2026年9月20日〜26日|動物の愛護及び管理に関する法律 第4条
今年の動物愛護週間は、環境省がテーマに「動物愛護週間100年」を掲げた節目の週です。あわせて公表されている国の統計を開くと、犬と猫の殺処分数は6,830頭。ただしこの数字には、同じ統計の別表にある4,189頭が入っていません。
毎年9月20日から26日は動物愛護週間です。「なんとなく聞いたことはあるけれど、いつ誰が決めたのかは知らない」という人が多い週間ですが、これは慣習でもキャンペーンでもなく、法律で定められた期間です。そして2026年(令和8年度)は、環境省が中央行事のテーマに「動物愛護週間100年」を掲げた節目の年にあたります。
この記事では、まず条文で「いつ・なぜ」を確認したうえで、環境省が公表している最新の統計(令和6年度)を実際に開いて数え直しました。殺処分6,830頭という数字の中身、報道ではほとんど触れられない負傷動物4,189頭の存在、そして129自治体を1件ずつ集計した結果までまとめます。
この記事の結論
- 動物愛護週間は動物愛護管理法 第4条第2項で「九月二十日から同月二十六日まで」と定められています。年によって日付は動きません。
- 起点は1927年(昭和2年)、新渡戸稲造夫妻らが設立した日本人道会が始めた愛護週間。環境省は令和8年度のテーマを「動物愛護週間100年」としています。
- 令和6年度の犬猫の殺処分数は6,830頭。20年前(平成16年度)の394,799頭から98.3%減りました。
- ただし6,830頭には負傷動物が含まれません。同じ統計の別表にある4,189頭を足すと11,019頭になります。
- 殺処分6,830頭のうち2,092頭(30.6%)は「保管中の死亡」。統計上は殺処分に計上されますが、意味は違います。
- 129自治体のうち殺処分ゼロは5自治体だけ。最多の青森県は439頭で、鳥取県(2頭)の約220倍です。
1. 動物愛護週間は法律で9月20日〜26日と決まっている
動物愛護週間の根拠は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)第4条です。条文はきわめて短く、次のように書かれています。
祝日のように「第3月曜」といった動く決め方ではなく日付固定なので、2026年も2027年も9月20日〜26日です。2026年は9月20日が日曜日、最終日の26日が土曜日にあたります。
なぜ9月20日なのか、そして「100年」の意味
もともとの動物愛護週間は9月ではありませんでした。環境省が中央環境審議会に提出した年表資料によると、1927年(昭和2年)に日本人道会が動物愛護週間を定め、5月28日から始めたのが最初です。日本人道会は1915年に新渡戸稲造夫妻らが設立した団体でした。
その後、現在の動物愛護管理法の前身である「動物の保護及び管理に関する法律」(1973年制定)によって9月20日〜26日に移り、1975年には関係省庁による動物愛護週間実施要綱が定められています。1927年を起点に数えると2026年が100年目にあたり、環境省は令和8年度のテーマを「動物愛護週間100年 〜人と動物との適正なかかわり方について〜」としました。
令和8年度(2026年)の動物愛護週間 中央行事
- どうぶつ愛護フェスティバル①/2026年9月19日(土)13:00〜16:00・東京国立博物館 平成館。動物愛護表彰式(ポスターデザイン絵画コンクール、日本動物児童文学賞、標語コンクール、全国ペット写真コンテストほか)とシンポジウム「これからの『人と動物との共生社会』とは」。
- どうぶつ愛護フェスティバル②/2026年11月14日(土)10:00〜16:00・上野恩賜公園(不忍池周辺)。入賞作品の展示、東京都動物愛護相談センターの紹介、スタンプラリーなど。
- 中央行事は環境省・東京都・台東区と関係団体が1977年(昭和52年)から続けているもので、こちらも約50年の歴史があります。
- あわせて全国の都道府県・政令指定都市・中核市が地方行事を実施します。譲渡会や動物愛護センターの一般公開が多く、開催日は各自治体の発表で確認できます。
2. 殺処分6,830頭——20年で98.3%減った
動物愛護週間にあわせて必ず話題になるのが、犬と猫の殺処分数です。環境省が公表している「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」の最新版は令和6年度(2024年4月1日〜2025年3月31日)で、数字は次のとおりでした。
| 区分 | 引取り数 | 返還数 | 譲渡数 | 殺処分数 |
|---|---|---|---|---|
| 犬 | 17,399 | 6,630 | 8,797 | 1,964 |
| 猫 | 22,010 | 225 | 16,854 | 4,866 |
| 合計 | 39,409 | 6,855 | 25,651 | 6,830 |
引取り数に対する割合にすると、返還17.4%・譲渡65.1%・殺処分17.3%です。引き取られた犬猫の8割以上が飼い主のもとに戻るか、新しい家庭に迎えられている計算になります。
推移で見ると、減り方の急さがよくわかります。
| 年度 | 引取り数 | 返還・譲渡数 | 殺処分数 |
|---|---|---|---|
| 平成16年度(2004) | 418,413 | 29,323 | 394,799 |
| 平成21年度(2009) | 271,592 | 43,565 | 229,832 |
| 平成26年度(2014) | 151,095 | 50,217 | 101,338 |
| 令和元年度(2019) | 85,903 | 53,062 | 32,742 |
| 令和3年度(2021) | 58,907 | 44,630 | 14,457 |
| 令和5年度(2023) | 44,576 | 35,764 | 9,017 |
| 令和6年度(2024) | 39,409 | 32,506 | 6,830 |
数字を押し下げたのは主に2つです。ひとつは引取り数そのものの激減(飼い主からの安易な持ち込みを自治体が拒否できるようになったこと、屋内飼育や不妊去勢の普及)、もうひとつは譲渡の増加です。平成16年度の返還・譲渡は29,323頭でしたが、令和6年度は32,506頭。引取りが10分の1になってなお、譲渡される数は増えています。
3. 報道されない4,189頭——「負傷動物」は別表にある
ここからが、統計を実際に開かないと気づきにくいところです。「令和6年度の犬猫の殺処分は6,830頭」と紹介されるとき、その数字は引取り分の表だけを指しています。環境省の同じページには、もうひとつ負傷動物の表があります。
| 区分 | 収容数 | 返還数 | 譲渡数 | 殺処分数 |
|---|---|---|---|---|
| 犬(負傷) | 503 | 158 | 227 | 129 |
| 猫(負傷) | 7,394 | 264 | 2,872 | 4,060 |
| 合計 | 7,897 | 422 | 3,099 | 4,189 |
2つの表を足すと11,019頭。交通事故などで負傷した状態で収容された犬猫は、引取りの表ではなく負傷動物の表に計上されます。つまり「6,830頭」は減少を語るうえで正しい数字ですが、自治体の窓口で命を終える犬猫の総数としては、負傷動物4,189頭を足した11,019頭のほうが実態に近くなります。負傷動物の収容7,897頭のうち93.6%にあたる7,394頭が猫で、その半数以上が助からずに終わっているのが現状です。
4. 6,830頭の中身——3割は「保管中の死亡」
もうひとつ、統計の注記を読まないと誤解しやすいのが「殺処分」という言葉の範囲です。環境省は令和元年度から、殺処分数を①〜③の3分類で集計しています。
| 分類 | 内容 | 犬 | 猫 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| ① | 譲渡することが適切でないもの(治癒の見込みがない病気や攻撃性など) | 1,459 | 2,387 | 3,846 |
| ② | ①以外で、引取り手がいないもの | 112 | 780 | 892 |
| ③ | 収容中の死亡(幼齢個体などの病気等による自然死を含む) | 393 | 1,699 | 2,092 |
| 合計 | — | 1,964 | 4,866 | 6,830 |
③の2,092頭は、人の手で処分されたのではなく収容中に亡くなった個体です。全体の30.6%を占めます。逆に、いわゆる「引き取り手がいないから」という理由(②)は892頭・13.1%にとどまります。
そして、殺処分6,830頭のうち2,950頭(43.2%)が幼齢個体、つまり離乳前の子犬・子猫です。猫だけで見ると4,866頭中2,579頭が幼齢で、猫の殺処分の53.0%が離乳前の子猫という計算になります。「殺処分を減らす」という課題の相当部分が、実際には生まれてしまう前に止める(不妊去勢)と生後まもない子猫を育てきる(ミルクボランティア)の問題であることが、この数字から読み取れます。
犬と猫でまったく違う「返還」の数字
- 犬は引取り17,399頭に対して返還6,630頭(38.1%)。迷子になっても4割近くが飼い主のもとへ戻ります。
- 猫は引取り22,010頭に対して返還225頭(1.0%)。100頭に1頭しか戻りません。
- 背景には、犬は狂犬病予防法で登録と鑑札の装着が義務づけられていること、屋外で保護されたときに飼い主を特定しやすいことがあります。
- 2022年6月からは販売される犬猫へのマイクロチップ装着が義務化されました(すでに飼っている人は努力義務)。猫の返還率がこれから動くかどうかは、今後の統計の見どころです。
5. 129自治体を数えた——殺処分ゼロは5自治体だけ
全国の合計だけでは見えないものがあるので、環境省が公表している都道府県・指定都市・中核市別のPDFを開き、129自治体すべての数字を1件ずつ集計しました(合計は公表値の39,409頭・6,830頭と一致します)。
| 順位 | 自治体 | 殺処分数 | 引取り数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 青森県 | 439 | 682 |
| 2 | 岐阜県 | 413 | 1,291 |
| 3 | 愛媛県 | 361 | 587 |
| 4 | 兵庫県 | 338 | 623 |
| 5 | 徳島県 | 309 | 643 |
| 6 | 長崎県 | 275 | 692 |
| 7 | 福島県 | 246 | 833 |
| 8 | 秋田県 | 217 | 494 |
| 9 | 香川県 | 188 | 841 |
| 10 | 栃木県 | 169 | 614 |
逆に都道府県のなかで少なかったのは鳥取県2頭、静岡県8頭、石川県9頭、富山県11頭、島根県12頭、神奈川県17頭、北海道21頭、京都府21頭でした。最多の青森県439頭と鳥取県2頭では約220倍の開きがあります。
この差をそのまま「自治体の熱意の差」と読むのは乱暴です。飼い主のいない猫がどれだけいるか、収容施設の規模、受け皿になる保護団体やボランティアの層の厚さが地域でまったく違うためです。とはいえ、自分の住む自治体の数字を知っておくことは、寄付先や譲渡会を選ぶときの手がかりになります。
6. 動物愛護週間に個人ができること
「100年目」と言われても、個人にできることは地味なものばかりです。ただ、上で見た数字の内訳をふまえると、効きどころははっきりしています。
- その1不妊去勢手術を先送りしない殺処分の43.2%、猫に限れば53.0%が離乳前の幼齢個体です。生まれる数が減ることが、いちばん直接的に効きます。多くの自治体に助成制度があります。
- その2迷子対策を「戻れる状態」にしておく猫の返還率は1.0%です。マイクロチップの装着と、環境省データベースへの登録内容(住所・電話番号)の更新を確認しておきましょう。引っ越しても登録を直していなければ連絡は来ません。
- その3地方行事に足を運ぶ9月20日〜26日には全国の自治体が譲渡会やセンターの一般公開を行います。迎える予定がなくても、施設を一度見ておくと数字の意味が変わります。
- その4ミルクボランティアという選択肢を知る離乳前の子猫は数時間おきの授乳が必要で、職員だけでは手が回りません。自治体によっては一般家庭に子猫を預ける制度があり、③(収容中の死亡)を減らす直接の手段になっています。
- その5終生飼養を前提に迎える動物愛護管理法第7条は、飼い主に「その動物がその命を終えるまで適切に飼養する」努力義務を課しています。寿命が延びた今、犬猫を迎えることは15〜20年の約束になりました。
7. 公式アカウントの発信で見る動物愛護週間2026
環境省は9月14日に、今年のテーマと中央行事の日程を告知しています。ここまで見てきた「動物愛護週間100年」と9月19日のシンポジウムは、この投稿で案内されているものです。あわせて、地方行事がどんな形で行われているかがわかる例として、沖縄こどもの国の企画も挙げておきます。
環境省 @Kankyo_Jpn【🐶9/20~26は #動物愛護週間🐱】
今年の「どうぶつ愛護フェスティバル」のテーマは「動物愛護週間100年~人と動物との適正なかかわり方について~」です。
9/19(土)13時~、東京国立博物館で、人と動物との共生の未来などを考えるシンポジウムなどを開催します✨
詳細は👇Xで元の投稿を見る
沖縄こどもの国 Okinawa Zoo & Museum(公式) @OkinawaZoo\動物選抜総選挙スタート!/
沖縄こどもの国では、動物愛護週間にあわせて 13種の動物たちが立候補!
園内ポスターの QRコードから投票できます。
あなたの“推し動物”に、ぜひ一票を。〇投票期間 9/5(土)〜9/23(水・祝)
Xで元の投稿を見る
〇ポスター掲示場所
8. よくある質問
Q. 動物愛護週間は毎年同じ日ですか?
A. 同じです。動物愛護管理法第4条第2項が「九月二十日から同月二十六日まで」と日付で定めているため、曜日に関係なく毎年9月20日〜26日になります。
Q. 2026年の動物愛護週間のテーマは何ですか?
A. 環境省の中央行事における令和8年度テーマは「動物愛護週間100年 〜人と動物との適正なかかわり方について〜」です。1927年に日本人道会が始めた愛護週間から数えた節目にあたります。
Q. 犬猫の殺処分は今どれくらいですか?
A. 令和6年度(2024年度)で6,830頭です。20年前の394,799頭から98.3%減りました。ただしこの数字には負傷動物として収容された分(4,189頭)が含まれておらず、両方を足すと11,019頭になります。
Q. 「殺処分」には自然死も含まれるのですか?
A. 含まれます。環境省の分類③「収容中の死亡」は令和6年度で2,092頭あり、全体の30.6%を占めます。幼齢個体が保管中に病気などで亡くなったケースが中心です。
Q. 殺処分ゼロの自治体はどこですか?
A. 令和6年度に殺処分数が0だったのは、八王子市・富山市・甲府市・松本市・那覇市の5自治体です(都道府県・指定都市・中核市の129自治体を集計)。
Q. なぜ猫のほうが犬より殺処分が多いのですか?
A. 飼い主のいない猫が繁殖して生まれた子猫が大量に収容されるためです。猫の殺処分4,866頭のうち2,579頭(53.0%)が離乳前の幼齢個体でした。犬は狂犬病予防法の登録制度があり、返還率も38.1%と高くなっています。
Q. 動物愛護週間に参加できる行事はありますか?
A. 2026年は9月19日(土)に東京国立博物館で中央行事「どうぶつ愛護フェスティバル①」、11月14日(土)に上野恩賜公園で②が行われます。あわせて全国の都道府県・政令市・中核市が地方行事を実施しており、計画は環境省のサイトに掲載されています。
この記事の数字について
本文の統計はすべて環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(動物愛護管理行政事務提要より作成)の令和6年度版によります。自治体別の集計は同ページで公開されている都道府県・指定都市・中核市別PDF(129自治体)を当ブログで集計したもので、合計値は公表値と一致しています。「殺処分数」には収容中の病気等による死亡が含まれる点にご注意ください。
あわせて読みたい
あわせて読みたい
動物の雑学・生態まとめ60選|犬猫の飼い方から珍獣まで一気読み

コメント