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イコロはなぜ天王寺へ?ホッキョクグマ国内29頭で見る相手選び
上野動物園のホッキョクグマ「イコロ」(オス・17歳)が、大阪の天王寺動物園へ引っ越すことになりました。2026年10月2日の発表によると、移動は10月下旬〜11月中旬ごろ。天王寺で一人暮らしをしている「ホウちゃん」(メス・5歳)との赤ちゃん誕生をめざします。なぜ上野の10年では子どもが生まれなかったのか、なぜ相手がホウちゃんなのか。日本にいるホッキョクグマ29頭を1頭ずつ並べ、家族関係と年齢から読み解きます。
この記事の結論
- イコロは2016年から上野でメスの「デア」と同居し、交尾も人工授精も行いましたが、出産には至りませんでした。日本動物園水族館協会(JAZA)のホッキョクグマ管理計画にもとづき、新しい獣舎ができた天王寺動物園でホウちゃんとの繁殖をめざします。
- 国内のホッキョクグマは16園館29頭(オス11・メス18)。1995年の67頭から43%まで減りました。当サイトが29頭の家族関係を整理すると、8頭がイコロの母「ララ」とその子・孫でした。
- メス18頭のうち、繁殖年齢なのに同じ園にオスがいないのは5頭。そのうち3頭(アイラ・マルル・ポロロ)はイコロの妹で、ペアにできません。血縁がなく、相手もいない若いメスとして、ホウちゃんは数少ない候補でした。
- 移動日が「イコロがみずから輸送ケージに入れるようになってから」決まるのは、上野が興奮させずにケージへ誘導するトレーニングで移動させる計画だからです。2026年2月には、ホウちゃんの父「ゴーゴ」が輸送のための麻酔中に死亡しています。
- ホッキョクグマの交尾期は春、出産は11〜1月です。順調にいっても、赤ちゃんが生まれるのは最短で2027年11月〜2028年1月ごろが目安です。
29頭
国内のホッキョクグマ(16園館・2026年8月末)
67頭
ピークだった1995年の頭数
8頭
29頭のうちイコロの母ララの一族
0頭
上野で生まれて育った子グマ(記録が残る1917年以降)
イコロが天王寺動物園へ|移動はいつ?発表の内容
東京都と上野動物園は2026年10月2日、ホッキョクグマのイコロを天王寺動物園へ移すと発表しました。同じ日に天王寺動物園も「ホッキョクグマが来園します」と告知しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 移動するクマ | イコロ(オス・17歳)2008年12月9日、札幌市円山動物園生まれ |
| 移動先 | 天王寺動物園(大阪市)2026年8月4日に新獣舎「ポーラーベアコースト」を公開 |
| 移動予定 | 2026年10月下旬〜11月中旬ごろトレーニングのようすを見て直前に決定 |
| 目的 | ホウちゃん(メス・5歳)との繁殖JAZAのホッキョクグマ管理計画にもとづく |
| 上野の展示 | 搬出日の前日まで展示する予定デアと交代で展示するため、時間によっては見られない |
| 上野に残るクマ | デア(メス・17歳)1頭上野は今後オスの導入を希望 |
東京都の報道発表(2026年10月2日)、上野動物園のお知らせ(10月3日更新)、天王寺動物園スタッフブログ(10月2日)から作成。
イコロの歩み
- 2008年12月円山動物園で双子として誕生母はララ、父はデナリ。双子のきょうだいはキロル。
- 2010年2月キロルと一緒におびひろ動物園へ1歳のときに兄弟で帯広へ。
- 2015年4月上野動物園へ2012年にイタリアから来ていたメスのデアと出会う。
- 2016年4月デアと初めて同居ここから繁殖の試みが続く。交尾も確認された。
- 2024年1月北海道大学と人工授精デアは9月から非公開で出産に備えたが、12月に「妊娠の可能性は低い」と判断。
- 2024年11月双子のキロルが死ぬ(15歳)釧路市動物園で。キロルにも育った子はいなかった。
- 2026年10月天王寺動物園への移動を発表10月下旬〜11月中旬ごろに大阪へ。
上野ではなぜ赤ちゃんが生まれなかった?10年の繁殖の試み
上野動物園は、イコロを迎えた翌年の2016年から、メスのデア(2008年イタリア・ファザーノ・サファリ生まれ)と同居させる試みを何度も続けてきました。上野動物園のブログによると、年を重ねるごとに2頭の関係はよくなり、交尾も確認されています。それでも出産には至りませんでした。
2024年1月には北海道大学との共同研究で人工授精にも踏み切りました。イコロがデアの発情を察知して交尾の体勢をとったのを確認し、その2日後にイコロから精子を採取してデアに注入しています。デアは9月から非公開エリアで出産に備えましたが、行動観察と血液検査の結果、12月に「妊娠している可能性は低い」と判断され、展示に戻りました。
上野は100年以上、ホッキョクグマの子が育っていない
上野動物園でホッキョクグマの赤ちゃんが生まれた記録は1917年の双子にさかのぼりますが、愛好家がまとめた記録によると、これまでに生まれた4頭はいずれも育っていません。歴代のペアの中には、のちにメス同士だったと分かった組み合わせもありました。上野にとってイコロとデアは、久しぶりに期待されたペアでした。
ホッキョクグマは飼育下での繁殖がむずかしい動物です。野生では雪の中に巣穴を掘って出産し、母グマは3か月ほど何も食べずに子育てをします。動物園では暗く静かな産室を用意しますが、相性や体調、環境のわずかな違いで結果が変わります。同じペアで何年も続けるより、相手を替えて可能性を広げる。今回の移動はその判断です。
独自集計|国内のホッキョクグマ29頭とイコロの「家族」
東京都の発表では、国内のホッキョクグマは2026年8月31日時点で16園館に29頭(オス11、メス18)です。各園の発表と報道をもとに、当サイトで29頭を1頭ずつ並べました。ララ一族はイコロの母ララとその子・孫、ゴーゴの子孫はホウちゃんの父ゴーゴの子と孫です。
| 園館 | ホッキョクグマ(性別・生まれた年) |
|---|---|
| 札幌市円山動物園北海道・3頭 | ララ(メス・1994年)ララ一族リラ(メス・2014年)ララ一族ライト(オス・2013年) |
| 旭川市旭山動物園北海道・3頭 | ピリカ(メス・2005年)ララ一族ルル(メス・1994年)ホクト(オス・2000年) |
| おびひろ動物園北海道・1頭 | アイラ(メス・2010年)ララ一族 |
| 釧路市動物園北海道・1頭 | マルル(メス・2012年)ララ一族 |
| 八木山動物公園宮城・4頭 | カイ(オス・2004年)ポーラ(メス・2004年)うみ(オス・2024年)そら(メス・2024年) |
| 男鹿水族館GAO秋田・3頭 | 豪太(オス・2003年)モモ(メス・2014年)ゴーゴの子孫モモ太(オス・2025年)ゴーゴの子孫 |
| 恩賜上野動物園東京・2頭 | イコロ(オス・2008年)ララ一族デア(メス・2008年) |
| よこはま動物園ズーラシア神奈川・2頭 | イッちゃん(メス・2013年)ライ(オス・2024年)ゴーゴの子孫 |
| 八景島シーパラダイス神奈川・1頭 | ユキ丸(オス・1992ごろ年) |
| 日本平動物園静岡・2頭 | ロッシー(オス・2007年)バニラ(メス・2009年) |
| 浜松市動物園静岡・1頭 | ユキ(メス・1999年) |
| 東山動植物園愛知・1頭 | フブキ(オス・2020年) |
| 天王寺動物園大阪・1頭 | ホウちゃん(メス・2020年)ゴーゴの子孫 |
| 神戸市立王子動物園兵庫・1頭 | ゆめ(メス・2021年)ララ一族 |
| とくしま動物園徳島・1頭 | ポロロ(メス・2012年)ララ一族 |
| とべ動物園愛媛・2頭 | バリーバ(メス・1990年)ピース(メス・1999年) |
2026年10月5日時点で当サイトが整理(イコロの移動前)。頭数・性別は東京都の報道発表(8月31日時点:オス11、メス18)と一致します。ユキ丸の生年は愛好家の記録による推定です。2026年は2月にゴーゴ(ズーラシア)、3月にクッキー(豊橋)とバフィン(浜松)が死に、豊橋総合動植物公園と熊本市動植物園(マルルが釧路へ移動)では飼育がなくなりました。
並べてみると、イコロの母ララ(31歳)の一族が8頭もいることが分かります。ララは1994年に大分・別府のラクテンチで生まれ、円山動物園でデナリとの間に子を産み続けました。イコロと双子のキロルのほか、ツヨシ、ピリカ、アイラ、ポロロとマルル(双子)、リラ。国内で生まれ半年以上育ったホッキョクグマ36頭のうち、8頭(22%)がララの子です。さらに旭山動物園で生まれたゆめはピリカの子、つまりララの孫にあたります。
生まれた年代で見ると「2000年代生まれ」が最多
- 2020年以降生まれ:7頭(うみ、そら、モモ太、ライ、フブキ、ホウちゃん、ゆめ)
- 2010年代生まれ:7頭(リラ、ライト、アイラ、マルル、モモ、イッちゃん、ポロロ)
- 2000年代生まれ:9頭(ピリカ、ホクト、カイ、ポーラ、豪太、イコロ、デア、ロッシー、バニラ)
- 1990年代以前生まれ:6頭(ララ、ルル、ユキ丸、ユキ、バリーバ、ピース)
1990年代以前に生まれた6頭は、いずれも25歳以上の高齢です。とべ動物園のバリーバ(1990年デンマーク生まれ)は国内最高齢で、ホッキョクグマの寿命が飼育下でもおおむね25〜30年といわれる中では長生きです。
なぜ相手はホウちゃん?メス18頭を4つに分けてみた
JAZAの計画で「誰と誰をペアにするか」は、血縁の近さや年齢、各園の施設などを見て決められます。協会の検討の中身は公表されていませんが、国内のメス18頭を、イコロが天王寺に移ったあとの状況で4つに分けると、ホウちゃんが選ばれた事情が見えてきます。
| 状況 | メス(いる園・相手のオス) |
|---|---|
| 同じ園に繁殖相手のオスがいる6頭 | リラ(円山・ライト)、ピリカ(旭山・ホクト)、ポーラ(八木山・カイ)、モモ(男鹿・豪太)、バニラ(日本平・ロッシー)、ホウちゃん(天王寺・イコロ) |
| 繁殖年齢で同じ園に相手のオスがいない5頭 | アイラ(おびひろ)、マルル(釧路)、ポロロ(とくしま)、デア(上野)、イッちゃん(ズーラシア) |
| まだ若い(5歳未満)2頭 | ゆめ(王子)、そら(八木山) |
| 高齢(25歳以上)5頭 | ララ(円山)、ルル(旭山)、ユキ(浜松)、ピース(とべ)、バリーバ(とべ) |
当サイトの整理。「繁殖年齢」はここでは5歳以上25歳未満としました。同じ園にオスがいるメスは年齢にかかわらず上の段に入れています。年齢は2026年10月時点。
繁殖年齢なのに同じ園にオスがいないメスは5頭。このうちアイラ、マルル、ポロロの3頭はイコロの妹なので、イコロとはペアになれません。デアは上野で10年挑戦した相手で、ズーラシアのイッちゃんは2024年11月生まれの息子ライを育てている最中です(ホッキョクグマの子は2年ほど母親と暮らします)。
一方のホウちゃんは、父ゴーゴ・母イッちゃんともロシア生まれで、ララの一族とは血がつながっていません。2022年12月に母イッちゃんが繁殖のため横浜へ移ってからは一人暮らしで、メスが初めて出産する目安とされる5歳を迎えました。血縁がない・相手がいない・繁殖年齢に入ったという3つの条件がそろうメスは、国内にほとんどいなかったことになります。
オス11頭・メス18頭の「オス不足」
国内のオス11頭から、2024〜25年生まれの子グマ3頭(ライ・うみ・モモ太)と30代のユキ丸を除くと7頭。そのうち6頭(ライト・ホクト・カイ・豪太・ロッシー・イコロ)はすでにメスとペアを組んでいるか、組む予定です。残るのは東山動植物園のフブキ(2020年生まれ)だけ。上野動物園が「今後のオス導入を希望」と書いたのは、国内でオスを見つけるのがむずかしいことの裏返しでもあります。
国内のホッキョクグマはなぜ減った?67頭から29頭へ
日本の動物園・水族館にいるホッキョクグマは、1995年の67頭をピークに減り続けています。報道や公表資料に出てくる頭数を時系列に並べました。
| 時点 | 国内の頭数 | 出典 |
|---|---|---|
| 1995年 | 67頭ピーク | FRIDAY(2026年5月) |
| 2000年末 | 55頭 | 愛好家の集計(日本動物園水族館年報ベース) |
| 2011年5月 | 44頭23施設 | 同上 |
| 2023年4月 | 33頭 | 神戸新聞 |
| 2026年4月 | 28頭16施設 | FRIDAY |
| 2026年8月末 | 29頭16園館 | 東京都の報道発表 |
数え方(集計日、生まれたばかりの子を含むかなど)は出典によって少し違います。2000年と2011年は、日本動物園水族館年報の飼育動物一覧をもとにした愛好家の集計です。
減った理由は大きく3つです。
- 海外から新しく迎えにくい:ホッキョクグマは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧II類、ワシントン条約の附属書IIに載る動物です。かつて日本のクマの多くはロシアや欧州の動物園から来ましたが、若い個体は世界の動物園の間で順番待ちになっていると言われます。
- 高齢化:29頭のうち7頭が25歳以上(2000年生まれのホクトを含む)。2026年3月には豊橋のクッキー(33歳)と浜松のバフィン(34歳)が相次いで死にました。
- 飼育下での繁殖がむずかしい:出産しても数日以内に死ぬ例が多く、育つ子は限られます。
独自集計|日本で生まれて育ったホッキョクグマは約50年で36頭
国内で生まれ、生後半年以上育ったホッキョクグマを年代別に数えました。2022年2月までは愛好家が血統台帳をもとにまとめた全記録(31頭)、それ以降は各園の発表で補っています。
| 生まれた年 | 育った頭数 | 個体 |
|---|---|---|
| 1970年代 | 4頭 | コロ、ジュン、ダイ、ショウ |
| 1980年代 | 4頭 | ハッピー、コタロウ、ポロ、コユキ |
| 1990年代 | 9頭 | ミユキ、アイス、オーロラ、ユキミ、ルル、ララ、クルミ、ユキスケ、ピース |
| 2000年代 | 5頭 | ツヨシ、ピリカ、イコロ、キロル、ミライ |
| 2010年代 | 7頭 | アイラ、ミルク、ポロロ、マルル、ライト、モモ、リラ |
| 2020〜25年 | 7頭 | ホウちゃん、フブキ、ゆめ、ライ、うみ、そら、モモ太 |
「育った」は生後半年以上生存した個体。国内で初めて子が育った1974年(旭山動物園)以降の記録です。2020〜25年はホウちゃん(天王寺)、フブキ(男鹿)、ゆめ(旭山)、ライ(ズーラシア)、うみ・そら(八木山)、モモ太(男鹿)。
約50年で36頭、平均すると1年に1頭に届きません。ただ2020年代は6年間ですでに7頭と、どの年代よりも速いペースです。八木山動物公園では2024年12月、過去3回の出産で子が育たなかったポーラが、自然交配と人工授精を組み合わせた年に双子を産み、2頭とも育っています。精子の保存や人工授精といった技術を組み合わせ、各園が少しずつ結果を出し始めています。
移動日が決まらないのはなぜ?ゴーゴの死と輸送ケージの訓練
天王寺動物園は「イコロがみずから移動用の檻に入るようになった後に移動日を決定する」としています。背景には、2026年2月の出来事があります。
ホウちゃんの父ゴーゴは、輸送の準備中に死んだ
ズーラシアにいたゴーゴ(オス・21歳)は2026年2月8日、繁殖のためとくしま動物園へ移る準備として麻酔をかけられ、検査や精子の採取をしている最中に呼吸と心臓が止まりました。ズーラシアの最終報告(4月10日)は、死因を「麻酔管理中に突発的に発生した急性心肺停止」とし、自分の体重で肺がつぶれて酸素を取り込めなくなったことが主な要因だったとしています。移動計画は「麻酔をかけた状態で輸送箱に入れ、目が覚めたのを確かめてから運ぶ」ものでした。とくしま動物園で待っていた相手は、イコロの妹ポロロです。
上野動物園は今回、イコロを興奮させずに自分から輸送ケージに入ってもらう方法をとっています。10月3日のブログによると、トレーニングは次のように進んでいます。
- ステップ1治療用の小さな檻に入る練習奥行き2メートル弱の檻に、最初は上半身しか入らず強く警戒。1日2〜3回、1回20分ほどの練習で、9日目には全身を入れて落ち着き、「おすわり」の姿勢を保てるように。
- ステップ2扉を閉める音に慣れる金属音や扉をたたく音に慣らし、扉を数センチ、1割、3割と少しずつ閉める練習。8割ほど閉めてもおすわりを保てるようになった。
- ステップ3本番の輸送ケージへ9月中旬に輸送ケージが届き、1週間後の初めての誘導で、10分ほどで全身が入った。今後は扉を動かす練習を進め、安全に閉められるようにする。
上野動物園はゴーゴの件には触れていませんが、「移動日はトレーニングでのイコロの状況を最優先に選ぶ」「時期によっては空調車で運ぶ」と、安全を最優先にする方針を示しています。移動日が直前まで発表されないのはこのためです。なお、ゴーゴの精子はJAZAが指定する施設に移され、保存されています。
赤ちゃんはいつ?天王寺のホウちゃんと新しい獣舎
ホウちゃんは2020年11月25日に天王寺動物園で生まれました。双子のもう1頭は育たず、ホウちゃんだけが育ちました。父ゴーゴと母イッちゃんは繁殖のため相次いで横浜へ移り、2024年には弟ライが生まれています。ゴーゴ・イッちゃん・ホウちゃん・ライの名前をつなげると、天王寺動物園にゴーゴを寄贈した大阪の「551蓬莱」になることでも知られています。
天王寺動物園では2026年8月4日、約90年親しまれてきた旧ホッキョクグマ舎をリニューアルした「ポーラーベアコースト」が公開されました。広さは従来の約3倍の1,070平方メートル。カナダ・ハドソン湾沿いの町チャーチルをイメージし、プールで泳ぐ姿を間近に見られます。上野動物園も「新しいホッキョクグマ舎が完成した」天王寺への移動だと説明しています。
赤ちゃん誕生までの目安
東京都の資料によると、ホッキョクグマの交尾期は2〜8月(多くは4〜5月)、出産期は11〜1月、妊娠期間は180〜270日です。イコロが11月ごろに天王寺に着き、まず新しい環境とホウちゃんに慣れるところから始めると、最初のチャンスは2027年の春。うまくいった場合でも、出産は最短で2027年11月〜2028年1月ごろ、一般公開はその翌春になります。
17歳のオスは遅くない?
イコロは12月9日で18歳になります。ただ、ホウちゃんの父ゴーゴは2004年生まれで、19歳の春に交尾し、ライが生まれたのは20歳になる直前でした。イコロの母ララも、20歳のときに末っ子のリラを産んでいます。年齢だけで見れば、まだ十分に可能性があります。
イコロに会えるのはいつまで?見に行くときのポイント
- 上野動物園では搬出日の前日まで展示予定。ただし移動のトレーニングや体調によって変わる場合があり、デアと交代で展示しているので、時間によっては見られません。
- 上野動物園は10月9日(金)〜12日(月・祝)に「秋の夜のどうぶつえん」として20時まで開園します。最後に会いに行くなら、夕方以降のホッキョクグマを見られる機会です。
- 天王寺動物園での公開日は、移動日と同じく未定です。移動直後は新しい獣舎に慣れる期間がとられるのが一般的なので、公式の発表を確認してから出かけるのが確実です。
上野に残るデアは、イコロが去ると1頭になります。上野動物園はオスを迎えたいとしていますが、上で見たとおり国内に余っている若いオスはほとんどいません。イコロの移動は、天王寺の新しいペアの始まりであると同時に、上野にとっては次の相手探しの始まりでもあります。
イコロとホッキョクグマの移動についてよくある質問
Q. イコロはいつ天王寺動物園に移動しますか?
A. 2026年10月下旬〜11月中旬ごろの予定です。イコロがみずから輸送ケージに入り、落ち着いていられるようになってから移動日を決めるため、日付は直前に発表されます。
Q. なぜイコロは天王寺動物園に行くのですか?
A. 日本動物園水族館協会のホッキョクグマ管理計画にもとづき、天王寺動物園のメス「ホウちゃん」との繁殖をめざすためです。上野では2016年からメスのデアと同居し、交尾や人工授精も行いましたが、出産には至りませんでした。
Q. 上野動物園からホッキョクグマはいなくなりますか?
A. いなくなりません。メスのデア(17歳)が残り、上野の飼育数は1頭になります。上野動物園は今後、オスの導入を希望するとしています。
Q. 日本にホッキョクグマは何頭いますか?
A. 東京都の発表では、2026年8月31日時点で16園館に29頭(オス11、メス18)です。1995年の67頭がピークで、半分以下に減っています。
Q. ホウちゃんは何歳ですか?
A. 2020年11月25日に天王寺動物園で生まれたメスで、2026年10月時点で5歳です(11月25日で6歳)。父はゴーゴ、母はイッちゃんです。
Q. イコロとホウちゃんの赤ちゃんはいつ生まれますか?
A. 決まっていません。ホッキョクグマの交尾期は春、出産期は11〜1月なので、2027年春にペアが成立して順調にいった場合でも、出産は最短で2027年11月〜2028年1月ごろが目安です。
Q. イコロの家族はどこにいますか?
A. 母のララ(31歳)と妹のリラは札幌市円山動物園、姉のピリカは旭山動物園、妹のアイラはおびひろ動物園、マルルは釧路市動物園、ポロロはとくしま動物園にいます。双子のキロルは2024年11月に釧路市動物園で死にました。
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出典・参考資料
- 東京都:ホッキョクグマの「イコロ」を移動します(報道発表)(2026年10月2日)
- 上野動物園:ホッキョクグマ「イコロ」のトレーニング──天王寺動物園への移動に向けて(2026年10月3日)
- 上野動物園:国際ホッキョクグマの日──イコロとデアでの人工授精の試み(2024年2月27日)
- 上野動物園:ホッキョクグマ「デア」(メス)の展示中止について(2024年12月19日更新)
- 天王寺動物園:ホッキョクグマが来園します(2026年10月2日)
- よこはま動物園ズーラシア:ホッキョクグマの「ゴーゴ」の死亡について(最終報・PDF)(2026年4月10日)
- 八木山動物公園:ホッキョクグマの出産までの道のり(2025年1月20日)
- 男鹿水族館GAO:12月4日生まれのホッキョクグマの性別について
- 札幌市円山動物園:ホッキョクグマ「ララ」の展示中止のお知らせ(2026年7月)
- FRIDAYデジタル:国内わずか28頭…動物園から消えるホッキョクグマの警鐘(2026年5月9日)
- 神戸新聞NEXT:ホッキョクグマの国内飼育数は現在33頭(2023年4月)
- 北海道新聞:ホッキョクグマ、動物園から消える危機 飼育数30年で半減(2026年1月20日)
- 中日新聞:「クッキー」今までありがとう のんほいパーク唯一のホッキョクグマ死ぬ(2026年3月)
- デイリースポーツ:高齢ホッキョクグマ2頭が暮らした浜松市動物園(2026年3月29日)
- 熊本日日新聞(共同通信):ホッキョクグマ新居公開 天王寺動物園、ホウちゃん(2026年8月)
- Polarbearology & conjectaneum(愛好家ブログ):日本における飼育下ホッキョクグマの誕生・成育成功個体の時系列的全記録(2022年2月)
- 日本のホッキョクグマの個体情報(愛好家サイト):国内のホッキョクグマ増減サマリー(2000年以降)(2011年)
国内29頭の一覧と家族関係、メス18頭の分類、生まれた年代別の頭数、国内で育った個体の年代別集計は、上記の発表・報道・記録をもとに当サイトが整理したものです。JAZAがペアを決めた理由そのものは公表されていません。アイキャッチの写真は Wikimedia Commons より:上野動物園のホッキョクグマ(Guilhem Vellut, CC BY 2.0, 2013年)、天王寺動物園のホッキョクグマ親子(KQuhen, CC BY-SA 4.0, 2016年)、天王寺動物園のホッキョクグマ(lasta29, CC BY 2.0, 2018年)。いずれもイコロ・ホウちゃん本人の写真ではありません。記事の内容は2026年10月5日時点の情報です。
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