FX・リスク管理
FXの週明けの窓は平均何pips?ドル円144週を全部数えた
金曜に持ち越したポジションが、月曜には知らない価格から始まっている。「窓(ギャップ)」がどれくらいの頻度で、どれくらいの幅で開くのかを、ドル円の144週ぶん1回ずつ計算しました。平均は23.3pips、中央値16.4pips。10pips超の窓は68%の週で発生し、100pips超は2%。最大は2025年10月6日の183.7pipsでした。そして最も重要なのは、窓は損切り注文をすり抜けるという事実です。
この記事の結論
- 窓の平均幅は23.3pips、中央値は16.4pips。144週のうち10pipsを超えたのは98週(68%)で、3週に2週は2桁の窓が開いています。
- 5pips以上の窓は85%の週で発生。窓は例外的な事故ではなく、週明けの標準的な状態です。
- 一方で大きな窓は稀です。50pips超は10%、100pips超は144週でわずか3週(2%)でした。
- 最大は2025年10月6日の183.7pips。上位3週はいずれも週末に相場の前提を変える出来事があった週です。
- 窓は逆指値(損切り)注文をすり抜けます。週をまたぐ想定損失は、損切り価格ではなく建玉の量で管理する必要があります。
結論:3週に2週は10pips以上の窓が開く
金曜の夜に持ち越したポジションが、月曜の朝には知らない価格になっている。これが「窓(ギャップ)」です。土日は為替市場が閉まっていますが、世界の出来事は止まりません。月曜の取引開始時には、その間のニュースをまとめて織り込んだ価格から始まります。
では実際にどれくらい開くのか。ドル円の週足の切れ目を144週ぶん、金曜の最終価格と月曜の最初の価格の差として1回ずつ計算しました。
平均は23.3pips、中央値は16.4pips。10pipsを超える窓は144週中98週で、割合にして68%。3週に2週は2桁の窓が開いている計算です。一方で50pipsを超えたのは15週(10%)、100pipsを超えたのはわずか3週(2%)でした。
5pips以上の窓は144週中123週、実に85%の週で発生しています。窓は例外的な事故ではなく、週明けの標準的な状態です。問題は大きさで、ふだんは十数pipsに収まるものが、年に数回だけ100pipsを超えます。
【実測】窓幅の分布
| 窓の大きさ | 該当週数 | 全体に占める割合 | どれくらいの頻度か |
|---|---|---|---|
| 5pips超 | 123週 | 85% | ほぼ毎週 |
| 10pips超 | 98週 | 68% | 3週に2週 |
| 20pips超 | 57週 | 40% | 5週に2週 |
| 30pips超 | 32週 | 22% | 月に1回程度 |
| 50pips超 | 15週 | 10% | 10週に1回 |
| 100pips超 | 3週 | 2% | 年に1回程度 |
※集計対象は2023年11月末〜2026年9月の144週。金曜の最終価格と翌月曜の最初の価格の差の絶対値。
方向には偏りがある
144週のうち、円安方向(上に開く)が92週、円高方向(下に開く)が52週でした。割合にすると64%対36%で、上に開くほうが明確に多い結果です。ただしこれは集計期間が円安トレンドの局面を多く含むためで、恒常的な性質とは言えません。大きく開いた回に限れば、上位2件は上と下で1件ずつです。
100pipsを超えた3週に何があったか
窓の大きさは「土日に何が起きたか」でほぼ決まります。上位8週を並べると、政治イベントが集中していました。
| 月曜日 | 金曜の終値 | 月曜の始値 | 窓幅 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月6日 | 147.487円 | 149.324円 | +183.7pips |
| 2025年4月7日 | 146.965円 | 145.159円 | -180.6pips |
| 2025年9月8日 | 147.394円 | 148.428円 | +103.4pips |
| 2025年10月13日 | 151.119円 | 151.926円 | +80.7pips |
| 2024年11月4日 | 152.946円 | 152.287円 | -65.9pips |
| 2024年10月28日 | 152.298円 | 152.955円 | +65.7pips |
| 2026年2月23日 | 154.989円 | 154.340円 | -64.9pips |
| 2026年3月9日 | 157.787円 | 158.400円 | +61.3pips |
※プラスは円安方向(上に開く)、マイナスは円高方向(下に開く)。
いずれも金曜の取引終了後から月曜の取引開始までの間に、相場の前提を変える出来事があった週です。選挙や政権人事、通商政策の発表など、週末に決まって週明けに反映されるタイプのイベントが並びます。
これが窓の本当の危険性です。逆指値(ストップ)注文は「その価格に達したら成行で決済する」という注文なので、窓が開いてその価格を飛び越えた場合、注文は窓の向こう側の価格で約定します。150.00円に損切りを置いていても、月曜が148.20円から始まれば、決済されるのは148.20円付近です。想定した損失額は守られません。
週またぎのポジションをどう扱うか
窓そのものは避けられません。避けられるのは「窓が開いたときに致命傷になる持ち方」のほうです。
- STEP 1持ち越すなら100pips開いても耐える建玉に絞る過去144週の最大は183.7pips。ただし100pips超は3回(2%)です。実務上は100pips逆行しても強制ロスカットにならない量が一つの目安になります。25倍のフルレバレッジでは20pipsの逆行で証拠金維持率が大きく削られます。
- STEP 2損切り注文を「効くもの」として計算しない窓を飛び越えた損切りは、置いた価格では約定しません。週をまたぐときの想定損失は、損切り価格ではなく建玉の量そのもので管理してください。
- STEP 3週末のイベント予定を金曜のうちに確認する100pips超の3週はいずれも週末に政治イベントがありました。選挙、党首選、主要国の首脳会談、通商政策の期限などは事前にわかります。予定がある週末だけ建玉を落とすという運用でも、上位の窓はかなり避けられます。
- STEP 4月曜の最初の1時間は様子を見る月曜の取引開始直後は参加者が少なく、窓の直後は値動きが荒くなりやすい時間帯です。窓が埋まるかどうかを当てにいくより、流動性が戻ってから判断するほうが分は良くなります。
「窓は埋まる」という言い回しが定番ですが、埋まるかどうか・いつ埋まるかは保証されていません。トレンドが継続する局面では、窓を埋めずにそのまま走ることも珍しくありません。窓埋めを前提にした逆張りは、埋まらなかった場合の損切り基準を先に決めてからにしてください。
そもそも週末はいつ閉まっていつ開くのか
為替市場は土曜の早朝に閉まり、月曜の朝に開きます。正確な時刻は会社によって多少異なりますが、実データ上は土曜の日本時間7時ごろまでで値動きが止まり、月曜は日本時間7時ごろから再開しています。この空白がおよそ48時間です。
注意したいのは、月曜の再開直後はニュージーランドやオーストラリアの参加者が中心で、取引量が薄いことです。そのためスプレッドが平常時より広がり、窓の直後にさらに振れやすくなります。窓の幅そのものより、窓+直後の荒さをセットで見る必要があります。
また、日本の祝日で東京市場が休みでも海外は動いているため、窓とは別に「東京が薄いまま海外だけで動く」局面も発生します。逆にクリスマスや年始は海外が薄くなります。
よくある質問
Q. FXの週明けの窓は平均どれくらい開きますか?
A. ドル円で平均23.3pips、中央値16.4pipsでした。2023年11月末から2026年9月までの144週を、金曜の最終価格と月曜の最初の価格の差として1回ずつ計算した結果です。10pipsを超えた週が68%、50pipsを超えた週が10%、100pipsを超えた週が2%でした。
Q. 窓が開くと損切り注文はどうなりますか?
A. 置いた価格では約定しません。逆指値注文は指定価格に達したら成行で決済する仕組みなので、窓がその価格を飛び越えた場合は窓の向こう側の価格で約定します。150.00円に損切りを置いていても月曜が148.20円から始まれば、決済は148.20円付近になります。週をまたぐ想定損失は損切り価格ではなく建玉の量で管理してください。
Q. これまでで一番大きな窓はどれくらいですか?
A. 今回の集計期間では2025年10月6日の月曜で、金曜終値147.487円から月曜始値149.324円へ183.7pipsの窓が開きました。次いで2025年4月7日の180.6pips(円高方向)です。いずれも週末に相場の前提を変える出来事があった週でした。
Q. 窓は必ず埋まりますか?
A. 保証はありません。「窓は埋まる」という言い回しは広く使われていますが、いつ埋まるか、そもそも埋まるかは事前にわかりません。トレンドが継続している局面では埋めずに走ることもあります。窓埋めを狙う場合は、埋まらなかったときの損切り基準を先に決めておく必要があります。
Q. 週をまたぐポジションはどれくらいの量にすべきですか?
A. 過去144週の最大窓は183.7pipsですが、100pips超は3回(2%)です。実務上は100pips逆行しても強制ロスカットにならない量が一つの目安になります。国内FXの最大レバレッジ25倍いっぱいで持つと、20pips台の逆行でも証拠金維持率が大きく削られます。
Q. 窓を避ける方法はありますか?
A. 金曜の取引終了前にポジションを決済してしまえば窓のリスクはなくなります。すべての週で決済するのが難しければ、選挙や主要国の政治イベントが予定されている週末だけ建玉を落とすという運用でも、大きな窓はかなり避けられます。100pips超の3週はいずれも週末に政治イベントがありました。
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出典・参考資料
- ドル円1時間足(2023年11月29日〜2026年9月16日/Yahoo Finance チャートAPI、JPY=X)を筆者が集計。金曜の最終足の終値と、翌月曜の最初の足の始値の差を1週につき1回算出
- 国内FXにゼロカットがない理由|追証の実データを12か月分数えた(窓で損失が証拠金を超えた場合の扱い)
- FXの証拠金維持率の目安は何%?
窓幅は筆者が1時間足データから独自に集計したものです。データ提供元の仕様により、各FX会社の実際の配信レートとは小数点以下で差が出ることがあります。過去の窓の大きさは将来を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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