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  3. 英国予算でポンドはどう動く?過去33回の値動きと10月28日の結果

英国予算でポンドはどう動く?過去33回の値動きと10月28日の結果

2026 10/28
FX
2026年10月28日
英国予算2026の結果とポンドの値動きを解説した記事のアイキャッチ。秋のウェストミンスター宮殿(英国議会)の写真に「英国予算でポンドはどう動く?過去33回の値動きと10月28日の結果」の文字

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FX|ポンド

英国予算でポンドはどう動く?過去33回の値動きと10月28日の結果

英国のジョン・ヒーリー財務相が、2026年10月28日(水)の日本時間21時30分ごろ、就任後初めての予算(Budget 2026)を議会で発表しました。財政ルールに対する余裕(ヘッドルーム)は150億ポンドで、3月の240億ポンドから90億ポンド減少。それでも発表から2時間のポンド円の値幅は0.50円と、普段の同じ時間帯より小さく、市場は落ち着いて受け止めました。2022年の「ミニ予算」ではポンドと英国債が急落しましたが、ふだんの予算の日にポンドはどれくらい動くのか。2010年以降の予算・財政報告33回について、ポンドドル・ポンド円・英10年債利回りの動きを全部数えました。

ヘッドルーム150億ポンド(3月は240億)発表後2時間のポンド円は0.50円幅予算の日のポンドドルは普段の1.19倍ポンド安は33回中17回

2026年10月28日23時(日本時間)時点・予算発表後に結果を追記/出典:英財務省(gov.uk)、英国債務管理庁(DMO)、BBC、イングランド銀行(BoE)、英国家統計局(ONS)、FRB H.10

この記事の結論

  • 英国の予算は10月28日(水)の日本時間21時30分ごろに発表されました。ヘッドルームは150億ポンド(2029年度)で3月から90億ポンド減り、銀行の法人税の上乗せ税率を15か月だけ3%から6%に引き上げるなど、増税は的を絞った小さなものでした。所得税・国民保険料・VATの税率は上げていません。
  • 市場の反応は小さく、発表から2時間(日本時間21時〜23時)の値幅はポンド円0.50円・ポンドドル0.16セントで、普段の同じ時間帯(0.58円・0.32セント)を下回りました。BBCによると10年債利回りは5.34%から5.31%へ小幅に低下しています。
  • 2010年6月以降の33回で、予算の日のポンドドルは前日から平均0.47%動き、それ以外の日(0.40%)の1.19倍でした。ただし2022年のミニ予算を除くと0.39%で、普段とほぼ同じです。
  • 方向もばらばらで、ポンドドルが下がったのは33回中17回。予算そのものより、英国債(ギルト)が売られるかどうかが大きな分かれ目でした。ミニ予算の日は10年債利回りが1日で34bp(0.34%ポイント)上がり、ポンドドルは翌営業日までに5.0%下落しました。
  • ただし予算の前から10年債利回りは5.30%(10月26日)と2008年以来の高い水準で、OBRは2026年の物価上昇率の見通しを2.3%から3.1%に引き上げました。国債の発行計画も2,506億ポンドと事前予想をやや上回っています。
  • 日本時間の29日3時には米FOMCの結果、30日には日銀の決定、11月5日にはBoEの会合が続きます。予算の評価は、こうした予定を通して数日かけて固まると考えられます。
目次

英国予算2026の結果は?ヘッドルーム150億ポンド・銀行税6%

英財務省によると、ヒーリー財務相は今回の予算で「幅広い増税は行わない」とし、所得税・国民保険料・付加価値税(VAT)の税率は引き上げませんでした。家計のエネルギー負担を軽くする財源には、銀行への時限的な増税を充てています。主な内容は次のとおりです。

150億ポンドヘッドルーム(2029年度)
6%銀行の上乗せ税率(3%から)
1.0%2027年の成長率(OBR)
3.1%2026年の物価上昇率(OBR)
項目 決まった内容
ヘッドルーム 財政の安定ルール(日々の歳出を税収で賄う)に対する余裕は2029年度に150億ポンド。3月の240億ポンドから90億ポンド減少。英財務省は「減少分は中東の紛争による利払いの増加で説明できる」としています。2030年度には220億ポンドに戻る見通し
銀行への課税 法人税の上乗せ税率(銀行サーチャージ)を3%から6%へ。期間は15か月で2028年3月31日に終了。税収は15億ポンド
家計の負担軽減 2027年にイングランドのカウンシル税A〜D帯の最大2,000万世帯へ100ポンドを支給。電気料金のVAT引き下げを2027年7月1日まで延長。燃料税の5ペンス引き下げも6か月延長
貯蓄・不動産所得 2027年4月から、貯蓄と不動産所得の税率を各段階でさらに2%ポイント引き上げ。現金ISAの上限2万ポンドは維持
その他の増税 2027年10月からオンラインのマーケットプレイスが出店者に代わってVATを徴収。リスクの高いゲーム機への賭博税を引き上げ
最低賃金 2027年4月1日から3.9%上げて時給13.21ポンド
国債の発行(DMO) 2026年度の国債発行額は2,506億ポンドで、4月の計画から44億ポンド増。年限別では短期債が42.9%、長期債は6.2%

英財務省「Budget 2026: Breathing space for today, hope for the future」(2026年10月28日)、英国債務管理庁「Revision to the DMO Financing Remit 2026-27: Budget 2026」(同日)から作成。年度は4月始まり(2029年度=2029年4月〜2030年3月)。

同時に公表された予算責任局(OBR)の見通しについて、BBCは、実質成長率を2026年1.2%、2027年1.0%としており、2027年は以前の見通しから大きく下がったと伝えています。物価上昇率は2026年が3.1%(3月の見通しは2.3%)、2027年が3.4%で、BoEの目標の2%に戻るのは2030年としています。財務相は演説で、金融市場の動きによって今年の利払いが140億ポンド増えると述べました。

発表後のポンドと国債の反応は?

発表から2時間(日本時間21時〜23時)の高値と安値の差を、直近4回の同じ時間帯と比べました。

発表日 ポンド円の値幅 ポンド円の21時→23時 ポンドドルの値幅
2024年10月30日 0.64円 +0.25円 0.60セント
2025年3月26日 0.52円 +0.05円 0.32セント
2025年11月26日 1.35円 +0.55円 0.86セント
2026年3月3日 0.57円 +0.29円 0.38セント
2026年10月28日(今回) 0.50円 +0.38円 0.16セント
同じ時間帯の平均(その他の平日) 0.58円 − 0.32セント

Yahoo Finance(GBPJPY=X・GBPUSD=X)の1時間足から筆者が集計。今回分は10月28日23時(日本時間)に取得。

今回のポンドドルの値幅は0.16セントで、普段の半分ほどでした。ポンド円は0.38円の小幅な上昇で、前回の秋の予算(2025年11月、1.35円)の4割以下の動きです。BBCによると、英10年債の利回りは財務相が話し始めたころの5.34%から1時間後に5.31%へ下がりました。銀行株は、増税が予想より小さく期間も限られたことから、バークレイズが2.5%、ナットウエストが2.4%上がっています。ヘッドルームは減ったものの、2022年のような国債の売りは起きていません。ただし日本時間29日3時に米FOMCの結果が出るため、予算への評価はその後の値動きも含めて見る必要があります。

英国の予算はいつ発表された?10月28日21時30分ごろ(日本時間)

英国の予算(Budget)は、財務相が下院で演説して税や歳出の方針を示す年1回の財政イベントです。英財務省は2026年7月31日、ヒーリー財務相が「財務相として初めての予算を10月28日(水)に行う」と動画で発表しました。財務相は同じ動画で、予算は「財政規律の上に築かれ、財政ルールを守る」と述べています。

演説の時刻について、ロイター(10月28日配信)は「グリニッジ標準時12時30分の直後」と報じています。英国は10月25日に冬時間に戻ったため日本との時差は9時間で、日本時間では21時30分ごろです。

日時(日本時間) 予定 ポイント
10月28日(水)21:30ごろ 英国の予算(Budget 2026) 発表済み。ヘッドルーム150億ポンド、銀行の上乗せ税率を6%に
10月29日(木)3:00 米FOMCの結果発表 10月27〜28日の会合。ドル側の材料
10月30日(金) 日銀の金融政策決定会合 10月29〜30日の会合。円側の材料
11月5日(木) BoEの金融政策委員会 政策金利(現在3.75%)の発表

英財務省(2026年7月31日の発表)、ロイター、FRB「FOMC日程」、日本銀行「金融政策決定会合等の日程」、BoE「MPC日程」から作成。

予算の前に発表:ガスの基本料金をなくす

英財務省は予算当日の朝(英国時間9時31分)、ガス料金の基本料金(スタンディングチャージ)を廃止すると発表しました。使用量にかかわらず毎日かかる固定料金で、平均的な家庭で年108ポンド。英国のエネルギー規制機関Ofgemに、2027年かそれ以降できるだけ早く廃止するよう求めるとしています。固定費は使用量あたりの単価に上乗せされるため、ガス契約のある家庭の6割が年平均45ポンドほど安くなる可能性があるとしています。

10/28(水)予算の発表日
21:30ごろ演説の開始(日本時間)
3.75%BoEの政策金利
3.5%英CPI(9月・前年比)

英財務省「Chancellor abolishes standing charges on gas bills」(2026年10月28日)、BoE統計データベース、ONS「Consumer price inflation, UK: September 2026」。

予算の日にポンドはどれくらい動く?過去33回を集計

英財務省のサイト(gov.uk)に残る予算文書・演説の公表日から、2010年6月の緊急予算から2026年3月の春季予測まで、財務相が議会で財政方針を示した33回を拾いました。為替はFRB(米連邦準備制度理事会)が公表するニューヨーク正午の相場(H.10)で、ポンド円はポンドドル×ドル円で計算しています。英国時間12時30分ごろの演説から、ニューヨーク正午(英国時間17時ごろ)までの動きが入る計算です。

33回集計した予算・財政報告
1.19倍普段の日と比べたポンドドルの値動き
1.04円ポンド円の平均変動(普段は0.77円)
17/33回ポンドドルが下がった回数
日の種類(2010年6月〜) ポンドドルの平均変動 ポンド円の平均変動 1円以上動いた割合
予算・財政報告の日(33回) 0.47% 1.04円 36%
うちミニ予算を除く32回 0.39% 0.95円 34%
それ以外の日(4,069日) 0.40% 0.77円 26%

FRB H.10(ニューヨーク正午)とgov.ukの予算文書・演説の公表日から筆者が集計。変動は前営業日比の絶対値の平均。2026年10月23日まで。

予算の日のポンドは、平均すると普段より少し大きく動いています。ただ、その差の大半は2022年9月のミニ予算1回によるもので、これを除くとポンドドルは0.39%と、それ以外の日(0.40%)とほとんど変わりません。ポンド円は0.95円と普段(0.77円)より大きめですが、円側の動きも含まれる点には注意が必要です。

種類別:「予算」と「秋季財政報告」で差は小さい

種類 ポンドドルの平均変動 英10年債利回りの平均変動 ポンドドルが下がった回数
予算(Budget)(18回) 0.36% 5.9bp 10/18回
秋季財政報告(Autumn Statement)(8回) 0.36% 4.2bp 3/8回
春季声明・春季予測(5回) 0.58% 3.7bp 3/5回

10年債利回りはBoE統計データベースのIUDMNPY(名目パー利回り、日次)。bpは0.01%ポイント。このほか2020年11月の歳出見直しと2022年9月の成長計画(ミニ予算)が1回ずつ。

英10年債の利回りは、予算の日に平均5.8bp動きました(それ以外の日は3.9bp)。ミニ予算を除いても4.9bpと普段より大きく、為替よりも国債のほうが予算に敏感だったことがわかります。利回りが上がった(国債が売られた)のは33回中19回でした。

直近12回の予算でポンドはどう動いた?2021年以降の一覧

2021年以降の12回を一覧にしました。「当日」は演説の日の前営業日比、「翌日まで」は翌営業日のニューヨーク正午までの変化です。

日付・種類 ポンドドル 当日 ポンドドル 翌日まで ポンド円 当日 ポンド円 翌日まで 英10年債 当日
2021/3/3 予算 +0.11% +0.27% +0.41円 +1.56円 +6.7bp0.83%
2021/10/27 秋季予算・歳出見直し −0.24% +0.23% −0.98円 −0.75円 −14.2bp0.96%
2022/3/23 春季声明 −0.35% −0.57% −0.08円 +0.97円 +0.2bp1.71%
2022/9/23 成長計画(ミニ予算) −3.09% −5.02% −3.83円 −5.60円 +34.3bp3.97%
2022/11/17 秋季財政報告 −0.65% +0.11% −0.06円 +0.71円 +5.1bp3.32%
2023/3/15 春季予算 −0.94% −0.29% −3.36円 −2.07円 −16.7bp3.38%
2023/11/22 秋季財政報告 −0.57% +0.49% +1.17円 +3.03円 +7.0bp4.21%
2024/3/6 春季予算 +0.35% +0.66% −0.56円 −1.37円 −0.0bp4.03%
2024/10/30 秋季予算 +0.05% −1.15% −0.31円 −3.73円 +8.0bp4.37%
2025/3/26 春季声明 −0.46% +0.12% +0.30円 +1.78円 −1.7bp4.71%
2025/11/26 予算 +0.41% +0.49% +0.95円 +0.84円 −3.7bp4.48%
2026/3/3 春季予測 −0.47% −0.17% −0.71円 −1.10円 +11.3bp4.48%

FRB H.10(ニューヨーク正午)、BoE統計データベース(IUDMNPY)から筆者が集計。ポンド円はポンドドル×ドル円。

前回2025年11月26日の予算は、ポンドドルが+0.41%、10年債利回りが−3.7bpと、ポンド高・金利低下で終えました。前々回の2024年10月30日(秋季予算)は当日こそ小動きでしたが、翌日までにポンド円が3.73円下がり、10年債利回りは2日で11.9bp上がっています。当日は落ち着いていても、翌日に評価が変わることがある点には注意が必要です。

予算でポンドが大きく動いた日は?2022年ミニ予算は別格

33回のうち、ポンドドルの当日の変化が大きかった6回です。

日付 ポンドドル 英10年債 種類
2022年9月23日 −3.09% +34.3bp 成長計画(ミニ予算)
2019年3月13日 +0.98% +3.3bp 春季声明
2023年3月15日 −0.94% −16.7bp 春季予算
2011年3月23日 −0.86% −5.2bp 予算
2022年11月17日 −0.65% +5.1bp 秋季財政報告
2018年3月13日 +0.64% −2.0bp 春季声明

FRB H.10、BoE統計データベースから筆者が集計。予算以外の材料が同じ日に重なった回も含みます。

2位以下は1%前後にとどまり、ミニ予算の−3.09%だけが突出しています。なお2020年3月11日の予算は、BoEが同じ日に政策金利を0.75%から0.25%へ緊急に下げた日(BoEのBank Rate履歴)で、予算だけの影響とは言えません。

2022年9月のミニ予算で何が起きたか

  1. 2022/9/23(金)「成長計画」を発表減税を中心とした計画。ポンドドル(NY正午)は前日の1.1269ドルから1.0921ドルへ−3.09%、10年債利回りは3.63%から3.97%へ34bp上昇。
  2. 9月26日(月)ポンドドルが1.07ドル割れNY正午で1.0703ドル。発表前日からの下落は5.0%に。
  3. 9月27日(火)10年債利回り4.53%発表前日から約90bpの上昇。
  4. 9月28日(水)BoEが長期国債の一時買い入れ市場の機能を回復させるため、長期債を「必要な規模で」一時的に買い入れると発表。10年債利回りは4.12%に低下。
  5. 10月10日(月)10年債利回りがこの局面の最高4.65%(BoE統計の日次)。

FRB H.10、BoE統計データベース、BoE「Bank of England announces gilt market operation」(2022年9月28日)から作成。

London Loves Businessの10月28日の記事は、ミニ予算を「OBRの見通しを伴わない約450億ポンドの財源のない減税」と説明し、トラス首相が49日で退任したことを挙げて、その後の財務相は国債市場を意識して予算を組んできたという専門家の見方を伝えています。今回の予算は、OBRの見通しと同時に公表される通常の形式です。

発表直後の値幅は?直近4回を1時間足で確認

日次のデータでは発表直後の動きが見えないため、直近4回は1時間足(Yahoo Finance)で、日本時間21時から翌2時まで(英国時間12時〜17時)の高値と安値の差を調べました。4回とも英国が冬時間(日本と9時間差)の時期で、今回と同じ時間帯です。

発表日 ポンド円の値幅 ポンド円の21時→2時 ポンドドルの値幅
2024年10月30日 1.48円 +0.49円 1.02セント
2025年3月26日 0.80円 +0.46円 0.32セント
2025年11月26日 1.57円 +0.71円 1.05セント
2026年3月3日 1.00円 +0.57円 0.77セント
同じ時間帯の平均(その他の平日719日) 0.89円 − 0.51セント

Yahoo Finance(GBPJPY=X・GBPUSD=X)の1時間足から筆者が集計。2024年1月〜2026年10月27日の平日。この時間帯には米国の経済指標の発表(日本時間22時30分など)も含まれます。

2024年10月と2025年11月の秋の予算は、ポンド円が5時間で1.5円前後動き、普段の同じ時間帯(0.89円)の1.7倍ほどでした。春の声明・予測(2025年3月、2026年3月)は普段並みです。税や歳出の大きな変更がある秋の予算のほうが、発表直後に振れやすい傾向が見られます。今回(2026年10月)の発表後2時間の動きは、上の「結果」の表で比べています。

英国債(ギルト)の利回りは?10年債5.30%で予算を迎え、発表後は小幅低下

BoEの統計で、英10年債の利回りは10月26日時点で5.30%です。2026年の最高は10月8日の5.43%で、これは2007年7月以来の高さでした。10月26日の水準も、2008年6月以来の高い水準です。年初(4.52%)からは0.8%ポイント近く上がっています。

時点 10年債 5年債 20年債
2024年10月29日(前々回の予算の前日) 4.29% 4.01% 4.62%
2025年11月25日(前回の予算の前日) 4.52% 3.87% 5.02%
2026年1月2日(年初) 4.52% 3.97% 5.06%
2026年10月8日(2026年の最高) 5.43% 4.99% 5.79%
2026年10月26日(最新) 5.30% 4.94% 5.60%

BoE統計データベース(IUDMNPY・IUDSNPY・IUDLNPY、名目パー利回り・日次)。1995年以降のデータで比較。

ロイターは10月28日、30年債の利回りが今月、1998年初め以来の高さをつけたと報じています。金利が高いほど国の利払いは増えます。英国家統計局(ONS)によると、2026年4〜9月の公的部門の借入は978億ポンドで、前年同期より44億ポンド少ないものの、OBRの予測を60億ポンド上回りました。9月の中央政府の利払いは109億ポンドで、こちらも予測を20億ポンド上回っています。

ポンドそのものは、ポンドドルが2026年の最安値(1.3155ドル、10月14日)に近い水準です。予算発表前の28日21時(日本時間)時点ではポンドドルが1.3287ドル、ポンド円は209.81円で、発表後の23時にはポンド円が210.19円になっています(Yahoo Finance)。ポンド円の2026年の高値は7月16日の219.02円、安値は9月11日の207.88円です(FRB H.10)。ギルトの売りとポンド円の下落の関係はポンド円はなぜ下落?英国債利回り19年ぶり高水準と悪い金利上昇で詳しく分析しています。

予想と結果を比べると?「ヘッドルーム」と増税の中身

発表前の報道で伝えられていた見通しと、実際の結果を項目ごとに比べます。

財政ルールに対する余裕(ヘッドルーム)

市場が最も注目しているのが、財政ルールを守ったうえでどれだけ余裕が残るか(ヘッドルーム)です。London Loves Businessは、前任のリーブス氏が約240億ポンドの余裕を確保していたものの、金利上昇やエネルギー価格の上昇で削られ、エコノミストの推計は85億〜160億ポンドに分かれていると伝えています。ロイターは、予算の予測機関が余裕を約150億ポンドまで縮んだとしていると報じました。

FXStreetが伝えたオランダの金融機関ABNアムロの分析は、140億ポンドを下回れば国債市場が否定的に反応するおそれがあり、リーブス氏の240億ポンドに近いか上回れば好感されるとの見方です。同社の基本シナリオは180億〜240億ポンドとしています。結果の150億ポンドは、ABNアムロの目安(140億ポンド)はわずかに上回ったものの、基本シナリオには届きませんでした。事前の推計(85億〜160億ポンド)の上のほうで、ロイターの報道どおりの水準です。

増税は「小さく的を絞る」見通し

London Loves Businessによると、所得税・国民保険料・付加価値税(VAT)の引き上げは否定されており、オンライン小売、賭博、銀行の利益、徴税の強化などで約50億ポンドの増税が見込まれています。ロイターも、銀行・賭博会社・アマゾンやTemuのようなオンラインマーケットプレイスへの増税が予想されると報じています。結果はおおむね報道どおりで、銀行の上乗せ税率の引き上げ(15億ポンド)、オンラインマーケットプレイスによるVAT徴収、ゲーム機への賭博税の引き上げが決まりました。加えて、貯蓄と不動産所得の税率が2027年4月からさらに2%ポイント上がります。

国債の発行計画と物価

予算と同時に、英国債務管理庁(DMO)が国債の発行計画を見直しました。London Loves Businessが伝えたプライマリーディーラー15社の調査では、2026年度の発行額は34億ポンド増の2,496億ポンドと予想されていました。DMOが発表した計画は44億ポンド増の2,506億ポンドで、予想を10億ポンド上回りました。一方、長期債は全体の6.2%にとどまり、短期債が42.9%を占めます。長い年限の発行が増えると30年債など超長期債に売りが出やすいとの指摘があったため、長期債を抑えた配分は国債市場への配慮とも読めます。物価は9月のCPIが3.5%と8月の3.1%から上がっており(ONS)、OBRは2026年の物価上昇率の見通しを3.1%に引き上げました(BBC)。主な理由は中東の紛争による原油・ガスの値上がりです。ロイターは発表前、市場が11月のBoE会合で少なくとも0.25%の利上げを見込んでいると伝えていました。

見どころ ポンド・国債に追い風になりうる ポンド・国債に逆風になりうる 結果
ヘッドルーム 前回並み(200億ポンド台)を確保 ABNアムロが目安とする140億ポンドを下回る 150億ポンド。目安は上回るが3月より減少
財源 増税・歳出の組み替えで賄う 借入に頼る、将来の歳出削減を前提にする 銀行への時限増税などで賄う(英財務省)
国債発行 予想どおり、短い年限中心 予想より多い、長い年限が増える 予想を10億ポンド上回る。長期債は6.2%
物価 OBRが物価への影響は小さいと判断 物価を押し上げ、利上げと利払い増が重なる 2026年の見通しを3.1%に引き上げ

ロイター、London Loves Business、FXStreet(ABNアムロ)の10月28日の記事、英財務省・DMO・BBCの発表後の情報をもとに筆者が整理。実際の相場がこのとおり動くとは限りません。

ロイターは発表前、為替会社エバリーのストラテジストの「市場に優しい予算はすでに織り込まれており、ポンドと国債にとって抵抗の少ない方向は下」という見方を伝えていました。発表後2時間の時点では、ポンド・国債とも大きく売られてはいません。過去33回の集計でも、予算の日にポンドが上がるか下がるかは五分五分でした。反応の大きさを決めるのは国債市場で、今回はその国債市場が落ち着いていたことが、ポンドの値動きの小ささにつながったと考えられます。

同じ夜にFOMC、30日に日銀

予算の約5時間半後、日本時間29日3時に米FOMCの結果が出ます。ポンド円はドル円の動きにも左右されるため、予算への反応とFOMCへの反応が混ざる点に注意が必要です。FOMCと日銀会合の見どころはFOMCと日銀の10月会合はどうなる?で整理しています。発表直後はスプレッドが広がったり、思った値段で約定しなかったりすることがあります。発表をまたいでポジションを持つ場合は量を抑え、損失の上限を決めておくのが基本です。

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英国の予算とポンドのよくある質問

Q. 英国の予算(Budget 2026)はいつ発表されましたか?

A. 2026年10月28日(水)の英国時間12時30分すぎ、日本時間21時30分ごろです。予算責任局(OBR)の経済・財政見通しと、英国債務管理庁(DMO)の国債発行計画も同じ日に公表されました。

Q. 英国予算2026の結果、ポンドはどう動きましたか?

A. 発表から2時間(日本時間21時〜23時)の値幅はポンド円0.50円、ポンドドル0.16セントで、普段の同じ時間帯(0.58円・0.32セント)より小さい動きでした。BBCによると10年債利回りは5.34%から5.31%へ小幅に低下しています。

Q. 英国の予算でポンドはどれくらい動きますか?

A. 2010年6月以降の33回では、予算の日のポンドドルは前日から平均0.47%、ポンド円は1.04円動きました。それ以外の日はポンドドル0.40%、ポンド円0.77円です。2022年のミニ予算を除くと、ポンドドルは0.39%で普段とほぼ同じでした。

Q. 予算の日はポンド安になりやすいですか?

A. 過去33回でポンドドルが下がったのは17回で、方向に偏りはありませんでした。大きく下げたのは、財源の裏付けがないと受け止められ英国債が売られた2022年9月のミニ予算(−3.09%)です。

Q. ヘッドルームとは何ですか?

A. 政府が自ら定めた財政ルールを守ったうえで、どれだけ余裕が残るかを示す金額です。OBRの見通しをもとに計算されます。今回の予算では150億ポンド(2029年度)で、3月の240億ポンドから90億ポンド減りました。市場が予算の信頼性を判断する目安として注目されています。

Q. 英国債の利回りは今どのくらいですか?

A. BoEの統計で、10年債は2026年10月26日時点で5.30%です。2026年の最高は10月8日の5.43%で、2007年7月以来の高さでした。

Q. 予算のあと、ポンドに影響しそうな予定は?

A. 日本時間10月29日3時に米FOMCの結果、30日に日銀の金融政策決定会合の結果、11月5日にBoEの金融政策委員会があります。BoEの政策金利は現在3.75%です。

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出典・参考資料

  • 英財務省(gov.uk):Budget 2026、予算日の発表(2026年7月31日)、Chancellor abolishes standing charges on gas bills(2026年10月28日)、The Growth Plan 2022 speech、Budget 2025 speechほか各回の予算文書・演説
  • イングランド銀行(BoE):統計データベース(IUDMNPY・IUDSNPY・IUDLNPY・IUDBEDR)、Bank Rate履歴、MPC日程、Bank of England announces gilt market operation(2022年9月28日)
  • 英国家統計局(ONS):Consumer price inflation, UK: September 2026、Public sector finances, UK: September 2026
  • FRB:H.10 英ポンド・日本円、FOMC日程/日本銀行:金融政策決定会合等の日程/Yahoo Finance(GBP/JPY)
  • 英財務省・DMO(発表後):Budget 2026: Breathing space for today, hope for the future(2026年10月28日)、Revision to the DMO Financing Remit 2026-27: Budget 2026(PDF)/BBC:Budget 2026: Key points at a glance、Budget 2026 ライブ
  • 報道:ロイター(10月28日配信、Global Banking & Finance Review掲載)、London Loves Business(2026年10月28日)、FXStreet(2026年10月28日)

内容は2026年10月28日21時(日本時間)時点の情報で作成し、予算の結果と発表後2時間の値動きを同日23時に追記しました。予算・財政報告33回の選定と値動きの集計は筆者によるもので、FRB H.10の相場は日次(ニューヨーク正午)のため、発表直後の瞬間的な値動きは含みません。英語資料の日本語は筆者訳です。本記事は情報提供を目的としており、特定の通貨の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。アイキャッチ背景:Julian Herzog「Palace of Westminster London 2023 01.jpg」(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)をトリミング・文字入れ。

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