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中国産野菜は危ない?輸入検査の違反率を国別に比べてわかったこと

2026 10/01
ニュース 社会・くらし
2026年10月1日
日本の店頭に並ぶ野菜の写真と「中国産野菜は危ない?輸入検査の違反率で検証」の文字

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社会ニュース|データで検証

中国産野菜は危ない?輸入検査の違反率を国別に比べてわかったこと

中国でホルムアルデヒドに浸した白菜が見つかった問題をきっかけに、「中国産野菜は危ないのか」という不安が広がっています。週刊誌が外食チェーンなどの中国産野菜の使用状況を報じたことも重なり、検索が急増しました。この記事では、厚生労働省が毎年公表している輸入食品監視統計と違反事例803件を自分で集計し、中国産の違反率がほかの国と比べて本当に高いのかを、数字で確かめます。

野菜輸入の57.8%が中国産検査あたり違反率は0.22%違反の7割は残留農薬外食は産地表示の義務なし

2026年10月1日公開/出典:厚生労働省「令和7年度輸入食品監視統計」(2026年8月)・「輸入食品等の食品衛生法違反事例」(2025年度分・2026年度分)・「中国産白菜の取扱いについて」(2026年8月28日)・中国産冷凍ほうれんそうに関する報道発表(2002〜2003年)・ポジティブリスト制度Q&A、消費者庁 食品表示基準Q&A、農畜産業振興機構「野菜輸入レポート」(原資料:財務省貿易統計)

この記事の結論

  • 日本が2025年に輸入した野菜287万トンのうち57.8%(166万トン)が中国産です。生鮮たまねぎに限れば91.3%が中国産で、冷凍野菜・生鮮野菜とも最大の輸入先です。
  • 2025年度に輸入時の検査で見つかった食品衛生法違反791件のうち、中国は223件で国別最多です。ただし輸入届出の42.3%を中国が占めるため、検査1件あたりの違反率は0.22%で、全体平均の0.37%、アメリカの0.58%、韓国の0.56%より低い水準です。2020〜2025年度の6年間、毎年この関係は変わっていません。
  • 野菜に絞ると、冷凍野菜の検査あたり違反率は中国0.12%、中国以外0.56%。一方で生鮮野菜は、届出1万件あたりの違反が中国8.0件と中国以外(4.6件)より多く、「数字の取り方で見え方が変わる」ことにも注意が必要です。
  • 中国産野菜の違反68件のうち49件(72%)は残留農薬で、しかも「にんじん×メピコートクロリド」「だいこん・たまねぎ×チアメトキサム」の3つの組み合わせだけで33件です。違反は特定の品目と農薬に集中していて、その多くはすでに全ロット検査(検査命令)の網にかかっていました。
  • 2002年の冷凍ほうれんそう問題では、検査の7.1%が違反でした。2025年度の中国産冷凍野菜は0.12%です。一方、外食や店内調理の料理には産地表示の義務がありません。気になる人は、加工食品の表示を見るか、お店に直接たずねるのが確実です。
目次

中国産野菜はなぜ今話題?ホルムアルデヒド白菜と週刊誌報道

きっかけは、2026年8月に中国で発覚した白菜の問題です。韓国紙コリア・タイムズによると、8月22日に中国のSNSに投稿された動画に、収穫した白菜を液体に浸してからトラックに積み込む作業員の姿が映っていました。地元当局が調べたところ、液体にはホルムアルデヒドが含まれていたことが確認され、中国のメディアは容疑者3人が拘束されたと伝えています。現場は河北省張家口市の康保県とされています。

日本の厚生労働省は8月28日付けで全国の検疫所に「中国産白菜の取扱いについて」という通知を出しました。通知によると、中国政府からは問題の白菜の対日輸出はないとの報告を受けているものの、中国産白菜を原料にした加工食品への使用状況は中国当局が確認中でした。そのため当面のあいだ、中国産白菜を含む食品の輸入届出があれば、輸入者に製造者などへホルムアルデヒドの使用の有無を確認させ、必要に応じてモニタリング検査を行うよう指示しています。

その後、週刊新潮が9月上旬から、スーパーの白菜商品や外食チェーン、コンビニ・弁当チェーンなどの「中国産野菜」の使用状況を「実名リスト」として連載し、ニュースサイトのデイリー新潮も9月29日に関連記事を配信しました。Googleトレンドでも「中国産野菜」の検索が急上昇しています。この記事では個別の企業名には触れず、「そもそも中国産の野菜は、ほかの国の野菜より危ないのか」という疑問に、公的な統計で答えることにします。

白菜の違反は見つかっているのか

厚生労働省が公表している違反事例の速報(2026年度分、4月〜9月29日公表分)は298件あり、うち中国産は82件です。この中に、白菜やホルムアルデヒドに関する違反は1件もありません。ただし、これは「違反として公表されたものがない」という意味で、検査の件数や結果の全体が公表されているわけではありません。

日本に入る野菜の6割近くが中国産|輸入量のデータ

まず、日本の食卓に中国産の野菜がどれだけ入っているかを確認します。農畜産業振興機構が財務省の貿易統計をもとにまとめた「野菜輸入レポート」によると、2025年の野菜の輸入量は287万4393トンで、そのうち中国からは166万2592トンでした。割合にすると57.8%で、2位のアメリカ(43万6441トン)の約4倍です。

57.8%2025年の野菜輸入量に占める中国産
91.3%生鮮たまねぎの輸入に占める中国産
51.3%冷凍野菜の輸入届出重量に占める中国(2025年度)
73.8%生鮮野菜の輸入届出重量に占める中国(2025年度)

中国からの輸入で最も多いのは「その他の冷凍野菜」(35万3528トン)、次いで生鮮たまねぎ(27万7614トン)、「その他調製野菜」(23万5490トン)です。生鮮たまねぎの輸入量は全体で30万4230トンなので、輸入たまねぎの91.3%が中国産という計算になります。

検疫所への輸入届出の重量で見ても、2025年度は冷凍野菜の51.3%、生鮮野菜の73.8%を中国が占めました。冷凍野菜はアメリカ産の冷凍ばれいしょ(フライドポテトなど)が大きいため中国の割合がやや下がりますが、ブロッコリーやほうれんそう、えだまめなどを含む「野菜の冷凍食品」の届出件数では、中国が9万8071件中7万1819件(73.2%)を占めています。

なぜ業務用で中国産が多いのか

野菜輸入レポートは、2025年に生鮮のキャベツやはくさいの輸入が増えた理由として「業務需要の引き合いが強く」、たまねぎやばれいしょは「北海道産の価格高騰」を挙げています。外食や総菜、加工食品の工場は、1年を通じて同じ量・同じ規格の野菜を、決まった価格で仕入れる必要があります。国内の不作や値上がりがあると、その穴を埋めるのが輸入品、とりわけ量と価格で安定している中国産になりやすい構造です。2025年の生鮮たまねぎの輸入単価は1kgあたり66円でした。

中国産の違反率は高い?国別に比べた輸入食品監視統計

輸入される食品は、すべて検疫所に届け出る決まりになっています。厚生労働省はその届出の中から検査を行い、違反の件数を国別・品目別に「輸入食品監視統計」として毎年公表しています。2026年8月に公表された令和7年度(2025年4月〜2026年3月)版から、違反件数の多い国を並べたのが次の表です。

国 輸入届出件数 検査件数 違反件数 検査あたり違反率
中国 1,070,871件 100,267件 223件 0.22%
アメリカ 153,582件 12,872件 75件 0.58%
ベトナム 121,117件 21,796件 65件 0.30%
韓国 99,728件 6,844件 38件 0.56%
タイ 154,914件 9,700件 29件 0.30%
イタリア 97,299件 6,859件 21件 0.31%
フランス 176,361件 9,427件 17件 0.18%
全体(全ての国) 2,532,256件 214,030件 791件 0.37%

出典:厚生労働省「令和7年度輸入食品監視統計」表5をもとに筆者が計算。届出件数には食品のほか、食器や調理器具、容器包装、乳幼児用おもちゃも含みます。

違反件数だけを見ると、中国の223件は2位のアメリカ(75件)の約3倍で、確かに突出しています。しかし中国は、輸入届出の件数そのものが全体の42.3%を占める最大の輸入元です。違反件数の割合(28.2%)は、届出件数の割合より小さいことになります。

検査した件数に対する違反の割合で比べると、中国は0.22%です。全体平均の0.37%、中国以外の国をまとめた0.50%を下回り、アメリカ(0.58%)や韓国(0.56%)の半分以下です。届出1万件あたりの違反で見ても、中国は2.1件で、全体の3.1件より少なくなっています。しかも中国産は届出の9.4%が検査されていて、全体の8.5%より検査を受ける割合はむしろ高いのです。

6年間の推移でも傾向は同じ

1年だけの数字では偶然の可能性もあるので、令和2年度(2020年度)から令和7年度までの6年分の統計で、中国の数字を追いました。

年度 中国の違反件数 届出件数に占める中国 中国の検査あたり違反率 全体の検査あたり違反率
2020年度 162件全体の23.4% 36.6% 0.20% 0.34%
2021年度 194件全体の24.0% 36.4% 0.23% 0.40%
2022年度 195件全体の25.0% 36.5% 0.23% 0.39%
2023年度 206件全体の27.0% 38.5% 0.24% 0.38%
2024年度 193件全体の26.4% 41.1% 0.21% 0.35%
2025年度 223件全体の28.2% 42.3% 0.22% 0.37%

6年間の合計では、中国の違反は1,173件、全体は4,566件です。検査あたりの違反率は中国0.22%に対し、全体0.37%、中国以外0.48%で、6年とも中国は全体平均を下回りました。一方、中国からの届出件数はこの6年で24.5%増えて100万件を超え、違反件数も200件前後で推移しています。「件数が多いから目立つ」という面が大きいことがわかります。

違反率を読むときの3つの注意

①検査は無作為の抜き取りではありません。国は違反が多い品目ほど検査を増やし、過去に違反が続いた品目には輸入のたびの検査(検査命令)をかけます。違反率は「その国の食品全体の汚染率」ではなく、「狙いを付けて検査した結果」です。②届出件数には食器や容器包装も含まれ、中国はこうした製品の輸入も多い国です。③統計(791件)と、品名ごとの違反事例の速報(803件)は集計の時点が違うため、件数が少しずれます。

中国産の野菜に絞ると?生鮮・冷凍野菜の検査と違反

国全体の数字には、肉や魚、お菓子、食器まで含まれています。そこで、同じ統計の品目別の表(表4と「品目別上位5ヵ国」)から、生鮮野菜と野菜の冷凍食品だけを取り出し、中国と中国以外に分けて計算しました。生鮮野菜は8つの小分類(あぶらな科、ゆり科、せり科など)すべてで中国が上位5ヵ国に入っているため、その合計を中国の数字としています。

区分 輸入届出件数 検査件数 違反件数 違反率
生鮮野菜中国 36,223件636,579トン 15,950件届出の44.0% 29件 検査あたり0.18%届出1万件あたり8.0件
生鮮野菜中国以外 41,007件226,224トン 4,624件届出の11.3% 19件 検査あたり0.41%届出1万件あたり4.6件
冷凍野菜中国 71,819件571,946トン 24,296件届出の33.8% 29件 検査あたり0.12%届出1万件あたり4.0件
冷凍野菜中国以外 26,252件543,357トン 2,676件届出の10.2% 15件 検査あたり0.56%届出1万件あたり5.7件

出典:厚生労働省「令和7年度輸入食品監視統計」表4・表4上位5ヵ国をもとに筆者が計算。「中国以外」は全体から中国を引いた値。重量は届出重量。

冷凍野菜では、中国産は届出の33.8%(2万4296件)が検査され、違反は29件、検査あたり0.12%でした。中国以外は検査率10.2%で違反15件、検査あたり0.56%です。届出1万件あたりで見ても、中国4.0件に対し中国以外5.7件で、どちらの物差しでも中国のほうが低くなります。

生鮮野菜は少し違います。検査あたりの違反率は中国0.18%、中国以外0.41%で中国のほうが低いものの、届出1万件あたりでは中国8.0件、中国以外4.6件と逆転します。中国産の生鮮野菜は届出の44.0%が検査されていて、中国以外の11.3%の約4倍です。たくさん検査すれば、見つかる違反の数も増えます。「届出あたり」は違反の出やすさを、「検査あたり」は検査の網の細かさの影響を受けやすい数字で、どちらか一方だけで白黒を付けるのは難しいところです。

数字から言えること・言えないこと

言えるのは、「中国産の野菜だけが飛び抜けて違反しやすい」とは統計から読み取れないこと、そして中国産は輸入量が多いぶん、他国産より手厚く検査されていることです。一方で、生鮮野菜の届出あたりの違反はほかの国より多く、特定の品目で違反が続いているのも事実です。次の章で、その中身を見ていきます。

中国産野菜の違反は何が多い?68件を分類した結果

厚生労働省は、違反した食品の品名・生産国・違反内容・措置を「輸入食品等の食品衛生法違反事例」として公表しています。2025年度分の803件のうち、中国産は221件。その品名を1件ずつ確認し、野菜(生鮮・冷凍・乾燥・水煮・きのこなど)と判別できた68件を、違反の種類ごとに数えました。

  • 残留農薬:49件(72%)
  • 微生物(大腸菌群・細菌数など):15件(22%)
  • 添加物の基準違反:3件(4%)
  • その他(放射線照射):1件(1%)

ほぼ4件に3件が残留農薬です。微生物の違反は、ゆでてから凍らせた冷凍野菜(えだまめ、ほうれんそう、たけのこなど)で大腸菌群や細菌数の基準を超えたもの、添加物は水煮えのきと乾燥かんぴょうの二酸化硫黄の使用基準違反、乾燥かんしょ(干しいも)から日本で認められていない甘味料(サイクラミン酸)が見つかったものでした。残留農薬49件を、品目と農薬の組み合わせで整理したのが次の表です。

品目 検出された農薬 件数 検出値 超えた基準
にんじん(生鮮9・冷凍3・冷凍ミックス野菜1) メピコートクロリド 13件 0.02〜0.37ppm 一律基準(0.01ppm)
だいこん(生鮮) チアメトキサム 10件 0.4〜2.0ppm 個別の基準値
たまねぎ(生鮮9・冷凍1) チアメトキサム 10件 0.03〜0.07ppm 個別の基準値
さやえんどう・スナップえんどう(冷凍) シロマジン 6件 0.02〜0.11ppm 一律基準(0.01ppm)
ピーマン(冷凍) エトキサゾール 2件 0.02〜0.04ppm 一律基準(0.01ppm)
その他(白きくらげ2、乾燥きのこ2、冷凍ほうれんそう・冷凍菜の花・冷凍スナップえんどう・生鮮にんにく各1) 8種類 8件 0.02〜0.05ppm 一律基準(0.01ppm)

出典:厚生労働省「輸入食品等の食品衛生法違反事例(2025年度分)」から筆者が集計。「その他」の検出値は、乾燥品を生鮮の状態に換算した値を含みます。

目立つのは、違反が特定の組み合わせに集中していることです。上位3つ(にんじん×メピコートクロリド、だいこん×チアメトキサム、たまねぎ×チアメトキサム)だけで33件と、残留農薬違反の67%を占めます。同じ農薬が同じ野菜から何度も見つかっているということは、産地側でその農薬の使い方が改善しきれていない可能性を示しています。

「一律基準」を超えたとはどういうことか

表の右端の「一律基準(0.01ppm)」は、2006年に始まったポジティブリスト制度のルールです。日本では、その野菜に使うことを想定した個別の基準値がない農薬について、0.01ppm(1kgあたり0.01mg)を超えて残っていれば販売も輸入もできません。残留農薬49件のうち29件がこの一律基準の超過で、その25件は0.05ppm以下でした。

厚生労働省のポジティブリスト制度Q&Aは、一律基準を超えた食品について次のように説明しています。

0.01ppmを超えたからといって全てが危険な食品であると断言することはできませんが、本来、当該食品に残留しないはずの農薬等が残留していることを意味する――厚生労働省「ポジティブリスト制度について Q&A」(2006年3月)

つまり、違反=ただちに健康被害というわけではない一方で、「使ってはいけない農薬が使われていた」「管理がずさんだった」ことの証拠ではある、ということです。だいこん・たまねぎのチアメトキサムのように個別の基準値がある農薬も、その値を超えれば同じく違反として輸入できません。

違反はどうやって見つかり、どうなったのか

68件がどの検査で見つかったかを数えると、次のようになります。

  • 検査命令:30件
  • モニタリング検査:21件
  • 輸入者の自主検査:15件
  • その他の行政検査:2件

最も多い検査命令は、違反の可能性が高いと見込まれる食品について、輸入者に輸入のたびの検査を命じる仕組みです。輸入者が費用を負担し、検査に合格するまで国内に出せません。モニタリング検査は、国が年度ごとに計画を立て、いろいろな食品を幅広く調べる検査です。費用は国が負担し、結果を待たずに輸入できますが、違反が見つかると検査を強化したり、検査命令に切り替えたりします。にんじん・たまねぎ・だいこんの違反の多くは検査命令で見つかっていて、「違反が続く組み合わせには、すでに全ロット検査がかかっている」状態です。

違反が見つかった68件の措置は、積み戻し(輸出国へ送り返す)が32件、廃棄が25件、全量を保管したうえで廃棄・積み戻し等の指示が8件、一部積み戻し・残り廃棄が2件でした。一部がすでに消費されていたのは1件(生鮮にんにく)だけです。モニタリング検査は結果を待たずに輸入できる仕組みのため、こうしたケースが起こり得ます。

2002年の冷凍ほうれんそう問題から何が変わった?

「中国産野菜は危ない」というイメージが広がった大きなきっかけが、2002年の中国産冷凍ほうれんそうの残留農薬問題です。厚生労働省の発表から、当時の経過をたどります。

  1. 2002年3月16日中国産冷凍ほうれんそうから基準超の農薬民間団体が中国産冷凍ほうれんそうから基準を超えるクロルピリホス(殺虫剤)を検出したと報道される。4日後に検疫所がモニタリング検査を開始。
  2. 2002年4月22日検査を全届出に拡大違反が見つかり、検査の対象を全ての輸入届出に広げる。検体数も段階的に8倍へ。
  3. 2002年7月10日輸入業者に輸入自粛を指導違反が相次いだため、厚生労働省が輸入の自粛を指導。1ロットあたりの検体数は8から16に。
  4. 2002年8月食品衛生法の改正が成立・公布議員立法による改正法が7月31日に成立し、8月7日公布、9月7日施行。8月26日には冷凍ほうれんそうへの検査命令も始まった。
  5. 2003年2月26日輸入自粛を解除中国側が日本向けほうれんそうへのクロルピリホス使用禁止、生産企業・畑の登録制などの対策を導入し、現地調査で確認されたため。
  6. 2006年5月29日ポジティブリスト制度が施行基準値のない農薬も一律0.01ppmで規制する仕組みに。それまでは残留基準が設定されていない農薬を含む食品の規制が困難だった。
  7. 2017年9月1日加工食品の原料原産地表示を義務化国内で製造する全ての加工食品で、重量が最も多い原材料の産地表示を義務化(経過措置は2022年3月末まで)。
  8. 2026年8月28日中国産白菜の取扱いを検疫所に通知ホルムアルデヒド問題を受け、中国産白菜を含む食品の輸入者に、ホルムアルデヒド使用の有無を確認させるよう指示。

違反率は7.1%から0.12%へ

厚生労働省が2003年2月に公表した集計によると、2002年2月第3週から翌年2月第2週までの中国産冷凍ほうれんそうは、輸入届出1,212件・16,234トンのうち658件が検査され、47件が違反(違反率7.1%)でした。検査した14件に1件が違反していた計算です。

これに対し、2025年度の中国産冷凍野菜は、検査24,296件のうち違反29件、検査あたり0.12%です。対象は「冷凍ほうれんそう」と「冷凍野菜全体」で同じではないため単純には比べられませんが、数字の桁が2つ違うほど下がっています(7.1%は0.12%の約59倍)。ちなみに2025年度の中国産冷凍ほうれんそうの違反は、残留農薬1件(インドキサカルブ0.05ppm)と微生物1件の計2件でした。

当時と今の大きな違いは、ルールの網の細かさです。厚生労働省のQ&Aによると、2002年当時の仕組みでは、残留基準が設定されていない農薬を含む食品は規制が困難でした。2006年のポジティブリスト制度で、基準のない農薬にも0.01ppmの一律基準がかかるようになり、表で見た「メピコートクロリド」や「シロマジン」のような違反も取り締まれるようになっています。

外食の野菜の産地はなぜわからない?表示ルールの落とし穴

今回の報道で注目されたのは、外食チェーンや弁当チェーンで中国産野菜が使われているかどうかでした。スーパーで買う野菜や加工食品には産地が書いてあるのに、なぜ外食ではわからないのでしょうか。理由は、食品表示のルールがそもそも外食を対象にしていないからです。

売られ方 産地の表示 ルールの中身
外食(レストラン・食堂・喫茶店・出前) 義務なし 食品表示基準の適用外。店の判断による任意の表示のみ
店内で調理・加工して売る総菜や弁当(インストア加工) 義務なし 製造した場所で販売する場合は原料原産地の表示が不要
容器包装に入っていない量り売りなど 義務なし 容器包装に入れずに販売する場合は不要
国内で製造した容器包装入りの加工食品 義務あり 重量割合1位の原材料の産地(野菜冷凍食品は上位3位かつ5%以上)
輸入された容器包装入りの加工食品(冷凍野菜など) 義務あり 原料原産地ではなく「原産国名」を表示
生鮮野菜(スーパーの青果売り場) 義務あり 輸入品は原産国名を表示

出典:消費者庁「食品表示基準Q&A」(総則-4・5、別添 新たな原料原産地制度 原原-1・原原-2)、同「加工食品の原料原産地表示制度」パンフレット。生鮮野菜の原産地表示は食品表示基準による。

消費者庁の食品表示基準Q&Aは、「設備を設けて飲食させる場合」、つまりレストランや食堂、喫茶店などの外食には食品表示基準の適用がないと明記しています。さらに、2017年9月に始まった新しい原料原産地表示制度も、外食や店内で作って売る総菜(インストア加工)、容器包装に入れずに売るものは対象外です。

外食や総菜の工場が仕入れる業務用の食材には、原産地の情報を取引先に伝える義務があります。ただしそれは、最終的に消費者向けの商品に産地を表示するための「事業者どうしの情報伝達」で、お店がお客さんに伝える義務ではありません。お店側は産地を知っていても、書く義務はないというのが今のルールです。

産地が気になるときの確かめ方

スーパーの冷凍野菜は、輸入品なら「原産国名」の欄に国名が書かれています。国内で作られた冷凍野菜なら、重量の多い上位3位(5%以上)の野菜の産地がわかります。外食や店内調理の総菜は表示の義務がないため、お店の公式サイトの産地情報を見るか、店員さんや問い合わせ窓口にたずねるのが確実です。任意で産地を公開しているチェーンもあります。

結局、中国産野菜は避けるべき?データから言えること

ここまでの数字をまとめると、次のようになります。

  1. 量輸入野菜の6割近くが中国産2025年の輸入量の57.8%。業務用や加工食品で国産の穴を埋めている。完全に避けるのは現実的ではない。
  2. 違反率国別では「違反件数最多」でも「違反率は平均以下」2025年度の検査あたり違反率は中国0.22%、全体0.37%。6年間の合計でも中国0.22%、中国以外0.48%。
  3. 弱点特定の野菜×農薬で違反が続いているにんじん・だいこん・たまねぎの3組で33件。生鮮野菜は届出あたりの違反が他国より多い。
  4. 網違反の多い組み合わせは全ロット検査野菜の違反68件のうち30件は検査命令で発見。流通前に積み戻し・廃棄されたものが大半。

「中国産だから危ない」「中国産でも安全」と、国名だけで決めつけることはどちらも数字からは言えません。違反は国を問わず見つかっていて、アメリカ産のとうもろこしやピスタチオ、アーモンドからはカビ毒のアフラトキシンが、アフリカや南米などからはカカオ豆やごまの残留農薬違反が、同じ年度に多数見つかっています。輸入食品の安全は、どの国の、どの品目で、どんな違反が続いているかを見るのが正確です。

今回の白菜の問題のように、中国国内の出来事が日本にどう影響するかは、厚生労働省の通知や違反事例の速報で確認できます。不安をあおる情報を見かけたら、まずは一次情報をたどってみることをおすすめします。

中国産野菜の安全性についてよくある質問

Q. 中国産野菜は本当に危ないのですか?

A. 国名だけで危ないとは言えません。2025年度の輸入検査で、中国は違反件数(223件)こそ国別で最多ですが、輸入届出の42.3%を占めるためで、検査1件あたりの違反率は0.22%と全体平均(0.37%)より低くなっています。ただし、にんじん・だいこん・たまねぎなど特定の品目で残留農薬の違反が続いているのも事実です。

Q. 違反した中国産野菜はスーパーに並んでいるのですか?

A. 違反が見つかった食品は、積み戻し(輸出国へ返送)や廃棄の措置がとられます。2025年度に違反となった中国産野菜68件のうち、一部がすでに消費されていたのは1件で、ほかは流通前に積み戻しや廃棄、全量保管などの措置がとられています。ただし、検査は全ての輸入品に行われるわけではありません。

Q. ホルムアルデヒドの白菜は日本に入ってきましたか?

A. 厚生労働省は2026年8月28日の通知で、中国政府から「問題の白菜の対日輸出はない」との報告を受けたとしています。加工食品への使用状況は確認中のため、中国産白菜を含む食品の輸入者にはホルムアルデヒド使用の有無を確認させています。2026年度の違反事例速報(9月29日公表分まで)に、白菜やホルムアルデヒドの違反はありません。

Q. 外食チェーンのメニューの野菜の産地はどうすればわかりますか?

A. レストランや食堂などの外食は、食品表示基準の適用外で、産地を表示する義務がありません。店内で調理して売る総菜や弁当も、原料原産地の表示は不要です。公式サイトで産地を公開しているお店もあるので、まずはそれを確認し、なければ店舗や問い合わせ窓口にたずねるのが確実です。

Q. 冷凍野菜のパッケージのどこを見れば産地がわかりますか?

A. 輸入された冷凍野菜は「原産国名」の欄に生産国が書かれています。国内で製造された野菜冷凍食品は、重量割合の上位3位かつ5%以上の原材料について、原材料名の後ろに産地が表示されます。

Q. 違反率が高いのはどの国ですか?

A. 2025年度の統計で違反件数の多い主要国を検査あたり違反率で比べると、アメリカ0.58%、韓国0.56%、イタリア0.31%、タイ0.30%、ベトナム0.30%、中国0.22%、フランス0.18%でした。アメリカはとうもろこしやナッツ類のカビ毒(アフラトキシン)の違反が多いのが特徴です。

Q. 2002年の冷凍ほうれんそう問題とは何ですか?

A. 2002年3月、中国産冷凍ほうれんそうから基準を超える殺虫剤クロルピリホスが見つかり、違反が相次いだ問題です。厚生労働省は7月に輸入自粛を指導し、2003年2月に中国側の対策を確認して解除しました。当時の違反率は検査の7.1%でした。この問題は、2006年のポジティブリスト制度導入の流れにもつながりました。

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出典・参考資料

  • 厚生労働省:輸入食品監視業務(監視指導・統計情報)/令和7年度輸入食品監視統計・同 統計表及び図(Excel)(2026年8月)。令和2〜6年度の同統計も使用
  • 厚生労働省:輸入食品等の食品衛生法違反事例/令和7年4月〜令和8年3月(Excel)/令和8年4月〜9月(Excel)
  • 厚生労働省:中国産白菜の取扱いについて(健生食輸発0828第4号)(2026年8月28日)
  • 厚生労働省:中国産冷凍ほうれんそう対策の強化について(2002年7月10日)/中国産冷凍ほうれんそうの取り扱いについて(2003年2月26日)
  • 厚生労働省:食品中の残留農薬等/ポジティブリスト制度について(Q&A)(制度全般についての質問、いわゆる一律基準についての質問)
  • 厚生労働省:令和8年度輸入食品監視指導計画(モニタリング検査・検査命令の定義)/輸入食品監視業務FAQ
  • 消費者庁:食品表示基準Q&A 第1章 総則/同 別添 新たな原料原産地制度/新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報(2017年9月1日ニュースリリース、2022年3月チラシ)
  • 農畜産業振興機構:野菜輸入レポート(2025年1-12月速報値)(2026年2月5日、原資料:財務省「貿易統計」)
  • The Korea Times:Korea steps up checks on Chinese cabbage, kimchi amid formaldehyde scare(2026年8月31日)
  • 新潮社:週刊新潮 2026年9月10日号/9月17日号/9月24日・10月1日号(目次)

「国別」「野菜」の違反率は、厚生労働省の輸入食品監視統計の件数をもとに筆者が計算したものです。中国産野菜の違反68件の分類は、違反事例(2025年度分)の品名・違反内容から筆者が判別・集計したもので、品名から野菜と判別できないもの(野菜を使った揚げ物・スープ・菓子など)は含めていません。統計と違反事例は集計時点が異なるため件数が一致しない場合があります。本記事は特定の企業や国の製品を評価するものではありません。アイキャッチ背景:Daderot「Food shops in Japan – DSC05043.JPG」(Wikimedia Commons、CC0 1.0)をトリミング・明るさ調整・文字入れ。

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