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高市首相はなぜG7を欠席?オンライン首脳会議17回で初の不在を検証
高市早苗首相が、10月2日夜に開かれたG7首脳のオンライン会議を欠席し、外務省の事務方が代理で出席しました。首相は「議長国フランスが当日直前に急きょ設定した」と説明していますが、野党からは苦言が相次いでいます。外務省の記録で過去のG7首脳オンライン会議を数え、フランス側の発表時刻もたどって、何が問題になっているのかを整理しました。
この記事の結論
- 10月2日の午後9時30分から約30分間、議長国フランスの呼びかけで燃料価格の高騰をめぐるG7首脳オンライン会議が開かれ、日本からは遠藤和也外務審議官が代理出席して首相の発言を代読しました。会議では最大1億バレルの石油備蓄の放出などで一致しています。
- 外務省のG7ページに概要が載る2020年以降の首脳オンライン会議(電話会議を含む)は今回で17回。日本の首相が出席しなかったのは今回が初めてです。これまでの16回は、午前0時半に始まる会議にも首相が出ていました。
- 首相の「当日直前に急きょ設定」という説明は、公開された記録と大きくは食い違いません。フランスは9月18日に「今後数週間のうちにG7を開く」と表明していましたが、具体的な日時が報じられたのは当日で、会議の18分前でした。
- 一方で、会議の時間帯に公表された公務はなく、首相は公邸にいました。その前の党幹部との会食では首相も飲酒したと報じられ、「出られたのではないか」という批判につながっています。
高市首相のG7欠席とは?10月2日に何があったのか
中東情勢の緊迫で世界的に燃料価格が上がるなか、2026年のG7議長国フランスのマクロン大統領が、首脳によるオンライン会議を呼びかけました。外務省によると会議は日本時間10月2日午後9時30分から約30分間で、日本からは首相ではなく、G7の事務レベルの調整役(シェルパ)を務める遠藤和也外務審議官が出席しました。時刻はすべて日本時間です。
- 9月18日マクロン仏大統領が「G7を開く」と表明パリでの各党代表との会合のあと、仏大統領府が「G7は今後数週間のうちに会合を開き、エネルギーの備蓄の協調を強める」と発表。日時は示されませんでした。
- 10月2日 18:30首相公邸で自民党幹部と会食麻生太郎副総裁、鈴木俊一幹事長ら党役員と、木原稔官房長官らが同席(首相動静)。出席者によると酒が出され、首相も飲んだと時事通信が報じています。
- 10月2日 18:44仏大統領府「できるだけ早くテレビ会議を」マクロン氏はこの前夜、トランプ米大統領・カーニー加首相と電話で協議。ロイター通信がフランス時間午前11時44分に「できるだけ早く招集する」と報じました(日時の記載なし)。
- 10月2日 19:54会食の出席者が公邸を出る首相動静による時刻。共同通信は「午後8時ごろまでに公邸を出た」としています。首相はその後も公邸に滞在しました。
- 10月2日 21:12英語版ロイター「今週金曜に開催」会議の開催日が報じられたのは、開始の18分前でした。
- 10月2日 21:30G7首脳オンライン会議(約30分)日本は遠藤和也外務審議官が代理出席し、首相のステートメントを代読。英国のバーナム首相(父の葬儀のため外相が代理)とコスタ欧州理事会議長も欠席しました。
- 10月3日外務省が会議の概要を公表「遠藤和也外務審議官が代理出席しました」と明記。仏大統領府は会議のまとめで「大統領は数日前に、G7首脳を招集すると発表していた」と書きました。
- 10月5日首相がXで、官房長官が会見で説明首相は「議長国のフランスが当日直前に急遽設定したもので、代理出席が認められていました」と投稿。木原官房長官も同じ説明をしました。
- 10月6〜10日野党から苦言が相次ぐ公明党・国民民主党・民主改革の会・参政党の幹部が相次いで批判(後述)。
外務省の会議概要、首相動静(Smart FLASHが掲載)、時事通信・共同通信・日本経済新聞の報道、仏大統領府の発表、ロイター通信の配信時刻から作成。ロイターの時刻は配信記事に記録された公開時刻を日本時間に直したものです。
会議で決まったこと
仏大統領府によると、G7首脳は全会一致で、①ホルムズ海峡の航行の自由の回復に向けて協調する、②製油所をフル稼働させる、③国際エネルギー機関(IEA)の調整のもと、軽油を中心とする石油製品と原油の備蓄を今後4か月で最大1億バレル放出する、④G7の間でエネルギーの輸出を禁止・制限しない、の4点で一致しました。トランプ米大統領が検討していた軽油の輸出禁止は欧州にも影響するため、④が大きな焦点でした。
代読された首相のステートメント
外務省によると、遠藤外務審議官は「日本は3月に率先して石油備蓄の放出を決定し、IEA史上最大となる4億バレル超の協調放出にも貢献した」「G7各国がそれぞれの責任を果たし、貢献していくべきだ」といった趣旨の高市首相のステートメントを代読しました。日本の立場は代読で伝わり、首脳声明にも日本は加わっています。
G7首脳オンライン会議17回で首相の欠席は初めて
G7首脳のオンライン会議は、新型コロナの流行が始まった2020年3月に初めて開かれました。外務省のG7サミット各年のページに概要が載っている首脳のテレビ会議・電話会議を2020年から2026年まですべて確認したところ、今回を含めて17回ありました。
緑=首相が出席、赤=首相が欠席。数字は開催年(西暦の下2けた)。
| 日付(日本時間) | 議長国 | テーマ | 開始・長さ | 日本の出席者 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年3月16日 | 米国 | 新型コロナ | 23:00〜約50分 | 安倍晋三首相G7初の首脳テレビ会議 |
| 2020年4月16日 | 米国 | 新型コロナ | 21:30〜約80分 | 安倍晋三首相 |
| 2021年2月19日 | 英国 | 新型コロナ・ワクチン | 23:00〜約90分 | 菅義偉首相 |
| 2021年8月24日 | 英国 | アフガニスタン情勢 | 22:30〜約110分 | 菅義偉首相パラリンピック開会式から到着するまで茂木外相が代理 |
| 2022年2月24日 | ドイツ | ロシアのウクライナ侵攻 | 23:15〜約70分 | 岸田文雄首相 |
| 2022年5月9日 | ドイツ | ウクライナ情勢 | 0:00〜約70分 | 岸田文雄首相 |
| 2022年10月11日 | ドイツ | ウクライナ情勢 | 21:00〜約90分 | 岸田文雄首相 |
| 2022年12月13日 | ドイツ | ウクライナ情勢 | 0:00〜約90分 | 岸田文雄首相 |
| 2023年2月24日 | 日本 | 侵攻から1年 | 23:00〜約90分 | 岸田文雄首相議長 |
| 2023年12月6日 | 日本 | 議長年の総括 | 23:30〜約90分 | 岸田文雄首相議長 |
| 2024年2月25日 | イタリア | 侵攻から2年 | 0:30〜約90分 | 岸田文雄首相 |
| 2024年4月14日 | イタリア | イランのイスラエル攻撃 | 23:00〜約45分 | 岸田文雄首相 |
| 2024年10月2日 | イタリア | 中東情勢 | 22:55〜約45分 | 石破茂首相電話会議 |
| 2024年12月13日 | イタリア | 年末の総括・ウクライナ・中東 | 23:40〜約70分 | 石破茂首相 |
| 2025年2月24日 | カナダ | 侵攻から3年 | 22:00〜約90分 | 石破茂首相 |
| 2026年3月11日 | フランス | 中東情勢 | 23:00〜約60分 | 高市早苗首相 |
| 2026年10月2日 | フランス | 燃料価格(ディーゼル) | 21:30〜約30分 | 代理 遠藤和也外務審議官首相は欠席・代理出席 |
外務省「G7サミット」2020〜2026年の各ページに掲載された首脳テレビ会議・電話会議・オンライン会議の概要から筆者が集計(2024年10月2日は電話会議)。対面のサミットや、会議を開かずに出した首脳声明は含みません。日付と時刻は概要本文の日本時間の記載によります。
表を見ると、日本の首相は時差のため深夜の会議にも毎回出ていました。17回のうち11回は午後11時以降の開始で、2024年2月は午前0時30分から約1時間半の会議に岸田首相が出席しています。今回の午後9時30分開始は、17回のなかで2番目に早い時間帯でした(同じ時刻は2020年4月)。
代理が出た例はこれまでにもありますが、2021年8月のアフガニスタン情勢の会議で、パラリンピック開会式に出ていた菅首相が到着するまでの間、茂木敏充外相が代理を務めたケースだけです。首相が最後まで出席せず、閣僚ではなく事務方の外務審議官が代理となったのは、確認できる範囲で今回が初めてです。また約30分という長さも17回で最も短く、それ以前の16回の平均(約77分)の半分以下でした。
同じフランス議長下で開かれた2026年3月11日の中東情勢をめぐる会議には、高市首相が午後11時から約1時間出席し、日本が同じ日に石油備蓄の放出を発表したことを各国首脳に伝えています。このときはロイター通信が日本時間3月11日午前7時38分に「水曜日に開催」と報じており、開催まで約15時間ありました。
「当日直前に急きょ設定」は本当?フランスの発表時刻で検証
首相の説明に対しては、「フランスは数日前に発表していた」として食い違いを指摘する報道があります。根拠は、仏大統領府が会議後に出したまとめの「大統領は数日前に、G7議長国として首脳を招集すると発表していた」という一文です。そこで、フランス側の公表を時刻の順に並べました(日本時間)。
| 日時(会議までの時間) | 公表された内容 |
|---|---|
| 9月18日(2週間前) | 仏大統領府「G7は今後数週間のうちに会合を開く」。日時は未定 |
| 10月2日 18:44(2時間46分前) | ロイター(仏語)「できるだけ早く招集する」。日時の記載なし |
| 10月2日 21:12(18分前) | ロイター(英語)「今週金曜に開催」。開催日がはじめて報道 |
| 10月2日 21:30 | 会議開始(パリは午後2時30分) |
| 10月3日 | 仏大統領府のまとめ「大統領は数日前に、G7首脳を招集すると発表していた」 |
仏大統領府の発表(9月18日・10月2日)と、ロイター通信の配信記事に記録された公開時刻(仏語版はフランス時間11時44分、英語版は協定世界時12時12分)を日本時間に換算。
「数日前に発表」とされているのは、9月18日の「今後数週間のうちに」という表明を指すとみられます。つまりG7を開くこと自体は2週間前から公になっていましたが、具体的な日時は当日まで公表されていません。開催を急いだきっかけは前夜のマクロン氏とトランプ氏の電話協議で、当日の朝(フランス時間)でも「できるだけ早く」という表現でした。公開された記録で見る限り、日時が決まったのは当日とみるのが自然で、首相の「当日直前に急きょ設定」という説明と大きな矛盾はありません。
外交ルートで日本に開催の打診がいつあったのかは公表されていません。外務省はSmart FLASHの質問に「外交上のやり取りであるため、詳細は差し控えたい」と回答しています。また首相の説明どおり「急きょ」だったとしても、それが欠席の理由として十分かどうかは別の問題です。
なぜ欠席が問題に?首相の説明と批判のポイント
首相は10月5日のX投稿で、欠席について主に4つの点を挙げています。それぞれに、記録や報道から分かることを並べました。
| 首相・政府の説明 | 記録・報道から分かること |
|---|---|
| 当日直前に急きょ設定された | 日時の公表は当日で、記録とは整合。ただし3月は約15時間前の予告で、深夜の会議に出席している |
| 代理出席が認められていた | 欠席自体はルール違反ではない。ただし過去16回で、首相が最後まで出なかった例はない |
| 英首相・欧州理事会議長も欠席 | 英国のバーナム首相は父の葬儀のためで、外相が代理。日本の代理は閣僚ではなく事務方 |
| 会議の主眼は欧州の備蓄放出の遅れ | 日本は3月に備蓄放出を決めており、議題の中心ではなかった。ただし声明には日本も加わる |
「公邸にいたのに」が批判の中心
批判が強まった大きな理由は、会議の時間帯に公表された公務がなかったことです。日本経済新聞によると、首相は会議の開催中は公務を終え、首相公邸に滞在していました。首相は8月のX投稿で、公邸には「海外要人とのリモート会議」ができる会議室や通信環境が整っていると紹介しています。そのうえで、直前の党幹部との会食で首相も飲酒したと報じられたことから、SNSでは「会食を優先した」という受け止めが広がりました。
一方、女性自身は官邸関係者の話として、準備の時間がないなかでG7の実務を担う遠藤外務審議官に任せる形を選んだのだろう、という見方も伝えています。
野党の主な発言
| 発言者 | 発言 |
|---|---|
| 岡本三成 公明党代表(7日) | 「英国の首相も出ていないからいいでしょうという問題ではない」 |
| 階猛 民主改革の会幹事長(6日) | 「国益にマイナスになる部分が多々ある」 |
| 小川淳也 民主改革の会代表 | 「関係国から軽視された、との捉え方をされる懸念がある」 |
| 玉木雄一郎 国民民主党代表 | 「首相しか日本の国を背負って他国と渡り合うことはできない」 |
| 神谷宗幣 参政党代表(6日) | 「大きな問題だ。国のリーダーなので、しっかり参加してほしい」 |
共同通信(10月10日)、Smart FLASH(10月8日)、女性自身(10月8日)の報道から。
G7欠席で日本への影響は?今後の焦点
今回の会議で決まった備蓄の放出は欧州の軽油が中心で、日本はすでに3月に放出を決めています。首相のステートメントは代読で伝えられ、首脳声明にも日本が加わっているため、会議の結論そのものに日本が加われなかったわけではありません。自民党の議員からも「ただちに国益が損なわれるということではない」との声が出ています。
ただ、G7首脳のオンライン会議は、各国のトップが顔をそろえて直接やりとりする場です。IEAのビロル事務局長がXに投稿した会議の写真(その後削除)には、マクロン大統領やドイツ・イタリア・カナダの首相らと並んで遠藤外務審議官が写っていました。野党が「存在感の低下」を心配するのはこの点です。高市首相は就任時の所信表明で「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」と述べており、今後の首脳外交への姿勢があらためて問われています。
①国会で首相自身が欠席の経緯をどう説明するか ②フランスからの打診がいつだったのか政府が明らかにするか ③燃料価格対策で次にG7首脳会議が開かれたとき首相が出席するか、の3点です。動きがあればこの記事に追記します。
高市首相のG7欠席の報道(X)
共同通信は、欠席した時間帯に公表された公務がなかったことと、野党からの批判を伝えています。
高市首相のG7欠席でよくある質問
Q. 高市首相が欠席したG7の会議はいつ、何の会議ですか?
A. 日本時間2026年10月2日の午後9時30分から約30分間、議長国フランスの呼びかけで開かれたG7首脳のオンライン会議です。燃料価格、とくに米欧の軽油(ディーゼル)価格の高騰への対応がテーマで、石油備蓄の最大1億バレルの協調放出などで一致しました。
Q. 高市首相がG7を欠席した理由は何ですか?
A. 首相はXで「議長国のフランスが当日直前に急遽設定したもので、代理出席が認められていました」と説明しています。会議の主眼は欧州の備蓄放出の遅れで、日本はすでに3月に放出を決めていたことも強調しました。
Q. 欠席中、首相は何をしていましたか?
A. 会議の時間帯に公表された公務はなく、首相は公邸にいました。その前の午後6時30分から7時45分ごろまで、公邸で麻生太郎副総裁ら自民党幹部と会食しており、時事通信は首相も飲酒したと報じています。
Q. 日本の首相がG7首脳会議を欠席したのは初めてですか?
A. 外務省のG7ページに概要が載る2020年以降の首脳オンライン会議(電話会議を含む)17回では、首相が出席しなかったのは今回が初めてです。2021年8月に菅首相が遅れて参加し、到着まで茂木外相が代理を務めた例はあります。
Q. フランス側の発表と首相の説明は食い違っていますか?
A. 仏大統領府は会議後に「数日前に招集を発表していた」と書きましたが、これは9月18日の「今後数週間のうちに開く」という日時未定の表明を指すとみられます。具体的な開催日が報じられたのは当日で、公開記録の上では首相の説明と大きな矛盾はありません。ただし外交ルートでいつ打診があったかは公表されていません。
Q. 代理で出席した遠藤和也外務審議官とはどんな人ですか?
A. 外務省の外務審議官で、G7首脳会議の準備を事務レベルで取りまとめる「シェルパ」を務めています。首相の説明では、会議当時は米国出張中で、この会議の調整にも直接あたっていました。
あわせて読みたい
出典・参考資料
- 外務省:世界のエネルギー情勢(米欧等のディーゼル価格などへの対応)に関するG7首脳オンライン会議(概要)(2026年10月3日)
- 外務省:G7首脳オンライン会議(概要)(2026年3月12日)
- 外務省:G7/G8 首脳会議・外相会議(2020〜2026年の各年ページに載る首脳テレビ会議・電話会議の概要17本を集計)
- フランス大統領府:Videoconference with G7 leaders on the global energy situation(2026年10月2日)
- フランス大統領府:Situation internationale : réunion avec les chefs des partis(2026年9月18日)
- ロイター通信(Boursorama掲載):Macron va réunir les dirigeants du G7…(2026年10月2日 11:44 フランス時間)
- 日本経済新聞:高市首相のG7首脳会合欠席、官房長官「議長国が当日に急きょ設定」(2026年10月5日)
- Smart FLASH:高市首相、G7首脳オンライン会議欠席「フランスが当日直前に急遽設定」釈明もフランス側発表と食い違い…(2026年10月8日)
- そのほか時事通信(10月5日)、共同通信(10月5日・10日)、女性自身(10月8日)の報道
内容は2026年10月10日時点の情報にもとづきます。会議の回数・開始時刻・長さの集計と、発表時刻の日本時間への換算は筆者によるものです。外務省のページに概要が載っていない会議は集計に含まれていません。アイキャッチ画像は自作です。


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