「大谷はなぜIL(故障者リスト)に入らないのか」。9月6日、Xや検索でこの疑問が急増しました。きっかけは米記者の指摘です。大谷選手はMLBの規定で「二刀流選手」に分類されているため、野手のように10日間ではなく、投手と同じ15日間のILにしか入れません。いま入れば復帰は最短でも9月18日。ドジャースが「数日の休養で済ませたい」と考えるのには、この制度上の理由があります。この記事では、現在の大谷選手の状態、IL制度の仕組み、二刀流ルールがどう効いているのか、そして復帰と投手再開の見通しを、表と時系列で分かりやすく解説します。
大谷翔平の今の状態:左膝・右上腕二頭筋・首の三重苦
まず、いま何が起きているのかを整理します。大谷選手は9月3日(日本時間4日)のカージナルス戦で約1か月ぶりにスタメンを外れ、そのまま4日、5日と3試合連続でベンチスタートになりました。3試合連続の欠場はエンゼルス時代の2023年9月に右脇腹を痛めて以来、3年ぶりです。
| 部位 | いつから | 経緯・監督のコメント |
|---|---|---|
| 左膝 | 6月11日〜 | パイレーツ戦で炎症が出て途中交代。精密検査で異常なし。7月30日にも欠場し、「数週間前から痛みがある」と長引いている |
| 右上腕二頭筋 | 9月2日〜 | カージナルス戦の最終打席で三振後に右腕を揺らす仕草。翌日、上腕二頭筋から首にかけての違和感をスタッフに報告 |
| 首 | 9月2日〜 | ロバーツ監督は「上腕二頭筋、首、その一体の感覚がすべてよくない」と説明 |
| 投手として | 7月3日〜登板なし | パドレス戦を最後に2か月以上マウンドに立っていない。二刀流の再開は保留 |
打撃の数字にも影響が出ています。9月4日時点で直近12試合・60打数は打率.130で本塁打ゼロ。最後の本塁打は8月18日のロッキーズ戦で、9月2日のカージナルス戦では1試合4三振を記録しました。シーズン通算では129試合で打率.279、30本塁打、80打点、OPS.906、投手として14先発で8勝2敗、防御率1.79という成績です。
IL(故障者リスト)とは?10日間・15日間・60日間の違い
ILは「Injured List」の略で、けがをした選手を26人の出場選手枠(アクティブロースター)から一時的に外し、その間に代わりの選手を昇格させられる制度です。40人枠には残るため、選手の所属自体は変わりません。MLBには次の3種類があります。
| 種類 | 対象 | ポイント |
|---|---|---|
| 10日間IL | 野手 | 最短10日で復帰可能。脳しんとうは別枠の7日間ILへ |
| 15日間IL | 投手と二刀流選手 | 最短15日。2022年に投手向けとして復活した規定 |
| 60日間IL | 長期離脱者 | 40人枠からも外れる。復帰まで最短60日 |
ここで重要なのが「さかのぼり(レトロアクティブ)」の仕組みです。IL入りは、最後に出場した翌日まで最大3日さかのぼって適用できます。大谷選手の最終出場は9月2日なので、いまIL入りしても起算日は9月3日。15日間ILなら復帰は最短で9月18日になります。もし野手扱いで10日間ILに入れるなら、復帰は9月13日で済む計算です。この5日の差が、ドジャースがIL入りをためらう理由そのものです。
なぜ大谷だけ15日間なのか:「二刀流選手」の正式ルール
MLBは2020年から、出場選手枠の全員を「投手」か「野手」に分類するルールを導入しました。投手は原則13人まで(9月1日以降は14人まで)で、野手として登録された選手は延長戦か6点差以上の場面でしか投げられません。この枠組みの中で、両方をこなす選手のために設けられたのが二刀流選手(Two-way player)の指定です。
大谷選手は今季すでに14先発・85回2/3を投げ、打者としても129試合に出場しているため、当然この条件を満たします。二刀流指定は「投手枠を圧迫しない」という大きなメリットがある一方で、ILについては投手と同じ扱いになります。つまり、打者としてしか出ていない今でも、IL入りすれば自動的に15日間なのです。
- 10日間ILに入れる
- 9月3日にさかのぼって、復帰は9月13日
- 1週間強の休養で戻れる
- 15日間ILしか使えない
- 9月3日にさかのぼって、復帰は9月18日
- 約2週間、打者としても出場不可
米メディアでは、オレンジカウンティ・レジスターのビル・プランケット記者らがこの規定を指摘し、ファンから「そのルールは知らなかった。バカバカしい」という反応が広がりました。投手として2か月投げていない選手が、投手のルールで縛られる。理屈は分かっても納得しにくい、というのが多くのファンの本音でしょう。
この日数の違いは、現地で取材する日本人記者も早くから指摘していました。
#大谷翔平 選手が9月5日(🇯🇵6日)のナショナルズ戦も欠場した場合、3試合連続欠場となります。仮にドジャースがIL入りを決断した場合、最後に出場した9月2日の翌日、9月3日付までさかのぼって適応可能。「二刀流選手」は15日間ILの対象で、9月3日付なら最短復帰は9月18日です。
— 山田結軌MLB記者🇺🇸 (@YamadaMLB) September 5, 2026
ドジャースの判断:IL入りは「非常に低い」からケージ打撃で見極めへ
ロバーツ監督の発言を時系列で追うと、球団の考え方が見えてきます。
- 9/2カージナルス戦で4打数4三振、右腕を揺らす仕草延長10回の最終打席も空振り三振。ドジャースは5-8で逆転負け。試合後、大谷選手が右上腕二頭筋から首への違和感をスタッフに報告しました。
- 9/331試合ぶりにスタメン外。監督「IL入りの可能性は非常に低い」「彼とは話し合うつもりだし、どの程度の状態なのか判断して決めたい」「見た目のように良くないと感じているなら、結局誰の助けにもならない」と、本人の意思を尊重しつつ慎重な姿勢を示しました。
- 9/42試合連続スタメン外。トレーニングは再開球団は「ポストシーズンを含めた先を見据えた休養」と説明。状態は「day to day(日々の様子見)」とされました。
- 9/53試合連続スタメン外。「きょうケージで打つ」監督は「打った後の感触で明日どうするか決める」「よくないとなれば、間違いなくIL入りを考えなければいけない」と、ケージ打撃の結果を判断材料にすると明言しました。
興味深いのは、ロバーツ監督自身がこの「15日間」を把握していなかったと報じられていることです。日刊スポーツによると、監督が「10日間ではなく6、7、8日で済むなら」とIL入りの判断材料に触れた際、記者から「二刀流選手は15日間になると思いますが」と指摘され、「おお、そうですか。はっきり分からない。もしそうなら、10日と15日では意味合いが違う」と答えたといいます。この規定が、IL回避の方向に働く要素として受け止められています。
ロバーツ監督、大谷翔平特有のIL日数を把握せず「おお…それなら意味合いが違う」回避要素か https://t.co/87T5f7M1rP
— ニッカンMLB情報 (@MlbNikkan) September 6, 2026
復帰はいつ?投手・大谷の再開は?3つのシナリオ
9月6日時点で考えられる展開を3つに分けて整理します。
| シナリオ | 内容 |
|---|---|
| ①数日でDH復帰 | ケージ打撃で問題なければ、6日以降のナショナルズ戦かその次のカードで指名打者として復帰。球団が最も望む形 |
| ②15日間IL入り | 感触が悪ければIL入り。9月3日にさかのぼって最短9月18日に復帰。レギュラーシーズンの残りは10試合前後 |
| ③今季の投手復帰は見送り | 7月3日以来登板がなく、上腕二頭筋の違和感も出た現状では、打者専念でポストシーズンに臨む可能性が高まっている |
ポイントは、たとえ①で戻れても投手としての再開は別問題だということです。ロバーツ監督は登板再開の時期を明言しておらず、米メディアからは「二刀流を長く続けてきた身体的負担が出始めたのでは」という見方も出ています。打者としてポストシーズンを万全に戦うことを優先するなら、今季のマウンドは見送るという判断も十分あり得ます。
判断のタイミングについて、日刊スポーツは「IL入りは7日(日本時間)に判断」と伝えています。6日の打撃練習で状態が悪ければ「そういう話になる」というのが監督の説明です。
大谷翔平のIL入りは7日判断 6日の打撃練習で状態悪なら「そういう話になる」ロバーツ監督 https://t.co/b3LmcJF0GF
— 日刊スポーツ野球取材基地 (@nikkan_yakyuude) September 6, 2026
大谷翔平 打撃練習で状態見極め ロバーツ監督、状態改善見られなければIL入りは「検討すべき選択肢」
▼詳しい内容は画像をタップhttps://t.co/fp0WSAiqwS
— スポーツニッポン新聞社(スポニチ)【公式】 (@sponichiannex) September 6, 2026
「バカバカしい」で終わらせない:二刀流ルールの本当の意味
15日間ILの規定は大谷選手を狙い撃ちしたものではありません。2022年に投手のILが10日間から15日間に戻されたのは、投手を短期間ILに入れて実質的な「休養枠」として使い回す運用を防ぐためです。二刀流選手を投手と同じ扱いにするのは、この抜け道を二刀流指定で作らせないためでもあります。
一方で、二刀流指定があるからこそ、大谷選手は投手13人枠を圧迫せずにどんな場面でも投げられ、ドジャースは野手を1人多く抱えられます。メリットとデメリットは表裏一体で、今回はたまたまデメリット側が表に出た、というのが正確な理解です。今後、二刀流選手が「投手として一定期間登板していない場合は10日間ILを認める」といった改正が議論される可能性はありますが、現行ルールでは大谷選手に例外はありません。
よくある質問
Q. 大谷翔平はなぜIL(故障者リスト)に入らないのですか?
A. 大谷選手はMLBの規定で「二刀流選手」に指定されているため、野手用の10日間ILではなく投手と同じ15日間ILにしか入れないからです。いまIL入りすると最短でも9月18日まで打者としても出場できなくなるため、ドジャースは数日の休養で回復を待つ判断をしています。ロバーツ監督は「IL入りの可能性は非常に低い」としつつ、ケージ打撃の感触次第で判断すると述べています。
Q. 二刀流選手に指定される条件は何ですか?
A. MLB公式の規定では、当該シーズンまたは直近2シーズンのいずれかで、メジャーで20イニング以上投げ、かつ野手または指名打者として20試合以上先発(各試合3打席以上)していることが条件です。指定されると投手13人枠に数えられず、どんな場面でも登板できます。
Q. 大谷翔平はどこをけがしているのですか?
A. 2026年9月6日時点で報じられているのは、6月から続く左膝の炎症、9月2日のカージナルス戦後に報告した右上腕二頭筋の違和感、そして首の違和感の3か所です。投手としては7月3日のパドレス戦を最後に登板していません。精密検査で大きな異常は見つかっておらず、球団は「day to day」で様子を見ています。
Q. IL入りした場合、復帰はいつになりますか?
A. IL入りは最後の出場日の翌日まで最大3日さかのぼれます。大谷選手の最終出場は9月2日なので起算日は9月3日となり、15日間ILなら最短で9月18日に復帰できます。野手用の10日間ILであれば9月13日に復帰できる計算で、この5日の差がIL入りをためらう理由です。
Q. 今季、投手として大谷翔平は復帰しますか?
A. 9月6日時点で球団は登板再開の時期を明言していません。7月3日以来2か月以上登板がなく、新たに右上腕二頭筋の違和感も出たため、打者に専念してポストシーズンに臨む可能性が高まっています。ドジャースは地区優勝マジック10で余裕があり、無理に投げさせる状況ではありません。
Q. 10日間ILと15日間ILの違いは何ですか?
A. どちらも26人枠から選手を外して代わりの選手を昇格させる制度で、40人枠には残ります。10日間ILは野手用で最短10日、15日間ILは投手と二刀流選手用で最短15日です。2022年に投手のILが10日間から15日間に戻され、短期ILを休養枠として使い回す運用が防がれました。
まとめ:15日間ルールが「休ませたいのに休ませにくい」を生んでいる
- 大谷翔平選手は9月3〜5日(日本時間4〜6日)に3試合連続でスタメン外。ドジャース移籍後初で、左膝・右上腕二頭筋・首に不安を抱えている。
- MLBの規定で「二刀流選手」に指定されているため、野手用の10日間ILではなく15日間ILしか使えない。いま入れば復帰は最短9月18日。
- ロバーツ監督は「IL入りの可能性は非常に低い」としつつ、9月5日のケージ打撃の感触で判断すると明言。
- ドジャースは地区優勝マジック10で2位ダイヤモンドバックスに10.5ゲーム差。急ぐ理由がなく、ポストシーズンを見据えた休養を優先している。
- 投手としては7月3日以来登板なし。今季は打者専念でポストシーズンに臨む可能性が高まっている。
参考にした主な一次情報・報道:MLB公式「Two-way Players」規定、MLB公式「15-day Injured List」、THE ANSWER「大谷翔平が無理すれば『誰の助けにもならない』」(2026年9月3日)、Full-Count「大谷翔平、打撃練習再開へ」(2026年9月6日)、Full-Count「大谷翔平、二刀流“限界説”」(2026年9月4日)。


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