S&P500とは、アメリカの大企業500社の株価指数。ただし中身は「均等」ではなく、入れ替わり続ける名簿です
新NISAや投資信託を調べると、必ずといっていいほど出てくる「S&P500」。アメリカを代表する500社の株価をまとめた指数です。この記事では、中身がどんな比率になっているのか、誰がどうやって銘柄を入れ替えているのか、1928年からの98年間でどれくらい上がり、どれくらい下がってきたのかを、公開データと本サイトの独自集計で確かめます。日本円で持つと成績がどう変わるのかも、1971年からの為替データで計算しました。
構成比率は2026年9月時点。長期の成績は1928〜2025年の確定値(配当込み・税金と手数料は考えない計算)です
S&P500がカバーする割合
(2026年9月時点)
(配当込み・ドル建て)
マイナスだった年
結論:S&P500とは、アメリカの大企業500社でつくる株価指数
S&P500(エス・アンド・ピー・ごひゃく)は、アメリカの指数会社S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している株価指数です。いまの形で始まったのは1957年3月4日で、当時から500社で構成されています。日本でいえば、TOPIX(東証株価指数)に近い役割を持つ「アメリカ市場の体温計」です。
S&P DJIの説明では、S&P500はアメリカ株式市場で売買できる株の時価総額の、およそ80%をカバーしています。500社という数は上場企業全体の一部ですが、大きな会社がほぼ入っているため、S&P500を見ればアメリカの株式市場全体の動きがおおむね分かります。
S&P500の中身:500社の平均ではなく「大きさの順」
S&P500は、500社の株価を単純に平均したものではありません。会社の大きさ、つまり時価総額(株価×株の数)に合わせて重みをつけています。しかも、創業者などが持っていて市場に出てこない株は差し引いて数える「浮動株調整」をしています。大きい会社ほど、指数の中にたくさん入っているということです。
S&P500に連動するETF「SPY」の保有銘柄(2026年9月23日時点)から、会社ごとの比率を大きい順に並べると次のとおりです。
| 順位 | 会社 | 比率 |
|---|---|---|
| 1 | エヌビディア | 8.2% |
| 2 | アップル | 7.4% |
| 3 | マイクロソフト | 5.6% |
| 4 | アルファベット(グーグル・A株とC株の合計) | 5.4% |
| 5 | アマゾン・ドット・コム | 3.7% |
| 6 | ブロードコム | 2.5% |
| 7 | メタ・プラットフォームズ | 2.5% |
| 8 | マイクロン・テクノロジー | 1.8% |
| 9 | テスラ | 1.6% |
| 10 | アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) | 1.5% |
| 合計 | 上位10社 | 約40% |
500社のうち、上位10社だけで全体の約40%を占めています。逆に、小さいほうから250銘柄を全部足しても約8%で、エヌビディア1社(約8.2%)にも届きません。「500社に分散している」のは確かですが、中身は大きな会社にかなり寄っています。
S&P500の銘柄は誰が選ぶ?採用基準と入れ替え
S&P500の500社は、上場企業を自動的に大きい順に並べて決めているわけではありません。S&P DJIの中にある委員会が、公開されたルールにもとづいて選んでいます。主な条件は次の5つです。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| アメリカの会社 | アメリカの取引所に主に上場している会社 |
| 十分に大きい | アメリカの上場企業を大きい順に並べて、上からおよそ85%の範囲に入る時価総額(2025年7月からの目安は227億ドル以上。3か月ごとに見直し) |
| 活発に売買されている | 株の売買が十分にあり、市場に出ている株も十分にある |
| 黒字 | 直近1四半期の利益と、直近4四半期の合計が、どちらも黒字 |
| 上場して1年以上 | 新規上場から12か月以上たっている |
大きいだけでは入れません。たとえばテスラは、時価総額がとても大きくなってからも黒字の条件をなかなか満たせず、S&P500に採用されたのは2020年12月21日でした。
その結果、S&P500の顔ぶれは長い時間をかけて大きく入れ替わってきました。いまの構成銘柄503について、指数に採用された年を数えると次のようになります。
| 採用された時期 | 銘柄数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1957年(最初から) | 51 | 10% |
| 1958〜1999年 | 118 | 23% |
| 2000〜2009年 | 95 | 19% |
| 2010年以降 | 239 | 48% |
※Wikipedia「List of S&P 500 companies」の採用日(Date added)で本サイトが集計(2026年9月時点)。銘柄数が500より多いのは、1社で2種類の株を上場している会社があるため(例:アルファベットのA株とC株)。
いまのメンバーの約半分は2010年以降に入った会社で、1957年の最初からいるのは約50社、1割ほどです。つまりS&P500を持ち続けるというのは、同じ500社を持ち続けることではなく、その時々のアメリカの大きな会社の「名簿」に、ルールどおり乗り換え続けることなのです。
S&P500とNYダウ・オルカンの違い
S&P500と並んでよく聞くのが、NYダウ(ダウ工業株30種平均)と、全世界の株に投資する「オルカン」(MSCI ACWIに連動する投資信託の通称)です。違いを整理します。
| S&P500 | NYダウ | オルカン(MSCI ACWI) | |
|---|---|---|---|
| 銘柄数 | 約500社 | 30社 | 約2,460銘柄 |
| 国 | アメリカだけ | アメリカだけ | 日本を含む47の国と地域 |
| 比率の決め方 | 時価総額の大きさ | 株価の高さ | 時価総額の大きさ |
| アメリカの比率 | 100% | 100% | 約64%(2026年8月末) |
NYダウは歴史が長く有名ですが、30社だけで、しかも株価の高い会社ほど比率が大きくなる計算方法です。アメリカ市場全体の動きを見るなら、S&P500のほうが実態に近いといわれます。オルカンとの違いは「アメリカに全部寄せるか、世界の比率に任せるか」です。世界の株式市場ではいまアメリカが6割以上を占めていますが、この比率も時代によって変わってきました。どちらが正解かではなく、アメリカにどれだけ寄せるかの違いです。
S&P500の成績:98年で平均年10%、ただし配当込みの話
ニューヨーク大学のアスワス・ダモダラン教授が公開している長期データで見てみます。S&P500(1957年より前は前身の株価指数)の、配当を再投資した場合の成績です。
| 見方 | 1928〜2025年(98年) |
|---|---|
| 1年あたりの平均(配当込み) | 約10.0% |
| 1927年末の1ドルは | 2025年末に約11,570ドル |
| 値段だけ(配当を含まない) | 1年あたり約6.3%・約388倍 |
| マイナスだった年 | 26回(およそ4年に1回) |
一方で、マイナスの年もたびたびありました。1年の成績(配当込み)で見て、とくに下げが大きかった年です。
| 年 | 1年の成績 | 主なできごと |
|---|---|---|
| 1931年 | −43.8% | 大恐慌 |
| 2008年 | −36.6% | リーマン・ショック |
| 1937年 | −35.3% | 景気の再後退 |
| 1974年 | −25.9% | 石油危機 |
| 2002年 | −22.0% | ITバブル崩壊 |
| 2022年 | −18.0% | 物価高と利上げ |
S&P500の暴落と、元の水準に戻るまでの年数
年の途中で見ると、下げはもっと深くなります。S&P500の日々の終値(配当を含まない)から、高値からどこまで下がり、その高値を取り戻すまで何年かかったかを本サイトで計算しました。
| 下げ始め | 高値からの下落 | 高値に戻るまで |
|---|---|---|
| 1929年9月 | −86.2% | 約25年 |
| 2000年3月 | −49.1% | 7年2か月 |
| 2007年10月 | −56.8% | 5年5か月 |
| 2020年2月 | −33.9% | 約6か月 |
| 2022年1月 | −25.4% | 約2年 |
2007年10月からの下げでは、値段が半分以下になり、元の高値に戻るまで5年以上かかりました。配当を含めれば回復はもう少し早くなりますが、「半分になる時期がある」「戻るまで何年もかかることがある」のは、S&P500でも変わりません。
何年持てばマイナスにならなかった?保有期間別に集計
では、持ち続けた期間によって結果はどう変わったのか。ダモダラン教授のデータ(配当込み・ドル建て)で、1928年から2025年までのすべての年を買い始めの年として、何年持ったらマイナスで終わったかを本サイトで数えました。
| 持った期間 | マイナスで終わった割合 | 回数 | 最悪の回(1年あたり) |
|---|---|---|---|
| 1年 | 26.5% | 98回中26回 | −43.8% (1931年) |
| 5年 | 11.7% | 94回中11回 | −12.7% (1928年〜) |
| 10年 | 5.6% | 89回中5回 | −1.7% (1929年〜) |
| 15年 | 1.2% | 84回中1回 | −0.2% (1929年〜) |
| 20年 | 0% | 79回中0回 | +2.4% (1929年〜) |
持つ期間が長いほど、マイナスで終わった割合は小さくなり、20年ではこの98年間に1度もありませんでした。ただし、これは過去98年の結果で、これからを約束するものではありません。20年でいちばん悪かった回は1年あたり2.4%で、20年かけて約1.6倍にしかならなかった時期もあります。
日本円で見たS&P500:為替がもうひとつ乗る
日本人がS&P500の投資信託を持つと、中身はドル建ての株なので、株の値動きに加えてドルと円の為替も成績に乗ります。円高になると円で見た値段は下がり、円安になると上がります。アメリカの中央銀行(FRB)が公表しているドル円の年末値(1971年末315.01円→2025年末156.80円)と組み合わせて、円で見た成績を計算しました。
| ドルで見ると | 円で見ると | |
|---|---|---|
| 1971年末→2025年末(54年)の倍率 | 約289倍 | 約144倍 |
| 同じ期間の1年あたり | 約11.1% | 約9.6% |
| 2000年末→2011年末(11年) | +17% | −21% |
| 2008年の1年 | −36.6% | −48.4% |
| 10年持ってマイナスで終わった回数 | 45回中2回 | 45回中4回 |
| 15年以上持ってマイナス | 0回 | 0回 |
1971年から円高が進んだぶん、円で見た倍率はドルで見た場合のほぼ半分です。とくに2000年末に買って11年持った人は、ドルではプラスだったのに、円高(1ドル114円→77円)のせいで円ではマイナス21%でした。2008年のように株安と円高が同時に来ることもあります。ただ、この期間では15年以上持った場合、円で見てもマイナスで終わった回はありませんでした。
S&P500に投資するには?投資信託・ETFと手数料
個人がS&P500に投資するときは、S&P500に連動する投資信託やETF(上場投資信託)を買うのが一般的です。NISAのような非課税の口座で買うこともできます。同じS&P500に連動する商品どうしなら中身はほぼ同じなので、比べるのは主に毎年かかる手数料(信託報酬)です。
| 100万円を30年(年7%で増えると仮定) | 30年後 |
|---|---|
| 手数料が年0.1% | 約740万円 |
| 手数料が年1.0% | 約574万円 |
| 差 | 約166万円 |
※7%から手数料を引いた利回りで複利計算した単純な試算。税金は考えていません。
手数料の差は小さく見えても、長く持つほど効いてきます。S&P DJIの調査「SPIVA」(2026年6月末時点)では、プロが運用するアメリカの大型株ファンドのうち、15年間でS&P500を下回ったのは90.5%でした。手数料が高いぶん不利で、市場に勝ち続けるのは難しいということです。投資家のウォーレン・バフェット氏も、2013年の株主への手紙で、遺産の管理人に「10%を短期国債、90%を低コストのS&P500インデックスファンドへ」と指示したことを書いています。
S&P500を買う前に知っておきたい注意点
・アメリカ1か国、しかも上位の大企業に寄っている。上位10社で約4割(2026年9月時点)
・日本円で持つと為替が乗る。ドルでプラスでも、円高で円ではマイナスになる時期がある
・使う予定のあるお金や生活費では持たない。長く使わないお金で持つ
・下がった年に慌てて売らない。過去の長期の成績は、下がった年も持ち続けた場合の数字
まとめ:S&P500は「入れ替わり続ける名簿」
・中身は均等ではなく大きさの順。上位10社で約40%(2026年9月時点)
・銘柄は委員会が公開ルールで入れ替える。黒字も条件で、いまのメンバーの約半分は2010年以降に採用
・1928〜2025年は配当込みで平均年10%。ただしマイナスの年が26回、半分になった時期もある
・保有期間が長いほどマイナスで終わった割合は小さく、20年では0回(過去の結果)
・日本円で持つと為替が乗る。54年の倍率はドル約289倍、円約144倍
S&P500は、アメリカの大きな会社をルールで入れ替えながら持ち続ける仕組みです。数字だけを見ると魅力的ですが、その成績は「下がった年も手放さなかった場合」のものです。自分がどれだけ下がっても持ち続けられるか、どのお金で持つかを考えてから向き合うのがおすすめです。
※本記事は公開資料にもとづく一般的な解説であり、特定の金融商品や取引をおすすめするものではありません。過去の成績は将来の成果を約束するものではありません。投資の判断はご自身でお願いします。
S&P500についてよくある質問
Q. S&P500とは何ですか?わかりやすく教えてください。
A. アメリカの大企業500社の株価をまとめた株価指数です。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出していて、アメリカ株式市場の時価総額のおよそ80%をカバーしています。会社の大きさ(時価総額)に合わせて重みをつけているため、大きな会社ほど指数の中の比率が大きくなります。
Q. S&P500の構成銘柄はどうやって決まりますか?
A. S&P DJIの委員会が、公開されたルールで選びます。主な条件は、アメリカの会社であること、時価総額が十分に大きいこと、株が活発に売買されていること、直近の利益が黒字であること、上場から12か月以上たっていることです。入れ替えは3か月に1度の定期見直しと、合併・買収などのときに行われます。
Q. S&P500の上位銘柄と比率は?
A. 2026年9月時点では、エヌビディア約8.2%、アップル約7.4%、マイクロソフト約5.6%、アルファベット約5.4%、アマゾン約3.7%などで、上位10社の合計は約40%です。比率は株価の動きで毎日変わり、順番も時期によって入れ替わります。
Q. S&P500とNYダウの違いは何ですか?
A. S&P500は約500社を時価総額の大きさで重みづけした指数、NYダウは30社を株価の高さで重みづけした指数です。対象の会社数が多く、会社の大きさを反映しているS&P500のほうが、アメリカ市場全体の動きに近いといわれます。
Q. S&P500は長期でどれくらい上がってきましたか?
A. ニューヨーク大学ダモダラン教授のデータでは、1928〜2025年の98年間、配当を再投資した場合で1年あたり平均約10%でした。ただしマイナスの年も26回あり、2007年10月から2009年3月には値段が56.8%下がり、元の高値に戻るまで5年5か月かかりました。過去の成績は将来を約束しません。
Q. S&P500は何年持てば損をしませんか?
A. 過去のデータでは、10年持ってマイナスで終わった割合は5.6%、20年では0%でした(1928〜2025年、配当込み・ドル建て、本サイト集計)。ただしこれは過去の結果で、将来も同じになるとは限りません。日本円で持つ場合は為替の影響も加わり、1972〜2025年では10年でマイナスが45回中4回ありました。
Q. S&P500は為替の影響を受けますか?
A. 受けます。日本で買うS&P500の投資信託の多くは、中身がドル建ての株なので、円高になると円で見た値段は下がり、円安になると上がります。2000年末から2011年末まで持った場合、ドルでは+17%でしたが、円高のため円では−21%でした。
・S&P Dow Jones Indices「S&P 500」(開始日・市場カバー率)S&P DJIのページを見る
・S&P DJI「S&P Dow Jones Indices Announces Update to S&P Composite 1500 Market Cap Guidelines」2025年7月1日発表を見る
・State Street「SPDR S&P 500 ETF Trust(SPY)」保有銘柄(2026年9月23日時点)ファンドのページを見る
・Aswath Damodaran(NYU Stern)「Historical Returns on Stocks, Bonds and Bills」データを見る
・FRB「H.10 Foreign Exchange Rates」ドル円の歴史データFRBのデータを見る
・S&P DJI「SPIVA」米国版(2026年6月末時点)SPIVAを見る
・Berkshire Hathaway「2013 Letter to Shareholders」手紙(PDF)を見る
※採用年の分布はWikipedia「List of S&P 500 companies」、暴落と回復の期間はS&P500の日々の終値から、保有期間別・円建ての成績は上記データから本サイトが集計したものです。MSCI ACWIの数字は2026年8月末のファクトシートによります。
※アイキャッチ写真:New York Stock Exchange June 2024(Kidfly182 / Wikimedia Commons・CC BY 4.0)をもとに加工


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