2026年9月18日任命・第2次高市改造内閣
大臣19人の下には、副大臣と政務官が55人います。
副大臣27人、大臣政務官28人、内閣官房副長官3人、内閣総理大臣補佐官5人。あわせて63人が「政務三役」と呼ばれる政治任用の役職に就いています。誰がどのポストで、どこの選挙区から出ているのか。そして副大臣と政務官は何が違うのか。官邸の名簿と法律の条文から整理しました。
内閣改造のニュースでは大臣19人の顔ぶればかりが報じられますが、実際に法案や予算の細部を動かしているのは、その下にいる副大臣と大臣政務官です。国会答弁に立つのも、審議会に出るのも、多くはこの人たちです。
副大臣と大臣政務官は、法律上どう違うのか
どちらも「大臣を助ける政治家のポスト」と説明されますが、根拠となる国家行政組織法の条文を読むと、権限にはっきりした差があります。
| 比較する点 | 副大臣 | 大臣政務官 |
|---|---|---|
| 職務 | 大臣の命を受け、政策および企画をつかさどり、政務を処理する | 大臣を助け、特定の政策および企画に参画し、政務を処理する |
| 大臣不在時 | 職務を代行できるあらかじめ大臣の命を受けておく必要がある | 代行の規定なし |
| 任免の手続き | 大臣の申出により内閣が行い、天皇が認証する(認証官) | 大臣の申出により内閣が行う(認証は不要) |
| 11省の定数 | 21人総務・外務・財務など2人ずつ、法務のみ1人 | 24人総務・外務・国土交通は3人、法務のみ1人 |
| 俸給月額 | 146万6,000円 | 125万円 |
要点は2つです。ひとつは「つかさどる」か「参画する」か。副大臣は担当分野を任される立場、政務官はあくまで参加する立場という書き分けになっています。もうひとつが大臣不在時の職務代行で、これは副大臣にしかありません。大臣が外遊や入院で不在のとき、代わりに職務を行えるのは副大臣だけです。
副大臣は「認証官」、政務官は違う
副大臣の任免は天皇が認証します(国家行政組織法16条5項、内閣府設置法13条5項)。大臣・副大臣が皇居での認証式に臨むのはこのためで、大臣政務官にはこの手続きがありません。政務官の任命が閣僚・副大臣より1日遅れることがあるのも、認証式の日程が絡むためです。今回も閣僚は9月17日、副大臣と政務官は9月18日の任命でした。
副大臣27人の一覧(省庁別)
首相官邸が公表した名簿の順に並べました。「内閣府副大臣を兼任」とあるのは、各省の副大臣が内閣府の仕事も兼ねている人です。
| 氏名 | 担当 | 所属 | 選挙区 |
|---|---|---|---|
| 塩崎彰久 | デジタル内閣府副大臣を兼任 | 衆議院・自民党 | 愛媛1区当選3回 |
| 中野英幸 | 復興 | 衆議院・自民党 | 埼玉7区当選3回 |
| 西田昭二 | 復興内閣府副大臣を兼任 | 衆議院・自民党 | 石川3区当選4回 |
| 谷川とむ | 内閣府 | 衆議院・自民党 | 大阪19区当選4回 |
| 平沼正二郎 | 内閣府 | 衆議院・自民党 | 比例中国ブロック当選3回 |
| 今井絵理子 | 内閣府 | 参議院・自民党 | 比例代表任期満了 2028年7月 |
| 斎藤アレックス | 総務 | 衆議院・維新 | 比例近畿ブロック当選3回 |
| 鈴木英敬 | 総務内閣府副大臣を兼任 | 衆議院・自民党 | 三重4区当選3回 |
| 武村展英 | 法務内閣府副大臣を兼任 | 衆議院・自民党 | 滋賀3区当選6回 |
| 中曽根康隆 | 外務 | 衆議院・自民党 | 群馬1区当選4回 |
| 堀井巌 | 外務 | 参議院・自民党 | 奈良選挙区任期満了 2031年7月 |
| 進藤金日子 | 財務 | 参議院・自民党 | 比例代表任期満了 2028年7月 |
| 若林健太 | 財務内閣府副大臣を兼任 | 衆議院・自民党 | 長野1区当選2回(ほかに参議院1期) |
| 青山周平 | 文部科学 | 衆議院・自民党 | 愛知12区当選5回 |
| 中田宏 | 文部科学 | 衆議院・自民党 | 富山1区当選5回(ほかに参議院1期) |
| 浦野靖人 | 厚生労働 | 衆議院・維新 | 大阪15区当選6回 |
| 藤原崇 | 厚生労働 | 衆議院・自民党 | 岩手3区当選5回 |
| 小寺裕雄 | 農林水産 | 衆議院・自民党 | 比例近畿ブロック当選4回 |
| 藤木眞也 | 農林水産 | 参議院・自民党 | 比例代表任期満了 2028年7月 |
| 高木啓 | 経済産業 | 衆議院・自民党 | 東京12区当選4回 |
| 宮本周司 | 経済産業内閣府副大臣を兼任 | 参議院・自民党 | 石川選挙区任期満了 2031年7月 |
| 加藤鮎子 | 国土交通 | 衆議院・自民党 | 山形3区当選5回 |
| 朝日健太郎 | 国土交通 | 参議院・自民党 | 東京選挙区任期満了 2028年7月 |
| 畦元将吾 | 環境 | 衆議院・自民党 | 東京6区当選3回 |
| 三ッ林裕巳 | 環境内閣府副大臣を兼任 | 衆議院・自民党 | 埼玉13区当選5回 |
| 小田原潔 | 防衛 | 衆議院・自民党 | 東京21区当選5回 |
| 小鑓隆史 | 防衛内閣府副大臣を兼任 | 参議院・自民党 | 滋賀選挙区任期満了 2028年7月 |
大臣政務官28人の一覧(省庁別)
| 氏名 | 担当 | 所属 | 選挙区 |
|---|---|---|---|
| 赤松健 | デジタル内閣府大臣政務官を兼任 | 参議院・自民党 | 比例代表任期満了 2028年7月 |
| 繁本護 | 内閣府 | 衆議院・自民党 | 比例近畿ブロック当選2回 |
| 根本拓 | 内閣府 | 衆議院・自民党 | 福島2区当選2回 |
| 坂本竜太郎 | 復興内閣府大臣政務官を兼任 | 衆議院・自民党 | 福島4区当選2回 |
| 小池正昭 | 総務 | 衆議院・自民党 | 千葉10区当選2回 |
| 島田智明 | 総務 | 衆議院・自民党 | 比例近畿ブロック当選2回 |
| 福原淳嗣 | 総務内閣府大臣政務官を兼任 | 衆議院・自民党 | 秋田2区当選2回 |
| 阿部弘樹 | 法務内閣府大臣政務官を兼任 | 衆議院・自民党 | 比例九州ブロック当選3回 |
| 大空幸星 | 外務 | 衆議院・自民党 | 東京15区当選2回 |
| 生稲晃子 | 外務 | 参議院・自民党 | 東京選挙区任期満了 2028年7月 |
| 藤井一博 | 外務 | 参議院・自民党 | 比例代表任期満了 2028年7月 |
| 白坂亜紀 | 財務 | 衆議院・自民党 | 比例九州ブロック当選1回(ほかに参議院1期) |
| 山口晋 | 財務内閣府大臣政務官を兼任 | 衆議院・自民党 | 埼玉10区当選2回 |
| 美延映夫 | 文部科学 | 衆議院・維新 | 大阪4区当選4回 |
| 山本大地 | 文部科学 | 衆議院・自民党 | 和歌山1区当選2回 |
| 田中昌史 | 厚生労働 | 衆議院・自民党 | 比例東京ブロック当選1回(ほかに参議院1期) |
| 長谷川英晴 | 厚生労働 | 参議院・自民党 | 比例代表任期満了 2028年7月 |
| 森下千里 | 農林水産 | 衆議院・自民党 | 宮城4区当選2回 |
| 保岡宏武 | 農林水産 | 衆議院・自民党 | 比例九州ブロック当選2回 |
| 石井苗子 | 経済産業 | 参議院・維新 | 比例代表任期満了 2028年7月 |
| 若山慎司 | 経済産業内閣府大臣政務官を兼任 | 衆議院・自民党 | 愛知10区当選2回 |
| 草間剛 | 国土交通 | 衆議院・自民党 | 神奈川19区当選2回 |
| 髙橋祐介 | 国土交通 | 衆議院・自民党 | 北海道2区当選2回 |
| 青島健太 | 国土交通 | 参議院・維新 | 比例代表任期満了 2028年7月 |
| 石井拓 | 環境 | 衆議院・自民党 | 愛知13区当選2回 |
| 石原正敬 | 環境内閣府大臣政務官を兼任 | 衆議院・自民党 | 三重3区当選2回 |
| 吉井章 | 防衛 | 参議院・自民党 | 京都選挙区任期満了 2028年7月 |
| 上杉謙太郎 | 防衛内閣府大臣政務官を兼任 | 衆議院・自民党 | 福島3区当選3回 |
官房副長官3人と首相補佐官5人
内閣官房副長官は衆議院から1人・参議院から1人・官僚出身の事務担当1人の3人体制、内閣総理大臣補佐官は5人です。このうち事務担当の内閣官房副長官・露木康浩氏(前警察庁長官)と、補佐官の宇野善昌氏(元復興庁事務次官)は国会議員ではありません。残る6人は次のとおりです。
| 氏名 | 役職 | 所属 | 選挙区 |
|---|---|---|---|
| 尾﨑正直 | 内閣官房副長官(政務・衆) | 衆議院・自民党 | 高知2区当選3回 |
| 中西祐介 | 内閣官房副長官(政務・参) | 参議院・自民党 | 徳島・高知選挙区任期満了 2028年7月 |
| 若宮健嗣 | 内閣総理大臣補佐官(国家安全保障) | 衆議院・自民党 | 東京5区当選6回 |
| 遠藤敬 | 内閣総理大臣補佐官(連立合意政策推進) | 衆議院・維新 | 大阪18区当選6回 |
| 佐々木紀 | 内閣総理大臣補佐官(地域未来戦略) | 衆議院・自民党 | 石川2区当選6回 |
| 松本尚 | 内閣総理大臣補佐官(物価高対策ほか) | 衆議院・自民党 | 千葉13区当選3回 |
政務官2回・副大臣4回・大臣7回という階段
衆議院議員に限って当選回数を数えると、ポストの序列がそのまま当選回数の序列になっていることが分かります。
| ポスト | 人数 | 当選回数の中央値 | 内訳 |
|---|---|---|---|
| 大臣政務官 | 21人 | 2回 | 1回2人/2回16人/3回2人/4回1人 |
| 副大臣 | 20人 | 4回 | 2回1人/3回6人/4回5人/5回6人/6回2人 |
| 大臣 | 16人 | 7回 | 3回1人/6回5人/7回4人/8回3人/10回以上3人 |
大臣政務官21人のうち16人が、当選ちょうど2回でした。政務官は当選2回の議員が最初に就く政府のポスト、という運用がはっきり数字に出ています。残り5人のうち2人(白坂亜紀氏・田中昌史氏)は衆議院では1回生ですが、どちらも参議院を1期務めてから衆議院に移った議員です。単純な新人ではありません。
比例代表で選ばれた人が9人
衆議院の政務三役46人のうち、小選挙区ではなく比例代表ブロックで議席を得ている人が9人います(内訳は近畿4人・九州3人・中国1人・東京1人)。農林水産大臣の簗和生氏と同じく、小選挙区で敗れて比例で復活した人もこのなかに含まれます。
副大臣になると給料はいくら増えるのか
特別職の職員の給与に関する法律の別表第一で、俸給月額が決まっています。ところが国会議員が兼ねる場合は、そのままの額が支払われるわけではありません。
歳費法7条は「議員で国の公務員を兼ねる者は、議員の歳費を受けるが、公務員の給料を受けない。ただし、公務員の給料額が歳費の額より多いときは、その差額を行政庁から受ける」と定めています。つまり受け取るのは議員歳費+(役職の俸給−歳費)の差額です。議員歳費の月額は129万4,000円ですから、差額は次のように計算できます。
| 役職 | 俸給月額 | 歳費との差額 | 年額に直すと |
|---|---|---|---|
| 内閣総理大臣 | 209万5,000円 | +80万1,000円 | +961万2,000円 |
| 国務大臣 | 152万8,000円 | +23万4,000円 | +280万8,000円 |
| 副大臣・内閣官房副長官 | 146万6,000円 | +17万2,000円 | +206万4,000円 |
| 大臣政務官 | 125万円 | 差額なし | 0円 |
目を引くのは最下段です。大臣政務官の俸給月額125万円は、議員歳費129万4,000円より4万4,000円低い。歳費のほうが高いので差額は発生せず、大臣政務官になっても月給は1円も増えません。仕事と責任だけが増える役職、ということになります。
ここで比べたのは月額の俸給と歳費だけです。実際には期末手当や、役職に就いた議員が給与の一部を自主的に国庫へ返納する慣行(特別職給与法の附則で、公職選挙法の寄附制限の対象外とされています)もあるため、手取りの総額はこの表のとおりにはなりません。
与党議員の6人に1人が「政府の側」にいる
大臣19人に副大臣27人、大臣政務官28人、官房副長官と補佐官のうち国会議員6人を足すと、政府の役職に就いている国会議員は80人になります。一方、与党である自民党と日本維新の会の国会議員は、衆議院352人(自民316・維新36)と参議院120人(自民101・維新19)で合計472人です。
与党議員が政府の役職に就くと、国会では政府側の席に座り、党の部会での自由な発言も控えるのが通例です。数字の上では、与党議員のかなりの部分がこの立場に回っていることになります。
日本維新の会は7ポスト
自民党と連立を組む日本維新の会からは、閣僚1人・副大臣2人・大臣政務官3人・首相補佐官1人の計7ポストが入りました。副大臣は斎藤アレックス氏(総務)と浦野靖人氏(厚生労働)、政務官は美延映夫氏(文部科学)、石井苗子氏(経済産業)、青島健太氏(国土交通)です。維新の国会議員55人に対して7ポストですから、8人に1人という比率になります。
女性は63人中6人
副大臣27人のうち女性は今井絵理子氏と加藤鮎子氏の2人、大臣政務官28人のうちは生稲晃子氏・白坂亜紀氏・森下千里氏・石井苗子氏の4人で、あわせて6人(9.8%)です。閣僚19人のうち女性は3人(15.8%)ですから、副大臣・政務官のほうが女性比率は低いという結果になりました。
「内閣府副大臣」が11人もいるからくり
名簿を眺めていると、内閣府副大臣という肩書きの人が異様に多いことに気づきます。内閣府設置法13条1項は「内閣府に、副大臣三人を置く」と定めているのに、実際には11人が内閣府副大臣です。
種明かしは同じ条文の2項にあります。「デジタル庁又は他省の副大臣の職を占める者をもって充てられる副大臣を置くことができる」——つまり各省の副大臣に内閣府副大臣を兼ねさせてよい、という規定です。今回は専任3人(谷川とむ氏・平沼正二郎氏・今井絵理子氏)に、各省からの兼任8人が加わって11人になっています。大臣政務官も同じ仕組みです。
内閣府は経済財政・こども政策・規制改革・防災・沖縄北方など所管が極端に広く、特命担当大臣も複数います。専任3人では回らないため、法律のほうが兼任を前提に作られているわけです。
よくある質問
Q. 副大臣と大臣政務官はどちらが上ですか?
A. 副大臣が上です。国家行政組織法では、副大臣は政策と企画を「つかさどる」、大臣政務官は「参画する」と書き分けられており、大臣不在時に職務を代行できるのは副大臣だけです。俸給月額も副大臣146万6,000円に対して政務官125万円と差があります。
Q. 副大臣は何人いますか?
A. 第2次高市改造内閣では27人です。国家行政組織法の別表第三で11省に計21人と決まっており、これに内閣府3人、復興庁2人、デジタル庁1人が加わります。なお内閣府副大臣は各省の副大臣が兼ねることができるため、名簿上は11人が内閣府副大臣として並びます。
Q. 大臣政務官になると給料は増えますか?
A. 月額の俸給で見ると増えません。大臣政務官の俸給月額125万円は国会議員の歳費129万4,000円より低く、歳費法7条ただし書の差額支給が発生しないためです。副大臣は146万6,000円なので、差額の月17万2,000円が上乗せされます。
Q. 副大臣や政務官はどうやって選ばれますか?
A. 副大臣はその省の大臣の申出により内閣が任免し、天皇が認証します。大臣政務官は大臣の申出により内閣が任免し、認証はありません。いずれも内閣が総辞職すると、大臣と同時に地位を失います。
Q. 副大臣・政務官は当選何回で就くのが普通ですか?
A. 今回の顔ぶれでは、衆議院議員の当選回数の中央値が大臣政務官2回、副大臣4回、大臣7回でした。特に大臣政務官は21人中16人がちょうど当選2回で、当選2回の議員が最初に就くポストという運用がはっきり表れています。
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この記事で使ったデータ
名簿は首相官邸「第2次高市改造内閣 副大臣名簿」・大臣政務官名簿・内閣総理大臣補佐官名簿、選挙区と当選回数は衆議院「議員一覧」と参議院「議員一覧」、会派別議員数は衆議院「会派名及び会派別所属議員数」と参議院「会派別所属議員数」によります。職務と定数は国家行政組織法16条・17条・別表第三と内閣府設置法13条・14条、俸給月額は特別職の職員の給与に関する法律別表第一、議員歳費は国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律1条・7条です。当選回数の集計と差額の計算は筆者によるものです。


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