2026/2027シーズン|学校保健安全法施行規則 第19条
インフルエンザの出席停止は「発症後5日」と「解熱後2日」の両方を満たすまでです。片方だけでは足りず、しかも発症した曜日によって休む日数が1〜2日変わります。法令の条文から、いつ登校できるかを全パターン計算しました。
子どもがインフルエンザと診断されたとき、多くの保護者が最初に検索するのが「いつから学校に行けるのか」です。ところがこの日数は、学校が独自に決めているわけでも、医師の気分で決まるわけでもありません。学校保健安全法施行規則の第19条という法令に、はっきり書かれています。
ただしその条文は「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日を経過するまで」という2つの条件のかけ算になっているため、数え方を間違える人が非常に多いところでもあります。この記事では、条文そのものを確認したうえで、解熱した日ごと・発症した曜日ごとに登校できる日を全パターン計算した早見表を用意しました。幼稚園・保育園が1日長くなる理由、インフルエンザ以外の感染症、そして「大人(会社員)は何日休むのか」までまとめます。
この記事の結論
- 基準は「発症後5日」かつ「解熱後2日」。遅いほうの日まで休みます。どちらか一方だけでは登校できません。
- 発症日・解熱日は日数に数えず、その翌日を1日目と数えるのが学校現場の一般的な運用です。
- 解熱が早くても最短で「発症の6日後」まで休みます。解熱が発症4日後なら7日後、5日後なら8日後まで。
- 幼稚園・保育園の子どもは解熱後3日。小中高より最大1日長くなります。
- 出席停止は欠席扱いになりません。指導要録では「出席停止・忌引等の日数」として記録されます。
- 大人にはこの法令は適用されません。会社を何日休むかは就業規則の問題です。
1. 今季は9月初旬ですでに流行入り、昨年同期の6.6倍
まず、今シーズンの状況を確認します。厚生労働省が2026年9月11日に公表した最新の発生状況によると、2026年第36週(8月31日〜9月6日)の全国のインフルエンザ定点当たり報告数は3.29でした。この週から2026/2027シーズンの集計が始まっています。
報告数を都道府県別に見ると、地域差がかなり大きいことがわかります。上位10県は次のとおりです。
| 順位 | 都道県 | 定点当たり報告数 | 報告数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 沖縄県 | 10.34 | 455 |
| 2 | 新潟県 | 6.13 | 337 |
| 3 | 神奈川県 | 5.87 | 1,450 |
| 4 | 茨城県 | 5.68 | 386 |
| 5 | 千葉県 | 5.49 | 988 |
| 6 | 東京都 | 5.46 | 2,273 |
| 7 | 宮城県 | 5.35 | 294 |
| 8 | 山口県 | 5.11 | 312 |
| 9 | 埼玉県 | 4.57 | 799 |
| 10 | 鹿児島県 | 4.35 | 248 |
全国の総報告数は12,299件。まだ本格的な流行期ではありませんが、2学期が始まった直後の9月初旬でこの水準というのは早い立ち上がりです。学級閉鎖のニュースが例年より早く出ているのも、この数字が背景にあります。
2. 日数を決めているのは法律。条文はこう書いてある
インフルエンザで学校を休む日数の根拠は、学校保健安全法施行規則 第19条第2号イです。条文をそのまま引用します。
学校保健安全法施行規則 第19条第2号イ
インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)にあつては、発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで。
ただし書きとして「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りでない」と定められています。
ポイントは「かつ」という接続詞です。これは2つの条件を両方とも満たす必要があるという意味で、どちらか早いほうではありません。
条件①:発症した後5日を経過すること
「発症」とは、一般に発熱などの症状が出た日を指します。検査で陽性が出た日ではありません。金曜の夜に熱が出て、土曜に受診して陽性と分かった場合、発症日は金曜です。
条件②:解熱した後2日(幼児は3日)を経過すること
「解熱した日」は、熱が下がってその状態が続いた日です。解熱剤で一時的に下がっただけの場合は、薬が切れて再び上がれば解熱とは数えません。
数え方に注意。発症した日・解熱した日は日数に含めず、その翌日を1日目と数えるのが学校現場での一般的な運用です。「発症後5日を経過」とは、発症日の翌日から5日間が終わった状態を指すため、登校できるのは早くても発症の6日後になります。数え方は学校・園によって案内が異なる場合があるため、最終的には通っている学校の指示に従ってください。
3. 【早見表】解熱した日別・いつから登校できるか
2つの条件を組み合わせて、解熱が発症の何日後だったかごとに登校できる日を計算しました。発症日を「0日目」として数えています。
| 解熱した日 | 条件① 発症後5日 |
条件② 解熱後2日/3日 |
小・中・高 | 幼稚園・保育園 |
|---|---|---|---|---|
| 発症と同じ日 | 発症6日後 | 発症3日後/4日後 | 発症6日後 | 発症6日後 |
| 発症1日後 | 発症6日後 | 発症4日後/5日後 | 発症6日後 | 発症6日後 |
| 発症2日後 | 発症6日後 | 発症5日後/6日後 | 発症6日後 | 発症6日後 |
| 発症3日後 | 発症6日後 | 発症6日後/7日後 | 発症6日後 | 発症7日後 |
| 発症4日後 | 発症6日後 | 発症7日後/8日後 | 発症7日後 | 発症8日後 |
| 発症5日後 | 発症6日後 | 発症8日後/9日後 | 発症8日後 | 発症9日後 |
この表から読み取れるいちばん大事なことは、解熱がどれだけ早くても「発症6日後」より前には登校できないという点です。抗インフルエンザ薬が効いて翌日に熱が下がっても、条件①の「発症後5日」がブレーキになります。「熱が下がったのだから明日から行ける」と考えてしまうのが、最もよくある勘違いです。
逆に、解熱が発症4日後以降にずれ込むと、今度は条件②のほうが後ろになります。このときは解熱を起点に数え直す必要があります。
具体的な日付で見る
- ケース19月22日(火)発症 → 9月24日(木)解熱解熱は発症2日後。条件①=9月28日(月)、条件②=9月27日(日)。遅いほうを取って、小中高も園児も9月28日(月)から登校・登園できます。
- ケース29月22日(火)発症 → 9月26日(土)解熱解熱は発症4日後。条件②が後ろに来ます。小中高は9月29日(火)、園児は9月30日(水)から。同じ発症日でも、解熱が2日遅れると登校日が1〜2日ずれます。
- ケース310月5日(月)発症 → 10月7日(水)解熱条件を満たすのは10月11日(日)。日曜のため、実際に登校できるのは10月12日(月)です。休みの日を挟むと、実質の欠席日数が増えます。
4. 発症した曜日で、休む日数が1〜2日変わる
あまり知られていませんが、発症した曜日によって「実際に学校を休む日数」が変わります。基準を満たす日が土日に当たると、次の登校日は月曜までずれるからです。解熱が発症2日後(最も多いパターン)として、曜日別に計算しました。
| 発症した曜日 | 基準を満たす日 | 実際に登校できる日 | 休む平日の日数 |
|---|---|---|---|
| 月曜 | 日曜 | 翌週月曜 | 5日(月〜金) |
| 火曜 | 月曜 | 月曜 | 4日(火〜金) |
| 水曜 | 火曜 | 火曜 | 4日 |
| 木曜 | 水曜 | 水曜 | 4日 |
| 金曜 | 木曜 | 木曜 | 4日 |
| 土曜 | 金曜 | 金曜 | 5日(月〜金) |
| 日曜 | 土曜 | 翌週月曜 | 5日(月〜金) |
月曜・日曜に発症すると、まるまる1週間の欠席になります。共働き家庭にとっては、この差がそのまま看護休暇や在宅勤務の調整日数の差になります。
5. 幼稚園・保育園が「3日」と1日長い理由
条文は幼児だけ「解熱した後三日」と定めています。幼児は体内でウイルスを出し続ける期間が長く、また集団生活のなかで密接に接触するためというのが、この区別の一般的な説明です。
「幼児」の線引きに注意。法令上の幼児は小学校就学前の子どもを指します。したがって保育園・幼稚園に通う年長児は「解熱後3日」、小学1年生は「解熱後2日」という扱いになります。きょうだいが同時に発症すると、登園日と登校日が1日ずれることがあります。
6. インフルエンザ以外の感染症は何日休む?
同じ第19条には、インフルエンザ以外の「第二種の感染症」についても出席停止の基準が定められています。条文から一覧にしました。
| 感染症 | 出席停止の期間の基準 |
|---|---|
| インフルエンザ | 発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで |
| 新型コロナウイルス感染症 | 発症後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで |
| 百日咳 | 特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまで |
| 麻しん(はしか) | 解熱した後3日を経過するまで |
| 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) | 耳下腺などの腫れが出た後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで |
| 風しん | 発しんが消失するまで |
| 水痘(みずぼうそう) | すべての発しんがかさぶたになるまで |
| 咽頭結膜熱(プール熱) | 主要症状が消えた後2日を経過するまで |
| 結核・髄膜炎菌性髄膜炎 | 医師が感染のおそれがないと認めるまで |
並べると、日数が明記されているのはインフルエンザ・新型コロナ・麻しん・おたふくかぜ・プール熱だけで、残りは症状の消失が基準になっていることがわかります。ノロウイルスなどの感染性胃腸炎は第三種の「その他の感染症」に当たり、日数の定めはなく医師の判断によります。
7. 出席停止は「欠席」にはならない
意外と知られていないのが、出席停止の期間は欠席日数に入らないという点です。学校の指導要録では「出席停止・忌引等の日数」という欄に記録され、欠席日数とは区別されます。皆勤や高校入試の調査書で不利になることを心配する必要は、原則としてありません。
治癒証明書・登校許可証は必要か
施行規則には、登校を再開するときに診断書を出させるという規定はありません。一方で、学校や園が独自に「登校許可証」「意見書」などの様式を用意している例は多くあります。これは法令上の義務ではなく各学校・自治体の運用なので、様式の要否は通っている学校に確認するのが確実です。文書料が自己負担になる場合もあります。
8. 大人はどうなる? 会社に「出席停止」はない
ここまでの話はすべて学校・幼稚園・保育園に通う子どもの話です。学校保健安全法は学校の児童生徒等を対象とした法律なので、働く大人には適用されません。
季節性インフルエンザは感染症法上の5類感染症で、就業制限の対象にもなっていません。つまり「インフルエンザだから何日休まなければならない」という法律は、大人には存在しないということです。何日休むかは、勤務先の就業規則で決まります。
大人が休むときのお金の扱い
- 自分の判断で休む場合:年次有給休暇を使うか、欠勤(無給)になります。
- 会社の指示で休まされる場合:法律上の就業制限がない中で会社の判断により休業させるときは、労働基準法26条の休業手当(平均賃金の6割以上)が問題になり得ます。取り扱いは就業規則や個別の事情によるため、勤務先や労働基準監督署に確認してください。
- 連続して休みが長引く場合:健康保険の被保険者なら、連続3日の待期期間のあと4日目以降について傷病手当金(おおむね標準報酬日額の3分の2)の対象になり得ます。国民健康保険には原則としてこの制度がありません。
なお、多くの企業の就業規則は学校の基準を参考にしているため、実務上は「発症後5日かつ解熱後2日」に準じた運用をしている職場が少なくありません。就業規則の感染症に関する条項を一度確認しておくと、いざというときに迷わずに済みます。
9. よくある質問
Q. 熱が下がったのに、なぜまだ休まないといけないのですか?
A. 解熱後もウイルスの排出が続くためです。学校保健安全法施行規則は「発症後5日」と「解熱後2日(幼児3日)」の両方を求めており、解熱が早くても発症から6日後までは登校できません。
Q. 発症した日は1日目として数えますか?
A. 数えないのが学校現場の一般的な運用です。発症した日は0日目とし、その翌日を1日目と数えます。解熱した日も同じ考え方です。数え方は学校によって案内が異なる場合があるため、最終的には学校の指示に従ってください。
Q. 検査で陽性が出た日が「発症日」ですか?
A. 違います。発熱などの症状が出た日が発症日です。夜に発熱して翌日に受診・陽性となった場合、発症日は前日になります。
Q. 解熱剤で熱が下がった日は「解熱した日」になりますか?
A. 薬の効果で一時的に下がっただけで、薬が切れて再び発熱した場合は解熱と数えません。平熱が続いた最初の日を解熱日として数えます。
Q. 出席停止は欠席扱いになりますか?
A. なりません。指導要録では「出席停止・忌引等の日数」として記録され、欠席日数とは区別されます。
Q. 登校するときに治癒証明書は必要ですか?
A. 法令上の規定はありません。ただし学校や自治体が独自に登校許可証や意見書の提出を求める場合があるため、通っている学校に確認してください。
Q. 保育園の年長と小学1年生で日数が違うのはなぜですか?
A. 条文が「幼児にあつては、三日」と定めているためです。法令上の幼児は小学校就学前の子どもを指すので、年長児は解熱後3日、小学1年生は解熱後2日になります。
Q. 大人も5日間休む義務がありますか?
A. 法律上の義務はありません。学校保健安全法は学校の児童生徒等が対象で、働く大人には適用されません。何日休むかは勤務先の就業規則によります。
この記事について。掲載している日数は学校保健安全法施行規則第19条の条文にもとづく整理であり、同条には「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りでない」というただし書きがあります。実際の登校・登園の可否は、医師の診断と学校・園の指示に従ってください。


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