FX・米中間選挙
米中間選挙でドル円はどう動く?1974年以降13回を全部数えた
2026年11月3日(日本は文化の日)、アメリカで中間選挙が行われます。「選挙でドル円は荒れるのか」「中間選挙の年は円高というアノマリーは本当か」。FRB(米連邦準備制度理事会)が公表しているドル円の日次レートを1971年から全部取り出し、変動相場制になってからの中間選挙13回を1回ずつ数えました。結論は「投票日そのものは、ほぼ平常運転。動かすのは選挙の前後に並ぶFOMC・雇用統計・CPIのほう」です。一方で「中間選挙の年と翌年は円高」という2年単位の傾向は、10回中8回当たっていました。
この記事の結論
- 1974〜2022年の中間選挙13回で、投票日の前日から翌日までのドル円の変動は中央値0.56%。選挙と関係のないふつうの2営業日(中央値0.47%)とほとんど変わりません。
- ふだんの上位10%に入るほど動いたのは13回中2回(1978年・1998年)だけで、どちらも直前にドル円が歴史的な急変動をした反動の局面でした。
- 選挙の1か月後は円安7回・円高6回。下院の多数派が入れ替わった5回に絞っても円安2回・円高3回で、「どちらが勝てば円高」という法則は見えません。
- 選挙後に大きく動いた2022年(1か月で−6.95%)は、2日後の米CPIの発表日だけで4.37円の円高。選挙より経済指標が主役でした。
- ただし2年単位で見ると、1986年以降の「中間選挙の年+翌年」10回のうち8回は円高(大統領選挙の年+翌年は10回中7回が円安)。外れた2回(2014年・2022年)は、日米の金融政策の差が大きく開いた局面です。
- 2026年は投票日の前後にFOMC(10/29未明)・日銀(10/30)・雇用統計(11/6)・CPI(11/10)が並びます。開票は日本時間11月4日の朝から午後で、東京時間の真ん中です。
中間選挙(1974〜2022)
変動(中央値)
円安と円高の回数
円高だった回数
結論:選挙の「当日」より、その前後の指標を見る
アメリカの中間選挙は、大統領の任期4年のちょうど真ん中に行われる連邦議会の選挙です。2026年は11月3日。下院435議席の全部と上院35議席が改選されます。
為替の世界では「選挙はリスクイベント」と言われます。しかし過去のデータを並べると、中間選挙の投票日にドル円が大きく動いたことはほとんどありません。大統領選挙と違って政権そのものは替わらず、しかも「大統領の党が下院で議席を減らす」のは戦後20回中18回というほぼ決まった展開なので、結果の多くが事前に相場に織り込まれているからだと考えられます。
一方で、選挙の前後には毎回、FOMC(米連邦公開市場委員会)や雇用統計、CPI(消費者物価指数)といった大型イベントが並びます。ドル円を実際に動かしてきたのはこちらです。以下、13回分の数字で確かめます。
FRBが毎週公表している「H.10 外国為替レート」の過去データ(ニューヨーク正午時点の円/ドル)を使いました。1ドル360円の固定相場が終わり変動相場制へ移行した1973年以降の中間選挙13回が対象です。「翌日までの変化」は投票日前日(月曜)の正午レートから、開票結果が出たあとの翌日(水曜)の正午レートまでの差です。高値・安値ではなく1日1本の終値的なレートなので、日中の振れ幅はこれより大きくなります。
中間選挙13回のドル円一覧(1974〜2022年)
黄色の行は、下院の多数派が入れ替わった年です。下院の増減は、カリフォルニア大学サンタバーバラ校「The American Presidency Project」の集計によります。
| 年(投票日) | 大統領 | 下院の増減 | 前日のレート | 翌日までの変化 | 1か月後 | 年末まで |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1974年(11/5) | フォード(共和) | −48 | 300.48円 | ±0.00円 横ばい |
−0.15% 円高 |
+0.18% 円安 |
| 1978年(11/7) | カーター(民主) | −15 | 190.25円 | −3.00円 円高 |
+4.42% 円安 |
+2.13% 円安 |
| 1982年(11/2) | レーガン(共和) | −26 | 276.90円 | −0.38円 円高 |
−10.40% 円高 |
−15.24% 円高 |
| 1986年(11/4) | レーガン(共和) | −5 | 164.00円 | +0.50円 円安 |
−0.75% 円高 |
−3.48% 円高 |
| 1990年(11/6) | ブッシュ父(共和) | −8 | 126.80円 | +1.35円 円安 |
+4.38% 円安 |
+7.06% 円安 |
| 1994年(11/8) | クリントン(民主) | −54 多数派交代 |
97.24円 | +0.54円 円安 |
+3.26% 円安 |
+2.43% 円安 |
| 1998年(11/3) | クリントン(民主) | +4 | 114.52円 | +2.03円 円安 |
+3.73% 円安 |
−1.26% 円高 |
| 2002年(11/5) | ブッシュ子(共和) | +8 | 122.46円 | −0.24円 円高 |
+2.07% 円安 |
−3.03% 円高 |
| 2006年(11/7) | ブッシュ子(共和) | −30 多数派交代 |
118.40円 | −0.66円 円高 |
−2.76% 円高 |
+0.52% 円安 |
| 2010年(11/2) | オバマ(民主) | −63 多数派交代 |
80.66円 | +0.75円 円安 |
+3.56% 円安 |
+1.25% 円安 |
| 2014年(11/4) | オバマ(民主) | −13 | 113.92円 | +0.70円 円安 |
+5.05% 円安 |
+5.21% 円安 |
| 2018年(11/6) | トランプ1期目(共和) | −41 多数派交代 |
113.22円 | +0.10円 円安 |
−0.67% 円高 |
−3.11% 円高 |
| 2022年(11/8) | バイデン(民主) | −9 多数派交代 |
146.64円 | −0.49円 円高 |
−6.95% 円高 |
−10.11% 円高 |
レートはFRB H.10のニューヨーク正午レート。「1か月後」「年末まで」は投票日前日のレートからの変化率。円安=ドル高・円安方向、円高=ドル安・円高方向。
投票日は「ふだんの2日間」とほぼ同じ
13回の「投票日前日→翌日」の変動を、変化の大きさ(%)で並べると中央値は0.56%でした。1974年以降の全営業日で同じ「2営業日の変動」を計算すると中央値は0.47%で、差はわずかです。1ドル150円なら、0.56%は約84銭、0.47%は約71銭。開票日だからといって、特別に大きく動く日ではありません。
ふだんの上位10%(1.44%超)に入ったのは、1978年(1.58%)と1998年(1.77%)の2回だけです。1978年は投票日の直前に米国がドル防衛策を打ち出し、1週間で1ドル177円台から190円台へ急反発した直後でした。1998年は投票日の1か月前、10月7〜8日の2日間でドル円が131円台から118円台へ急落した(H.10の正午レートで12.3円)直後で、その戻りの途中にあたります。いずれも選挙の結果ではなく、直前の急変動の余波と見るのが自然です。
「与党が負けたら円高」も成り立たない
下院の多数派が入れ替わった5回(1994・2006・2010・2018・2022年)だけを取り出しても、1か月後の方向は円安2回(1994年+3.26%、2010年+3.56%)、円高3回(2006年−2.76%、2018年−0.67%、2022年−6.95%)でばらばらです。共和党の大統領か民主党の大統領かで分けても、はっきりした差は出ません。
2022年:投票日前日146.64円→1か月後136.45円(−6.95%)。このうち4.37円は、投票日2日後の11月10日に発表された米CPIが予想を下回った日の1日分です(146.15円→141.78円)。
1982年:投票日2日後の11月4日(277.65円)がこの年の最高値で、そこから1か月で約10%の円高になりました。選挙結果は共和党が下院で26議席減という「いつもどおり」の範囲で、この円高を選挙で説明するのは難しい動きです。
「中間選挙の年は円高」アノマリーは本当か
為替の解説でよく紹介されるのが、「大統領選挙の年とその翌年は円安(ドル高)、中間選挙の年とその翌年は円高(ドル安)」というアノマリー(経験則)です。プラザ合意(1985年)以降の2年ずつの区切りで、年末のレートを比べました。
| 中間選挙の年+翌年 | ドル円の変化 |
|---|---|
| 1986〜1987年 | −39.5% 円高 |
| 1990〜1991年 | −13.1% 円高 |
| 1994〜1995年 | −7.5% 円高 |
| 1998〜1999年 | −21.7% 円高 |
| 2002〜2003年 | −18.2% 円高 |
| 2006〜2007年 | −5.2% 円高 |
| 2010〜2011年 | −17.3% 円高 |
| 2014〜2015年 | +14.3% 円安 |
| 2018〜2019年 | −3.6% 円高 |
| 2022〜2023年 | +22.4% 円安 |
中間選挙の年+翌年の2年間で円高になったのは、10回中8回。1986〜2011年は7回連続で円高でした。比べるために、大統領選挙の年+翌年も並べます。
| 大統領選挙の年+翌年 | ドル円の変化 |
|---|---|
| 1988〜1989年 | +18.6% 円安 |
| 1992〜1993年 | −10.6% 円高 |
| 1996〜1997年 | +26.3% 円安 |
| 2000〜2001年 | +28.3% 円安 |
| 2004〜2005年 | +10.0% 円安 |
| 2008〜2009年 | −16.7% 円高 |
| 2012〜2013年 | +36.7% 円安 |
| 2016〜2017年 | −6.3% 円高 |
| 2020〜2021年 | +6.0% 円安 |
| 2024〜2025年 | +11.3% 円安 |
こちらは10回中7回が円安で、アノマリーの「逆側」もおおむね当たっています。
外れた2回に共通するもの
中間選挙サイクルで円安になった2回は、2014〜2015年(+14.3%)と2022〜2023年(+22.4%)です。2014年は日銀が10月31日に追加の金融緩和を決め、2022年はFRBが急ピッチの利上げを続けていました。日米の金融政策の差が大きく開いた局面では、選挙のサイクルより金利差が勝ったと読めます。そして直近の2回のうち1回が外れている点は、アノマリーを使うときの注意点です。
2026年のドル円は、2025年末の156.80円に対して9月18日が156.87円で、年初からほぼ横ばいです。9月はFRBが3年ぶりに利上げし、日銀も1.25%へ利上げしました。日米がそろって引き締めに動いている点は、過去の「外れ年」とも「当たり年」とも違う組み合わせです。アノマリーは10回の経験則であって、11回目の約束ではありません。
2026年の日程:投票日の前後に大型イベントが並ぶ
2026年の中間選挙の前後を、日本時間で並べました。FOMCと日銀の日程はそれぞれの公式発表、米国の雇用統計とCPIは米労働統計局(BLS)の公表予定によります。米国は11月1日にサマータイムが終わるため、それ以降の米指標の発表は日本時間22時30分になります。
- 10/14(水)米CPI(9月分)21:30選挙前最後のCPI。インフレの数字は、有権者がいちばん気にしている物価そのものです。
- 10/29(木)3:00FOMCの結果発表(10月27〜28日開催)9月に利上げしたFRBが続けるかどうか。選挙前にドル円を動かす最大の材料です。
- 10/30(金)日銀の金融政策決定会合(29〜30日)+展望レポート1.25%へ上げた直後の会合。日米の発表が2日続きます。
- 11/2(月)口座開設が開票に間に合うぎりぎりの営業日10/31〜11/1は土日、11/3は祝日。審査は営業日に進むので、安全なのは10/30(金)までの申込みです。
- 11/3(火・祝)米中間選挙の投票日日本は文化の日で東京市場は休み。FXは通常どおり取引できます。
- 11/4(水)朝〜午後開票(日本時間)米東部で最初の投票所が閉まるのが日本時間8時ごろ、最後のハワイ・アラスカが14〜15時ごろ。結果判明は東京時間の真ん中に重なります。
- 11/6(金)22:30米雇用統計(10月分)選挙後、最初の大型指標。
- 11/10(火)22:30米CPI(10月分)2022年はこの「選挙2日後のCPI」で1日4.37円動きました。2026年は1週間後です。
- 12/10(木)4:00FOMCの結果発表(12月8〜9日開催)新しい議会の顔ぶれが決まったあとの最初の会合。経済見通しも公表されます。
FOMC・雇用統計・日銀のうち、どのイベントでドル円が最も動くかはFOMC・雇用統計・日銀の実測比較で、日本の祝日にドル円がどう動くかは祝日のドル円を10年分数えた記事でまとめています。
選挙相場に向けて、今のうちに準備しておくこと
過去の数字が示しているのは「投票日に一発勝負をかける日ではない」ということです。そのうえで、10月末から11月中旬までの約3週間はイベントが密集します。この期間に取引を考えているなら、準備は早いほど有利です。
口座は「10月30日まで」に申し込むのが安全
DMM FXは公式に「最短即日」で取引を始められると案内していますが、これは本人確認をスマホで完結させ、審査が営業日に進んだ場合の話です。10月31日〜11月3日は土日と祝日で4日のうち3日が休業日にあたるため、11月4日の開票に間に合わせるなら、10月30日(金)までに申込みと本人確認を終えておくのが確実です。手続きの詳しい流れと、最短即日にならない3つの関門はFXの口座開設は何日かかる?にまとめています。
取引するなら守りたい3つのこと
- 最初は小さく:DMM FXはミニ通貨ペア(米ドル/円など4ペア)を1,000通貨から取引できます。1銭の値動きで損益10円なので、イベントの値動きを体感するには十分です
- 指標の前後はスプレッドが広がる:DMM FXは、経済指標の発表時や主要国の祝日などに原則固定のスプレッドが広がる場合があると公式に案内しています。11月3日(日本の祝日)と11月4日(開票日)、FOMC・雇用統計・CPIの直前直後は、注文を急がないのが基本です。なお、ミニ通貨ペアはもともと原則固定スプレッドの対象外です
- 損切りの位置を先に決める:2022年は選挙後の1か月で10円以上動きました。「どこまで逆に行ったら終わりにするか」を、注文を出す前に決めておきます
FXは証拠金を上回る損失が発生する可能性のある取引です。この記事は過去のデータと公表資料の解説であり、特定の投資行動や将来の値動きを示すものではありません。取引の判断はご自身の責任で行ってください。スプレッドやキャンペーン条件は変動するため、必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。
よくある質問
Q. 米中間選挙の日にドル円は大きく動きますか?
A. 過去の実績では、あまり動いていません。FRBの日次レートで1974〜2022年の中間選挙13回を調べると、投票日前日から翌日までの変動は中央値0.56%で、ふだんの2営業日の変動(中央値0.47%)とほぼ同じでした。ふだんの上位10%に入るほど動いたのは1978年と1998年の2回だけです。
Q. 与党が負けると円高になりますか?
A. はっきりした傾向はありません。下院の多数派が入れ替わった5回(1994・2006・2010・2018・2022年)の1か月後のドル円は、円安2回・円高3回でした。13回全体でも1か月後は円安7回・円高6回で、ほぼ五分五分です。
Q. 「中間選挙の年は円高」というアノマリーは当たっていますか?
A. 2年単位では比較的よく当たっています。1986年以降の「中間選挙の年+翌年」10回のうち8回は円高でした。ただし外れた2回は2014〜2015年と2022〜2023年で、直近2回のうち1回は外れています。日米の金利差が大きく開いた局面では、選挙のサイクルより金融政策の影響が上回りました。
Q. 2026年の中間選挙の開票は日本時間の何時ですか?
A. 投票日は11月3日(火)で、日本時間では11月4日(水)の朝から午後にかけて開票が進みます。米東部で最初の投票所が閉まるのが日本時間の8時ごろ、最後のハワイ州・アラスカ州が14〜15時ごろです。東京市場の取引時間と重なります。
Q. 選挙の前後で、ドル円を動かしそうなイベントは何ですか?
A. 2026年は、FOMCの結果発表(日本時間10月29日3時)、日銀の金融政策決定会合(10月30日)、米雇用統計(11月6日22時30分)、米CPI(11月10日22時30分)が並びます。2022年は投票日2日後のCPIの日だけでドル円が4.37円下がりました。選挙そのものより、これらの指標の方が値動きは大きくなりがちです。
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出典・参考資料
- FRB H.10 Historical Rates for the Japanese Yen(1971〜1988年・1989〜1995年・1996〜1999年の過去ページも同シリーズ)
- The American Presidency Project:中間選挙で大統領の党が得失した議席数
- FRB FOMC開催日程/日本銀行 金融政策決定会合の運営
- BLS 雇用統計の公表予定/BLS CPIの公表予定
- DMM FX 口座開設の流れ/DMM FX スプレッドが拡がる場合はありますか?
レートはすべてFRB H.10のニューヨーク正午レートで、FX会社の取引レートとは異なります。2026年9月23日時点の情報で作成しています。
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