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原油高でなぜ円安?急騰日のドル円を40年検証、2022年に一変
10月8日、米国がイラン攻撃を検討しているとの報道で原油が4%上がり、ドル円は158円台に乗せました。「原油高は円安」とよく言われますが、本当でしょうか。原油が1日で5%以上上がった272日のドル円を1986年から数えると、答えは「昔は五分五分、2022年からは1週間後の7割以上が円安」でした。
この記事の結論
- 10月8日はイラン攻撃検討の報道でブレント原油が4%高の104.28ドル、WTIが3.6%高の91.49ドルに。トランプ大統領が「中間選挙前には攻撃しない」と投稿したあとも原油は高いまま引け、ドル円は158.37円まで上げてから157円台半ばに戻しました。
- WTI原油が1日で5%以上上がった日を1986年から数えると272日。2021年までの239日は、1週間後に円安だったのが48%で五分五分でした。ところが2022年以降の33日では76%が円安、1か月後も69%が円安です。ブレントで数えても同じ傾向でした。
- 1990年の湾岸危機や2011年のリビア内戦では、原油高でもむしろ円高でした(「有事の円買い」)。2022年のウクライナ侵攻、2025年・2026年のイラン情勢では逆に円安です。背景には、日本の貿易赤字が定着したことと、米国が石油の「純輸出国」になったことがあります。
- 2026年は原油高と円安が重なり、円で払う原油の輸入価格は6月に1キロリットル11万7,726円と、1988年以降で最高になりました。ドル換算では2008年8月より安いのに、円では28%高い計算です。例外は介入の日で、原油が急騰した4月29日・7月29日は翌日の円買い介入で円高になりました。
10月8日に何が起きた?原油4%高でドル円は158円台へ
きっかけは、トランプ政権が11月3日の中間選挙の前にイランへの攻撃を再開する選択肢を検討していると米メディアが伝えたことです。ホルムズ海峡では、イランによる商船への攻撃で通航が戦争前のごく一部に落ちており(9月28日〜10月4日は1日平均23隻未満、MarineTraffic調べ)、供給への不安がもともと強い状態でした。
その後、トランプ大統領は自身のSNSで「中間選挙の前にイランを攻撃することはない」「イランと生産的な協議をしている」と投稿しました。原油は一時下げたものの、結局は前日比4%前後の上昇で取引を終えています。ドル円は原油高と米長期金利の上昇でいったん158.37円まで上げ、投稿をきっかけに米金利が下がると157.52円まで戻しました。9日朝は157円台後半で推移しています。
この1日の動きは、原油と米金利とドル円がいっしょに動くという最近の相場の特徴をよく表しています。では、この関係はいつから、どのくらい強いのでしょうか。原油が100ドルを超えた経緯は原油はなぜ100ドルを超えた?日本の石油備蓄は4か月で43日分減少、米金利の上昇は米10年債利回り上昇はなぜ?2002年以来5.3%と円相場・住宅ローンで詳しく整理しています。
原油高でなぜ円安になる?3つの経路
原油高が円安につながる道すじは、大きく3つあります。
1. 原油の代金はドルで払う(実需の円売り)
日本は原油のほぼすべてを輸入し、代金はドルで払います。財務省の貿易統計によると、2025年の原油輸入量は1億3,718万キロリットル(約8.6億バレル)。原油が1バレル1ドル上がると、1ドル158円として年におよそ1,363億円、10ドル上がれば約1.4兆円の支払いが増えます。その分、輸入企業が円を売ってドルを買う量が増えます。
2. 米国は石油の「純輸出国」になった
米エネルギー情報局(EIA)によると、米国は2020年、統計がある1949年以降で初めて、石油の輸出量が輸入量を上回る純輸出国になりました。昔は原油高は米国にとっても負担で、ドルが売られる材料になることもありましたが、今は米国の稼ぎが増える面があります。さらに原油高はガソリン代を通じて米国の物価を押し上げ、利上げ観測から米金利が上がり、ドルが買われやすくなります。
3. 日本は金利を上げにくくなる
日本にとっての原油高は、海外にお金が出ていく「コスト高」です。物価は上がっても賃金や企業の利益は増えにくく、景気を冷やします。市場では「原油高が長引くと日銀は利上げを急ぎにくい」との見方があり、日米の金利差が縮まりにくくなります。
反対に働く力もある
戦争や大きな事件のときは、投資家がリスクを避けて「安全資産」とされる円を買う動き(有事の円買い)も起きます。原油高が円安になるか円高になるかは、この2つの力の綱引きです。そこで実際の数字で確かめてみます。
【検証】原油が1日5%以上上がった日、ドル円は?272日を集計
EIAが公表しているWTI原油の現物価格(1986年1月〜)で、前の営業日より5%以上上がった日を272日抜き出しました。その前日を起点に、FRBが公表しているドル円のニューヨーク正午レートが、翌営業日・1週間後(5営業日後)・1か月後(20営業日後)にどうなっていたかを数えています。
| 期間 | 翌営業日に円安 | 1週間後に円安 | 1か月後に円安 |
|---|---|---|---|
| 1986〜2021年239日 | 120日(50%) | 115日(48%) | 108日(45%) |
| 2022〜2026年33日 | 22日(67%) | 25日(76%) | 22日(69%)32日中 |
2021年までは、原油が急騰した日のあと円安になったのはほぼ半分。1か月後ではむしろ円高のほうが多く(中央値−0.23円)、「原油高=円安」とは言えませんでした。ところが2022年以降は、翌営業日で67%、1週間後で76%が円安です。1か月後の値幅の中央値は+2.90円と、はっきり円安に傾いています。
ブレント原油の現物価格(1987年5月〜)で同じように数えても、翌営業日に円安は2021年まで56%→2022年以降67%、1週間後は50%→74%で、同じ変化が確認できます。
数え方の注意
原油の現物価格はロンドン・ニューヨークの取引終了時点、ドル円はニューヨーク正午の値で、時刻が少しずれます。また2020年春は原油がマイナス価格をつけるまで暴落した反動で、5%以上の上昇が何度も出ています。このデータは「原油が急騰した日のあとドル円がどう動いたか」を数えたもので、原油が原因だと証明するものではありません。
「有事の円買い」はどこへ?中東・戦争ショック7回のドル円
原油が大きく動いた主なできごとの直前の営業日から、1か月(21営業日)でWTIとドル円がどう動いたかをまとめました。
| できごと | WTIの1か月 | ドル円の1か月 | 変化 |
|---|---|---|---|
| イラクのクウェート侵攻1990年8月(起点 8/1) | 21.59→26.96ドル+24.9% | 147.25→144.30円 | −2.95円円高 |
| リビア内戦2011年2月(起点 2/18) | 85.03→104.53ドル+22.9% | 83.22→81.00円 | −2.22円円高 |
| サウジ石油施設攻撃2019年9月(起点 9/13) | 54.76→53.57ドル−2.2% | 108.12→108.83円 | +0.71円円安 |
| ロシアのウクライナ侵攻2022年2月(起点 2/23) | 92.14→114.20ドル+23.9% | 115.12→122.08円 | +6.96円円安 |
| イスラエルのイラン攻撃2025年6月(起点 6/12) | 68.73→67.76ドル−1.4% | 143.64→148.75円 | +5.11円円安 |
| 米・イラン戦闘開始2026年2月(起点 2/27) | 66.96→104.69ドル+56.3% | 156.05→159.49円 | +3.44円円安 |
| 米中央軍の連夜攻撃2026年7月(起点 7/16) | 80.03→83.99ドル+4.9% | 162.42→159.21円 | −3.21円円高 |
1990年8月のイラクのクウェート侵攻では、原油が約25%上がる一方でドル円は2.95円の円高。2011年のリビア内戦(3月11日の東日本大震災を含む)も円高でした。かつては、中東で何かあれば原油高と円高が同時に起きるのが普通だったのです。
流れが変わったのは2022年です。ロシアのウクライナ侵攻のあと1か月で6.96円の円安。2025年6月のイスラエルによるイラン攻撃では原油はほぼ横ばいだったのに5.11円の円安、2026年2月末からの米・イラン戦闘では原油が5割以上上がり、ドル円は159円台に乗せました。2026年7月だけ円高なのは、7月30日・31日の円買い介入(31日は日米協調)があったためです。
なぜ2022年から変わった?貿易赤字の定着と「強いドル」
原油高が円安に結びつきやすくなった理由として、データから言えることは2つです。
日本は「原油高で赤字が膨らむ国」になった
財務省の貿易統計で、日本の貿易収支と鉱物性燃料(原油・LNG・石炭など)の輸入額を見てみます。
| 年 | 貿易収支 | 鉱物性燃料の輸入 |
|---|---|---|
| 1990年 | +7.6兆円 | 8.1兆円輸入全体の24% |
| 2000年 | +10.7兆円 | 8.3兆円輸入全体の20% |
| 2008年 | +2.1兆円 | 27.7兆円輸入全体の35% |
| 2011年 | −2.6兆円 | 21.8兆円輸入全体の32% |
| 2014年 | −12.8兆円 | 27.7兆円輸入全体の32% |
| 2016年 | +4.0兆円 | 12.1兆円輸入全体の18% |
| 2021年 | −1.8兆円 | 17.0兆円輸入全体の20% |
| 2022年 | −20.3兆円 | 33.7兆円輸入全体の28% |
| 2023年 | −9.5兆円 | 27.3兆円輸入全体の25% |
| 2024年 | −5.6兆円 | 25.5兆円輸入全体の23% |
| 2025年 | −2.9兆円 | 22.1兆円輸入全体の20% |
1990年代〜2000年代の日本は、原油が高くなっても輸出で稼ぐ黒字のほうが大きい国でした。2011年の震災後に赤字が増え、2022年は原油・LNG高と円安が重なって比較できる1979年以降で最大の20.3兆円の赤字になりました。2023年以降も赤字が続いています。黒字の国なら原油高は「黒字が減る」だけですが、赤字の国では「足りないドルがさらに増える」ことになり、円売りが目立ちやすくなります。
原油高のとき、米国には「稼ぐ側」の面がある
前述のとおり、米国は2020年から石油の純輸出国です。2022年以降は、原油高→米国の物価上昇→FRBの利上げ観測→米金利上昇→ドル高、という連鎖が繰り返し起きています。10月8日も、原油高と同時に米10年債利回りが5.3%台に上がり、ドル円を押し上げました。
ただし、週ごとの連動はそれほど強くない
原油とドル円の週ごとの変化率の相関係数(1に近いほど同じ方向に動く)を期間ごとに計算しました。
| 期間 | 相関係数 | 主なできごと |
|---|---|---|
| 1988〜1999年 | −0.01 | 湾岸危機・湾岸戦争(1990〜91年) |
| 2000〜2007年 | −0.18 | 原油が10ドル台から140ドル台へ |
| 2008〜2012年 | +0.26 | リーマン・ショック、東日本大震災 |
| 2013〜2021年 | +0.06 | アベノミクス、コロナ禍 |
| 2022〜2026年 | +0.11 | ウクライナ侵攻、イラン情勢 |
2000年代は相関がマイナス(原油高のとき円高)でしたが、その後はプラスに変わりました。年ごとでは2024年の+0.51が1986年以降で最も高い値です。とはいえ全体では+0.1前後で、ふだんのドル円は原油より日米の金利差で動いています。原油が効くのは、大きく急騰したときだと考えるのが実態に近いでしょう。2026年は介入で円が大きく買い戻された週があり、+0.14にとどまっています。
2026年は円で払う原油代が過去最高に
今年は原油高と円安が同時に起きたため、日本の負担は数字以上に重くなっています。財務省の貿易統計から、原油の輸入額を輸入量で割った「1キロリットルあたりの輸入価格」を計算すると、1988年以降の464か月で高い順に上位5か月がすべて2026年4〜8月でした。
| 月 | 円建て(1kLあたり) | ドル換算(1バレルあたり) | その月のドル円(平均) |
|---|---|---|---|
| 2026年6月過去最高 | 117,726円 | 116.4ドル過去9位 | 160.77円 |
| 2026年7月 | 116,397円 | 114.0ドル過去21位 | 162.33円 |
| 2026年5月 | 114,016円 | 114.6ドル過去16位 | 158.15円 |
| 2026年8月 | 102,687円 | 102.8ドル過去61位 | 158.85円 |
| 2026年4月 | 102,064円 | 102.0ドル過去62位 | 159.12円 |
| 2022年7月2022年の最高 | 99,600円 | 115.8ドル過去11位 | 136.71円 |
| 2008年8月ドル換算の最高 | 91,974円 | 133.7ドル過去1位 | 109.36円 |
ドル換算すると、2026年6月の116.4ドルは過去9位で、2008年8月の133.7ドルのほうが高値です。それでも円建てでは2026年6月が2008年8月を28%上回る。当時のドル円は109円台、今年は160円台で、円安が原油高を増幅していることが分かります(輸入価格は通関時点の値で、取引所の価格より1か月ほど遅れて動きます)。
ただし、貿易赤字は2022年ほど膨らんでいません。ホルムズ海峡の封鎖で4〜5月の原油輸入量が前年の4割前後(4月は448万キロリットル、前年同月は1,234万キロリットル)に減ったためで、1〜8月の貿易赤字は2.78兆円と前年同期(2.81兆円)並みです。輸入量が戻った8月は1.11兆円の赤字で、8月としては2022年に次ぐ大きさでした。
2026年の原油急騰日17日のドル円
| 日付 | WTI現物 | ドル円(翌営業日) | ドル円(1週間後) |
|---|---|---|---|
| 3月2日 | 66.96→71.13ドル+6.2% | +1.64円 | +2.03円 |
| 3月5日 | 74.58→80.88ドル+8.4% | +0.71円 | +2.28円 |
| 3月6日 | 80.88→90.77ドル+12.2% | +0.50円 | +1.96円 |
| 3月12日 | 86.80→95.61ドル+10.1% | +0.71円 | −0.64円 |
| 3月26日 | 91.51→96.18ドル+5.1% | +0.96円 | +0.14円 |
| 3月27日 | 96.18→101.26ドル+5.3% | −0.16円 | −0.01円 |
| 4月2日 | 101.90→113.23ドル+11.1% | +1.01円 | +0.24円 |
| 4月20日 | 85.91→91.06ドル+6.0% | +1.29円 | +1.19円 |
| 4月29日 | 103.45→110.47ドル+6.8% | −2.87円 | −3.09円 |
| 6月1日 | 91.16→95.96ドル+5.3% | +0.63円 | +0.89円 |
| 7月13日 | 72.45→79.20ドル+9.3% | +0.83円 | +1.28円 |
| 7月23日 | 87.66→93.08ドル+6.2% | +0.63円 | −3.61円 |
| 7月29日 | 80.91→86.08ドル+6.4% | −4.18円 | −6.02円 |
| 8月10日 | 79.77→83.76ドル+5.0% | +1.71円 | +1.80円 |
| 9月1日 | 87.03→91.48ドル+5.1% | −0.95円 | −6.24円 |
| 9月10日 | 97.26→103.57ドル+6.5% | +0.21円 | +2.35円 |
| 9月28日 | 85.23→99.37ドル+16.6% | +0.32円 | +0.79円 |
2026年に入ってからの17日では、翌営業日に円安になったのが13日。円高になった4日のうち、4月29日と7月29日は翌日に政府・日銀の円買い介入があった日です。介入の2日を除くと、2022年以降の急騰日の円安率は22/31日(71%)になります。介入の推計額は7月31日の為替介入は5兆円?日銀当座預金の逆算と11月の日次公表をご覧ください。
※EIAの現物価格は先物と動きがずれる日があります。9月28日は現物が+16.6%ですが、先物(WTI)は前営業日比+0.2%でした。
今後のドル円はどうなる?原油と11月3日までの日程
これまでのデータから言えるのは、「原油が急騰すれば、円安に振れやすい」ということです。ただし原油だけでドル円が決まるわけではありません。今後の注目点を3つのシナリオで整理します。
- 円安中東の緊張が再燃し、原油が再び急騰2022年以降の傾向どおりなら円安に振れやすくなります。ただし160円を超えた4月と7月はいずれも介入が入りました。上値では介入への警戒が強まります。
- もみ合い「中間選挙まで攻撃なし」で原油が100ドル前後に落ち着くドル円は日米の金利差しだいで157〜159円を行き来する展開が考えられます。10月29日のFOMCと30日の日銀会合が次の分かれ目です。
- 円高停戦・ホルムズ海峡の通航回復で原油が急落原油高→米金利上昇→ドル高の流れが逆回転します。日銀が利上げに動けば、円高に振れる余地が広がります。
| 日付(日本時間) | イベント | ドル円への意味 |
|---|---|---|
| 10月14日(水)21:30 | 米消費者物価指数(9月分) | 原油高が米国の物価にどこまで出るか |
| 10月21日(水)8:50 | 貿易統計(9月分) | 原油の輸入価格と貿易赤字の大きさ |
| 10月29日(木)3:00 | FOMCの結果発表 | 連続利上げならドル高の材料 |
| 10月30日(金) | 日銀会合の結果・展望レポート/19時に財務省の介入額公表 | 利上げなら円高材料。10月の介入の有無も分かる |
| 11月3日(火) | 米国の中間選挙 | トランプ氏が「選挙前は攻撃しない」とした期限 |
10月全体の見通しは2026年10月のドル円見通し|5年連続円安の10月を53年分で検証、中東の攻撃と原油の関係はフーシ派のリヤド攻撃で原油は上がる?過去6回の攻撃後の値動きで整理しています。
※シナリオは公開情報と過去データにもとづく筆者の整理で、将来の相場を予想・保証するものではありません。日程はFRB・日銀・財務省・米労働省の公表予定によります。
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原油高と円安についてよくある質問
Q. 原油高になるとなぜ円安になるのですか?
A. 主な理由は3つです。日本は原油の代金をドルで払うため円売りが増えること(原油1ドル高で年約1,363億円)、米国が石油の純輸出国になり原油高でドルが買われやすくなったこと、日本は原油高で景気が冷えて利上げしにくくなることです。
Q. 原油高のとき、必ず円安になりますか?
A. 必ずではありません。WTI原油が1日5%以上上がった日を数えると、2021年までは1週間後に円安だったのが48%でほぼ五分五分でした。2022年以降は76%が円安ですが、円買い介入があった日などは円高になっています。
Q. 「有事の円買い」はもう起きないのですか?
A. 起きなくなったわけではありませんが、目立ちにくくなっています。1990年の湾岸危機や2011年のリビア内戦では原油高でも1か月後は円高でした。2022年のウクライナ侵攻、2025年・2026年のイラン情勢では円安になっています。
Q. 原油が1ドル上がると日本の負担はいくら増えますか?
A. 2025年の原油輸入量(1億3,718万キロリットル、約8.6億バレル)で計算すると、1ドル158円として年に約1,363億円です。10ドル上がれば約1.4兆円になります。LNGや石油製品を含めると、負担はさらに大きくなります。
Q. 2026年の原油の輸入価格はどのくらい高いのですか?
A. 財務省の貿易統計で計算すると、6月の原油輸入価格は1キロリットル11万7,726円で、1988年以降で最高でした。ドル換算では1バレル116.4ドルと2008年8月(133.7ドル)より安いものの、円安のため円建てでは2008年8月を28%上回っています。
Q. 原油とドル円はどのくらい連動していますか?
A. 週ごとの変化率の相関係数は2022〜2026年で+0.11と、強い連動ではありません。年別では2024年の+0.51が1986年以降で最も高い値でした。ふだんは日米の金利差の影響が大きく、原油が効きやすいのは大きく急騰したときです。
Q. 今後、原油とドル円で注目すべき日程は?
A. 10月14日の米消費者物価指数、10月21日の貿易統計、10月29日のFOMC、10月30日の日銀会合と介入額の公表、そしてトランプ大統領が「攻撃しない」とした11月3日の米中間選挙です。
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出典・参考資料
- 米エネルギー情報局(EIA):Spot Prices for Crude Oil and Petroleum Products(WTI・ブレント現物の日次、2026年10月6日分まで)/Oil and petroleum products explained: Oil imports and exports
- FRB:H.10 Historical Rates for the Japanese Yen(ニューヨーク正午レート、2026年10月2日分まで)
- 財務省 貿易統計:輸出入額の推移(地域(国)別・主要商品別)(世界の年別・月別総額、主要商品別輸入の年別・月別。2026年8月分まで)
- 10月8日の原油市場:NBC News「Trump’s pledge not to strike Iran before midterms fails to soothe oil markets」(2026年10月8日)/NHK「トランプ大統領 中間選挙前のイラン攻撃を検討か 米報道」
- 10月8〜9日の為替市場:ザイFX!「東京為替見通し」(2026年10月9日)/みんかぶ「【本日の見通し】ドル円はレンジ取引中心も、下方向にややリスク」(2026年10月9日)
- 市場データ:Yahoo Finance(JPY=X、CL=F)(2026年10月9日取得)
急騰日の抽出・円安になった割合・相関係数・輸入単価のドル換算(1バレル=0.158987キロリットル、月平均のドル円で換算)は、上記のデータから筆者が計算したものです。英語の発言の日本語は筆者訳です。本記事は2026年10月9日時点の公開情報と市場データにもとづく解説で、特定の通貨や取引を勧めるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。アイキャッチ背景:Quintin Soloviev「Crude Oil Tanker in Port Arthur, Texas」(Wikimedia Commons、CC0)。
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