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  4. スーパーエルニーニョで暖冬になる?日本の冬65回の気温で検証

スーパーエルニーニョで暖冬になる?日本の冬65回の気温で検証

2026 10/30
ニュース 雑学・コラム
2026年10月30日
太平洋赤道域の海面水温が高い状態を示す地図(スーパーエルニーニョで暖冬になる?)

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ニュース|天気・気候

スーパーエルニーニョで暖冬になる?日本の冬65回の気温で検証

太平洋赤道域の海面水温が観測史上最も高くなり、米国では「スーパーエルニーニョ」の冬への関心が高まっています。米海洋大気局(NOAA)は10月15日に「北部は暖かく、南部は雨が多い冬」との見通しを出しました。では日本の冬はどうなるのでしょうか。気象庁が公表している1961/62年冬から2025/26年冬までの65冬の地域別の気温を、エルニーニョの冬とそれ以外の冬に分けて自分で集計し、「エルニーニョの冬は本当に暖冬だったのか」を確かめました。

9月の監視海域 +4.0℃で過去最大冬まで続く見込み100%東・西日本は高い確率60%寒波はなくならない

2026年10月30日時点(日本時間)/出典:気象庁(エルニーニョ監視速報、地域平均気候表、季節予報)、米海洋大気局(NOAA)、NPR

この記事の結論

  • 気象庁のエルニーニョ監視速報(10月9日発表)によると、9月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より+4.0℃高く、1949年以降で最も高かった1997年12月の+3.6℃を超えました。冬にかけて過去最大の強さのエルニーニョ現象が続く見込みは100%です。
  • 1991/92年冬以降の35冬を集計すると、エルニーニョの冬8回のうち、西日本の気温が「高い」だった冬は6回。どちらでもない冬(6/18回)やラニーニャの冬(1/9回)より、はっきり暖冬に寄っていました。
  • 一方、北日本は3回にとどまり、強いエルニーニョだった1997/98年冬は北日本が「低い」、1982/83年冬は東・西日本も「低い」でした。エルニーニョの冬でも、必ず暖冬になるわけではありません。
  • 雪は、エルニーニョの冬の日本海側の降雪量(平年比の中央値)が西日本で93.5%、東日本で109.5%と、ほかの冬より少なめでした。ただし2015/16年冬の西日本日本海側は148%と、暖冬なのに雪が多い冬もありました。
  • 気象庁の寒候期予報(9月18日)は、冬の平均気温が東・西日本で「高い」60%、沖縄・奄美で70%、北日本は「平年並」「高い」が40%ずつ。北海道・東北に出た11月1日ごろからの低温の早期天候情報は約5日間の寒気についての情報で、冬全体の傾向とは別に考える必要があります。
+4.0℃9月のエルニーニョ監視海域の海面水温(基準値との差)
6/8冬エルニーニョの冬に西日本が「高い」だった回数(1991/92年以降)
60%今冬の東・西日本の気温「高い」確率(寒候期予報)
3/8冬北日本が「高い」だった回数(同)

回数は気象庁の日本の地域平均気候表の冬(12〜2月)の階級と、エルニーニョ現象の発生期間(季節単位)を当サイトが突き合わせて集計したものです。

目次

スーパーエルニーニョとは?今回の強さを数字で確認

「スーパーエルニーニョ」は気象庁の正式な用語ではありませんが、海面水温の上がり方が特に大きいエルニーニョ現象を指して使われています。仕組みや「スーパー」と呼ばれる目安は2026年のエルニーニョ現象を徹底解説で説明しているので、ここでは今回の強さを過去と比べます。

気象庁は、南米ペルー沖を含む太平洋赤道域東部(エルニーニョ監視海域、NINO.3)の海面水温が、基準値よりどれだけ高いかを毎月公表しています。エルニーニョ監視速報 No.409(10月9日)の月平均値は次のとおりです。

月 基準値との差 月 基準値との差
2025年10月 -0.5℃ 4月 +0.7℃
11月 -0.5℃ 5月 +1.2℃
12月 -0.6℃ 6月 +1.9℃
2026年1月 -0.4℃ 7月 +2.5℃
2月 +0.1℃ 8月 +3.4℃
3月 +0.3℃ 9月 +4.0℃

出典:気象庁「エルニーニョ監視速報 No.409」の表(月平均値。最新月は速報値)。

春に平年並みだった海面水温が、半年で4℃上がったことになります。気象庁は「2026年春から続いているエルニーニョ現象は、9月に入り過去最大の強さとなっている」とし、冬にかけて過去最大の強さのエルニーニョ現象が続く見込みを100%としています。次の監視速報は11月10日14時に発表される予定です。

過去の強いエルニーニョと比べると

気象庁のエルニーニョ現象の発生期間の表には、期間中の月平均の「基準値との差」の最大値が載っています。上位5回と今回を並べました。米国の指数(Niño3.4の3か月平均=ONI)も参考に付けます。

エルニーニョ現象 気象庁 差の最大値 ONI 7〜9月 ONI 冬のピーク
1972年春~1973年春 +2.6℃ +1.26 +1.84
1982年春~1983年秋 +3.2℃ +0.99 +2.14
1997年春~1998年夏 +3.6℃ +1.79 +2.37
2014年春~2016年春 +3.1℃ +1.73 +2.59
2023年春~2024年春 +2.3℃ +1.25 +1.99
2026年春〜(継続中) +4.0℃
9月時点
+2.16 未確定

出典:気象庁「エルニーニョ現象及びラニーニャ現象の発生期間(季節単位)」、NOAA CPC「Oceanic Niño Index」(10〜12月・11〜1月・12〜2月の最大値を「冬のピーク」とした)。気象庁の指数は監視海域(北緯5度〜南緯5度、西経150〜90度)、ONIはそれより西寄りの海域で、数字の大きさは直接比べられません。

7〜9月のONIは+2.16で、1950年以降の7〜9月としては最も高い値です(2位は1997年の+1.79)。NOAA気候予測センター(CPC)のENSO診断討論(10月8日)は、9月のNiño3.4が+2.1℃に達したとし、1950年以降のどのエルニーニョよりも強くなる確率を、10〜12月で83%、11〜1月で70%としています(CPCは温暖化の影響を除いた「相対ONI」で+2.5℃以上を基準にしています)。

エルニーニョの冬は暖冬だった?1991年以降35冬を集計

気象庁の日本の地域平均気候表では、冬(12〜2月)の平均気温が平年(1991〜2020年の平均)より何℃高かったかと、「低い・平年並・高い」の3つの階級を、北日本・東日本・西日本・沖縄・奄美の地域ごとに見られます。階級は平年値の30年間でそれぞれ3分の1ずつ出るように決められています。

これを、気象庁が判定したエルニーニョ現象・ラニーニャ現象の発生期間と重ね、1991/92年冬から2025/26年冬までの35冬を3つに分けて数えました。平年値の期間とほぼ重なるので、「高い」が3回に1回より多ければ、暖冬に寄っていると言えます。

地域 エルニーニョの冬(8回) どちらでもない冬(18回) ラニーニャの冬(9回)
北日本 「高い」3回
平年差 平均+0.21℃
「高い」8回
平年差 平均+0.07℃
「高い」0回
平年差 平均-0.23℃
東日本 「高い」4回
平年差 平均+0.45℃
「高い」7回
平年差 平均+0.10℃
「高い」1回
平年差 平均-0.24℃
西日本 「高い」6回
平年差 平均+0.56℃
「高い」6回
平年差 平均+0.07℃
「高い」1回
平年差 平均-0.42℃
沖縄・奄美 「高い」4回
平年差 平均+0.28℃
「高い」8回
平年差 平均+0.02℃
「高い」3回
平年差 平均-0.22℃

出典:気象庁「日本の地域平均気候表」(3か月・12〜2月)と「エルニーニョ現象及びラニーニャ現象の発生期間(季節単位)」から当サイトが集計。エルニーニョの冬=1991/92・1997/98・2002/03・2009/10・2014/15・2015/16・2018/19・2023/24年。

はっきり差が出たのは西日本です。エルニーニョの冬は8回中6回が「高い」で、「低い」は2014/15年冬の1回だけでした。どちらでもない冬は「高い」「平年並」「低い」が6回ずつ、ラニーニャの冬は「高い」が1回だけで「低い」が5回です。東日本と沖縄・奄美も「高い」が8回中4回で、どちらでもない冬(18回中7回・8回)よりやや多めでした。

これに対して北日本は、エルニーニョの冬でも「高い」3回・「平年並」3回・「低い」2回と、ほぼ均等に分かれました。どちらでもない冬(「高い」8/18回)と比べても、暖冬への寄り方ははっきりしません。

温暖化の分を差し引いて65冬で比べると

平年値は1991〜2020年の平均なので、古い冬ほど「低い」に入りやすくなります(65冬の直線の傾きは北日本で10年あたり+0.21℃、東日本+0.27℃、西日本+0.25℃)。そこで1961/62年冬からの65冬について、この長期の上昇を差し引いた値が0より高かった冬を数えました。

地域 エルニーニョの冬(18回) どちらでもない冬(30回) ラニーニャの冬(17回)
北日本 11回(61%)
平均+0.06℃
17回(57%)
平均-0.00℃
8回(47%)
平均-0.06℃
東日本 14回(78%)
平均+0.36℃
17回(57%)
平均-0.10℃
7回(41%)
平均-0.21℃
西日本 12回(67%)
平均+0.41℃
17回(57%)
平均-0.09℃
6回(35%)
平均-0.27℃
沖縄・奄美 10回(56%)
平均+0.37℃
15回(50%)
平均-0.10℃
6回(35%)
平均-0.23℃

気象庁の地域平均気候表(1961/62〜2025/26年の冬)の平年差から、65冬の直線トレンドを差し引いて当サイトが計算。「平均」はトレンドを差し引いた値の平均。

エルニーニョの冬は、東日本で18回中14回(78%)、西日本で12回が長期の傾向より暖かく、平均でも+0.4℃前後高めでした。北日本は11回・平均+0.06℃で、ほかの冬との差はほとんどありません。ラニーニャの冬は逆に、どの地域も寒めに寄っています。

気象庁の統計でも「西日本で並か高い傾向」

気象庁の「エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴」も、1947/48年冬から2020/21年冬を調べた結果として、エルニーニョ現象が起きた冬の気温は「西日本で並か高い傾向」を統計的に意味のある傾向として挙げています。北日本・東日本の気温には、意味のある傾向は示されていません。当サイトの集計も、東日本は暖かめに寄ったものの、それとおおむね同じ結果になりました。回数が少ないので、1回ごとの冬はぶれが大きい点にも注意が必要です。

強いエルニーニョの冬5回、日本はどうだった?

気象庁の表で「基準値との差の最大値」が大きかった5回について、冬(12〜2月)の地域別の気温と、気象庁が公表している日本の冬の平均気温(15地点)の順位を並べました。

冬 北日本 東日本 西日本 沖縄・奄美 全国15地点(129冬中の順位)
1972/73年 +0.8
高い
+0.2
平年並
+0.3
平年並
+0.5
高い
+0.45℃
高い方から15位
1982/83年 -0.2
平年並
-0.4
低い
-0.7
低い
-0.7
低い
-0.38℃
高い方から50位
1997/98年 -0.5
低い
+0.3
平年並
+0.8
高い
+0.9
かなり高い
+0.28℃
高い方から22位
2015/16年 +0.8
高い
+1.1
かなり高い
+0.7
高い
+0.3
高い
+0.78℃
高い方から7位
2023/24年 +1.1
かなり高い
+1.6
かなり高い
+1.5
かなり高い
+1.0
かなり高い
+1.27℃
高い方から2位

出典:気象庁「日本の地域平均気候表」(地域の値は1991〜2020年平均との差)、「日本の季節平均気温」(1898〜2026年の冬、1991〜2020年平均との差。順位は当サイトが計算)。「かなり高い(低い)」は、平年値の期間に10%程度しか出ない階級。

5回の結果はばらばらです。2023/24年冬は全地域が「かなり高い」で、全国15地点の平均も+1.27℃と129冬で2番目の暖冬でした。2015/16年冬も全国で「高い」でした。一方、1997/98年冬は西日本と沖縄・奄美が暖かかったものの、北日本は−0.5℃で「低い」。1982/83年冬は北日本以外の3地域が「低い」でした。

エルニーニョの冬20回(1951/52年冬以降)で見ても、全国15地点の平均が基準値を上回ったのは8回で、半分を下回ります。ただしこの15地点の値は温暖化の分を差し引いていないので、古い冬ほど低く出ます。1991/92年冬以降の8回に限ると、上回ったのは6回でした。

同じ冬の中でも月によって大きく違う

冬3か月の平均が「暖冬」でも、月ごとに見ると寒い月が入っていることがあります。強いエルニーニョの冬の月別の平年差です。

月 北日本 東日本 西日本 沖縄・奄美
1997年12月 +1.1
高い
+0.5
平年並
+0.7
平年並
+0.8
高い
1998年1月 -1.9
かなり低い
-0.4
低い
0.0
平年並
+1.1
かなり高い
1998年2月 -0.5
平年並
+0.7
高い
+1.7
かなり高い
+1.0
高い
2014年12月 -0.8
低い
-1.5
低い
-1.7
低い
-1.4
かなり低い
2015年1月 +1.1
高い
+0.1
平年並
+0.5
高い
-0.5
低い
2015年2月 +1.5
かなり高い
+0.1
平年並
-0.2
平年並
-0.5
低い
2015年12月 +1.6
かなり高い
+1.8
かなり高い
+1.6
かなり高い
+1.2
高い
2016年1月 +0.2
平年並
+0.6
高い
+0.3
平年並
+0.4
平年並
2016年2月 +0.6
平年並
+0.9
高い
+0.3
平年並
-0.7
低い
2023年12月 +0.4
平年並
+1.2
かなり高い
+0.7
平年並
+0.6
平年並
2024年1月 +1.7
かなり高い
+1.6
かなり高い
+1.2
かなり高い
+0.5
高い
2024年2月 +1.3
高い
+2.1
かなり高い
+2.4
かなり高い
+2.0
かなり高い

出典:気象庁「日本の地域平均気候表」(月)。

1997/98年冬は、北日本が12月に「高い」だったのに、1998年1月は−1.9℃の「かなり低い」でした。2014年12月は、エルニーニョが続く中で4地域すべてが「低い」です。逆に2015年12月や2024年2月は「かなり高い」が並びました。3か月平均の「暖冬」は、寒い時期がないという意味ではありません。

エルニーニョの冬は雪が少ない?日本海側の降雪量

雪が降る冬の白川郷の通り(岐阜県白川村)
雪の降る白川郷(岐阜県白川村、2018年2月撮影。今冬の写真ではありません)/写真: 雷太(CC BY 2.0)

地域平均気候表には、日本海側の冬の降雪量が平年の何%だったかも載っています。65冬を同じように3つに分け、平年比の中央値(真ん中の値)を比べました。

地域 エルニーニョの冬(18回) どちらでもない冬(30回) ラニーニャの冬(17回)
北日本日本海側 96.5%
平年未満11回
105.5%
平年未満11回
108%
平年未満4回
東日本日本海側 109.5%
平年未満8回
126.5%
平年未満12回
134%
平年未満4回
西日本日本海側 93.5%
平年未満10回
124%
平年未満10回
142%
平年未満6回

気象庁「日本の地域平均気候表」(1961/62〜2025/26年の冬、降雪量の平年比)から当サイトが集計。平年は1991〜2020年の平均で、雪が多かった古い冬ほど平年比が大きく出ます。

エルニーニョの冬は、西日本日本海側で中央値93.5%、18回中10回が平年より少なく、ラニーニャの冬(中央値142%)とは大きな差がありました。東日本日本海側・北日本日本海側も、ほかの冬より少なめです。

暖冬でも大雪の冬はある

2015/16年冬は全国的に暖かかったのに、西日本日本海側の降雪量は平年の148%でした。1982/83年冬の東日本日本海側は176%で「かなり多い」。反対に、2023/24年冬は北日本日本海側も77%の「かなり少ない」でした。降雪量は、短い期間に強い寒気が入ったかどうかで大きく変わります。

初雪の時期については、エルニーニョの冬でも遅れる傾向は見られなかったことを、初雪2026はいつ?47都道府県の平年日と今冬の予想で福岡77冬の記録から確かめています。

2026〜27年の冬はどうなる?気象庁の寒候期予報と3か月予報

気象庁が9月18日に発表した寒候期予報(12〜2月)の気温の確率です。ふだんはどの階級も33%程度なので、「高い」が60〜70%なら暖冬の見込みが強いことになります。

地域 低い 平年並 高い
北日本 20% 40% 40%
東日本 10% 30% 60%
西日本 10% 30% 60%
沖縄・奄美 10% 20% 70%

出典:気象庁「季節予報」寒候期予報(2026年9月18日14時発表)。気象庁は10月20日の3か月予報で、9月18日の寒候期予報の内容に「変更はありません」としています。

降雪量は、東日本日本海側と西日本日本海側(九州北部地方を除く)で「少ない」50%、北日本日本海側は「平年並」「少ない」が40%ずつです。降水量は東日本太平洋側・西日本・沖縄・奄美で「多い」50%、北・東・西日本の太平洋側は「平年に比べ晴れの日が少ない」とされています。

10月20日の3か月予報(11〜1月)の月別の見通し

地域 11月 12月 1月
北日本 高い40%
平年並40・低い20
高い40%
平年並40・低い20
高い40%
平年並40・低い20
東日本 高い60%
平年並30・低い10
高い50%
平年並30・低い20
高い50%
平年並30・低い20
西日本 高い60%
平年並30・低い10
高い50%
平年並30・低い20
高い50%
平年並30・低い20
沖縄・奄美 高い50%
平年並30・低い20
高い50%
平年並40・低い10
高い60%
平年並30・低い10

出典:気象庁「季節予報」3か月予報(2026年10月20日14時発表)。

11〜1月の3か月平均では、東・西日本と沖縄・奄美で「高い」60%、北日本で「高い」50%です。月別では12月と1月の東・西日本が「高い」50%と、11月よりやや弱まっています。次の3か月予報は11月24日(火)14時に発表される予定です。

11月1日ごろの「10年に1度の低温」とは矛盾しない?

気象庁は10月26日に、北海道地方と東北地方に「低温に関する早期天候情報」を出しました(詳しくは10年に1度の低温はいつから?)。これは11月1日ごろからの約5日間という短い期間の寒気についての情報で、冬3か月の平均が高めになる見通しとは別の話です。上で見たように、1997/98年冬の北日本の1月や2014年12月のように、エルニーニョの冬でも寒い時期は入ります。

エルニーニョ以外の海の状態も「暖冬」寄り

今回の監視速報では、9月の西太平洋熱帯域の海面水温は基準値より低く、冬にかけても低い状態が続く見込みです。気象庁の「西太平洋熱帯域が低温時の日本の天候の特徴」では、その冬の気温は「北・東・西日本で高い傾向」とされています。気象庁が今冬を暖冬寄りに予想している背景には、こうした複数の要因があるとみられます。

米国ではなぜ「スーパーエルニーニョ」が話題?NOAAの冬の見通し

米国では、NOAAが10月15日に発表した冬の見通し(2026年12月〜2027年2月)が注目されています。発表によると、北部を中心に平年より暖かく、カリフォルニアからフロリダまでの南部と東海岸で雨や雪が多くなりやすい見通しです。NOAA国立気象局のケン・グラハム局長は、非常に強いエルニーニョはジェット気流を南・東寄りにずらし、南部で荒れた天気になりやすいと説明しています。

公共ラジオNPRは米東部時間10月28日(日本時間29日)の記事で、この冬は「暖かく、雨が多い」見通しだと伝え、グラハム局長が10月の会見で「歴史的とまではいかなくても強いエルニーニョ」と述べたと報じています(NPR)。NOAAの見通しは確率の予報で、雪の量やいつ寒波が来るかは示していません。

スーパーエルニーニョと日本の冬のよくある質問

Q. スーパーエルニーニョの冬、日本は暖冬になりますか?

A. 暖冬寄りになる可能性が高いとみられますが、必ずではありません。1991/92年冬以降のエルニーニョの冬8回では、西日本の気温が「高い」だった冬が6回ありました。一方で北日本は3回だけで、強いエルニーニョだった1997/98年冬は北日本が「低い」でした。気象庁の寒候期予報(9月18日)は、東・西日本で「高い」確率60%です。

Q. 今回のエルニーニョはどれくらい強いのですか?

A. 気象庁によると、9月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より+4.0℃高く、1949年以降で最も高かった1997年12月の+3.6℃を超えて過去最大です。冬にかけて過去最大の強さで続く見込み(100%)とされています(10月9日発表の監視速報、10月30日時点)。

Q. エルニーニョの冬は雪が少ないですか?

A. 少なめの傾向がありました。1961/62年冬以降のエルニーニョの冬18回では、西日本日本海側の降雪量の中央値が平年の93.5%で、ラニーニャの冬(142%)より少なめでした。ただし2015/16年冬の西日本日本海側は148%と、暖冬でも雪が多い冬があります。

Q. 暖冬予想なのに11月に「10年に1度の低温」が出たのはなぜですか?

A. 早期天候情報は11月1日ごろからの約5日間という短い期間の寒さについての情報で、冬3か月の平均気温の予報とは期間が違います。エルニーニョの冬でも、1998年1月の北日本(平年差−1.9℃)や2014年12月の全国のように、寒い月が入ったことがあります。

Q. エルニーニョはいつまで続きますか?

A. 気象庁は冬にかけて続く見込みを100%としています。NOAA気候予測センターは、強い〜非常に強いエルニーニョが2027年1〜3月まで続く可能性が83%を超えるとしています(10月8日時点)。気象庁の次の監視速報は11月10日14時に発表されます。

Q. 冬の準備は何をすればいいですか?

A. 暖冬寄りの予報でも、短い期間の強い寒気や大雪は起こり得ます。冬タイヤの交換や水道管の凍結対策など、例年どおりの準備をしておくのが安全です。最新の1か月予報(毎週木曜)や3か月予報で、寒気の見通しを確かめてください。

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出典・参考資料

  • 気象庁:エルニーニョ監視速報(No.409)(2026年10月9日)、同 監視指数
  • 気象庁:エルニーニョ現象及びラニーニャ現象の発生期間(季節単位)
  • 気象庁:日本の地域平均気候表(3か月・月、1961/62〜2025/26年の冬)、日本の冬の平均気温
  • 気象庁:エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴、西太平洋熱帯域が低温時の日本の天候の特徴
  • 気象庁:季節予報(寒候期予報 2026年9月18日、3か月予報 10月20日)
  • NOAA Climate Prediction Center:ENSO Diagnostic Discussion(2026年10月8日)、Oceanic Niño Index
  • NOAA:El Nino looms large over U.S. Winter Outlook(2026年10月15日)
  • NPR「Here’s the El Niño winter forecast for the U.S. — warmer and wetter」(米東部時間2026年10月28日)

エルニーニョの冬・ラニーニャの冬の分類と、回数・中央値・トレンドを差し引いた値の計算は当サイトによるもので、気象庁の公式統計ではありません。写真:アイキャッチ=NOAA Climate.gov(2015年11月の海面水温の平年差、パブリックドメイン)、本文=雷太/Wikimedia Commons(CC BY 2.0)。アイキャッチはトリミング・文字入れあり、本文写真はリサイズあり。

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