くらし|冬の備え
雪道で転ばない歩き方|滑りやすい場所と靴の選び方、搬送8割は50歳以上
雪や凍った道で転んで救急車で運ばれる人は、雪国だけでなく東京でも毎冬出ています。東京消防庁と札幌市消防局が公表している搬送データを当サイトで集計し直すと、運ばれた人の約8割は50歳以上、多いのは朝の通勤・通学の時間帯でした。転ばない歩き方(いわゆるペンギン歩き)、滑りやすい場所、靴の選び方、両手を空ける理由を、公的機関の案内に沿ってイラストで順番にまとめます。
この記事の結論
- 東京消防庁管内では、過去5冬(12〜3月)に積雪や凍結路面で転ぶなどして801人が救急搬送されました。札幌市では2025/26年の冬に2,060人と、平成21年度以降で最多です。
- 年齢を集計し直すと、50歳以上は東京で79.5%、札幌で80.4%。東京では50〜64歳だけで34.0%を占め、高齢者だけの問題ではありません。
- 歩き方の基本は小さな歩幅・靴の裏全体で着地・重心はやや前。横断歩道の白線、マンホール、店の出入口、坂道、バスやタクシーの乗り降り場所は特に滑ります。
- 靴は滑りにくい底のものを。荷物はリュックにして両手を空け、ポケットに手を入れず、手袋と帽子で転んだときに備えます。東京では雪の翌朝と朝7〜8時台に特に注意です。
雪道で転んで救急搬送される人は?東京と札幌のデータを集計
東京消防庁によると、毎年12月から3月にかけて、積雪や凍結路面で滑って転ぶなどの「ころぶ事故」で救急搬送される人が出ています。過去5年間のこの期間に、東京消防庁管内(稲城市と島しょ地区を除く)で801人が救急搬送されました(東京消防庁「積雪や凍結路面に係る救急事故に注意しよう」)。
| 冬(12月〜3月) | 救急搬送人員 | 主な積雪 |
|---|---|---|
| 2020/21年の冬 | 6人 | 積雪なし |
| 2021/22年の冬 | 604人 | 1月6日に積雪10cm |
| 2022/23年の冬 | 50人 | 積雪なし |
| 2023/24年の冬 | 120人 | 2月5日に積雪8cm |
| 2024/25年の冬 | 21人 | 3月4日・19日に積雪1cm(速報値) |
東京消防庁「積雪や凍結路面に係る救急事故に注意しよう」図1から作成。令和6年12月〜令和7年3月は速報値。
同じ東京でも、搬送人員は雪が積もったかどうかで大きく変わります。10cm積もった2021/22年の冬は604人で、5冬の合計の75.4%がこの冬に集中しました。東京消防庁は、2022年1月7日の1日の救急出場件数が3,140件と冬季の過去最高を記録したとして、積雪時や路面凍結時は不要不急の外出を控えるよう呼びかけました(東京消防庁 報道発表 令和4年2月9日)。
運ばれた人の約8割は50歳以上
東京消防庁は、年齢層別では50歳から84歳までで多く救急搬送されているとし、「通常の転倒による救急搬送は65歳以上の高齢者が多くなりますが、積雪時では50代から増加することが一つの特徴」と説明しています。そこで、東京消防庁(5歳ごとの図)と札幌市消防局(10歳ごとの図)の年齢別の人数を、同じ4つの区分に合算し直しました。
| 年齢 | 東京(過去5冬・801人) | 札幌(2025/26年の冬・2,060人) |
|---|---|---|
| 50歳未満 | 164人(20.5%) | 403人(19.6%) |
| 50〜69歳 | 345人(43.1%) | 766人(37.2%) |
| 70〜89歳 | 277人(34.6%) | 822人(39.9%) |
| 90歳以上 | 15人(1.9%) | 69人(3.3%) |
東京消防庁「積雪や凍結路面に係る救急事故に注意しよう」図3、札幌市消防局「令和7年度 雪道の自己転倒による救急搬送概要(速報値)」の年齢層別の図から当サイトで合算。札幌の90歳以上には100歳以上1人を含む。
50歳以上の割合は東京79.5%、札幌80.4%とほぼ同じでした。違うのは中身で、東京は50〜69歳が43.1%といちばん多いのに対し、札幌は70〜89歳がいちばん多くなっています。雪に慣れていない東京では、通勤する現役世代も転んで運ばれていることがわかります。
多いのは朝の通勤・通学の時間帯
東京消防庁の時間帯別の図では、午前7時台と8時台の2時間だけで179人(22.3%)。札幌市消防局の2025/26年の冬も、8時台が178人で最多、7〜9時台の3時間で444人(21.6%)でした(当サイト集計)。東京消防庁は「急いで歩きがちな通勤・通学の時間帯は、あらかじめ時間に余裕を持って行動をすることが必要」としています。
「軽いけが」では済まないことも
東京消防庁の過去5年の集計では、3割以上が中等症以上(入院が必要な程度)と診断されています。札幌市消防局の2025/26年の冬も、中等症以上は36.8%でした(札幌市消防局 搬送概要PDF)。ウインターライフ推進協議会の分析では、けがの部位は頭部が最も多く、次いで脚部・腰部・足部の順です。
雪道で転ばない歩き方|小さな歩幅で靴の裏全体をつける
雪道や凍った道での歩き方について、札幌市やウインターライフ推進協議会、京都労働局の案内は同じポイントを挙げています。京都労働局は、小さな歩幅で靴の裏全体を地面につけて歩く方法を「いわゆるペンギン歩き」と呼んでいます(京都労働局リーフレット)。

- 歩幅を小さくする:歩幅が大きいと足を高く上げなければならず、重心の移動(体の揺れ)が大きくなって転びやすくなります(札幌市・ウインターライフ推進協議会)。京都労働局のリーフレットは、歩幅を小さくしたほうが路面に垂直に力がかかり、摩擦が増すと説明しています。
- 靴の裏全体で着地する:足の裏全体を路面につける気持ちで。氷のような「つるつる路面」では、すり足のような歩き方が有効です。ただし完全に地面をこするとつまずくので、軽く足を浮かせて歩きます(札幌市)。
- 重心をやや前に置く:ウインターライフ推進協議会は「重心を前におき」と案内しています。京都労働局は、背中を反ると重心が後ろに来て滑りやすくなるとしています。
- 左右の足の幅を少し開ける:細い道では両足の幅が狭くなりがちですが、20センチ前後離れているほうがよいとされています(ウインターライフ推進協議会)。
- 急がない・歩く速さを急に変えない:止まった状態から歩き始めるとき、急ぎ足になったり急に遅くしたりするときは転びやすくなります(ウインターライフ推進協議会)。スマートフォンを見ながらの「ながら歩き」も避けましょう。
道の表面に雪が残っているところでは、すり足だと歩きづらいこともあります。そのときは足の裏を平らにして路面につけ、小さな歩幅で「そろそろと」歩きます(ウインターライフ推進協議会「転ばない歩き方」)。
雪道で滑りやすい場所|白線・マンホール・店の出入口・坂道
同じ道でも、滑りやすい場所は決まっています。ウインターライフ推進協議会(「滑りやすい場所を知る」)と京都労働局、埼玉県(埼玉県防災ポータル 2025年3月4日)が挙げている場所のうち、街なかでよく通る4か所をイラストにしました。

- 横断歩道の白線:白線の部分は普通の舗装と違って水がしみ込まないため、薄い氷の膜ができやすく、予想以上に滑ることがあります。ウインターライフ推進協議会はなるべく白線の上は歩かないよう勧めています。
- マンホールのふた(金属のふた):京都労働局は、マンホールやグレーチング(金属の溝ぶた)に薄い氷の膜が張っている場合があり、金属に水分が付くと摩擦が特に小さくなるとしています。
- 店の出入口(タイル張りの床):雪道を歩いた後にタイル張りの店内や地下街に入ると、靴の裏についた雪や水で非常に滑ることがあります。入る前に靴の裏の雪や氷をしっかり落としましょう。
- 坂道(特に下り):京都労働局は、坂やスロープでは路面に力をかけにくく、坂の下側に滑りやすくなるとしています。埼玉県も、横断歩道の白線の上、駐車場の出入口とあわせて坂道を挙げています。
ほかにも注意したい場所
- バスやタクシーの乗り降り場所:人や車で踏み固められて滑りやすくなります(ウインターライフ推進協議会・京都労働局)。
- 駐車場やガソリンスタンドなど車が出入りする歩道:雪がタイヤに踏まれて固くなり、さらに磨かれて非常に滑りやすくなることがあります。車道へ向けた傾斜がついていることも多い場所です。
- 横断歩道と歩道の境目:傾斜が変わったり段差ができたりします。停まっている車の熱で雪の表面が解けやすく、発進するタイヤに磨かれるため、横断歩道そのものも滑りやすくなります。
- 地下鉄の駅や地下街の出入口付近:人通りが多くつるつるになりやすく、段差もあります。快適な地下から急に滑りやすい路面に出るので注意します。
雪が解けた後の「再凍結」も危ない
ウインターライフ推進協議会によると、つるつる路面は踏み固められた雪が日中に解け、夕方や夜に気温が下がってもう一度凍るときや、雨の後に冷え込んだときにできやすくなります。濡れているように見えて実は薄い氷の膜、ということもあります。東京消防庁も、降雪後の数日間は事故が多いとして注意を呼びかけています。
雪道で滑りにくい靴の選び方|靴底を見る

東京消防庁は予防策の最初に「靴は滑りにくいものを選びましょう」を挙げています。札幌市消防局のチラシは、雪道に適した靴のポイントを防滑性(靴底が滑りにくい)・防水性・保温性の3つとしています。ウインターライフ推進協議会(「滑らない靴選び」)と京都労働局は、滑りにくい靴底として次の4種類を挙げています。
- 深い溝のある底:ギザギザの溝が路面にかかって滑りにくくなります。
- やわらかいゴム底:路面への接着が強くなります。
- 滑り止め材入りのゴム底:ゴムに混ぜた滑り止め材が、ヤスリのように路面をひっかきます。
- ピン・金具付きの底:金具が氷に突き刺さり、固く凍った路面で威力を発揮します。
注意点もあります。ウインターライフ推進協議会は、トレッキングシューズのように底が固くて溝が深いだけの靴はつるつる路面では滑りやすいとして、溝の深さだけでなく靴底のやわらかさも大切だとしています。溝に雪が詰まると滑りやすくなること、靴底は使うほど減るので点検が必要なことも挙げています。反対に、底が平らでつるつるの革靴や、普段のスニーカーのような雪道用ではない靴は大変滑りやすいとされています。
首都圏なら「靴用の滑り止め」も選択肢
雪がめったに降らない地域で冬靴をそろえるのが難しい場合は、手持ちの靴に付け外しできる靴用アタッチメント(滑り止め)があります。ゴムバンドやマジックテープで靴底に固定するもので、つま先だけのタイプと靴底全体のタイプがあります(ウインターライフ推進協議会「靴用アタッチメント」)。ただし金属ピン付きのものは、屋内でそのまま歩くとかえって滑るため、駅や店に入る前に外す必要があります。
両手を空けて手袋を|転んだときにけがを小さくする

ウインターライフ推進協議会は「転びやすい人」として、両手がふさがっている人とポケットに手を入れて歩く人を挙げています。荷物で両手がふさがっていると、反射的に身体を守れないため大きなけがにつながるおそれがあり、ポケットに手を入れていると急な動きに反応できないからです(ウインターライフ推進協議会「こんな人は要注意!」)。埼玉県も大雪警報の際、鞄や荷物は手に持たず、なるべく背負うよう呼びかけています。
- 荷物はリュックに:手提げの鞄は使わず、リュックを背負って両手を空けます。リュックは転んで頭を打ったときのクッションにもなるとされています。金具がけがのもとにならないかも確かめておきましょう。
- 手袋をする:厚めで、濡れても水がしみ込みにくいものを。転んだときに擦りむかないよう、コートの袖口と手袋の間にすき間を作らないのが大切です。
- 帽子をかぶる:ウインターライフ推進協議会の分析では、けがの部位は頭部が最も多くなっています。衝撃を吸収する厚めの毛糸の帽子が勧められています。
- 服装:転んで濡れると冷えるので、スカートよりパンツがおすすめとされています。下にタイツなどを重ねると、打ったときの痛みを和らげることにもつながります。
服装・手袋・帽子・リュックについては、ウインターライフ推進協議会「ケガをしない服装」の案内に沿っています。
転んで頭を打ったら
頭を打った、強く痛む、立ち上がれない、といった場合は無理に歩かず周りに助けを求めましょう。東京消防庁は、救急車を呼ぶか迷ったときは救急相談センター「#7119」への相談や「東京版救急受診ガイド」での確認を案内しています(東京都の場合)。
東京で雪の予報が出たら|前の晩と翌朝にやること
東京では、雪が積もった冬に搬送が跳ね上がります(積雪10cmの2021/22年の冬は604人)。東京消防庁の図2(降雪日から1週間の搬送人員)を見ると、10cm積もった2022年1月6日は109人、翌7日は350人で、1週間の合計555人の63.1%が雪の翌日に集中していました(当サイト計算)。一方、8cm積もった2024年2月5日は当日が54人で最も多く、翌日以降の6日間で53人でした。雪の当日だけでなく、翌朝の凍った道にも備える必要があります。
- 天気予報を確かめる:東京消防庁は、天候を事前に情報収集し、残雪や凍結路面を避けて余裕を持って行動するよう呼びかけています。
- 不要不急の外出は控える:転倒などで救急要請が増えると、近くの救急車が駆け付けられなくなる可能性が高まるためです(東京消防庁 2022年2月の報道発表)。
- 靴と鞄を前の晩に決めておく:滑りにくい靴底の靴、または靴用の滑り止めを用意し、荷物はリュックにまとめます。手袋と帽子も玄関に。
- 家を出る時間を早める:東京の搬送は午前7時台・8時台に集中しています。急ぐと歩幅が大きくなり、バランスを崩しやすくなります(京都労働局)。
- 雪がやんだ後の数日も油断しない:東京消防庁は、降雪後の数日間は事故が多いとしています。
東京消防庁は事故事例として、通勤途中に歩道橋の上の凍った路面で滑って腰を痛めた70代、数日前に降った雪で滑って腰を痛めた30代(いずれも中等症)を紹介しています。ウインターライフ推進協議会のつるつる予報の資料も、幹線の歩道は乾いていても日陰の小道だけがつるつるになっていることがあると注意しています。
雪道の歩き方についてよくある質問
Q. 雪道で転ばない歩き方のコツは?
A. 小さな歩幅で、靴の裏全体を路面につけ、重心をやや前に置いて歩きます。京都労働局はこれを「いわゆるペンギン歩き」と呼んでいます。氷のような路面ではすり足のように歩くと有効ですが、完全に地面をこするとつまずくので軽く足を浮かせます。
Q. 雪道で特に滑りやすい場所はどこですか?
A. 横断歩道の白線、マンホールなどの金属のふた、タイル張りの店や地下街の出入口、坂道、バスやタクシーの乗り降り場所、駐車場など車が出入りする歩道が挙げられています。白線はなるべく踏まずに歩くのがおすすめです。
Q. 雪道で転ぶのはお年寄りが多いのですか?
A. 東京消防庁の過去5冬の搬送データを当サイトで集計すると、50歳以上が79.5%を占めますが、50〜64歳だけでも34.0%ありました。東京消防庁は、積雪時は50代から搬送が増えるのが特徴だとしています。
Q. 雪の日はどんな靴を履けばいいですか?
A. 深い溝のある底、やわらかいゴム底、滑り止め材入りのゴム底、ピン・金具付きの底が滑りにくいとされています。冬靴がない場合は靴用の滑り止めも使えますが、金属ピン付きは屋内で滑るので建物に入る前に外します。
Q. 雪の日に手をポケットに入れて歩くのはなぜ危ないのですか?
A. ポケットに手を入れていると、滑ったときにとっさに手が出ず身を守れないためです。荷物はリュックにして両手を空け、手袋をして歩くよう案内されています。
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出典・参考
- 東京消防庁「積雪や凍結路面に係る救急事故に注意しよう」(2025年12月17日更新。図1・図3・図5の数値を当サイトで集計)
- 東京消防庁 報道発表資料「降雪に伴う転倒事故に注意!!」(令和4年2月9日)
- 札幌市消防局「「雪道の自己転倒」救急搬送」、「令和7年度 雪道の自己転倒による救急搬送概要(速報値)」(令和8年3月31日時点。年齢層別・時間帯別・日別の数値を当サイトで集計)
- ウインターライフ推進協議会「転ばないコツおしえます。」(滑りやすい場所を知る・転ばない歩き方・こんな人は要注意!・滑らない靴選び・ケガをしない服装)
- 京都労働局「積雪・凍結した通路・路面による転倒災害を防止しましょう」(リーフレット、R7.11)
- 埼玉県「大雪警報の発表により情報連絡室から災害即応室へ移行しました」(2025年3月4日)
- イラスト:すべてChatGPT(OpenAI)の画像生成で作成した説明用のイメージです。


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