アメリカのパンダは6頭に。日本は0頭のまま242日が過ぎた
2026年9月24日、中国の習近平国家主席が「パンダ2頭が数日のうちにアトランタの動物園に着く」と明らかにしました。これでアメリカのパンダは6頭になります。一方の日本は、1月27日に上野動物園のシャオシャオとレイレイが中国へ旅立ってから、ずっと0頭のままです。なぜアメリカには来て日本には来ないのか。パンダがいなくなって、動物園や観光地のお客さんは本当に減ったのか。東京動物園協会と和歌山県が公表している入場者数を月ごとに並べて確かめました。
2026年9月26日時点の情報で作成
到着後の米国のパンダ
(1972年以来初)
9月26日まで
(2〜3月・前年比)
アメリカにパンダ2頭、あわせて6頭に
アトランタ動物園に来るのは、オスのピンピン(平平)とメスのフーシュアン(福双)です。2頭とも中国・四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地で生まれました。貸し出しは2026年4月に中国野生動物保護協会が発表していましたが、9月24日の米中首脳会談を前に、習主席が「友好の使者」として数日内に到着すると表明しました。
アメリカには現在、首都ワシントンのスミソニアン国立動物園に2頭、カリフォルニア州のサンディエゴ動物園に2頭がいます。ここにアトランタの2頭が加わって、全米で6頭になります。
パンダは中国から「贈られる」のではなく、共同研究の名目で「貸し出される」動物です。所有権は中国にあり、貸し出し中に生まれた赤ちゃんも中国のものです。期限が来れば返すのが原則で、延長するかどうか、新しいパンダを送るかどうかは中国側が決めます。
アメリカは一度も0頭にならなかった
アメリカでも2023年に「パンダがいなくなる」と大きく報じられました。ところが実際の出入りを日付で並べると、アメリカのパンダは一度も0頭になっていません。最後まで残っていたアトランタの4頭が返されたのは、新しいペアがサンディエゴに着いた4か月後、ワシントンに次のペアが着くわずか3日前でした。
| 時期 | できごと | 米国内の頭数 |
|---|---|---|
| 2023年4月 | メンフィス動物園のヤーヤーが中国へ | 7頭 |
| 2023年11月 | スミソニアン国立動物園の3頭が中国へ | 4頭(アトランタのみ) |
| 2024年6月下旬 | サンディエゴ動物園にユンチュアン・シンバオが到着 | 6頭 |
| 2024年10月12日 | アトランタの4頭が中国へ出発 | 2頭 |
| 2024年10月15日 | ワシントンにバオリー・チンバオが到着 | 4頭 |
| 2026年9月末 | アトランタにピンピン・フーシュアンが到着予定 | 6頭 |
2023年は米中関係が冷え込み、パンダの契約更新が次々と見送られた時期でした。それでも米中首脳が会談で関係の立て直しを探り始めると、2024年2月にはサンディエゴへの新しいペアが発表されています。関係が動けば、パンダも動く。アメリカの3年間は、その典型でした。
日本が0頭になるまで
日本のパンダは、1972年の日中国交正常化を記念して上野動物園にカンカンとランランがやって来たのが始まりです。それから53年あまり、上野・和歌山・神戸のどこかに必ずパンダがいました。
- 1972年10月カンカン・ランランが上野に到着日中国交正常化の記念。ここから日本の「パンダがいる時代」が始まりました。
- 2024年3月神戸・王子動物園のタンタンが死亡国内のパンダは上野と和歌山の2か所になりました。
- 2025年6月和歌山の4頭を中国へ返還アドベンチャーワールドの良浜(らうひん)ら4頭が、6月28日に成都へ戻りました。貸し出しの契約は8月まででしたが、暑さを避けて早めに返されました。
- 2025年12月東京都が上野の双子の返還を発表12月15日に発表。最終観覧日は2026年1月25日とされ、上野には最大4時間の行列ができました。
- 2026年1月シャオシャオ・レイレイが中国へ1月27日に上野を出発し、日本のパンダは1972年以来初めて0頭になりました。
- 2026年9月0頭のまま242日新しいパンダが来るという発表は、9月26日時点で出ていません。
パンダはなぜ日本に来ないのか
中国政府は、返還の理由を「契約の満了」と説明しています。ただ、アメリカの例と比べると、日本だけが空白のまま置かれている理由は3つに整理できます。
理由1:延長や新しい貸し出しの話し合いがなかった
パンダの契約は、期限が近づくと延長や入れ替えを話し合うのが普通です。和歌山と上野の返還では、そうした交渉が行われなかったことが報じられています。アメリカでは古いペアの返還と新しいペアの到着がほぼ同時に進みましたが、日本は「返すだけ」で終わりました。
理由2:日中関係の冷え込み
2025年11月、高市早苗首相が国会で台湾有事に触れた答弁をしたことに中国が強く反発し、日中関係は冷え込みました。共同通信は2026年7月、この対立が続くなかで「ゼロパンダ」の解消は難しいと報じています。パンダが外交の道具として使われてきた歴史を考えると、関係が改善しないかぎり新しいパンダは来にくいと言えます。
仙台市は2011年9月、東日本大震災からの復興の象徴としてパンダの貸し出しを中国に求めました。同年12月の日中首脳会談では中国側が「前向きに検討する」と応じましたが、2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化して関係が悪化し、話は進まなくなりました。
理由3:誘致する側の動きも止まっている
パンダを迎えたい自治体は、仙台市・東京都・茨城県などにあります。ただ共同通信によると、日中関係の悪化を受けて、こうした誘致の動きも低調になっています。パンダの受け入れには専用の施設や、1ペアで年間100万ドル程度と報じられてきた保護協力金も必要です。自治体としても、見通しが立たないなかでは予算を付けにくい事情があります。
パンダがいなくなって、お客さんは減った?
「パンダがいなくても客は減らなかった」という報道もあれば、「上野は大きく減った」という報道もあります。どちらが本当なのか、公式の入場者数を月ごとに並べてみました。
上野動物園:2〜3月は17.3%減、ほかの都立動物園は増えていた
東京動物園協会は、都立動物園の入園者数を毎月公表しています。上野動物園の数字を前年の同じ月と比べると、次のようになります。
| 月 | 上野動物園 | 前年比 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月 | 42万9819人 | +26.2% | 貸与期限(2026年2月)が近づく |
| 2025年12月 | 28万1261人 | +28.1% | 15日に返還発表 |
| 2026年1月 | 28万6525人 | +11.7% | 25日が最終観覧日 |
| 2026年2月 | 21万4097人 | −14.7% | パンダ0頭 |
| 2026年3月 | 28万6243人 | −19.1% | パンダ0頭 |
返還前の11月〜1月は、お別れに訪れた人で前年より約18万1000人多くなりました。ところがパンダがいなくなった2月と3月は、2か月あわせて60万4822人から50万340人へ、17.3%減っています。
ここで大事なのが「ほかの動物園はどうだったか」です。天気や景気の影響なら、同じ東京の動物園もそろって減るはずです。ところが同じ2〜3月、パンダのいない多摩動物公園は4.6%増、井の頭自然文化園は5.2%増でした。上野だけが減っているので、この落ち込みの多くはパンダがいなくなったことによるものと考えられます。
| 2026年2〜3月 | 入園者数 | 前年同期 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 上野動物園 | 50万340人 | 60万4822人 | −17.3% |
| 多摩動物公園 | 15万6869人 | 14万9915人 | +4.6% |
| 井の頭自然文化園 | 21万3700人 | 20万3106人 | +5.2% |
なお共同通信は、上野の入園者数が6月までの半年間で前年より約14.4%減ったと報じています(1月のお別れ需要を含む期間)。4月以降の月別の数字は、9月26日時点で協会のサイトにまだ掲載されていません。
白浜:「返還後も増えた」の中身は返還前の駆け込み
和歌山県白浜町については「パンダ返還後も観光客が増えた」と報じられました。和歌山県の観光客動態調査を見ると、2025年の旧白浜町(白浜温泉・椿温泉のエリア)の観光客は309万327人で、前年より2.8%多くなっています。
ただ、月ごとに分けると別の姿が見えてきます。
| 2025年の期間 | 観光客数 | 前年同期 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 1〜4月 | 98万1803人 | 95万9327人 | +2.3% |
| 5〜6月(返還直前) | 49万4333人 | 42万4927人 | +16.3% |
| 7〜12月(返還後) | 161万4191人 | 162万2924人 | −0.5% |
| 1年間 | 309万327人 | 300万7178人 | +2.8% |
1年間で増えた約8万3000人のうち、約6万9000人は返還直前の5〜6月に集中していました。お別れに訪れた人の「駆け込み」です。返還後の7〜12月だけを見ると、前年より0.5%少ない横ばいでした。県の報告書も、返還の翌月の7月は宿泊客・日帰り客ともに減ったと書いています。
上野も白浜も、返還の前にお別れの人が押し寄せたため、1年単位で見ると「減っていない」ように見えます。上野動物園の2025年度(2025年4月〜2026年3月)の入園者数も、前年度より0.8%多い338万7959人でした。パンダがいなくなった影響は、年間の合計ではなく、いなくなった後の月で見ないとわかりません。白浜は、大阪・関西万博の外国人客や前年に中止された花火大会の開催に支えられ、返還後も横ばいを保ちました。上野は、パンダがいなくなった直後の2か月で2割近く減りました。
パンダはいつ日本に戻ってくる?
9月26日時点で、日本に新しいパンダが来るという発表はありません。ここまでの経緯から、再び来るかどうかは次の3点がカギになりそうです。
- 日中首脳の対話:アメリカでは首脳会談をきっかけにパンダの話が動きました。日中の首脳会談で関係改善が確認されるかどうかが、最初の目安になります
- 受け入れ先の手あげ:上野・和歌山・仙台などが正式に貸し出しを求め、施設と費用の準備を示せるかどうか
- 準備にかかる時間:アメリカの例では、貸し出しの発表から到着まで、サンディエゴで約4か月、アトランタで約5か月かかりました。仮に合意しても、すぐに見られるわけではありません
中国は2026年4月、韓国の国会議長がパンダの再導入を提案した際にも「パンダは友好の使者」という原則的な答えにとどめました。アメリカのように関係改善の「しるし」として送られるのか、それとも空白が長引くのか。日中関係のニュースとあわせて、新しい動きがあればこの記事に追記します。
日本のパンダについてよくある質問
Q. いま日本にパンダは何頭いますか?
A. 0頭です。2026年1月27日に上野動物園のシャオシャオとレイレイが中国へ旅立ち、日本のパンダは1972年以来初めていなくなりました。9月26日時点で、新しいパンダが来るという発表はありません。
Q. パンダはなぜ日本に来ないのですか?
A. 中国は返還の理由を「契約の満了」としていますが、延長や新しい貸し出しの交渉が行われなかったことが報じられています。2025年11月以降の日中関係の冷え込みで、共同通信は「ゼロパンダ」の解消は難しいと伝えています。
Q. アメリカにはパンダが何頭いますか?
A. ワシントンのスミソニアン国立動物園に2頭、サンディエゴ動物園に2頭がいて、アトランタ動物園にピンピンとフーシュアンの2頭が加わると6頭になります。アメリカでは2023〜2024年にパンダの返還が続きましたが、一度も0頭にはなっていません。
Q. パンダがいなくなって上野動物園のお客さんは減りましたか?
A. 減りました。東京動物園協会の公表値では、2026年2〜3月の入園者は前年より17.3%少ない50万340人でした。同じ時期に多摩動物公園は4.6%、井の頭自然文化園は5.2%増えており、上野だけが大きく減っています。
Q. 上野や和歌山で生まれたパンダも返さないといけないのですか?
A. はい。貸し出し中に日本で生まれた赤ちゃんも所有権は中国にあり、一定の年齢になると中国へ移ります。上野生まれのシャンシャンや双子のシャオシャオ・レイレイ、和歌山生まれの多くのパンダが、この決まりに沿って中国へ渡りました。
・東京動物園協会「入園者数の状況(令和7年4月〜令和8年3月)」/同(令和6年度)
・和歌山県「和歌山県の観光客動態」(令和6年・令和7年の観光客動態調査報告書、市町村別・月別観光客数)
・東京都「恩賜上野動物園『シャオシャオ』『レイレイ』返還」(2025年12月15日)
・Zoo Atlanta「Giant Pandas Have Arrived in China」(2024年10月)
・CBS News Atlanta(2026年9月24日)
・報道:共同通信「ゼロパンダ半年、解消困難」(2026年7月25日)、「パンダ不在、新たな顔は 返還半年、来園者減の上野」、読売新聞(2026年9月25日)、時事通信・日本経済新聞(2026年9月24日)、中央日報(2026年4月8日)
・アイキャッチ写真:Panda géant(Wity42/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0)をトリミング・明るさ調整し文字を追加
※前年比・期間合計は、公表値をもとに当ブログが計算しました。本記事は2026年9月26日時点の情報です。
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