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日銀10月利上げはある?観測後退の理由と「連続利上げ0回」の歴史
10月1日朝、日本銀行が9月短観と、1.25%への利上げを決めた9月会合の「主な意見」を公表しました。結果は「10月30日の会合で続けて利上げする」決め手に欠けるという受け止めで、ドル円は157円台から158円台へ戻りました。では、10月の利上げは本当に遠のいたのか。過去の利上げ9回の記録、短観の数字、主な意見の中身を一次資料から数え直し、判断材料をそろえます。
この記事の結論
- 10月1日の短観と主な意見は、10月に続けて利上げする決め手にはならなかったと受け止められ、ドル円は朝8時台の157.42円から夕方に158.45円まで円安に動きました(Yahoo Finance 1時間足)。報道によると、翌日物金利スワップ(OIS)が示す10月の利上げ確率は約20%に下がりました。
- 1998年の新日銀法施行後、日銀の利上げは今回の1.25%まで9回。そのうち前回会合に続けて利上げした「連続利上げ」は0回です。利上げのあいだにはさんだ据え置きの会合数は7→2→3→6→3→1回と縮んでおり、10月に上げれば初の連続利上げになります。
- 9月短観は、大企業製造業が+24で6期連続の改善(2018年3月調査以来の高さ)、大企業非製造業は+35で5期ぶりの悪化。企業が予想する5年後の物価上昇率は2.5%と、前回の2.6%から下がりました。
- 主な意見の「金融政策運営」17件を筆者が分類すると、ペースを速める方向の意見は4件、慎重に見極める意見が3件、据え置きを求める意見が2件でした。タカ派的な表現はあっても、「10月」を示す材料は見当たりません。
- 10月30日は展望レポートの会合です。過去9回の利上げのうち展望レポート会合で決めたのは2回。2010年以降の10月の展望会合16回では、ドル円が1円以上動いた4回がすべて円安方向でした。
- 利上げするかどうかはまだ決まっていません。判断材料は、10月2日の米雇用統計、14日の米CPI、23日の全国CPI、支店長会議(さくらレポート)、29日未明のFOMC、そして30日に出る展望レポートの物価見通しです。
10月1日に何が起きた?短観と主な意見で「連続利上げ」観測が後退
日銀は10月1日(木)8時50分、9月の全国企業短期経済観測調査(短観)と、9月17・18日の金融政策決定会合の「主な意見」を同時に公表しました。主な意見は、政策委員が会合で述べた意見を本人が要約し、総裁が項目ごとに編集した資料です。次の会合の結論を占う材料として、市場はこの2つを待っていました。
| 時間帯(日本時間) | ドル円 | 出来事 |
|---|---|---|
| 8時台(始値) | 157.42円 | 8時50分に短観と主な意見が同時に公表 |
| 10時台(高値) | 158.22円 | 約1週間ぶりの158円台へ |
| 16〜18時台(高値) | 158.45円 | 欧州時間に入っても円安が続く |
出典:Yahoo Finance(JPY=X)1時間足から筆者作成。FX会社の画面とは小数点以下が異なることがあります。
ロイターは、短観や主な意見を受けて「連続利上げの思惑が後退」したと伝えました。物価見通しがほぼ横ばいで、物価が加速して上がる様子が見えないため、9月に続いて10月も利上げするほどの材料はないという見方です。ブルームバーグによると、OISが示す10月の利上げ確率は、一時30%を超えた前日から約20%に低下しました。一方で、12月までの利上げは完全に織り込まれているとも報じています。
つまり市場が後退させたのは「利上げそのもの」ではなく、「10月にもう一度」というタイミングの見方です。この記事では、その判断が妥当かどうかを、①過去の利上げの間隔、②短観の数字、③主な意見の中身、④10月会合の性格、の4つから確かめます。
9月の利上げそのものと、10月全体の為替見通しは別記事で
1.25%への利上げの中身(反対2票や31年ぶりの水準)は日銀が1.25%へ利上げなのに円安?反対2票と31年ぶり水準の意味で、10月のドル円を過去の10月から検証した内容は2026年10月のドル円見通しで解説しています。この記事は「10月30日の会合で上げるか」の判断材料に絞ります。
日銀の連続利上げは過去0回|新日銀法下の利上げ9回を一覧
「10月に続けて上げるか」を考えるうえで、まず確かめたいのは、日銀がこれまで会合を1回も空けずに利上げを重ねたことがあるかです。日銀が独立性を持った1998年4月の新日銀法施行以降の利上げを、日銀の公表文と決定会合の開催日一覧から拾い出しました。
| 決定日・採決 | 政策金利 | 直前の短観(大企業DI) | 会合の種類 | 前回利上げから | 当日のドル円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2000年8月11日賛成多数 | 0%程度→0.25%前後 | 2000年6月調査製造業 +3(+12) 非製造業 −12(+4) |
通常会合 | — | −0.02円円高方向 |
| 2006年7月14日全員一致 | 0%程度→0.25%前後 | 2006年6月調査製造業 +21(+1) 非製造業 +20(+2) |
通常会合 | 利下げ・緩和期をはさむ | +0.88円円安方向 |
| 2007年2月21日賛成8・反対1 | 0.25%前後→0.5%前後 | 2006年12月調査製造業 +25(+1) 非製造業 +22(+2) |
通常会合 | 222日据え置き7回をはさむ | +0.89円円安方向 |
| 2024年3月19日賛成7・反対2 | −0.1%→0〜0.1%程度 | 2023年12月調査製造業 +12(+3) 非製造業 +30(+3) |
通常会合 | — | +1.60円円安方向 |
| 2024年7月31日賛成7・反対2 | 0〜0.1%程度→0.25%程度 | 2024年6月調査製造業 +13(+2) 非製造業 +33(−1) |
展望会合 | 134日据え置き2回をはさむ | −3.34円円高方向 |
| 2025年1月24日賛成8・反対1 | 0.25%程度→0.5%程度 | 2024年12月調査製造業 +14(+1) 非製造業 +33(−1) |
展望会合 | 177日据え置き3回をはさむ | −0.42円円高方向 |
| 2025年12月19日全員一致 | 0.5%程度→0.75%程度 | 2025年12月調査製造業 +15(+1) 非製造業 +34(±0) |
通常会合 | 329日据え置き6回をはさむ | +1.90円円安方向 |
| 2026年6月16日賛成7・反対1 | 0.75%程度→1.0%程度 | 2026年3月調査製造業 +17 非製造業 +36 |
通常会合 | 179日据え置き3回をはさむ | +0.19円円安方向 |
| 2026年9月18日賛成7・反対2 | 1.0%程度→1.25%程度 | 2026年6月調査製造業 +22(+5) 非製造業 +37(+1) |
通常会合 | 94日据え置き1回をはさむ | +1.02円円安方向 |
| 2026年10月30日?次回会合 | 1.25%程度→? | 2026年9月調査製造業 +24(+2) 非製造業 +35(−2) |
展望会合 | 42日上げれば初の「連続」 | — |
出典:日本銀行「金融市場調節方針に関する公表文」各回、決定会合の開催日一覧、時系列統計データ検索サイト(短観・業況判断DI、大企業)、FRB H.10。短観の( )は前回調査からの変化。2026年3月調査の変化幅は省略。2024年3月はマイナス金利の解除。当日のドル円は、ニューヨーク正午レートの前営業日比(日銀の発表は日本時間の昼なので、この24時間の窓に入ります)。プラスが円安方向です。
「連続利上げ」は一度もない。はさむ会合は7→2→3→6→3→1回
9回の利上げで、直前の会合でも利上げしていた例は0回です。2006〜07年の局面では、2006年7月の利上げの後、7回の会合を据え置いてから2007年2月に0.5%へ上げました。2024年3月に始まった今の局面では、利上げのあいだにはさんだ据え置きの会合数が2回→3回→6回→3回→1回と推移し、9月の利上げは7月会合を1回はさんだだけの94日後でした。
10月30日に上げれば、間隔は42日、はさむ会合はゼロになり、現在の日銀法のもとで初めての連続利上げになります。「前例がない」こと自体は利上げを否定する理由になりませんが、日銀にとってはそれだけ説明のハードルが上がる選択だということは押さえておきたいところです。
展望レポート会合での利上げは9回中2回
年4回の展望レポート会合(1・4・7・10月)は、新しい経済・物価見通しとセットで判断を説明できるため、「動きやすい会合」と言われることがあります。実際に数えると、展望レポートの会合で利上げしたのは2024年7月と2025年1月の2回だけで、直近の3回(2025年12月、2026年6月、9月)はいずれも通常の会合でした。日銀は展望会合かどうかにかかわらず利上げしており、「10月は展望会合だから上げやすい」とまでは言えません。
利上げ当日のドル円は9回中6回が円安方向
利上げをした日のドル円は、9回中6回で円安方向に動いていました。円高になったのは、ゼロ金利解除の2000年8月(−0.02円)、2024年7月(−3.34円)、2025年1月(−0.42円)の3回です。2024年7月は、利上げと同時に長期国債買入れの減額計画も決めた回でした。為替を動かすのは0.25%の上げ幅より「次の利上げの示唆」だという点は、10月の会合を見るときにも役立ちます。
この表の数え方
2006年3月の量的緩和の解除は、操作目標を当座預金残高から金利に戻した変更で、政策金利の引き上げではないため含めていません。1998年3月以前の公定歩合による引き上げも対象外です。2000年8月の利上げは、2001年に利下げと量的緩和に戻ったため、2006年7月の「前回利上げからの間隔」は数えていません。なお2015年以前は、1月と7月の会合で展望レポートの中間評価を行っていました(日本銀行)。表では展望レポート本体を公表した会合だけを「展望会合」としています。
9月短観の数字|製造業は8年半ぶりの高さ、非製造業は5期ぶり悪化
短観は、日銀が全国約9,100社に景況感や物価の見方を聞く調査です。9月調査の回答期間は8月26日〜9月30日で、9月18日の利上げをはさんでいます。業況判断DIは「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた数字です。
| 業況判断DI | 6月調査 | 9月調査 | 先行き(3か月後) |
|---|---|---|---|
| 大企業・製造業 | +22 | +24(+2) | +21(−3) |
| 大企業・非製造業 | +37 | +35(−2) | +30(−5) |
| 中小企業・製造業 | +9 | +14(+5) | +12(−2) |
| 中小企業・非製造業 | +15 | +15(±0) | +10(−5) |
出典:日本銀行「短観(概要)2026年9月」。( )内は変化幅。
製造業は2018年3月以来の高さ、けん引は素材とAI関連
大企業製造業のDIは、2025年3月調査の+12から+13→+14→+15→+17→+22→+24と6回続けて改善しました。日銀の時系列データで+24以上だったのは2018年3月調査(+24)が最後で、約8年半ぶりの高さです。業種別では、石油・石炭製品が+9→+36(+27)、鉄鋼が−6→+6、窯業・土石製品が+11→+22、非鉄金属が+36→+45と、素材業種の改善が目立ちます。電気機械も+29→+33で、主な意見にある「グローバルなAI関連需要」とも重なります。
非製造業は宿泊・飲食が8ポイント悪化、先行きはさらに−5
一方、大企業非製造業は+37→+35と5期ぶりに悪化しました。下げが大きかったのは宿泊・飲食サービス(+46→+38)で、小売(+33→+29)、運輸・郵便(+25→+21)、物品賃貸(+50→+46)、対事業所サービス(+43→+39)も4ポイントずつ下がっています。3か月後の見通しは+30で、製造業(+21)とあわせ、企業は先行きの悪化を見込んでいます。
物価見通しは横ばい〜わずかに低下
9月18日の公表文は、物価が2%を超えて上振れていくリスクの理由に「企業の賃金・価格設定行動の積極化や中長期的な予想物価上昇率の上昇」を挙げました。その予想物価上昇率にあたる短観の「企業の物価見通し」(全規模・全産業、物価全般の前年比)は次のとおりです。いずれも2%を上回っていますが、上向いてはいません。
| 何年後の物価 | 6月調査 | 9月調査 |
|---|---|---|
| 1年後 | 2.7% | 2.6%(−0.1) |
| 3年後 | 2.6% | 2.6%(±0.0) |
| 5年後 | 2.6% | 2.5%(−0.1) |
販売価格判断DI(「上昇」−「下落」)も、大企業製造業は40で横ばい、大企業非製造業は40→38とわずかに下がりました。仕入価格判断DIは大企業製造業が62→59です。物価の上振れが加速している証拠は、9月短観からは読み取りにくいというのが、市場が「10月は決め手に欠ける」と受け止めた理由です。
過去の利上げ直前と比べると「弱い短観」ではない
ただし、上の利上げ一覧と並べると見え方が変わります。今回の大企業製造業+24は、過去9回の利上げ直前の短観(+3〜+25)と比べて2番目の高さ、非製造業+35も3番目の高さです。さらに、直前の短観で大企業非製造業が前回より悪化していたのに利上げした例が2回(2024年7月と2025年1月、いずれも−1)あります。「非製造業が悪化したから利上げは見送り」と単純には言えません。
為替の前提もポイントです。企業が2026年度の事業計画で想定しているドル円は154.23円(6月調査は152.57円)で、10月1日の158円台はそれより約4円円安です。輸出企業の収益には追い風ですが、輸入物価を通じた物価の上振れは、日銀が9月の公表文で挙げたリスクの一つでもあります。
主な意見を数える|ペースを速める意見は17件中4件
9月会合の主な意見のうち、「金融政策運営に関する意見」は17件ありました。これを筆者が内容で6つに分けたのが次の表です(1件を1つの分類に入れています。分類は筆者の判断です)。
| 分類 | 件数 | 主な表現(原文から短く引用) |
|---|---|---|
| ペースを速める方向 | 4件 | 「物価上振れの兆候がみえれば、そのペースを速めざるを得ない」「政策金利を早めにおおよそのゴールに近づけて」「過度に慎重になることなく」「物価上振れを防ぐ意志を市場に示し」 |
| 慎重に見極める | 3件 | 「慌てる必要はない」「利上げごとに…緩和度合いを見極める必要」「織り込みが一方向に進まないよう、丁寧に」 |
| 据え置きを主張 | 2件 | 「据え置くことが望ましい」「このタイミングでの利上げは適切ではない」(反対した2委員の意見と同じ趣旨) |
| 今回の利上げの理由 | 3件 | 「政策金利を引き上げ…調整することが適切」「利上げが適当」「想定より経済が底堅かったため」 |
| 今後も利上げ継続(ペースには触れず) | 4件 | 「引き続き政策金利を引き上げ」「政策の局面が変化した」「影響は限定的との声が大半」「金融環境は依然緩和的」 |
| 説明・コミュニケーション | 1件 | 「わが国の経済・物価・金融情勢を踏まえたものである点、明確に説明する必要」 |
出典:日本銀行「金融政策決定会合における主な意見(2026年9月17、18日開催分)」のⅡ(政府出席者の意見は除く)。
タカ派は増えたが、「10月」を示す言葉はない
ペースを速める方向の意見が4件あり、「早めにおおよそのゴールに近づけて」と、利上げを急ぐ考えをはっきり書いた委員もいます。ブルームバーグの報道で外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏が「タカ派的な意見が多かったが、連続利上げ期待を強めるほどではなかった」と指摘したように、全体の温度感は高めです。
ただ、加速を示す4件のうち1件は「物価上振れの兆候がみえれば」という条件付きです。反対に、「ビハインド・ザ・カーブに陥るような加速感はなく、慌てる必要はない」という意見や、市場の織り込みが一方向に進まないよう丁寧に伝えるべきだという意見もあります。さらに9月の利上げが3か月で来た理由は「想定より経済が底堅かったため」と説明されており、間隔の短縮をペースの変更とは位置づけていません。
公表文(9月18日)も、今後について「調整のタイミングやペースについては、中東情勢やAI関連需要の拡大、為替相場の変動の影響を含め、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していく方針」と書くにとどめ、次の時期は示していません。
政府側は「累積的な影響の点検」を求めた
主な意見には政府出席者の発言も載ります。内閣府は、既往の利上げが累積的に与える影響について「十分点検していただきたい」と述べ、日銀が推計した中立金利も踏まえて検討する必要があるとしました。財務省も、今回の変更が経済・物価に与える影響を「丁寧に点検」するよう求めています。ロイターは、ソニーフィナンシャルグループの石川久美子氏の「内閣府出席者から利上げペースを速めないようけん制する発言があった」という見方を伝えました。
物価上振れの兆候がみえれば、そのペースを速めざるを得ない。――9月会合の主な意見から(日本銀行、10月1日公表)
10月の利上げを考えるうえでは、この「兆候」が10月までに見えるかどうかが焦点になります。次の章で見る展望レポートの物価見通しが、それを測る最初のものさしです。
10月30日は展望レポート会合|物価見通しとドル円の反応
10月29・30日の会合では、2028年度までの経済・物価見通しを示す「展望レポート」が公表されます。基本的見解は会合終了後すぐに公表され、総裁の記者会見もあります。利上げの有無に加えて、物価見通しがどう修正されるかが、次の利上げの時期を読むいちばんの材料になります。
7月の展望レポートは「2026年度後半以降に2%をはっきり上回る」
| 年度 | 消費者物価(除く生鮮食品) | 除く生鮮食品・エネルギー |
|---|---|---|
| 2026年度 | +2.5(4月時点 +2.8) | +2.5(4月時点 +2.6) |
| 2027年度 | +2.4(4月時点 +2.3) | +2.6(4月時点 +2.6) |
| 2028年度 | +2.0(4月時点 +2.0) | +2.2(4月時点 +2.2) |
出典:日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年7月)基本的見解」政策委員の大勢見通し(中央値、前年度比%)。
7月時点で日銀は、エネルギー負担の緩和策などで2026年度の物価が下押しされる一方、原油高や円安の影響で2026年度後半以降は2%をはっきり上回る水準まで伸び率を高めると見ていました。足元の全国消費者物価(8月分、総務省)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比1.7%、生鮮食品とエネルギーを除く総合が1.9%で、まだ2%を下回っています。10月の展望レポートで2027年度以降の見通しが上方修正されれば利上げの説明材料になり、据え置きや下方修正なら12月以降に持ち越す理由になります。
10月の展望会合の日、ドル円は16回中4回で1円以上動いた
2010年以降の10月の展望レポート会合(16回)で、ドル円がどう動いたかをFRBのH.10(ニューヨーク正午レート)で調べました。前営業日からの変化の絶対値の平均は0.89円で、2010年以降の全営業日の平均(0.48円)の約1.9倍です。1円以上動いたのは2014年(量的・質的緩和の拡大、+3.15円)、2022年(緩和維持、+1.66円)、2023年(YCC再柔軟化、+2.45円)、2025年(0.5%で据え置き、+2.26円)の4回で、すべて円安方向でした。
大きく動いた4回は、いずれも日銀が利上げをしなかった会合(追加緩和、緩和維持、長短金利操作の再柔軟化、据え置き)でした。ただし2025年は、同じ時間枠にFOMCの結果発表も入っています。2026年は、FOMCの結果発表が日本時間10月29日3時で、日銀の発表より1日以上前になるため、2025年のように同じ窓に重なることはありません。据え置きでも、利上げでも、次の示唆が弱いと受け止められれば円安に振れやすいという過去のパターンは、10月30日にも意識されそうです。
日銀の会合日は値動きに注意
日銀の発表は日本時間の昼ごろで、FX会社によってはスプレッド(売値と買値の差)が広がることがあります。会合の前後はポジションを小さめにし、証拠金維持率に余裕を持たせておくと安心です。どの指標でドル円が大きく動きやすいかはFOMC・雇用統計・日銀の値動き比較で実測しています。
10月会合までの判断材料|日程と見るポイント
10月30日までに出る主な材料を日付順に並べました。日付は日本銀行、FRB、総務省統計局、米労働省の公表予定で確認したものです(時刻は日本時間)。
- 10/2(金)21:30米9月雇用統計米労働省(BLS)の公表予定。米国の利上げ観測が強まればドル高・円安方向の材料です。
- 10月上旬〜中旬日銀 支店長会議・さくらレポート全国の支店から賃上げや価格設定の様子が報告されます。日程は日銀の公表を確認(2024年は10月7日、2025年は10月6日)。
- 10/14(水)21:30米9月消費者物価指数(CPI)米国の物価が強いと、FRBの追加利上げ観測につながります。
- 10/23(金)全国消費者物価(9月分)8月分は生鮮食品を除く総合が1.7%。2%にどこまで近づくかを確認します。
- 10/29(木)3:00FOMCの結果発表10月27・28日開催。FRBは9月に利上げし、年内もう1回を支持する姿勢と報じられています。
- 10/30(金)朝東京都区部の消費者物価(10月分)会合の結論が出る当日の朝に公表されます。
- 10/30(金)昼ごろ日銀の決定・展望レポート(基本的見解)政策金利と、2028年度までの物価見通しを公表。午後に総裁会見。
- 11/10(火)10月会合の主な意見ここで12月会合への示唆を確認します。
市場の織り込みの変化は、ブルームバーグなどが報じるOISの利上げ確率で追うことができます。10月1日時点の約20%が、展望レポートの発表前にどこまで上がるか(または下がるか)が、日銀が「市場との対話」で何を示したかの目安になります。
10月利上げはあるか|3つのシナリオと条件
ここまでの材料から、10月30日の結論を3つのシナリオに分けて、それぞれが起こりやすくなる条件を整理します。どれになるかを断定するものではありません。
| シナリオ | 起こりやすくなる条件 | ドル円で意識されやすい動き |
|---|---|---|
| A:10月に連続利上げ(1.5%程度へ) | 展望レポートで2027年度以降の物価見通しを上方修正/支店長会議で賃上げ・値上げの強さを確認/円安が一段と進み輸入物価の上振れが目立つ/米指標が堅調 | 利上げと同時に「次」の示唆が強ければ円高方向。過去の利上げ当日は9回中6回が円安方向で、示唆が弱ければ円安もあり得る |
| B:10月は据え置き、12月に利上げ | 物価見通しは小幅修正にとどまる/非製造業の悪化が一時的と確認される/主な意見どおり「兆候」を待つ | 10月1日時点の市場の中心シナリオ。据え置き自体は織り込み済みでも、会見のトーンで円安・円高どちらにも振れる |
| C:据え置きが12月以降も続く | 非製造業の悪化が広がる/中東情勢や原油高で需要が下振れ/米景気の減速で世界的に利上げ局面が終わる | 日米金利差が縮まらず円安圧力が残る一方、米国の利下げ観測が強まれば円高方向にも動き得る |
判断のカギは2つです。1つは、主な意見にあった「物価上振れの兆候」が10月の展望レポートで数字になるかどうか。もう1つは、日銀が前例のない連続利上げをしてまで急ぐ理由があるかどうかです。過去9回の利上げはいずれも少なくとも1回の会合を空けており、10月に上げるなら、それを上回る強い材料が必要になります。
158円台では介入への警戒も
ロイターは10月1日、200日移動平均線がある158.50円付近で口先介入が入る可能性を指摘する声を伝えました。日銀の判断とは別に、財務省の動きでもドル円は大きく動きます。過去の介入については10月のドル円見通しでもまとめています。
日銀の10月利上げについてよくある質問
Q. 日銀は10月に利上げしますか?
A. まだ決まっていません。10月29・30日の会合で決まります。10月1日公表の短観と主な意見は10月の利上げの決め手に欠けると受け止められ、報道によるとOISが示す10月の利上げ確率は約20%に下がりました。一方、12月までの利上げは完全に織り込まれていると報じられています。
Q. 日銀が会合を空けずに続けて利上げしたことはありますか?
A. 1998年の新日銀法施行後の利上げ9回では、0回です。利上げのあいだにはさんだ据え置きの会合数は、2006〜07年が7回、2024年以降は2回・3回・6回・3回・1回でした。10月に利上げすれば初めての連続利上げになります。
Q. 10月の日銀会合の結果はいつ発表されますか?
A. 会合は10月29日(木)と30日(金)で、30日の会合終了後に金融市場調節方針と展望レポートの基本的見解が公表されます。終了時刻は決まっておらず、昼ごろになることが多いです。その後、総裁の記者会見があり、会合の主な意見は11月10日に公表されます。
Q. 短観で非製造業が悪化したら利上げは見送りですか?
A. そうとは限りません。2024年7月と2025年1月の利上げでは、直前の短観で大企業非製造業のDIが前回より1ポイント悪化していました。9月短観の大企業非製造業+35は、過去9回の利上げ直前の短観と比べて3番目の高さです。
Q. 日銀が利上げすると円高になりますか?
A. 必ずしもそうなりません。新日銀法下の利上げ9回のうち、当日のドル円(ニューヨーク正午レートの前営業日比)は6回が円安方向でした。為替は利上げそのものより、次の利上げの示唆や米国の金利の動きに反応しやすい傾向があります。
Q. 「主な意見」とは何ですか?
A. 金融政策決定会合で各政策委員と政府出席者が述べた意見を、発言者自身が一定の文字数以内に要約し、議長の総裁が項目ごとに編集した資料です。会合からおよそ1〜2週間後の8時50分に公表され、誰の発言かは書かれていません。
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出典・参考資料
- 日本銀行:短観(概要)2026年9月/短観(要旨)2026年9月調査(2026年10月1日)
- 日本銀行:金融政策決定会合における主な意見(2026年9月17、18日開催分)(2026年10月1日)
- 日本銀行:金融市場調節方針の変更について(2026年9月18日)/同(2026年6月16日)/同(2025年12月19日)/同(2025年1月24日)/同(2024年7月31日)/金融政策の枠組みの見直しについて(2024年3月19日)
- 日本銀行:金融市場調節方針の変更について(2000年8月11日)/同(2006年7月14日)/同(2007年2月21日)
- 日本銀行:金融政策決定会合の運営(2026・2027年の開催日)/過去の金融政策決定会合の開催日等
- 日本銀行:経済・物価情勢の展望(2026年7月)基本的見解/地域経済報告(さくらレポート)
- 日本銀行:時系列統計データ検索サイト(短観 業況判断DI 大企業製造業・非製造業の時系列)
- FRB:H.10 Historical Rates for the Japanese Yen(ニューヨーク正午レート)/Meeting calendars and information
- Yahoo Finance:USD/JPY (JPY=X)(1時間足、10月1日)
- 総務省統計局:消費者物価指数 全国(最新の月次結果の概要)(2026年8月分、公表予定)
- ブルームバーグ(Yahoo!ファイナンス):日銀「主な意見」で円下落、10月利上げの示唆乏しい-短観も決め手欠く(2026年10月1日)
- ロイター(Yahoo!ニュース):午前のドルは158円前半へ上昇、短観や主な意見で連続利上げ観測後退(2026年10月1日)
利上げ一覧は、日本銀行の公表文と決定会合の開催日一覧から筆者が集計しました。主な意見の分類は筆者の判断によるもので、日本銀行の見解ではありません。為替の数字はFRB H.10(ニューヨーク正午レート)とYahoo Financeの1時間足で、取引会社のレートとは異なります。米雇用統計・CPIの日程は米労働省(BLS)の公表予定によります。この記事は情報提供を目的としたもので、特定の通貨の売買を勧めるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。アイキャッチ背景:Suicasmo「Bank of Japan 20190223.jpg」(Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)をトリミング・明るさ調整・文字入れ。
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