ニュース|スポーツ
浅野翔吾はなぜ自由契約?巨人が育成契約打診か、ドラ1の前例17人
巨人は2026年10月25日、2022年ドラフト1位の浅野翔吾外野手(21)に自由契約を通知したと発表しました。日刊スポーツは、球団が育成契約を打診するとみられると伝えています。支配下の選手を育成に切り替えるとき、なぜいったん「自由契約」になるのか。育成選手の規約と、NPB公示11年分から数えた「ドラフト1位から育成になった前例」で整理します。
この記事の結論
- 巨人が10月25日に発表したのは「自由契約の通知」まで。育成契約の打診は日刊スポーツの「見られる」という報道段階で、10月25日時点で球団の正式発表は確認できません。
- 育成選手の規約では、支配下選手を育成に移すときは、先に野球協約58条の自由契約の手続きをとる決まりです。「自由契約」は、育成で再契約するための手順でもあります。
- NPB公示を選手IDで追うと、2015〜2025年に保留されず、翌年に同じ球団で育成選手になったドラフト1位は17人。うち8人が後に支配下へ戻りました。巨人では2019年1位の堀田賢慎投手が、育成を経て2022年に支配下へ復帰しています。
- 浅野は4年間で一軍102試合・7本塁打。4年目の今季は9試合にとどまり、8月に右ひざ内側半月板縫合術を受けてリハビリ中と報じられています。

巨人が浅野翔吾に自由契約を通知:何が発表された?
日刊スポーツ(10月25日13時43分配信)によると、巨人は25日、支配下選手の湯浅大内野手(26)に来季の選手契約を結ばないことを通知したと発表しました。あわせて、北浦竜次投手(26)、鈴木大和外野手(27)、知念大成外野手(26)、三塚琉生外野手(22)、浅野翔吾外野手(21)、宇都宮葵星内野手(22)の6選手に自由契約とすることを通知したと発表しています。
同じ日刊スポーツの14時50分配信の記事は、浅野について「球団は育成契約を打診すると見られる」と伝えました。つまり、自由契約の通知は球団の発表、育成契約の打診は報道の見立てという段階です。10月25日時点で、巨人公式サイトのニュース一覧にこの件の掲載は見当たりませんでした。
「戦力外」と「自由契約」は書き分けられている
日刊スポーツの記事では、湯浅選手は「来季の選手契約を結ばない」、浅野選手ら6人は「自由契約とすることを通知」と、表現が分けられています。浅野については、日刊スポーツが育成契約の打診が見込まれると伝えています。ほかの5人を含め、来季の契約の正式な内容は今後の球団発表を待つ必要があります。
浅野翔吾のプロフィール
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 生年月日 | 2004年11月24日(21歳) | NPB |
| 出身・投打 | 高松商/右投右打の外野手 | NPB |
| ドラフト | 2022年10月20日のドラフト1位。阪神と重複し、抽選で巨人が交渉権を獲得 | NPBドラフト選択選手一覧 |
| 今季の状況 | 4年目。8月に右ひざ内側半月板縫合術を受け、リハビリ中 | 日刊スポーツ(10月25日) |
日刊スポーツによると、浅野は24日、10月23日に就任が発表された松井秀喜新監督について「昔から見ていた人なので、その方の下で野球ができるというのはうれしいこと。いろいろ質問したい」と話していました。
浅野翔吾の一軍成績は?4年間の年度別データ
NPBの個人成績ページで、浅野の一軍成績を確認しました。1年目の2023年に24試合で1本塁打、2024年は自己最多の40試合に出場し35安打・3本塁打・18打点を記録しています。2025年は29試合、4年目の2026年はプロ入り後最少の9試合・打率.185でした。
| 年度 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 24 | 40 | 10 | 1 | 2 | .250 |
| 2024年 | 40 | 146 | 35 | 3 | 18 | .240 |
| 2025年 | 29 | 75 | 14 | 2 | 8 | .187 |
| 2026年 | 9 | 27 | 5 | 1 | 1 | .185 |
| 通算 | 102 | 288 | 64 | 7 | 29 | .222 |
出典:NPB 浅野翔吾 個人年度別成績(2026年10月25日取得)。今季(2026年)は黄色。
4年間の通算は102試合・64安打・7本塁打・打率.222です。高卒1年目から一軍で本塁打を打ったことは、日刊スポーツも「期待を集めた」と紹介しています。今季は8月の右ひざの手術で、シーズン終盤をリハビリに充てる形になりました。
なぜ「自由契約」なのか:育成選手規約のしくみ
支配下選手を育成選手に切り替えるときの手順は、「日本プロ野球育成選手に関する規約」に書かれています。日本プロ野球選手会が公開している2014年度版の条文から、今回に関係する部分を抜き出しました。
| 条文 | 決まっていること | 今回への当てはめ |
|---|---|---|
| 第9条2項 | 支配下選手を育成選手に移すときは、野球協約第58条(自由契約選手)の手続をとった後でなければならない | 育成で再契約するには、まず自由契約になる必要がある |
| 第9条2項(なお書き) | 参稼期間中に支配下を解除した球団は、その年度中にその選手と育成契約を結べない | シーズン中の切り替えではなく、オフの手続きになる |
| 第10条3項 | 支配下から自由契約を経て育成になった選手は、翌年度に支配下で契約されなければ自由契約選手となることができる | 新人の育成選手の「3年」とは別に、1年ごとに区切りが来る |
| 第8条4項 | 育成選手のユニフォームの背番号は3桁 | 育成で再契約すれば、背番号は3桁になる |
| 第8条2項 | 二軍の公式戦に出られる育成選手は1球団1試合5人まで | 一軍の公式戦には、支配下に戻らないと出られない |
| 第7条2項 | 育成選手の最低参稼報酬は年額230万円(2014年度版) | 現行の金額はこの資料では確認できない |
出典:日本プロ野球育成選手に関する規約(2014年度版・日本プロ野球選手会掲載)。選手会が掲載している2011年作成の版では最低参稼報酬は240万円で、版によって金額が異なります。現行版の条文とは違う可能性があります。
支配下に戻れる期限は7月31日
NPBは毎年7月31日に「選手契約、譲渡可能期間終了のお知らせ」を出しています。2026年のお知らせでは、野球協約第64条の新規選手契約可能期間が7月31日で終わったと案内しています。育成選手が同じシーズン中に支配下選手として契約できるのも、この日までと読み取れます。
同じお知らせによると、7月31日時点の巨人は支配下70人・育成35人でした。支配下は野球協約の上限である70人ちょうどで、育成35人はセ・リーグ6球団の育成選手の合計87人の4割にあたります。支配下の枠を空けながら、手術明けの選手を育成で抱える、という使い方は、こうした枠の事情とも関係しているとみられます。
ドラフト1位から育成契約になった選手は?NPB公示11年分で独自集計
NPBは毎年12月上旬に、翌年の契約保留者名簿に載らなかった「保留されない選手」を公示しています。2015〜2025年の公示に載った日本人の支配下選手について、翌年のNPB選手名簿(支配下・育成)を選手IDで照合し、同じ球団で育成選手になった人を数えました。そのうえでNPBの個人ページとドラフト選択選手一覧から、ドラフト1位(2005〜2007年の分離ドラフトは1巡目)の選手を抜き出したのが次の表です。
| 育成になった年 | 選手 | 球団 | ドラフト | その後 |
|---|---|---|---|---|
| 2016年 | 片山博視 | 楽天 | 2005年高校生1巡目 | 2017年まで育成(支配下復帰なし) |
| 2019年 | 横山雄哉 | 阪神 | 2014年1位 | 2020年に支配下へ復帰 |
| 2020年 | 田中健二朗 | DeNA | 2007年高校生1巡目 | 2021年に支配下へ復帰 |
| 2020年 | 髙濱卓也 | ロッテ | 2007年高校生1巡目 | 2021年に支配下へ復帰 |
| 2020年 | 森雄大 | 楽天 | 2012年1位 | 2022年まで育成(支配下復帰なし) |
| 2021年 | 吉住晴斗 | ソフトバンク | 2017年1位 | 2021年まで育成(支配下復帰なし) |
| 2021年 | 堀田賢慎 | 巨人 | 2019年1位 | 2022年に支配下へ復帰 |
| 2021年 | 多和田真三郎 | 西武 | 2015年1位 | 2021年まで育成(支配下復帰なし) |
| 2022年 | 齊藤大将 | 西武 | 2017年1位 | 2024年まで育成(支配下復帰なし) |
| 2023年 | 椋木蓮 | オリックス | 2021年1位 | 2024年に支配下へ復帰 |
| 2023年 | 近藤弘樹 | ヤクルト | 2017年1位 | 2024年まで育成(支配下復帰なし) |
| 2023年 | 岩嵜翔 | 中日 | 2007年高校生1巡目 | 2024年に支配下へ復帰 |
| 2024年 | 岡田俊哉 | 中日 | 2009年1位 | 2025年に支配下へ復帰 |
| 2025年 | 風間球打 | ソフトバンク | 2021年1位 | 2025年まで育成(支配下復帰なし) |
| 2025年 | 西舘昂汰 | ヤクルト | 2023年1位 | 2026年に支配下へ復帰 |
| 2025年 | 森木大智 | 阪神 | 2021年1位 | 2025年まで育成(支配下復帰なし) |
| 2026年 | 西純矢 | 阪神 | 2019年1位 | 2026年も育成 |
出典:NPB公示「自由契約選手(保留されない選手)」(2015〜2025年)、NPB各年度の支配下・育成選手登録、NPB個人ページ、NPBドラフト選択選手一覧から集計。「その後」は2026年までの各年度の名簿で判定。巨人は黄色。希望枠・自由獲得枠の選手は含めていません。
17人中8人が支配下に戻った
17人のうち、後に支配下へ戻ったのは8人です。8人とも、育成選手になった翌年(育成2年目)の名簿で支配下に戻っており、育成1年目のうちに支配下へ戻った例はありませんでした。巨人の堀田賢慎投手(2019年1位)は2021年に育成選手となり、2022年に支配下へ復帰。その後2026年まで支配下にとどまっています。
一方、支配下に戻れないまま名簿から外れた選手も8人います。2026年の西純矢投手(阪神・2019年1位)は、今季は育成のままシーズンを終えました。育成への切り替えは「再起のための時間を確保する」措置として使われることが多いものの、戻れるかどうかは半々というのが、この11年の数字です。
ドラ1の育成切り替えは2019年以降に増えた
保留されなかった年で見ると、2015〜2018年の4年間は2人だったのに対し、2019〜2025年の7年間は15人と増えています。ドラフト1位に限らず、保留されなかった日本人の支配下選手のうち、翌年に同じ球団で育成選手になった人の割合も上がっています。
| 保留されなかった年 | 日本人の支配下選手 | 翌年 同じ球団で育成 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 98人 | 9人 | 9.2% |
| 2016年 | 95人 | 10人 | 10.5% |
| 2017年 | 94人 | 6人 | 6.4% |
| 2018年 | 97人 | 18人 | 18.6% |
| 2019年 | 100人 | 14人 | 14.0% |
| 2020年 | 101人 | 14人 | 13.9% |
| 2021年 | 111人 | 25人 | 22.5% |
| 2022年 | 108人 | 24人 | 22.2% |
| 2023年 | 115人 | 23人 | 20.0% |
| 2024年 | 103人 | 31人 | 30.1% |
| 2025年 | 122人 | 33人 | 27.0% |
出典:NPB公示から集計(外国人選手は除く)。「保留されなかった年」の翌年の名簿で判定しています。
2015年は98人中9人(9.2%)でしたが、2024年は30.1%、2025年は27.0%でした。けがをした選手や伸び悩む若手を、いったん育成に移して支配下の枠を空ける運用が、球団の間で広がっていることがうかがえます。
浅野翔吾は今後どうなる?育成契約までの流れ
- 10月25日巨人が自由契約の通知を発表浅野ら6選手に自由契約を通知(日刊スポーツ)。育成契約の打診は報道段階です。
- 12月上旬NPBが「保留されない選手」を公示2019〜2025年は12月2日(2023年のみ12月1日)。ここで正式に自由契約選手として公示される見込みです。
- 公示の後育成選手として再契約するかどうか規約第4条8項により、自由契約の公示後に元支配下選手を育成で採用する場合は、新人のように育成ドラフトを経る必要はありません。自由契約選手のため、制度上は他球団と契約することもできます。
- 2027年7月31日支配下に戻れる期限育成で再契約した場合、2027年シーズン中に支配下へ戻るにはこの日までに契約が必要です。
日刊スポーツは「球団は育成契約を打診すると見られる」と伝えていますが、浅野本人が受けるかどうか、契約の条件などは明らかになっていません。来季は手術からの復帰を目指す年になります。
松井秀喜新監督の就任
巨人は10月23日、球団OBの松井秀喜氏の監督就任を発表しました(巨人公式サイト)。新体制のもとで、手術明けの浅野がどのように復帰を目指すのかが注目されます。
浅野翔吾の自由契約・育成契約についてよくある質問
Q. 浅野翔吾は戦力外になった?
A. 巨人の発表は「自由契約とすることを通知」で、「来季の選手契約を結ばない」と通知された湯浅大選手とは書き分けられています。日刊スポーツは、球団が育成契約を打診するとみられると伝えています(10月25日時点)。
Q. 支配下から育成に移るとき、なぜ自由契約になるの?
A. 育成選手の規約(第9条2項)が、支配下選手を育成選手に移すときは野球協約第58条の自由契約の手続きを先にとるよう定めているためです。自由契約の公示後に、育成選手として契約し直す流れになります。
Q. 育成選手になると何が変わる?
A. 背番号が3桁になり、一軍の公式戦には出られません。二軍の公式戦に出られる育成選手は1球団1試合5人までです(2014年度版の規約)。支配下に戻るには、その年の7月31日までに支配下選手として契約する必要があります。
Q. ドラフト1位で育成になった選手はいる?
A. NPB公示で数えると、2015〜2025年に保留されず翌年に同じ球団で育成選手になったドラフト1位は17人います。巨人では2019年1位の堀田賢慎投手が2021年に育成となり、2022年に支配下へ戻りました。
Q. 育成から支配下に戻れる確率は?
A. 上の17人のうち、後に支配下へ戻ったのは8人で、ほぼ半数です。ただし人数が少なく、けがの内容や年齢もそれぞれ違うため、一人ひとりの見通しには当てはまりません。
Q. 浅野翔吾の通算成績は?
A. NPBの記録で、2023〜2026年の一軍通算は102試合・64安打・7本塁打・打率.222です。2026年は9試合・打率.185でした。
あわせて読みたい
出典・参考資料
- 日刊スポーツ「【巨人】浅野翔吾に自由契約、育成契約を打診か」(2026年10月25日14:50)、「【巨人】湯浅大と来季契約結ばず 22年ドラ1浅野翔吾ら自由契約通知」(同13:43)
- NPB「浅野翔吾 個人年度別成績」、「2022年ドラフト 読売ジャイアンツ選択選手一覧」
- NPB「選手契約、譲渡可能期間終了のお知らせ」(2026年7月31日)
- NPB公示「自由契約選手」(2015〜2025年度)、各年度の支配下・育成選手登録、ドラフト選択選手一覧(2005〜2024年)
- 日本プロ野球選手会掲載「日本プロ野球育成選手に関する規約(2014年度版)」
- 読売ジャイアンツ「松井秀喜氏が監督に就任」(2026年10月23日)
- 写真:Wikimedia Commonsのフリーライセンス画像(アイキャッチはトリミング・明るさ調整し文字を追加)


コメント