台風のニュースで「台風11号ヤギ」「台風10号アンピル」といったカタカナの名前を目にして、「この名前は誰がどうやって決めているのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。実は台風の名前は、その場の思いつきではなく、あらかじめ用意された140個のリストから順番に付けられるという明確なルールがあります。
この記事では、台風の名前の決め方(命名ルール)、日本が提案した星座由来の10個の名前、大きな被害を出した名前が「引退」する仕組みまで、2024年の台風11号「ヤギ」を例にわかりやすく解説します。

台風の名前はどう決まる?140個のリストを順番に使う
北西太平洋・南シナ海で発生する台風の名前は、日本を含む14の国と地域が加盟する国際組織「台風委員会」が管理しています。台風委員会は1968年に設立された組織で、アジア太平洋地域の台風防災の協力を目的としています。
各国・地域が10個ずつ名前を持ち寄り、合計140個の名前をあらかじめリスト化。台風が発生するたびに、このリストの順番どおりに名前が付けられていきます。140個すべて使い切ったら、また最初に戻って繰り返し使われます。おおよそ5年で一巡する計算です。
この「アジア名」の運用が始まったのは2000年からです。それまでは米国が英語の人名(ジェーン、キティなど)を付けていましたが、地域の防災意識を高める目的で、加盟国の言葉による名前に切り替えられました。
名前に選ばれる条件
- 短く、発音しやすく、覚えやすいこと
- 悪い意味を持たないこと
- 商標(企業名・商品名)や特定の人名と重ならないこと
日本が提案した名前は「星座」由来
日本が台風委員会に提案している10個の名前は、いずれも星座の名前に由来しています。「ヤギ(やぎ座)」「ウサギ(うさぎ座)」「コイヌ(こいぬ座)」「カジキ(かじき座)」「コト(こと座)」「クジラ(くじら座)」「コグマ(こぐま座)」「コンパス(コンパス座)」「トカゲ(とかげ座)」「ヤマネコ(やまねこ座)」といった具合です。
星座名が選ばれているのは、特定の企業や個人と結びつかず、各国の人にとっても中立で覚えやすいためです。動物の名前が多いので親しみやすいのも特徴です。なお、リストは被害による入れ替え(後述)があるため、名前の顔ぶれは少しずつ変わっています。
2024年の台風11号「ヤギ」の例

2024年9月に発生した台風11号「ヤギ」は、まさに日本が提案した「やぎ座」由来の名前が順番に回ってきたケースでした。発生当時の気象情報は次のように伝えられています。
「ヤギ」はその後、フィリピンやベトナムなどに深刻な被害をもたらす強力な台風となりました。当時の解説動画では、発達の仕組みや警戒点が詳しく報じられています。
やぎ座は黄道十二星座のひとつで、上半身が山羊・下半身が魚という神話上の生き物がシンボルです。名前自体はおだやかですが、台風の勢力とは何の関係もありません。名前の印象で台風の強さを判断しないことが大切です。
大きな被害を出した名前は「引退」する
命名リストは永久に固定ではありません。ある名前の台風が甚大な被害をもたらした場合、被災国の要請により、その名前はリストから永久に除外(引退)され、提案国が新しい名前を提出します。
日本提案の名前でも、大きな被害を出した「テンビン」や「ハト」などが除外され、代わりに「コイヌ」「ヤマネコ」が加わりました。2024年の「ヤギ」も東南アジアで甚大な被害を出したため、リストから除外される方向で手続きが進んだと報じられています。こうした入れ替えは台風委員会の年次会合で決定されます。
「台風◯号」と名前はどう使い分けられている?
日本国内の報道や気象庁の発表では、発生順の「台風◯号」という番号が主に使われます。アジア名(ヤギなど)は国際的なやり取りや近隣国の報道で使われることが多く、日本ではカッコ書きで添えられる程度です。
また、特に甚大な災害をもたらした台風には、気象庁が後から正式な名称を定めることがあります。「令和元年東日本台風(台風19号)」などがその例です。番号・アジア名・命名災害名と、同じ台風に複数の呼び名が存在し得ると知っておくと、ニュースが読み解きやすくなります。
名前を知ったら、備えも忘れずに
台風の名前の仕組みを知ると天気予報が少し面白くなりますが、大切なのは備えです。台風接近時は、気象庁の最新情報を確認し、飛ばされやすい物の片付け、停電への備え(モバイルバッテリー・懐中電灯・ラジオ)、ハザードマップの確認を早めに済ませておきましょう。非常用の持ち出し袋をひとつ用意しておくだけでも、いざというときの安心感が違います。
あわせて読みたい
- 台風が来るとなぜかワクワクする心理とは?防災意識に変えるコツ
- ヒートドーム現象とは?猛暑を閉じ込める仕組みを解説
- 避難所での防寒対策とは?今日からできる備えを解説
- ヤギは本当に紙を食べる?誤解と本当の食性を解説
よくある質問
Q. 台風の名前は誰が決めているのですか?
A. 日本を含む14の国と地域が加盟する国際組織「台風委員会」です。各国・地域が10個ずつ提案した合計140個の名前がリスト化されており、台風が発生するたびに順番どおりに自動的に付けられます。
Q. 日本が提案した台風の名前にはどんなものがありますか?
A. 「ヤギ」「ウサギ」「コイヌ」「カジキ」「コト」「クジラ」「コグマ」「コンパス」「トカゲ」「ヤマネコ」など、いずれも星座に由来する名前です。企業名や人名と重ならず、各国で覚えやすいことから星座名が採用されています。
Q. 同じ名前の台風が何度も出てくるのはなぜですか?
A. 140個の名前リストを繰り返し使っているためです。おおよそ5年で一巡するので、大きな被害がなかった名前は数年おきに再登場します。
Q. 台風の名前が使われなくなることはありますか?
A. あります。甚大な被害をもたらした台風の名前は、被災国の要請でリストから永久に除外され、提案国が新しい名前を出します。日本提案の「テンビン」「ハト」などが除外された例で、2024年の「ヤギ」も除外の方向と報じられています。


コメント