9月16日FOMC → 9月18日日銀。ドル円は「ダブル会合週」に何が起きたか
2026年9月、米FOMC(15〜16日)と日銀金融政策決定会合(17〜18日)が同じ週に並びます。日米の政策金利が48時間のうちに続けて決まる「ダブル会合週」は、ドル円が平常時より大きく動いてきました。2024年3月以降の該当14回を実際の為替レートで集計し、今回の4つのシナリオを整理します。
2026年9月の「ダブル会合」はいつ、何が決まるのか
まず日程の確認です。米FOMCは9月15〜16日、日銀の金融政策決定会合は9月17〜18日。いずれも公式カレンダーで確定している日程です。結果の公表は日本時間で次のようになります。
| 日程(日本時間) | イベント | 注目点 |
|---|---|---|
| 9月8日(火) | 4-6月期GDP改定値/7月毎月勤労統計 | 賃金と成長率が日銀の追加利上げ判断を左右する |
| 9月10日(木) | 米8月PPI(卸売物価) | 翌日のCPIの前哨戦 |
| 9月11日(金) | 米8月CPI(消費者物価) | FOMC前の最後の大物指標 |
| 9月17日(木)未明3時ごろ | FOMC結果・ドットチャート・議長会見 | 据え置きか、利上げに踏み込むか |
| 9月18日(金)昼ごろ | 日銀会合結果・総裁会見 | 政策金利1.00%→1.25%への引き上げがあるか |
今回が過去のダブル会合と決定的に違うのは、日米の両方に「利上げ」の可能性があるという点です。米国のFF金利誘導目標は現在3.50〜3.75%で、8月のジャクソンホール会議でウォーシュ議長がタカ派寄りの発言をしたことから、9月会合は「どちらに動いてもおかしくないライブな会合」と受け止められています。日本側も、7月末の日米協調介入をきっかけに9月利上げ観測が急速に高まり、金利先物市場では8割近い確率が織り込まれたと報じられました。
ダブル会合週のドル円、過去14回を実データで集計した
ここからが本題です。2024年3月以降、FOMCと日銀会合の結果発表が同じ週に収まった回は14回ありました。各回について「会合初日の前営業日」から「最後の会合日の翌営業日」までのドル円の変動を、欧州中央銀行(ECB)が公表する日次参照レートで機械的に計算しました。
| 時期 | FOMC/日銀の結果日(FOMCは米国時間) | 始値→終値(円) | 変動 |
|---|---|---|---|
| 2024年3月 | 日銀19日→FOMC20日 | 148.76 → 151.24 | +2.48 |
| 2024年6月 | FOMC12日→日銀14日 | 156.88 → 157.87 | +0.99 |
| 2024年7月 | 両方31日(同日) | 153.87 → 150.76 | −3.11 |
| 2024年9月 | FOMC18日→日銀20日 | 139.91 → 143.52 | +3.61 |
| 2024年12月 | FOMC18日→日銀19日 | 154.06 → 156.78 | +2.72 |
| 2025年3月 | 両方19日(同日) | 148.82 → 148.48 | −0.34 |
| 2025年6月 | 日銀17日→FOMC18日 | 144.15 → 145.67 | +1.52 |
| 2025年7月 | FOMC30日→日銀31日 | 148.15 → 150.48 | +2.33 |
| 2025年9月 | FOMC17日→日銀19日 | 147.36 → 147.84 | +0.48 |
| 2025年10月 | FOMC29日→日銀30日 | 152.86 → 154.18 | +1.32 |
| 2026年3月 | FOMC18日→日銀19日 | 159.14 → 158.77 | −0.37 |
| 2026年4月 | 日銀28日→FOMC29日 | 159.42 → 156.56 | −2.86 |
| 2026年6月 | 日銀16日→FOMC17日 | 160.20 → 160.93 | +0.73 |
| 2026年7月 | FOMC29日→日銀31日 | 163.64 → 156.68 | −6.96 |
集計結果は次のとおりです。
- 平均変動幅は2.13円(絶対値の平均)。同じ期間の「4営業日の窓」をすべて総当たりで計算した平常時の平均は1.33円なので、ダブル会合週はおよそ1.6倍動いていることになります。
- 方向は円安9回・円高5回。会合が重なると円高になりやすい、という通説はデータでは確認できませんでした。
- 最大は2026年7月の−6.96円。ただしこの週は7月30日に過去最大15.4兆円の円買い介入が入っており、会合だけの結果ではありません。この回を除いた13回でも平均1.76円で、やはり平常時を上回ります。
なぜダブル会合週はこれほど動くのか|3つの理由
1. 材料が48時間に凝縮される
通常なら2週間かけて消化される日米の金融政策が、2営業日のうちに連続で出ます。FOMCの結果を受けたポジションの傾きが、まだ解消されないうちに日銀の結果に晒されるため、値動きが往復しやすくなります。
2. 「先に出る側」が期待値を作ってしまう
今回はFOMCが先、日銀が後という順番です。日本時間の時刻でみると、過去14回のうちFOMCの結果が先に出たのは8回、日銀が先だったのは6回でした。FOMCで一方向に振れたあと、日銀の結果でその動きが増幅されるか、丸ごと巻き戻されるかの二択になりやすく、結果として値幅が広がります。
3. 金利差そのものが動く唯一のイベント
雇用統計やCPIは「金利がどうなるかの予想」を動かしますが、会合は金利そのものを動かします。日米金利差は現在2.625ポイント。日銀が0.25ポイント利上げすれば差は2.375ポイントに縮み、FRBが逆に利上げすれば2.875ポイントに開きます。この「差の付け替え」が同じ週に確定するのがダブル会合週です。
2026年9月のシナリオ|4つの組み合わせでドル円はどこへ
| FRB | 日銀 | 金利差 | 想定される反応 |
|---|---|---|---|
| 据え置き | 利上げ1.25% | 2.375pt へ縮小 | 最も円高。直近安値156.01円(9月3日)を割り込み、153〜155円を試す展開 |
| 据え置き | 据え置き | 2.625pt のまま | 「日銀は結局動けない」との失望。160円台回復と介入警戒の再燃 |
| 利上げ | 利上げ1.25% | 2.625pt のまま | 差が変わらず方向感が出にくい。初動は上下に振れたあと元の水準へ戻りやすい |
| 利上げ | 据え置き | 2.875pt へ拡大 | 最も円安。7月28日の年初来高値163.91円(日次終値ベース)が視野に入り、再介入の可能性が高まる |
直近のドル円は9月1日に160.16円をつけたあと、米労働市場の減速を示す指標が続いたことで9月3日に156.01円まで4円強下落し、9月4日は156.25円で週を終えました。すでに「日銀利上げ・FRB据え置き」を部分的に織り込んだ位置にあるという点は押さえておきたいところです。織り込み済みの材料が予想どおりに出た場合、いわゆる「材料出尽くし」で逆方向に振れることも珍しくありません。
会合週の1週間、個人投資家はどう動くか
- 9/8-11指標で下地が作られるGDP改定値と米CPIで会合の織り込みが動く。ここでポジションを膨らませない。
- 9/14-15ブラックアウト期間当局者の発言が止まり、値動きが薄くなりやすい。薄商いでの突発的な飛びに注意。
- 9/17未明FOMC結果と議長会見日本時間3時前後。スプレッドが開きやすい時間帯で、指値が滑る前提で臨む。
- 9/18昼日銀結果は「時間が読めない」発表時刻は正午前後で固定されておらず、公表が遅れるほど議論が割れたサインと読まれ、待ち時間そのものが値動きを生む。
- 9/18午後総裁会見で二段目が来る決定そのものより、次回以降の利上げ姿勢を示す会見で相場が反転することが多い。
よくある質問
Q. 2026年9月のFOMCと日銀会合はいつですか?
A. FOMCは9月15〜16日(米国時間)に開かれ、結果公表は日本時間9月17日の未明3時ごろです。日銀の金融政策決定会合は9月17〜18日で、結果は9月18日の正午前後に公表されます。いずれもFRBと日銀の公式カレンダーで確定した日程です。
Q. ダブル会合週はどのくらいドル円が動きますか?
A. 2024年3月以降の14回を集計すると、会合初日の前営業日から最終日の翌営業日までの平均変動幅は2.13円でした。同期間の平常時(4営業日の窓)の平均1.33円と比べて約1.6倍です。ただし14回中5回は1円未満の小動きで、必ず大きく動くわけではありません。
Q. 日銀が利上げすれば円高になりますか?
A. 過去のダブル会合週では、そうなっていません。2024年3月のマイナス金利解除の週は+2.48円の円安、2026年6月に0.75%から1.00%へ利上げした週も+0.73円の円安で終えています。利上げが事前に織り込まれていると、決定そのものより「次の一手があるか」の方が材料になるためです。
Q. 会合週に為替介入が重なることはありますか?
A. あります。2026年7月は、FOMC(29日)と日銀会合(31日)の間の30日に過去最大15.4兆円の円買い介入が実施され、その週のドル円は6.96円下落しました。会合週は当局が動きやすいタイミングでもあると考えておくのが安全です。
Q. 初心者はこの週にどう構えるべきですか?
A. 建玉を普段より小さくし、結果発表の前後30分は新規のエントリーを避けるのが現実的です。スプレッドが平常時の数倍に開くことがあり、逆指値が想定より不利な価格で約定する「スリッページ」も起きやすくなります。証拠金維持率にはいつも以上の余裕を持たせてください。
データの出典と計算方法
本記事のドル円レートは、欧州中央銀行(ECB)が毎営業日公表する外国為替参照レート(欧州時間の日次値)を用いています。会合の日程は各中央銀行の公式カレンダーに基づきます。変動幅は「最初の会合の初日の前営業日」から「最後の会合日の翌営業日」までの差として計算しました。日中の高値・安値ではなく日次終値ベースのため、実際のザラ場の値幅はこれより大きくなる点にご留意ください。
- 日本銀行「金融政策決定会合の日程」
- Federal Reserve Board「FOMC Meeting calendars」
- European Central Bank「Euro foreign exchange reference rates」
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。
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