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サハラで見つかった火星隕石は41億年前、なぜ年代が分かった?
アフリカ・マリのサハラ砂漠で2022年に見つかったバラ色の隕石「テガザ001(Teghaza 001)」が、少なくとも41億年前にできた火星の地殻のかけらだと分かりました。NASAの資金を受けた研究チームが10月29日(米国時間)に科学誌サイエンスで発表しています。どうやって年代を測ったのか、そもそも地球にある火星隕石は何個あり、どこで見つかっているのか。国際隕石学会の登録データベースを自分で集計して整理しました。
この記事のポイント
- NASA JPLの発表によると、テガザ001は41億年以上前にできた火星の岩石で、地球で見つかった火星隕石のうち最も古い3つのうちの1つです。
- 年代は、岩の中のジルコンという鉱物で測った値が41.11±0.13億年。ウランが鉛に変わる速さを「時計」に使います(Science Advances掲載の論文)。
- 国際隕石学会のデータベースに正式登録された火星隕石は427個。366個(85.7%)がテガザ001と同じ「シャーゴッタイト」で、365個(85.5%)がサハラ砂漠とその周辺で見つかっています(当ブログ集計)。
- 2000年以降に見つかったものが400個(94%)。落ちるところを目撃された火星隕石は、200年余りで5個しかありません。
サハラで見つかった火星隕石「テガザ001」とは?何が発表された?
テガザ001は、2022年にアフリカ西部マリのサハラ砂漠で見つかった、バラ色がかった隕石です。名前は、見つかった場所の近くにある塩の平原「テガザ」に由来します。NASA JPLの発表によると、重さは約800g(約2ポンド)で、地球で見つかっている約435個の火星隕石の1つです。
科学誌Scienceの論文(2026年10月29日)は、NASAジェット推進研究所(JPL)のヤン・リウ氏を筆頭に14人の研究者がまとめたものです。要旨では、テガザ001を「少なくとも41億年前にできた、ゆっくり冷えた火成岩」とし、成分・鉱物・組織がほかの火星隕石と違うこと、地球に飛んでくる前に火星の水(流体)と反応した跡があることを報告しています。リウ氏は発表の中で、論文の査読者の一人がこの隕石を「火星のロゼッタ・ストーン」と呼んだと紹介しています。
- 2022年9月初めマリのサハラで発見マリ北部、テガザ(Teghaza)の南南東約73kmで、隕石を探す調査隊が見た目のそっくりな石8個を見つけました。いちばん大きなものは442gです。
- 2024年火星隕石として登録国際隕石学会のMeteoritical Bulletin(第113号、2024年)に「火星隕石(シャーゴッタイト)」として登録されました。米ニューメキシコ大学が、酸素の同位体などから火星のものと判定しています。
- 2026年4月14日論文の原稿を公開研究チームが論文の原稿(プレプリント)を公開。「最低でも41億年前にできた斑れい岩質の閃緑岩」と報告しました。
- 2026年6月12日水の記録を報告科学誌Science Advancesに、岩の中の鉱物に残る水素の記録から41億年前の火星の水を調べた論文が掲載されました。
- 2026年10月29日Scienceに論文・NASAが発表岩石の特徴と成り立ちをまとめた本論文がScienceに掲載され、NASA JPLが発表しました(米国時間)。
- 2026年10月30日各国のメディアが報道米ニューヨーク・タイムズ(現地30日)なども「サハラで見つかった41億年前の火星のかけら」として報じました。
出典:Meteoritical Bulletin Database(Teghaza 001の登録内容)、ESS Open Archive、Science Advances、Science、NASA JPL。
「41億年前」はどれくらい昔?
Science Advancesの論文は、火星の古い時代「ノアキス紀」を約37億〜41億年前とし、ときどき地表に液体の水があり、生命が住める環境があった可能性もある時代と説明しています。論文によると、火星の表面のおよそ半分はこの時代の古い地面ですが、地球にある火星隕石はほとんどが地質学的に若い岩石で、古い時代のサンプルは貴重です。テガザ001は、そのノアキス紀の始まりごろの火星を直接調べられる、数少ない石ということになります。
なぜ41億年前と分かった?ジルコンを使った年代測定のしくみ
岩石の年代を測るときに使うのは、放射性の元素が一定の速さで別の元素に変わる性質です。たとえばウランは長い時間をかけて鉛に変わります。鉱物ができたときに閉じ込められたウランと、そこから生まれた鉛の量を比べれば、何年たったかを計算できます。
テガザ001では、研究チームが岩の中にジルコンの結晶を見つけたことが決め手になりました。Science Advancesの論文には、同じ試料で3つの方法による年代が載っています。単位は「億年」に直して並べました(論文の値は10億年単位)。
| 測った鉱物 | 方法 | 年代 | ポイント |
|---|---|---|---|
| ジルコン | ウラン → 鉛(鉛207/鉛206) | 41.11±0.13億年 | 3つの中で誤差が最も小さい |
| リン酸塩鉱物(アパタイト) | ウラン → 鉛(鉛207/鉛206) | 41.24±0.28億年 | 8粒の加重平均。ジルコンの値と重なる |
| ケイ酸塩鉱物 | ルビジウム → ストロンチウム | 42.38±2.08億年 | 岩を溶かさず、爪より小さい試料の表面で粒ごとに測る新しい方法 |
出典:Saper ほか「A Noachian hydrosphere component in the 4.1-Ga Martian meteorite Teghaza 001」Science Advances(2026年6月12日)。誤差は2標準誤差。
3つの値はおおむね重なっています。論文は、これらの年代が「火星の水などによる変質で、すべての時計が一度にリセットされた時期」を示している場合、岩そのものができたのはさらに前(41億年以上前)になると説明しています。NASAの発表も「41億年前ごろに火星の水で変質しており、もともとはさらに早くできたことを示す」としています。見出しの「41億年前」は、正確には「少なくとも41億年前」という意味です。
なぜジルコンの「ウラン→鉛」が古い年代に向いているのか
米地質調査所(USGS)の表によると、ウラン238の半減期は約45億年、ウラン235は約7億400万年、ルビジウム87は約488億年です。41.11億年たつと、ウラン238は半減期の約0.91回分で約53%が残り、ウラン235は約5.8回分で約1.7%しか残りません(当ブログ計算)。2種類のウランが違う速さで鉛に変わるので、2種類の鉛の比(鉛207/鉛206)を測るだけで年代を出せるうえ、古い岩ほど差がはっきりします。
一方、ルビジウム87は半減期がとても長く、42億年たっても約94%が残っています。変化の量が小さい分、誤差は±2億年余りと大きくなりますが、ジルコンとは別の鉱物・別の元素で同じくらいの年代が出たことは、41億年という数字の裏付けになります。NASAによると、この方法を担当したカリフォルニア工科大学のチームは、試料を丸ごと溶かさず、表面の鉱物の粒を1つずつ測ることで、貴重な隕石を後の研究のために残せるとしています。
どうして「火星から来た」と分かるの?
国際隕石学会への登録内容では、輝石という鉱物の鉄とマンガンの比や、斜長石が衝撃でガラス化した「マスケリナイト」の成分から火星隕石と判定し、酸素の同位体の比(Δ17O)も火星隕石の範囲に入るとしています。NASAによると、火星隕石かどうかは、バイキング着陸機や探査車キュリオシティ、パーサビアランスが火星で測ったデータと鉱物・化学成分を照らし合わせて確かめます。なお登録時の記述では、テガザ001の酸素の同位体は通常の火星隕石より重い値で、論文はこれを酸素18の多い火星の水との反応の跡と解釈しています。
火星隕石は何個ある?登録427個を種類・発見地・年代で集計
隕石は、国際隕石学会(Meteoritical Society)が運営するMeteoritical Bulletin Databaseに、名前・発見場所・種類・重さが登録されます。サイトは現在ボット対策で自動取得ができないため、当ブログはインターネット・アーカイブに保存された同データベースの火星隕石一覧(南極以外=2026年8月20日保存、南極=2026年4月13日保存)を取得し、正式名(Official)の427個を数えました。
NASAの「約435個」との違い
NASAの発表は火星隕石を「約435個」としています。当ブログの集計は427個で、正式名でない登録(取り消し1件・記録不十分1件)を除いたことや、保存日(2026年4月・8月)以降に新しく登録された分が入っていないことで数が少し違うとみられます。2026年10月11日に保存された一覧も50件ずつ9ページ(401〜450件)で、「400個余り」という規模は一致しています。なお、もとは1つだった隕石が割れて別々に見つかり、別の名前で登録されたもの(ペア)も1個ずつ数えています。
種類別:85.7%がテガザ001と同じシャーゴッタイト
| 種類 | 個数 | 割合 | どんな岩石? |
|---|---|---|---|
| シャーゴッタイト | 366 | 85.7% | 1865年にインドに落ちた「シャーゴッティ」が名前の由来。テガザ001もここに分類 |
| ナクライト | 34 | 8.0% | 1911年にエジプトに落ちた「ナクラ」が名前の由来 |
| レゴリス角礫岩(ポリミクト角礫岩) | 18 | 4.2% | いろいろな岩のかけらが固まったもの。NWA 7034「ブラック・ビューティー」とその仲間 |
| シャシナイト | 3 | 0.7% | 1815年にフランスに落ちた「シャシニー」が名前の由来 |
| 細分類なし | 3 | 0.7% | 火星隕石とだけ登録 |
| 斜方輝石岩(OPX) | 1 | 0.2% | ALH 84001の1個だけ。ほぼ1種類の鉱物でできている |
| 普通輝石玄武岩 | 1 | 0.2% | 玄武岩の一種(1個のみ) |
| 多孔質の玄武岩 | 1 | 0.2% | 玄武岩の一種(1個のみ) |
火星隕石は、代表的な隕石の頭文字をとって「SNC隕石」とも呼ばれます。数ではシャーゴッタイトが圧倒的で、ALH 84001の年代を測った研究(Lapenほか、Science、2010年)によると、シャーゴッタイトの多くは約1億5,000万〜5億7,000万年前にできた若い岩石です。テガザ001は分類上は同じシャーゴッタイトですが、年代は桁違いに古いことが分かります。
見つかった場所:サハラ周辺が365個、マリは14個
| 見つかった場所 | 個数 | 割合 |
|---|---|---|
| 北西アフリカ(国名の記録なし) | 221 | 51.8% |
| アルジェリア | 48 | 11.2% |
| モロッコ | 38 | 8.9% |
| リビア | 20 | 4.7% |
| マリ | 14 | 3.3% |
| 西サハラ | 14 | 3.3% |
| モーリタニア | 7 | 1.6% |
| チュニジア | 2 | 0.5% |
| ニジェール | 1 | 0.2% |
| 南極 | 31 | 7.3% |
| オマーン | 20 | 4.7% |
| その他(米国3・ブラジル2・中国・チリ・ナイジェリア・エジプト・インド・フランス各1) | 11 | 2.6% |
出典:Meteoritical Bulletin Database(Internet Archive保存版)を当ブログが集計。「サハラ周辺」は表の上から9行(北西アフリカ〜ニジェール)の合計。名前が「Northwest Africa(NWA)」で始まる隕石は320個あり、うち国名まで記録されているものは各国に含めています。
サハラ砂漠と南極に集中している理由について、NASAの発表は「隕石は、何もない地形の中で目立つ砂漠や雪原で見つかることが多い」と説明しています。サハラ周辺で見つかり、国名など正確な発見地が記録されていないものは「北西アフリカ(Northwest Africa=NWA)+番号」の名前で登録されます。テガザ001は、国名がマリと記録されている14個のうちの1つで、登録には発見地点の座標も記載されています。
見つかった年代:2000年以降が94%、目撃された落下は5個だけ
| 発見・落下の年 | 個数 | 主なもの |
|---|---|---|
| 1980年代まで | 11 | 目撃落下のシャシニー(1815年)、シャーゴッティ(1865年)、ナクラ(1911年)、南極のALH 84001(1984年)など |
| 1990年代 | 15 | サハラ周辺7・南極5・オマーン2・米国1 |
| 2000年代 | 76 | サハラ周辺48・南極17・オマーン11。やまと隕石の火星隕石は13個中12個が1998年か2000年の発見 |
| 2010年代 | 185 | 最も多い10年間。サハラ周辺が173個(94%)。2011年に落下したティシント、ブラック・ビューティー(2011年)など |
| 2020年代(〜2026年) | 139 | サハラ周辺が136個。テガザ001(2022年)もここ |
年が不明の1個を除く。出典:Meteoritical Bulletin Database(同上)を当ブログが集計。
427個のうち、空から落ちてくるところが目撃された「落下隕石」はシャシニー(1815年・フランス)、シャーゴッティ(1865年・インド)、ナクラ(1911年・エジプト)、ザガミ(1962年・ナイジェリア)、ティシント(2011年・モロッコ)の5個だけです。残りはすべて、いつ落ちたか分からないまま地面で見つかった「発見隕石」です。登録されている重さを合計すると約405kgで、最も重いのは西サハラで見つかったアムガラ001(34.67kg)。テガザ001(799g)は重さで89番目です。
最古級の火星隕石ALH 84001・ブラック・ビューティーと比べると?
NASAは、テガザ001を「地球で見つかった最も古い3つの火星隕石の1つ」としています。残りの2つは、南極で見つかったALH 84001と、サハラで見つかったNWA 7034(通称ブラック・ビューティー)です。論文などで確認できた年代を並べました。
| 隕石 | 発見 | 種類 | 年代 |
|---|---|---|---|
| テガザ001 | 2022年・マリ | シャーゴッタイト(斑れい岩質の閃緑岩) | 少なくとも41億年(ジルコン41.11億年) |
| ALH 84001 | 1984年・南極 | 斜方輝石岩 | 40.91±0.30億年(ルテチウム・ハフニウム法) |
| NWA 7034(ブラック・ビューティー)とその仲間 | 2011年・モロッコほか | レゴリス角礫岩 | 岩としては約21億年。中のジルコンのかけらは44.28±0.25億年(NWA 7533) |
| 一般的なシャーゴッタイト | — | シャーゴッタイト | 約1.5億〜5.7億年 |
出典:テガザ001はScience Advances(2026年)、ALH 84001はLapenほか(Science、2010年)、NWA 7034はAgeeほか(Science、2013年)、NWA 7533のジルコンはHumayunほか(Nature、2013年)、一般的なシャーゴッタイトはLapenほか(2010年)。発見年・種類はMeteoritical Bulletin Database。

ALH 84001は、2010年の研究で年代が45.1億年から40.9億年に見直された岩石です。NASAによると、ほぼ1種類の鉱物でできていて、テガザ001と年代が近いものの、そこから読み取れる火星の歴史は限られます。
ブラック・ビューティーは、いろいろな岩のかけらが固まった角礫岩です。2018年の研究(Cassataほか)は、NWA 7034とその仲間を「火星隕石の中で最も古く、最も多様」としています。中のジルコンのかけらは44億年を超えますが、岩としての年代は約21億年で、Science Advancesの論文は、古いかけらが複雑に混ざり合った状態で、少なくとも約16億年前以降、長く変成や衝突の影響を受けてきたと指摘しています。

これに対しテガザ001は、マグマがゆっくり冷えて固まった岩石の形をそのまま残した、41億年以上前の火星の地殻です。NASAによると、その鉱物の組み合わせは、探査機マーズ・リコネッサンス・オービターが観測した火星の南半球の古い高地(クレーターの多い地域)と一致し、研究チームは成分が合う候補地を火星上に13か所挙げています。ただし、実際にどこから飛んできたのかを特定することはできないとしています。
「最古の火星隕石」とは言い切れません
中に含まれる鉱物のかけらの年代だけで比べれば、ブラック・ビューティーの仲間(44億年超)のほうが古くなります。NASAも「最も古いものの1つ」という表現にとどめています。テガザ001の新しさは「古さの記録」よりも、41億年以上前の火成岩が、できたときの鉱物の組み合わせを保ったまま届いた点にあります。
日本との関係は?南極の「やまと隕石」とMMXのフォボス試料
集計した南極の火星隕石31個のうち、日本の国立極地研究所(NIPR)が扱う「やまと隕石」が13個、「あすか隕石」が1個(ベルギー王立自然科学研究所との共同)の計14個(45%)あります。このほか、アラン・ヒルズA77005には日米共同(ANS-NIPR)の記載があります。中でもやまと000593は13.71kgあり、登録されているナクライト34個の中で最も重い隕石です。
もう1つの接点が、10月20日に打ち上げられたJAXAの火星衛星探査計画MMXです。JAXAのプレスキットは、火星の衛星フォボスの表面には「隕石衝突により火星表面から吹き飛ばされた火星隕石のかけら」が降り積もっていると考えられているとし、持ち帰る試料に紛れ込んだかけらから「火星表面層の化学組成と、その歴史を制約できる可能性がある」と説明しています。火星から飛んできた物質の濃度は、外側の衛星ダイモスより内側のフォボスのほうが2桁以上多いと推定されていることも、フォボスを選んだ理由の1つです。
地球にある火星隕石は、火星のどこから飛び出したのかが分からない「偶然届いたサンプル」です。テガザ001のような古い隕石の研究と、2031年度に地球に戻る予定のMMXの試料がそろうことで、火星の初期の地殻や水の歴史を別々の手がかりから確かめられるようになると期待されます。
今後どうなる?41億年前の火星の水を探る研究
テガザ001の研究はまだ始まったばかりです。6月のScience Advancesの論文は、岩の中のリン酸塩鉱物に残る水素の同位体から、41億年前の火星の水は、重水素の割合が地球の海水の少なくとも約2倍だったと見積もりました。論文は、この値が「若い火星の大気から水素が急速に宇宙へ失われた」とするモデルを支持するとしています。NASAの発表でも、共著者のリー・セイパー氏が、この隕石には「水と岩の反応、さらに水を失いつつあった火星の大気の跡まで記録されているかもしれない」と話しています。
リウ氏は「まだ表面をなでただけ」と話し、ほかの研究者による分析にも期待を示しています。NASAによると、粒ごとのルビジウム・ストロンチウム法を担当したカリフォルニア工科大学のチームは、この方法でさらに多くの火星隕石や、将来ほかの惑星・衛星・小惑星から持ち帰る試料の年代測定につなげたいとしています。
サハラの火星隕石についてよくある質問
Q. テガザ001はどこで見つかったのですか?
A. アフリカ西部マリの北部、サハラ砂漠です。国際隕石学会への登録では、2022年9月初めに、テガザの南南東約73kmで見た目の同じ石8個が見つかったとされています。総重量は799g、最大の1個は442gです。
Q. 41億年前という年代はどうやって測ったのですか?
A. 岩の中のジルコンという鉱物に含まれるウランと鉛の比から、41.11±0.13億年という年代が出ました。別の鉱物で測ったルビジウム・ストロンチウム法の年代(約42.4億年)とも重なります。これは火星の水による変質の時期とみられ、岩そのものは少なくとも41億年前にできたとされています。
Q. 火星隕石は地球に何個あるのですか?
A. 国際隕石学会のデータベース(2026年4月・8月の保存版)を当ブログが集計すると、正式に登録された火星隕石は427個でした。NASAは約435個としています。85.5%がサハラ砂漠とその周辺で、31個が南極で見つかっています。
Q. テガザ001は最も古い火星隕石ですか?
A. NASAは「最も古い3つのうちの1つ」としています。ALH 84001(約40.9億年)と年代が近く、ブラック・ビューティーの仲間には44億年を超えるジルコンのかけらが含まれます。テガザ001は、41億年以上前の火成岩の形をそのまま残している点が特徴です。
Q. 火星の石がなぜ地球に落ちてくるのですか?
A. 火星に大きな隕石が衝突したとき、表面の岩石が宇宙へはじき飛ばされ、軌道を変えながら最終的に地球に落ちてきます(NASAの説明)。テガザ001も、論文の要旨で「衝突によって宇宙へ放出される前」に火星の水と反応していたと書かれています。
あわせて読みたい
出典・参考資料
- NASA JPL「NASA-funded Study Details One of Oldest Mars Meteorites Ever Found」(2026年10月29日)
- Liu ほか「A Martian meteorite that formed ≳4.1 billion years ago samples Mars’ early crust and mantle」Science(2026年10月29日、DOI 10.1126/science.adz5646)
- Saper ほか「A Noachian hydrosphere component in the 4.1-Ga Martian meteorite Teghaza 001」Science Advances 12(24)(2026年6月12日)
- Meteoritical Bulletin Database「Teghaza 001」、火星隕石一覧(Internet Archive 2026年4月13日・8月20日・10月11日保存版を集計)
- Lapen ほか「A Younger Age for ALH84001…」Science 328(2010年)、Humayun ほか「Origin and age of the earliest Martian crust from meteorite NWA 7533」Nature 503(2013年)、Agee ほか「Unique Meteorite from Early Amazonian Mars」Science 339(2013年)、Cassata ほか Science Advances(2018年)
- U.S. Geological Survey「Radiometric Time Scale」(半減期)
- JAXA「火星衛星探査計画(MMX)プレスキット」(2026年9月18日)
- 報道:The New York Times(2026年10月30日)
数値は2026年10月31日(日本時間)時点で確認できたものです。火星隕石の個数・割合・年代別の集計と、半減期から求めた残存割合は、上記の資料をもとに当ブログが計算しました。写真:ALH 84001(NASA)、NWA 7034(NASA)はいずれもパブリックドメイン。アイキャッチ:Jeanne Menjoulet「Mali piste Paris-Dakar, désert, Sahara」(Wikimedia Commons、CC BY 2.0。リサイズ・文字入れ)。


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