ノーベル賞2026の発表はいつ?
全6賞の日程と日本時間
2026年のノーベル賞は10月5日(月)から12日(月)にかけて発表されます。トップバッターは例年どおり生理学・医学賞で、日本時間5日18時30分ごろ。2025年は坂口志文氏(生理学・医学賞)と北川進氏(化学賞)が同年ダブル受賞を果たしており、2年連続の日本人受賞となるかが焦点です。受賞ペースを自前で集計すると、21世紀の日本は20世紀の約9倍のスピードで受賞していました。
【受賞者速報】2026年10月11日更新
- 平和賞(10月9日発表):南アフリカの法律家で元国連人権高等弁務官のナバネセム(ナビ)・ピレイ氏(1941年ダーバン生まれの85歳)。受賞理由は「平和と国際法を推し進めた努力」です(賞金1,200万クローナを1人で受け取ります)。アパルトヘイト下でインド系タミル人の家庭に生まれ、弁護士としてネルソン・マンデラ氏らを弁護したあと、南ア高等裁判所、ルワンダ国際刑事裁判所(ICTR)、国際刑事裁判所(ICC)の判事、2008〜2014年に国連人権高等弁務官を務めました。現在はミャンマーがジェノサイドの責任を問われている国際司法裁判所(ICJ)の事件で判事を務めています。ノルウェー・ノーベル委員会は、国際法の制度が「激しい圧力を受け、攻撃されている」いまこそ法の支配が欠かせないと強調しました。
- 当ブログがノーベル財団のデータで数えると、女性の平和賞受賞は個人で21人目で、2025年のマチャド氏に続き2年連続で女性です。発表日時点の85歳は、平和賞の個人受賞者111人のうち1927年のビュイッソン氏と並ぶ歴代2番目の高齢(最高齢は1995年のロートブラット氏の86歳)。南アフリカの個人の受賞は1993年のマンデラ氏・デクラーク氏以来33年ぶりです。
- 文学賞(10月8日発表):カナダの詩人・古典学者アン・カーソン氏(1950年トロント生まれの76歳)。受賞理由は「古典の伝統と遊び心のある対話を重ねながら、現代文学に新しい形式を生み出した大胆で独創的な作品群」です(賞金1,200万クローナを1人で受け取ります)。古代ギリシャ語を専門とする研究者で、詩・エッセー・翻訳の境界をまたぐ作品で知られています。
- 当ブログがノーベル財団のデータで数えると、女性の文学賞受賞は19人目で、2022年のエルノー氏、2024年のハン・ガン氏に続き偶数年に3回続けて女性が選ばれました。カナダ生まれの文学賞受賞者は1976年のソール・ベロー氏(米国籍)、2013年のアリス・マンロー氏に続く3人目です。詩人の受賞は2020年のルイーズ・グリュック氏以来になります。日本出身の文学賞は1968年の川端康成氏、1994年の大江健三郎氏、2017年のカズオ・イシグロ氏の3人で、今年は加わりませんでした。
- 化学賞(10月7日発表):硤合憲三(そあい・けんそう)氏(東京理科大学名誉教授、1950年広島県生まれ)とアンリ・カガン氏(仏パリ南大学〈現パリ・サクレー大学〉名誉教授、1930年生まれの95歳)の2人。受賞理由は「不斉有機合成における非線形効果と自己触媒反応の発見」です(賞金1,200万クローナを2等分)。
- 生き物のアミノ酸は「右手と左手」のような鏡像の片方だけでできていますが、試験管の反応では両方が半々にできてしまいます。カガン氏は1986年、片方を想定以上に多く作れる現象(非線形効果)を発見。硤合氏は1995年に、できた分子が自分と同じ形の分子を増やす反応(硤合反応=不斉自己触媒反応)を発表し、2003年には片方の鏡像だけができる反応を実現しました。選考委員会は「生命以外で誰も成し遂げていなかった」と評価し、医薬品の製造にも決定的だったとしています。
- 日本人の受賞は2年連続(2025年は坂口志文氏・北川進氏)。当ブログの集計で日本出身の受賞者は32人目、化学賞では10人目で、化学賞が2年続くのは2000〜2002年(白川英樹・野依良治・田中耕一の3氏)以来24年ぶりです。不斉合成の分野では2001年の野依良治氏に続く受賞になります。また、カガン氏の95歳はノーベル財団のデータで全部門の歴代3番目の高齢(化学賞では2019年のグッドイナフ氏97歳に次ぐ2番目)です。硤合反応の仕組みと実験の数字は硤合憲三氏の硤合反応とは?何がすごいか数字で解説で詳しくまとめています。
- 物理学賞(10月6日発表):フランシス・ハルツェン氏(米ウィスコンシン大学マディソン校、1944年ベルギー・ティーネン生まれの82歳)の単独受賞。受賞理由は「アイスキューブ(IceCube)ニュートリノ観測所への決定的な貢献と、宇宙由来の高エネルギーニュートリノの発見」。南極の氷1立方キロメートルに光センサーを埋め込んだ観測所を構想・主導した業績です(賞金1,200万クローナを1人で受け取ります)。
- 当ブログがノーベル財団のデータで数えると、物理学賞の単独受賞は1992年のシャルパク氏以来34年ぶり(通算48回目)。82歳での受賞は物理学賞の歴代受賞者231人のうち16番目の高齢です。宇宙から届くニュートリノの観測では、2002年の小柴昌俊さん(カミオカンデ)以来の受賞で、IceCubeには日本から千葉大学(ハドロン宇宙国際研究センター)が参加しています。
- 生理学・医学賞(10月5日発表):カール・ダイセロス氏(米スタンフォード大学・ハワード・ヒューズ医学研究所)、ペーター・ヘーゲマン氏(独フンボルト大学ベルリン)、ゲオルク・ナーゲル氏(独ヴュルツブルク大学)の3人。受賞理由は「光で開閉するイオンチャネルと光遺伝学(オプトジェネティクス)に関する発見」で、緑藻の光センサーたんぱく質チャネルロドプシンを見つけ、光で神経細胞をオン・オフできる方法に育てた業績です(賞金1,200万クローナを3等分)。
- 残りは経済学賞(10月12日〈月〉18時45分ごろ)だけです。
この記事でわかること
- 2026年の発表は10月5日〜12日。日本時間ではいずれも夕方18時台〜20時にあたる
- 順番は生理学・医学→物理学→化学→文学→平和→経済学で毎年固定
- 平和賞だけノルウェー(オスロ)で発表される。ほかの5賞はスウェーデン
- 日本出身の受賞者は2025年までに31人(うち4人は受賞時に外国籍)
- 当ブログの集計では、自然科学3賞の日本出身受賞者は20世紀の51年で5人、21世紀の26年で22人
ノーベル賞2026の発表日程(日本時間つき)
ノーベル財団が公表した2026年の発表スケジュールは次のとおりです。現地時間はいずれもCEST(中央ヨーロッパ夏時間)で、日本との時差は7時間。日本からは夕食どきにライブ中継を見られる時間帯です。
| 賞 | 発表日 | 現地時間 | 日本時間 |
|---|---|---|---|
| 生理学・医学賞 | 10月5日(月) | 11:30〜 | 18:30〜 |
| 物理学賞 | 10月6日(火) | 11:45〜 | 18:45〜 |
| 化学賞 | 10月7日(水) | 11:45〜 | 18:45〜 |
| 文学賞 | 10月8日(木) | 13:00〜 | 20:00〜 |
| 平和賞 | 10月9日(金) | 11:00 | 18:00 |
| 経済学賞 | 10月12日(月) | 11:45〜 | 18:45〜 |
※平和賞以外は「最も早い場合」の時刻として公表されています。選考に時間がかかると後ろにずれることがあります。平和賞のみ時刻が固定です。
2026年は10月9日(金)の平和賞のあと、土日を置いて12日(月)に経済学賞が来ます。発表が6営業日にまたがる形で、10月5日の週が「ノーベル賞ウィーク」になります。授賞式は毎年12月10日、アルフレッド・ノーベルの命日です。
なぜ平和賞だけノルウェーなのか
ノーベル賞6部門のうち、平和賞だけはノルウェーのオスロで発表・授与されます。ほかの5賞はスウェーデンのストックホルムです。
これはノーベルの遺言そのものに書かれた指定で、物理学賞・化学賞はスウェーデン王立科学アカデミー、生理学・医学賞はカロリンスカ研究所、文学賞はスウェーデン・アカデミー、そして平和賞はノルウェー国会が選ぶ5人の委員会が選考すると定められています。当時、スウェーデンとノルウェーは同君連合の関係にあり、ノーベルがなぜノルウェーを指名したのかは遺言に理由が書かれておらず、いまも確定的な説明はありません。
経済学賞は「ノーベルの遺言にない賞」
経済学賞の正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」です。1968年にスウェーデン国立銀行の創立300周年を記念して設けられ、翌1969年から授与が始まりました。ノーベルの遺産を原資とする5賞とは成り立ちが異なるため、発表も1日おいて最後になります。日本人の受賞者はまだいません。
| 賞 | 選考機関 | 発表地 |
|---|---|---|
| 生理学・医学賞 | カロリンスカ研究所 | ストックホルム |
| 物理学賞・化学賞 | スウェーデン王立科学アカデミー | ストックホルム |
| 文学賞 | スウェーデン・アカデミー | ストックホルム |
| 平和賞 | ノルウェー・ノーベル委員会 | オスロ |
| 経済学賞 | スウェーデン王立科学アカデミー | ストックホルム |
日本の受賞ペースは21世紀に9倍近くへ
2025年は坂口志文氏が生理学・医学賞(免疫応答を抑制する仕組みの発見)、北川進氏が化学賞(金属有機構造体=MOFの開発)を受賞し、2015年以来10年ぶりの同年ダブル受賞となりました。日本出身の受賞者はこれで31人です(うち4人は受賞時に外国籍でした)。2026年は硤合憲三氏が化学賞を受賞し、32人になりました。
受賞のペースがどう変わったのかを、自然科学3賞(物理学・化学・生理学医学)に絞って数えました。
51年間
27年間
※当ブログの集計。日本出身者(受賞時に外国籍だった人を含む)を対象に、自然科学3賞のみを数えました。
20世紀は51年間でわずか5人(湯川秀樹・朝永振一郎・江崎玲於奈・福井謙一・利根川進)。それが21世紀に入ると27年間で23人(2026年の硤合憲三氏まで)に跳ね上がりました。年あたりに直すと0.098人から0.85人へ、約8.7倍のペースです。
ただし「連続受賞」は3回しかない
とはいえ毎年もらえるわけではありません。自然科学3賞で日本出身者が2年以上続けて受賞した期間は、2000〜2002年・2014〜2016年・2018〜2019年の3回だけです。2021年の真鍋淑郎氏のあとは2022年から2024年まで3年続けて自然科学3賞の受賞がなく、2025年の2人は4年ぶりでした。
【10月7日追記】2026年の化学賞を硤合憲三氏が受賞したことで、2025〜2026年が4回目の連続受賞になりました。
ノーベル賞は、成果が定着し評価が固まってから授与されるのが通例です。坂口氏の制御性T細胞の発見は1995年、北川氏のMOFの論文は1997年ごろで、いずれも受賞まで約30年かかっています。つまり近年の受賞ラッシュが示しているのは1980〜90年代の日本の研究力で、現在の研究環境の評価とは切り離して考える必要があります。
前哨戦——「ノーベル賞の登竜門」に日本人4人
発表前にかならず注目されるのが、アメリカのラスカー賞です。受賞者から多くのノーベル賞受賞者が出ていることから「ノーベル賞の登竜門」と呼ばれており、2026年は睡眠物質オレキシンを発見した筑波大学の柳沢正史教授ら日本人4人が選ばれました。2年連続の日本人受賞となるかを占ううえで、10月5日の生理学・医学賞は例年以上に注目が集まります。
【米『ラスカー賞』受賞…柳沢教授「睡眠慣習のギャップを埋めたい」】
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アメリカでもっとも権威のある医学賞で、“ノーベル賞の登竜門”といわれる『ラスカー賞』を睡眠研究の第一人者、筑波大学の柳沢正史教授が受賞▼28年前の研究が歴史的快挙に
筑波大学 柳沢正史教授… pic.twitter.com/4NTQyZICxH— 報道ステーション+サタステ (@hst_tvasahi) September 10, 2026
よくある質問
Q. ノーベル賞2026の発表はいつですか?
A. 2026年10月5日(月)から12日(月)です。生理学・医学賞が10月5日、物理学賞が6日、化学賞が7日、文学賞が8日、平和賞が9日、経済学賞が12日の予定です。
Q. 日本時間では何時に発表されますか?
A. 現地の中央ヨーロッパ夏時間と日本の時差は7時間なので、生理学・医学賞が18時30分ごろ、物理学賞・化学賞・経済学賞が18時45分ごろ、文学賞が20時ごろ、平和賞が18時ちょうどです。平和賞以外は「最も早い場合」の時刻で、選考が長引くと後ろにずれます。
Q. どこで中継を見られますか?
A. ノーベル財団の公式サイトと公式SNSでライブ配信されます。日本のニュース番組でも速報が流れますが、受賞理由の詳しい説明は公式の記者会見でなされるため、研究内容まで知りたい場合は公式配信のほうが早いです。
Q. 2025年の日本人受賞者は誰ですか?
A. 生理学・医学賞に大阪大学の坂口志文氏、化学賞に京都大学の北川進氏が選ばれました。坂口氏は免疫応答を抑制する仕組み(制御性T細胞)の発見、北川氏は気体を自在に出し入れできる金属有機構造体(MOF)の開発が評価されました。同じ年に2人が受賞したのは2015年以来10年ぶりです。
Q. 日本人のノーベル賞受賞者は何人ですか?
A. 2025年までで日本出身の受賞者は31人で、2026年10月7日に化学賞の硤合憲三氏(東京理科大学名誉教授)が加わり32人になりました。このうち南部陽一郎氏、中村修二氏、真鍋淑郎氏、カズオ・イシグロ氏の4人は受賞時に外国籍でした。ほかに2024年には団体として日本原水爆被害者団体協議会が平和賞を受賞しています。
Q. なぜ経済学賞だけ扱いが違うのですか?
A. 経済学賞はノーベルの遺言にない賞だからです。正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」で、1968年にスウェーデン国立銀行の創立300周年を機に設立され、1969年から授与されています。原資も選考の経緯も他の5賞とは別です。


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