | 仲介の手取り | 並ぶ買取割合 |
|---|---|---|---|
| 2,000万円 | 72.6万円 | 1,916.4万円 | 96% |
| 1,000万円 | 39.6万円 | 949.4万円 | 95% |
| 800万円 | 33万円 | 756.0万円 | 94% |
| 500万円 | 33万円 | 456.0万円 | 91% |
| 300万円 | 33万円 | 256.0万円 | 85% |
| 200万円 | 33万円 | 156.0万円 | 78% |
読み方は、「2,000万円の家なら買取は96%出ないと仲介に負ける」「200万円の家なら78%で並ぶ」です。7〜8割が相場なら、並ぶのは200万円台の家あたりで、それより高い家は順調に売れれば仲介が有利です。
800万円以下で手数料が割高に見えるのは、2024年7月に国土交通省の告示が改正され、800万円以下の家は報酬の上限が税込33万円まで認められるようになったためです。古い空き家を扱ってもらいやすくする措置です。
売れるまで2年かかったら逆転する
次は、2年売れずに2割値下げして売れた場合です。維持費は44万円になります。
| 当初の値段 | 2年後の売値 | 手数料 | 手取り | 並ぶ買取割合 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 800万円 | 33万円 | 723.0万円 | 72% |
| 500万円 | 400万円 | 33万円 | 323.0万円 | 65% |
| 300万円 | 240万円 | 33万円 | 163.0万円 | 54% |
1,000万円の家でも72%、500万円の家なら65%まで下がります。7〜8割で買取の提示があれば、2年売れない見込みの家では買取のほうが手取りが多い計算です。さらに期限を過ぎて控除が使えなくなると、1,000万円で売れる家では約185万円の税金が加わります(控除の要件)。
買取でも3,000万円控除は使える?
使えます。国税庁の要件に買主の職業の制限はなく、親子や夫婦など特別の関係がある人への売却でなければ対象になります。古い家をそのまま売る場合は、買主が売った年の翌年2月15日までに耐震改修か解体をすることが条件なので、売買契約の前に業者へ確認してください。解体しない再販を予定している業者だと、要件を満たせないことがあります。
買取業者に頼む前の確認リスト
- 複数社の査定を取り、解体費や残置物の費用をいくら引いているか聞く
- 宅地建物取引業の免許番号を確かめる
- 契約不適合責任の免除が契約書に書かれているか確かめる
- 確認書と耐震・解体の条件に協力してもらえるか聞く(控除を使う場合)
- 「今日中に決めて」と急かす業者とは契約しない
高齢の親が自宅を売って住み続けるリースバックは別の取引で、トラブルの相談も増えています。リースバックのトラブルも読んでおくと安心です。
よくある質問
Q. 空き家の買取価格は相場の何割ですか?
A. 不動産会社の解説では7〜8割が多く、5〜8割とする解説もあります。公的な統計はありません。古い家は解体費を引かれてさらに低くなることがあるので、複数社の査定で確かめてください。
Q. 買取なら仲介手数料はかかりませんか?
A. 不動産会社が直接買うならかかりません。ただし別の会社が間に入って買取業者を紹介する場合は、手数料がかかることがあります。
Q. 800万円以下の空き家の仲介手数料はいくらですか?
A. 2024年7月の告示改正で、800万円以下の家は事前の説明と合意があれば税込33万円を上限に受け取れるようになりました。通常の計算より高くなることがあるので、媒介契約の前に金額を確認してください。
Q. 仲介と買取はどちらを先に試すべきですか?
A. 期限に余裕があれば、仲介の査定と買取の査定を同時に取るのが効率的です。仲介で売り出す期間を決めておき、売れなければ買取に切り替える方法もあります。
Q. 買取でも3,000万円控除は使えますか?
A. 使えます。ただし古い家をそのまま売るなら、買主が翌年2月15日までに耐震改修か解体をする必要があります。契約の前に確認してください。


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