2026年9月18日 社内会議で説明|毎日新聞・日本経済新聞の報道と会社公表資料から整理
営業社員による金銭詐取問題を受けて新規販売を自粛中のプルデンシャル生命保険が、完全歩合制に近い報酬制度「フルコミッション」を、支社長・営業所長といった現場トップについて廃止し、固定給を導入する方針を9月18日の社内会議で説明したと報じられました。営業社員には月35万円程度の「最低報酬」を設ける方針がすでに伝えられており、同社の看板だった報酬の仕組みが根本から変わります。
プルデンシャル生命は、営業社員(ライフプランナー)の報酬が契約実績にほぼ連動する「フルコミッション」で知られ、年収数千万円〜億単位の営業社員がいる一方、実績が出なければ収入が激減する仕組みでした。2026年1月に公表された金銭詐取問題では、この過度な成果主義が不正を誘発したと会社自身が認め、報酬制度の作り直しが再建策の柱になっています。
この記事では、①9月18日に報じられた「現場トップの固定給化」の中身、②営業社員向けの「最低報酬35万円」との関係、③会社が公表した資料でわかる制度改革の設計、④その背景にある不祥事と業績の数字、⑤契約者への影響、を整理します。
この記事の結論
- 支社長・営業所長のフルコミッションを廃止し固定給に(毎日新聞 2026年9月18日、独自報道)。9月18日の社内会議で役員が説明。金額や開始時期は未公表で、質疑の時間はなかったとされます。
- 営業社員は月35万円程度の最低報酬を設け、報酬が届かない月は差額を補塡(毎日新聞 7月27日)。日経は「月30万円程度の収入保証」と報道(7月27日)。新規契約時の報酬を減らし、契約が続いたときの報酬を増やす設計です。
- 会社の公表資料(4月22日)では「基本保証給の導入」「長期継続率・コンプライアンス要素を勘案」「アフターサービスの比重を引き上げ」と明記。得丸博充社長は4月の会見で「初年度にもらえる報酬は下がる」と明言しています。
- 背景の不祥事は、社員・元社員107人が顧客約503人から約30.8億円を受領(1月16日公表)。その後の申し出で被害認定は拡大し、5月には補償費用として55億円を計上、7月には新たに7.9億円の被害が判明しました。
- 2月9日から続く新規販売の自粛で、4〜6月期の新契約件数は7,378件(前年同期比90.7%減)、保有契約高は45兆932億円(前年度末比1.4%減)。自粛は延長され11月上旬までの予定です。
1. 9月18日に何が説明されたのか
毎日新聞(9月18日19時37分配信)によると、プルデンシャル生命は9月18日の社内会議で、支社長や営業所長についてフルコミッションを廃止し、固定給を導入する方針を役員が説明しました。支社長・営業所長は新人の採用や営業指導を担う現場の責任者で、これまでは部下の実績などに連動する歩合型の報酬でした。
- 対象支社長・営業所長(現場の管理職)全国の支社は140(4月1日時点、会社公表)。営業社員4,000名以上を束ねる立場です。
- 内容フルコミッションを廃止し、固定給へ金額と開始時期は9月19日時点で公表されていません。
- 現場の反応「大幅減額になるのでは」との戸惑い会議に質疑の時間はなく、「不正の責任を現場に押しつけ、辞めろと言うのか」といった受け止めも報じられています。
会社の再建策は「営業社員の報酬」と「営業管理職の評価」を分けて設計しています。営業社員側は6月に説明済みの最低報酬案、管理職側が今回の固定給化です。4月22日の公表資料でも、営業管理職について「役割・権限・責任を明確化し、新たな役割に応じた制度を定義」「評価はコンプライアンス・保険継続率・営業社員活動品質の軸を強化」と書かれており、固定給化はこの延長線上にあるといえます。
2. 営業社員の「最低報酬35万円」とは
報道を総合すると、営業社員向けの新制度は次の3点で構成されます。
| 項目 | これまで | 新制度(報道・公表資料) |
|---|---|---|
| 固定部分 | 実質なし(契約実績に連動する完全歩合に近い) | 月35万円程度の最低報酬(日経は30万円程度)。届かない月は差額を補塡 |
| 新規契約の報酬 | 契約初年度に厚く支払われる | 減額。社長は「初年度にもらえる報酬は下がる」と明言(4月会見) |
| 継続の報酬 | 薄い | 増額。長期継続率・コンプライアンスを勘案し、アフターサービスの比重を引き上げ |
| 経費 | 飲食費・交通費などは自己負担 | 引き続き自己負担の見通し(毎日新聞) |
| 管理職 | 歩合型 | 支社長・営業所長は固定給へ(9月18日説明) |
ポイントは、「稼げる上限」を下げて「下限」を上げる設計だという点です。得丸社長は4月の会見で「入社して3、4年働き、年収1億円を稼いで辞めるような人はいなくなるのか」と問われ、「そういった考え方になります」と答えています(宣伝会議 AdverTimes 4月23日)。朝日新聞も社内で「年収がガッツリ減る」との予想が出ていると報じました。
フルコミッションの何が問題だったのか
会社が1月16日に公表した資料は、金銭不祥事の原因として「新契約業績に強く連動した現行の営業報酬制度」を挙げています。新規契約を取り続けないと収入が維持できない仕組みは、①顧客に不要な乗り換え(いわゆる転がし)を勧める、②営業成績が落ちた社員が顧客との信頼関係を使って個人的に金銭を得る、という2つの方向に働きやすい、という整理です。4月22日の資料では、支社体制についても「営業社員の管理・監督を営業管理職の裁量に委ねる部分が大きく」「営業管理職の役割も営業推進面を中心に運営されていた」と、管理職側の問題を認めています。
3. ここまでの経緯(時系列)
- 2024年8月「お客さま確認」開始約209万通の手紙、約13万名への電話、約70万通のメールで、社員・元社員による不審な金銭取り扱いがないかを確認。
- 2026年1月16日調査結果と社長交代を公表制度・保険業務に関連する詐取が元社員3名・被害8名・約6千万円。それ以外に106名の社員・元社員が在職中に約16.3億円、退職後に約14.5億円を受領。2月1日付で得丸博充氏が社長に。
- 2026年2月4日新規契約の販売を90日間自粛(2月9日から)2月10日には社外の第三者委員会と「お客さま補償委員会」を設置。
- 2026年4月22日自粛を180日間延長、報酬制度の基本設計を公表「基本保証給の導入」「長期継続率・コンプライアンス要素を勘案」と明記。全140支社を経営陣が訪問へ。
- 2026年5月26日補償費用55億円を計上当初31億円としていた被害の説明から、対象拡大で増額。
- 2026年6月営業社員に「最低報酬35万円」案を説明全支社へオンラインで説明(7月27日に毎日新聞・日経が報道)。
- 2026年7月24日新たに7.9億円の被害を認定プルデンシャル生命101人・6.2億円、ジブラルタ生命24人・1.7億円。
- 2026年8月24日自粛期間中にも不適切な金銭受領の疑い多摩支社の営業社員(40代男性・すでに死亡)が架空の高金利預金を装って受領した疑い。
- 2026年8月27日4〜6月期決算:新契約件数90.7%減新契約高690億円(92.8%減)、経常損失346億円。
- 2026年9月14日元営業社員が顧客1,570人分の情報を持ち出し・紛失拾った第三者からの連絡で発覚。
- 2026年9月18日支社長・営業所長のフルコミッション廃止を社内で説明固定給へ。金額・時期は未公表。
4. 自粛の代償:数字で見る4〜6月期
報酬改革を急ぐ背景には、営業自粛が業績に直撃している現実があります。8月27日公表の第1四半期業績報告から主な数字を拾います。
| 指標 | 実績 | 増減 |
|---|---|---|
| 新契約件数 | 7,378件 | 90.7%減(前年同期比) |
| 新契約高 | 690億円 | 92.8%減 |
| 新契約年換算保険料 | 28億円 | 84.3%減 |
| 保有契約高 | 45兆932億円 | 1.4%減(前年度末比) |
| 保有契約件数 | 455.2万件 | 1.5%減 |
| 基礎利益 | 106億円 | 5.4%増 |
| 経常損益 | 346億円の経常損失 | 補償関連の費用処理が影響 |
新契約の大半は、すでに事業保険を契約している法人の新入社員分などで、個人向けの新規販売はほぼ止まっています。一方で解約は前年同期を上回る水準と会社は説明しており、保有契約件数は3か月で約1.5%(約7万件規模)減りました。営業社員にとっては、新規契約で稼ぐ道が閉じたまま「初年度報酬を下げる」新制度が示された形で、現場の戸惑いはここから来ています。
5. 契約者はどうすればいいか
すでに契約している人への影響
- 新規販売の自粛も報酬制度の変更も、既存の保険契約・保障内容・保険金の支払いには影響しないと会社は繰り返し説明しています。
- 担当の営業社員が退職・異動する可能性は高まっています。担当者が変わっても契約はカスタマーサービスセンター(0120-810740)で継続して扱われます。
- 営業社員・元社員から保険と関係のない投資や預金、個人的な借り入れを持ちかけられたことがあれば、お客さま補償委員会(0120-473-160)に申し出ることができます。
注意:生命保険会社の社員に現金を渡す場面は、正規の手続きでは基本的にありません。保険料は口座振替やカード払いで会社に直接支払うものです。「高金利の預金」「特別な投資」を担当者個人から勧められたら、その時点で会社の窓口に確認してください。
6. よくある質問
Q. プルデンシャル生命のフルコミッション廃止とは何ですか?
A. 契約実績にほぼ連動する完全歩合制に近い報酬制度を改める動きです。営業社員には月35万円程度の最低報酬(日経報道では30万円程度)を設け、初年度報酬を減らして継続報酬を増やす案が6月に説明されました。9月18日には支社長・営業所長について歩合型をやめて固定給にする方針が社内で説明されたと報じられています。
Q. 固定給はいくらで、いつから始まりますか?
A. 9月19日時点で、支社長・営業所長の固定給の金額と開始時期は公表されていません。営業社員の最低報酬も報道ベースの数字で、会社は4月22日の資料で「基本保証給の導入」という基本設計を示した段階です。
Q. なぜ報酬制度を変えるのですか?
A. 会社は金銭不祥事の原因として「新契約業績に強く連動した営業報酬制度」を挙げています。社員・元社員107人が顧客約503人から約30.8億円を受領した問題を受け、過度な成果主義が不正を誘発したと認め、報酬の安定化と長期のアフターサービス重視へ切り替えるためです。
Q. 契約している保険はどうなりますか?
A. 保険契約、保障内容、保険金・給付金の支払いはこれまでどおりで、販売自粛や報酬制度の変更による影響はないと会社は説明しています。担当者が変わる可能性はありますが、契約はカスタマーサービスセンターで継続して扱われます。
7. まとめ
- 9月18日、プルデンシャル生命は支社長・営業所長のフルコミッションを廃止し固定給にする方針を社内で説明(毎日新聞)。金額・時期は未公表です。
- 営業社員には月35万円程度の最低報酬を設け、初年度報酬を減らして継続報酬を増やす案が6月に説明済み。社長は「初年度報酬は下がる」と明言しています。
- 背景は107人・約30.8億円の金銭詐取問題と、2月9日から続く新規販売の自粛。4〜6月期の新契約件数は90.7%減でした。
- 既存契約への影響はなし。担当者から保険と無関係の金銭の話が出たら、会社の窓口に確認を。
参考資料:プルデンシャル生命「信頼回復に向けた改革の取り組みについて」(2026年1月16日)、「新規契約の販売活動の自粛期間を180日間延長」(4月22日)、「2026年度第1四半期業績報告」(8月27日)、「弊社多摩支社の営業社員による不適切な金銭受領事案について」(8月24日)/毎日新聞「プルデンシャル、完全歩合に近い制度廃止へ 現場トップも固定給」(2026年9月18日)、「プルデンシャル生命 「完全歩合」見直しへ 最低報酬35万円保証」(7月28日朝刊)/日本経済新聞「プルデンシャル生命、営業社員「完全歩合」を撤廃 再建策の全容判明」(7月27日)/宣伝会議 AdverTimes(2026年4月23日)/朝日新聞。


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