FX・スイスフラン円
スイスフラン円はなぜ高い?最高値204円から下落した理由と見通し
スイスフラン円は10月1日夜、189円前後で取引されています。「フランが高い」「安全通貨だから強い」と言われますが、FRBが公表している1971年以降の為替レートからフラン円を計算し直すと、見え方が変わります。過去最高値は2026年4月21日の204.35円で、いまはそこから7%ほど下がった2026年の安値圏です。なぜここまで高くなり、なぜ下がり始めたのか。スイス国立銀行(SNB)の声明と介入額、ヘッジファンドの売買、過去6回のリスクオフ局面のデータで確かめました。
この記事の結論
- スイスフラン円の過去最高値は、FRBの正午レートから計算すると2026年4月21日の204.35円です。10月1日夜の189円台はそこから約7%安く、9月30日には一時187.60円と2026年の最安値をつけました。ただし2000年以降の6,703営業日で、いまより高かった日は3.4%しかなく、歴史的にはまだ高い水準です。
- フラン円が2021年末から51%上がった理由を分解すると、約76%は円安、約24%がフラン高でした。「フランが強かった」というより「円が弱かった」通貨ペアです。
- 反対に、4月の最高値からの下落は約81%がフラン安によるものです。SNBは9月24日、政策金利を0%に据え置き、3月・6月に使っていた「介入の意欲を高めた」という表現を外しました。会見では、フランが6月以降に貿易加重で約3%下がり、それは金利差の拡大に沿った動きだと説明しています。
- 主要国の政策金利はFRB3.75〜4.00%、ECB2.50%、日銀1.25%、SNB0%で、フランは主要通貨で最も金利の低い通貨になりました。CFTCの統計では、ヘッジファンドなどのフラン先物の売り越しが9月22日時点で2025年3月以来の大きさに膨らみ、逆に円は9月に買い越しへ転じています。
- 過去6回のリスクオフ局面で、フランは5回ドルに対して買われました。しかしショック初日のフラン円は6回とも下落(円の方が先に買われた)し、2週間で見ても円とフランの勝ち負けは3対2でした。2026年3月のイラン攻撃では、フランは対ドルでも上がっていません。「有事のフラン買い」は、対円では当てにしにくい動きです。
スイスフラン円はいくら?189円は最高値ではなく2026年の安値圏
まず、いまのフラン円がどのくらいの水準なのかを確認します。FRBは、ドルに対する各国通貨の正午レート(ニューヨーク時間)を1971年から公表しています。円とスイスフランの系列から「1フラン=何円」を自分で計算し、毎日の値を並べました。
フラン円は2026年4月21日に204.35円(取引時間中の高値はYahoo Financeで204.41円)をつけたあと、下落に転じました。9月11日には正午レートで188.39円まで下がり、9月30日の取引時間中には一時187.60円と、2026年に入ってからの最安値を更新しています。10月1日は188.07〜189.99円で推移し、22時ごろは189.04円でした。2026年の平均は199.5円なので、いまのフラン円は「今年の中では安い」水準です。
一方で、物差しを長くすると話は逆になります。2000年以降の6,703営業日のうち、9月25日の189.79円より高かったのは229日、割合にして3.4%だけです。その229日はすべて2025年10月以降で、フラン円がいかに短期間で駆け上がったかが分かります。
年ごとの高値・安値(2019〜2026年)
| 年 | 年間平均 | 高値 | 安値 |
|---|---|---|---|
| 2019年 | 109.71円 | 112.48円12/30 | 107.04円10/3 |
| 2020年 | 113.78円 | 117.50円8/13 | 108.85円5/6 |
| 2021年 | 120.12円 | 125.92円12/30 | 116.18円3/25 |
| 2022年 | 137.53円 | 150.19円9/13 | 123.85円1/31 |
| 2023年 | 156.56円 | 170.28円11/15 | 137.71円1/13 |
| 2024年 | 171.93円 | 179.86円7/10 | 165.89円9/13 |
| 2025年 | 180.48円 | 198.27円12/26 | 166.25円2/7 |
| 2026年(9/25まで) | 199.46円 | 204.35円4/21 | 188.39円9/11 |
フラン円が初めて150円を超えたのは1979年11月21日で、1980年2月を最後に、2022年9月まで40年以上この水準には戻りませんでした。160円を初めて超えたのは2023年6月23日です。そこから170円(2023年11月15日)、180円(2025年6月23日)、190円(2025年10月8日)、200円(2026年1月20日)と、3年足らずで節目を5つ突破しました。2000年9月7日の59.31円と比べると、フランの値段は約3倍になっています。
※フラン円は、FRB H.10の「1ドル=何円」を「1ドル=何フラン」で割って計算した値です(9月25日分まで)。それ以降の値はYahoo Finance(CHFJPY=X)の日中データで、FXの業者の画面とは数十銭ずれることがあります。
なぜスイスフランは円に対して高い?上昇の4分の3は「円安」
フラン円の値動きは、「ドル円の動き」と「フランの対ドルの動き」の掛け算で決まります。たとえばドル円が上がれば(円安)、フランが何もしなくてもフラン円は上がります。そこで、起点ごとにフラン円の変化を2つに分けました(対数で寄与度を計算)。
| 起点 | フラン円 | ドル円 | フラン(対ドル) | 変動の内訳 |
|---|---|---|---|---|
| 2000年の年初から64.33円|ユーロ誕生直後。フラン円は64円台 | +195.0% | +54.6% | +90.9% | 円安40%・フラン高60% |
| SNBショックの翌日から138.37円|上限撤廃でフランが急騰した直後 | +37.2% | +33.8% | +2.5% | 円安92%・フラン高8% |
| 2021年末から125.92円|日米の金利差が開き始める直前 | +50.7% | +36.5% | +10.4% | 円安76%・フラン高24% |
| 最高値(2026年4月21日)から204.35円|過去最高値204.35円 | −7.1% | −1.4% | −5.8% | フラン安81%・円高19% |
2021年末から9月25日まで、フラン円は125.92円から189.79円へ50.7%上がりました。この間、ドル円は36.5%上がり(円安)、フランのドルに対する値上がりは10.4%にとどまります。つまり上昇のおよそ4分の3は円安が生んだものです。2015年1月のSNBショック直後から数えると、円安の寄与は92%にもなります。
2000年からの長い期間では、フランの値上がり(対ドル91%)の寄与の方が大きくなります。フランが「世界で最も強い通貨の一つ」と言われるのはこの長期の実績のためで、スイスの低いインフレや経常黒字が背景にあるとされます。ただ、ここ5年に限れば、フラン円の上昇はほとんど円の側の事情でした。円が弱くなった理由は円の実力は1965年以来の低さ|実質実効為替レートで見る円安の深さで詳しく見ています。
最高値からの下落は「フラン安」が主役
一方、4月21日の最高値から9月25日までの7.1%の下落では、内訳が逆転します。ドル円は-1.4%しか動いておらず、フランがドルに対して5.8%下がったことが下落の約81%を占めました。ドルに対するフランは10月1日夜に1ドル=0.8357フラン前後と、2025年5月以来のフラン安水準です。ユーロに対しても、3月9日に約10年ぶりのフラン高(1ユーロ=0.8981フラン)をつけたあと、9月30日には2025年4月以来の0.948フラン台まで戻りました。
スイスフランはなぜ下がった?SNBの「介入姿勢」が変わった
フラン安のきっかけとして市場が注目したのが、9月24日のSNBの金融政策評価です。まず、政策金利がどう動いてきたかを、SNBのデータポータルの公表値で確認します。
- 2019年6月政策金利 -0.75%2019年6月に政策金利を導入。マイナス金利の時代
- 2022年6月政策金利 -0.25%2007年9月以来の利上げ。インフレ対応で引き締めへ
- 2022年9月政策金利 0.5%0.75%幅の大幅利上げでマイナス金利を終える
- 2022年12月政策金利 1%
- 2023年3月政策金利 1.5%
- 2023年6月政策金利 1.75%利上げの最後。ここから9か月据え置き
- 2024年3月政策金利 1.5%利下げに転じる
- 2024年6月政策金利 1.25%
- 2024年9月政策金利 1%
- 2024年12月政策金利 0.5%0.5%幅の利下げ
- 2025年3月政策金利 0.25%
- 2025年6月政策金利 0%0%に。2026年9月まで5会合連続で据え置き
SNBは2022年6月から1年で政策金利を1.75%まで上げたあと、2024年3月から6回続けて下げ、2025年6月にゼロにしました。9月24日の会合も0%で据え置きで、物価見通しも政策金利0%が続く前提で作られています。
声明の「為替介入」の書き方が3回で変わった
今回、金利以上に注目されたのは為替介入についての言葉です。2026年の3回の会合の声明(英語版)を並べると、変化がはっきり分かります。
| 会合 | 為替介入についての表現 | フランについて |
|---|---|---|
| 2026年3月19日 | 中東の紛争を受けて、為替介入の意欲が高まった(increased) | 急速で過度なフラン高に対抗する。フラン高で中期の物価見通しは小幅に下がった |
| 2026年6月18日 | 必要なら、介入の意欲は高まった状態にある | 急速で過度なフラン高に対抗する。フラン高の圧力が再び強まる恐れがある |
| 2026年9月24日 | 必要に応じて為替市場で行動する用意がある(「高まった」の表現が消えた) | フラン安が中期の物価見通しを押し上げ、景気も支えている |
9月の会見の冒頭説明では、さらに踏み込んだ説明がありました。
前回の評価以降、スイスフランは貿易加重ベースで約3%下落した。この下落は、主要な通貨圏とスイスの金利差の拡大に沿ったものだった。――SNB 2026年9月24日 記者会見の冒頭説明(筆者訳)
3月と6月の声明は「フラン高を止めるために介入する」という、フラン高への警戒が中心でした。9月はその言い回しが消え、フラン安を「物価と景気を支えるもの」として説明しています。経済メディアの一部が「SNBが事実上フラン安を容認した」と報じたのは、この変化を指しています。
「フラン安容認」はSNBの言葉ではありません
SNBの声明や会見に「フラン安を容認する」という表現はありません。SNBが述べたのは、①政策金利0%の据え置き、②必要に応じて為替市場で行動する用意がある、③フラン安は金利差に沿った動きで、物価見通しを押し上げ景気を支えている、という3点です。「容認」は、これらを受けた報道や市場の解釈です。SNBは介入の用意そのものは取り下げておらず、急激なフラン高になれば再び介入する可能性があります。
SNBは2026年に約54億フラン分の外貨を買っていた
SNBは、為替市場での売買額を四半期ごとに約3か月遅れで公表しています。9月30日に公表された4〜6月期までの数字を並べると、SNBが2026年に入ってからもフラン高を抑えるために外貨を買っていたことが分かります。
| 期間 | 外貨の売買 | 主な局面 |
|---|---|---|
| 2023年(通年) | 1,328.6億フラン分を売却 | インフレ対策でフラン高を促した(フラン買い) |
| 2025年4〜6月期 | 50.6億フラン分を購入 | トランプ関税(4月2日の「解放の日」)でフランが急騰 |
| 2026年1〜3月期 | 39.4億フラン分を購入 | 米国・イスラエルのイラン攻撃後にフラン買いが殺到 |
| 2026年4〜6月期 | 14.4億フラン分を購入 | 前の期より縮小。7〜9月期分は12月ごろ公表の見込み |
2026年1〜6月の購入は合計53.8億フラン(1フラン=190円で換算すると約1.0兆円)です。日本の財務省が4月30日〜5月6日の3日間で行った円買い介入(11兆7,349億円)と比べても10分の1以下で、SNBは大きく一度に動くのではなく、小刻みに外貨を買ってフラン高の勢いをそいできたことになります。
フランは「金利が最も低い通貨」に|キャリー取引の調達通貨へ
SNBが金利差に言及したのは、ほかの中央銀行が2026年に入って利上げに動いているためです。主要4中銀の政策金利(10月1日時点)を並べると、フランだけが0%に取り残されています。
| 中央銀行 | 政策金利 | 最近の動き |
|---|---|---|
| FRB(米国) | 3.75〜4.00% | 2026年9月16日に3年ぶりの利上げ |
| ECB(ユーロ圏) | 2.50% | 預金ファシリティ金利。6月・9月に利上げ |
| 日本銀行 | 1.25% | 2026年9月18日に利上げ(賛成7・反対2) |
| スイス国立銀行(SNB) | 0% | 2025年6月から据え置き。5会合連続 |
注目したいのは日銀との関係です。日銀は2025年1月に0.5%へ上げ、SNBは同年3月に0.25%へ下げました。2025年3月以降、政策金利は円の方がフランより高い状態が続いており、いまの差は1.25%です。フラン円を持っていても、金利の面では不利になる組み合わせです。日銀の9月の利上げの中身は日銀が1.25%へ利上げなのに円安?反対2票と31年ぶり水準の意味、FRBの利上げはFRBが3年ぶり利上げ|日米金利差3.0%と9月18日の日銀会合で解説しています。
ヘッジファンドは円からフランへ「売る通貨」を乗り換え
金利が低い通貨は、お金を借りて高金利の通貨で運用する「キャリートレード」の調達通貨に使われます。これまでその代表は円でした。ところが2026年は、日米の円買い介入で円の値動きが荒くなり、日銀も利上げを続けたことで、調達通貨としてフランを選ぶ動きが報じられています(Bloombergの8月の記事、swissinfo.ch掲載)。
これを数字で確かめるため、米商品先物取引委員会(CFTC)が毎週公表する先物の持ち高のうち、ヘッジファンドなど「レバレッジド・ファンド」の売り越し・買い越しを2025年1月から集計しました。
フラン先物の売り越しは9月22日時点で16,457枚(1枚=12万5,000フランなので約20.6億フラン分)まで膨らみ、これを上回る売り越しは2025年3〜4月の4週だけでした。同じ9月、円先物は10万枚超の売り越しから一気に買い越しへ転じています。「円を売ってフランを買う」から「フランを売る」へ、投機筋の向きが変わったことが、フラン円の下落と重なっています。円キャリートレードの仕組みと巻き戻しの怖さは円キャリートレードとは?巻き戻しの怖さを過去3局面のデータで検証で解説しています。
※CFTC「Traders in Financial Futures」のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のスイスフラン先物・日本円先物。レバレッジド・ファンドの買い持ちから売り持ちを引いた枚数(毎週火曜時点)。
「有事のフラン買い」は今も起きる?6つのリスクオフ局面で検証
スイスフランは円と並ぶ「安全通貨」と呼ばれてきました。では、市場が混乱したとき、本当にフランは買われるのか。円とどちらが強いのか。FRBの正午レートで、過去6回の局面を同じ物差しで比べました。ショックの前の営業日を基準に、その後10営業日(約2週間)でドルに対して最大何%上がったかを、フランと円それぞれで計算しています。
| 局面 | フラン(対ドル) | 円(対ドル) | フラン円(初日/2週間後) | 2週間で強かった方 |
|---|---|---|---|---|
| リーマン・ショック2008年9月(基準日 2008年9月12日) | +4.8% | +2.7% | −0.5%/+2.7% | フラン |
| 米国債の格下げ・欧州債務危機2011年8月(基準日 2011年8月5日) | +4.2% | +2.7% | −0.6%/−5.7% | フラン |
| コロナ・ショック2020年2〜3月(基準日 2020年2月21日) | +4.4% | +6.1% | −1.0%/−1.6% | 円 |
| 令和のブラックマンデー2024年8月(基準日 2024年8月2日) | +0.9% | +2.1% | −1.2%/−0.1% | 円 |
| トランプ関税(解放の日)2025年4月(基準日 2025年4月2日) | +8.4% | +5.2% | −0.0%/+3.0% | フラン |
| 米国・イスラエルのイラン攻撃2026年3月(基準日 2026年2月27日) | −0.9% | −0.6% | −0.5%/−0.5% | どちらも下落 |
結果を整理すると、次の3点が見えてきます。
- ドルに対しては、フランは確かに買われてきた。6回中5回でフランは対ドルで上がり、2025年4月のトランプ関税では2週間で最大8.4%上がりました。
- ショックの初日は、6回とも円がフランより強かった。初日のフラン円は6回すべてで下がりました(2025年4月はほぼ横ばい)。円は、円を借りて運用していた「円キャリートレード」の巻き戻しが起きると、真っ先に買い戻されやすい通貨です。2週間で見ると、フランが上回ったのが3回(リーマン・ショック、2011年8月、トランプ関税)、円が上回ったのが2回(コロナ・ショック、令和のブラックマンデー)で、ほぼ互角です。
- 2026年3月はフランも円もドルに対して買われなかった。イラン攻撃後の2週間、フランは対ドルで一度も基準日を上回らず(最も高い日でも-0.9%)、円も同じでした。フランはユーロに対しては約10年ぶりの高値をつけたものの、SNBが外貨を買ってフラン高を抑えています。資金の逃げ場になったのはドルでした。
フランを最も大きく動かしたのはSNB自身
表とは別に、フラン円が1日で最も大きく動いたのは、SNBが政策を変えた日です。2011年9月6日、SNBが「1ユーロ=1.20フラン」を下限に設定すると、フラン円は1日で-7.7%下がりました。2015年1月15日にその下限を突然撤廃すると、今度は1日で+14.1%急騰しています(いわゆるスイスフランショック)。フラン円の大きな値動きは、有事そのものよりもSNBの介入と政策変更で起きてきた、というのが過去のデータの示すところです。
「安全通貨」の意味が変わりつつある
安全通貨とは「危機のときに価値が保たれやすい通貨」で、必ず値上がりする通貨という意味ではありません。フランの場合、危機で買われそうになるとSNBが介入で抑えるため、上値が抑えられやすい構造があります。そこへ金利0%が重なり、2026年は「売られにくい安全通貨」から「借りて売る調達通貨」の顔が強くなっています。
※各局面の基準日はショック前の最終営業日。最大上昇率はFRB正午レート(日次)で計算したもので、取引時間中の高値・安値とは異なります。2011年8月は、9月6日の下限設定より前の期間で計算しています。
スイスフラン円の見通し|3つのシナリオと10〜12月の日程
ここまでのデータから、フラン円を動かす材料は「金利差」「SNBの介入姿勢」「円側の事情(日銀・介入)」の3つに整理できます。どれが強く出るかで、3つの筋書きが考えられます。
- フラン安金利差とキャリー取引でフラン売りが続くECBやFRBが利上げを続け、SNBが0%を維持するなら、金利差はさらに開きます。投機筋のフラン売り越しが膨らむ流れが続けば、フラン円は2026年の安値(187円台)を下回る可能性があります。
- 反発中東情勢などのリスクオフでフランが買い戻される売り越しが大きい通貨は、ショックの際に買い戻しで急に上がることがあります。ただし対円では、円も同時に買われやすく、SNBも急なフラン高には介入する構えなので、上昇幅は限られやすいと考えられます。
- 円高日銀の追加利上げや介入で円が買われるフラン円の上昇の4分の3は円安でした。日銀が10月30日の会合で連続利上げに動く、あるいは円安が進んで介入が入るといった円高要因が出れば、フランの動きに関係なくフラン円は下がります。
| 日付(日本時間) | イベント | フラン円への意味 |
|---|---|---|
| 10月22日(木)16:30 | SNB 9月会合の議論の要旨 | フラン安への受け止めや、介入についての議論が分かる |
| 10月29日(木)3:00 | FOMCの結果発表 | 米国の連続利上げなら金利差が拡大 |
| 10月30日(金)昼ごろ | 日銀会合の結果・展望レポート | 利上げなら円高材料。円とフランの金利差がさらに開く |
| 12月10日(木)17:30 | SNB 金融政策評価(12月会合) | 0%据え置きか、介入の表現がどう変わるか |
| 12月下旬ごろ | SNB 7〜9月期の外貨売買額 | フラン安の局面で介入をやめていたかが分かる |
FX会社によってはスイスフラン円を扱っていないところもあり、扱っていてもドル円よりスプレッドが広いのが一般的です。値動きの大きさや通貨ペアの選び方はFXの通貨ペアのおすすめは?初心者向けの選び方とボラティリティ比較も参考にしてください。
※シナリオは公開情報と過去データにもとづく筆者の整理で、将来の相場を予想・保証するものではありません。SNBの日程は同行の公表予定(スイス時間9:30/10:00)を日本時間に換算したもので、変更されることがあります。7〜9月期の外貨売買額の公表時期は、過去の公表間隔からの見込みです。
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スイスフラン円についてよくある質問
Q. スイスフラン円の過去最高値はいくらですか?
A. FRBが公表する正午レートから計算すると、2026年4月21日の204.35円が過去最高値です(取引時間中の高値はYahoo Financeで204.41円)。10月1日夜の189円台は、そこから約7%下がった水準です。
Q. なぜスイスフランは円に対してこんなに高いのですか?
A. 2021年末からのフラン円の上昇(51%)を分解すると、約76%は円安によるもので、フラン自体の値上がりは約24%でした。長期的にはスイスの低インフレなどでフランが強くなってきたことも背景ですが、ここ数年の高さは主に円の弱さが原因です。
Q. スイスフランはなぜ下がったのですか?
A. SNBが政策金利を0%に据え置く一方、FRB・ECB・日銀は利上げを進め、金利差が広がったためです。SNBは9月24日、フランが6月以降に約3%下がったのは金利差に沿った動きだと説明し、為替介入について「意欲が高まった」という表現を外しました。投機筋がフランをキャリー取引の調達通貨として売る動きも重なっています。
Q. SNBはフラン安を容認したのですか?
A. SNBの声明に「容認」という言葉はありません。SNBは「必要に応じて為替市場で行動する用意がある」と述べ、フラン安が物価見通しを押し上げ景気を支えているとしました。これを受けて一部の報道が「事実上のフラン安容認」と解釈しています。急なフラン高に対する介入の用意は残っています。
Q. 有事にはスイスフランが買われるのですか?
A. ドルに対しては、過去6回のリスクオフ局面のうち5回でフランが上がりました。ただし円と比べると、ショック初日は6回ともフラン円が下がっており(円の方が強い)、2週間で見ても勝ち負けは3対2です。2026年3月のイラン攻撃では、フランはドルに対しても上がりませんでした。対円で「有事のフラン買い」を当てにするのは難しいといえます。
Q. スイスフランショックとは何ですか?
A. 2015年1月15日、SNBが2011年から維持していた「1ユーロ=1.20フラン」の下限を予告なく撤廃し、フランが急騰した出来事です。FRBの正午レートで計算すると、フラン円は1日で14.1%上がりました。
Q. SNBの次の金融政策の発表はいつですか?
A. 2026年12月10日(木)です。日本時間17時30分にプレスリリース、18時から記者会見が予定されています。その前に、10月22日に9月会合の議論の要旨が公表されます。
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出典・参考資料
- FRB:H.10 Historical Rates for the Swiss Franc/H.10 Historical Rates for the Japanese Yen(1971年〜のニューヨーク正午レート。1971〜1999年分は同じページ群の旧系列)
- スイス国立銀行(SNB):金融政策評価(2026年9月24日)/同 記者会見の冒頭説明/2026年6月18日/2026年3月19日
- SNBデータポータル:政策金利(Official interest rates)/外国為替取引(四半期、2026年9月30日公表)/公表予定
- SNB:Swiss National Bank sets minimum exchange rate at CHF 1.20 per euro(2011年9月6日)/Swiss National Bank discontinues minimum exchange rate and lowers interest rate to -0.75%(2015年1月15日)
- 米商品先物取引委員会(CFTC):Commitments of Traders(Traders in Financial Futures、2025・2026年)
- 日本銀行:金融市場調節方針の変更について(2026年9月18日)/財務省:外国為替平衡操作の実施状況/ECB:Key ECB interest rates/FRB:Open Market Operations(政策金利の推移)
- swissinfo.ch(Bloomberg配信):SNB Intervened to Halt Rush for Franc at Iran War Outbreak(2026年6月30日)/Carry traders pivot to Swiss franc as yen volatility spikes(2026年8月20日)
- 市場データ:Yahoo Finance(CHFJPY=X)、同 CHF=X・EURCHF=X の日足(2026年10月1日22時ごろ取得)
フラン円の値・上昇の内訳・リスクオフ局面の変化率は、FRB H.10の日次正午レートから筆者が計算したものです。SNBの声明の日本語は筆者訳です。本記事は2026年10月1日時点の公開情報と市場データにもとづく解説で、特定の通貨や取引を勧めるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。アイキャッチ背景:Tony Badwy「Schweiz National Bank by Badwy – panoramio.jpg」(Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0)をトリミング・明るさ調整・文字入れ。
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