FX・実測データ
FXは何時が一番動く?ドル円の時間帯別値幅を24時間ぶん実測
「FXは何時にやるべきか」という問いに、体感ではなく数字で答えます。ドル円の1時間足を2023年11月末から2026年9月まで、時間帯ごとに1本ずつ集計しました。結果は日本時間22時台が平均35.0pipsで最大、6時台が13.9pipsで最小。その差は2.5倍。さらに多くの解説記事が触れていない事実として、米国の夏時間と冬時間で「一番動く時間」が1時間ずれます。夏は21時台、冬は22時台が最大です。24時間すべての実測値を公開します。
この記事の結論
- 最も動くのは日本時間22時台で平均35.0pips。最も動かないのは6時台の13.9pipsで、同じ1時間でも2.5倍の差があります。
- 1日に山は3つあります。9時台(東京仲値・31.9pips)、16〜17時台(欧州勢参入・29.5pips)、21〜23時台(米指標とNY寄り・32〜35pips)です。
- 夏時間は21時台(37.8pips)、冬時間は22時台(39.1pips)が最大。米国の夏時間の切り替わりで、一番動く時間が毎年1時間ずれます。
- 「東京時間は動かない」は不正確です。9時台は31.9pipsで24時間中4番目。静かなのは仲値後の11〜14時台(20〜22pips)のほうです。
- 4〜7時台は値幅が小さいうえにスプレッドが広がりやすく、短期売買には最も不利な時間帯です。
結論:最も動くのは22時台、最も動かないのは6時台
「FXは何時にやるのがいいのか」は、体感や通説ではなく実測で答えが出ます。ドル円の1時間足を2023年11月29日から2026年9月16日まで、土曜早朝のクローズ帯を除いて1本ずつ集計しました。各時間帯の本数はおよそ580本から730本です。
結果はきれいに割れました。日本時間22時台の平均値幅は35.0pips、6時台は13.9pips。同じ1時間でも2.5倍の差があります。動く時間に入らなければ、そもそも利益も損失も生まれにくいということです。
集計結果を並べると、ドル円の値幅は1日に3回ふくらみます。①9時台(東京仲値)②16〜17時台(ロンドン勢の参入)③21〜23時台(欧州午後と米国指標・NY寄り)です。逆に谷は4〜7時台で、ニューヨークが引けてから東京が動き出すまでの空白にあたります。
【実測】24時間すべての平均値幅
日本時間の各時間帯について、1時間足の高値と安値の差(値幅)を平均した表です。中央値も併記しました。平均は突発的な急変動に引っ張られるため、いつもの姿を知りたいときは中央値を見てください。
| 時間帯(日本時間) | 平均値幅 | 中央値 | 最大値幅 | 本数 |
|---|---|---|---|---|
| 00:00〜01:00 | 29.6 | 25.5 | 165.9 | 577 |
| 01:00〜02:00 | 22.6 | 19.1 | 165.5 | 577 |
| 02:00〜03:00 | 20.1 | 16.6 | 270.1 | 578 |
| 03:00〜04:00 | 20.2 | 16.5 | 153.3 | 583 |
| 04:00〜05:00 | 17.9 | 13.5 | 220.9 | 583 |
| 05:00〜06:00 | 16.2 | 12.4 | 460.0 | 584 |
| 06:00〜07:00 | 13.9 | 12.2 | 111.8 | 584 |
| 07:00〜08:00 | 16.5 | 13.1 | 126.5 | 581 |
| 08:00〜09:00 | 21.5 | 17.9 | 171.7 | 665 |
| 09:00〜10:00 | 31.9 | 28.2 | 267.1 | 724 |
| 10:00〜11:00 | 28.5 | 24.8 | 293.7 | 725 |
| 11:00〜12:00 | 22.3 | 19.2 | 129.0 | 725 |
| 12:00〜13:00 | 20.1 | 16.4 | 225.5 | 725 |
| 13:00〜14:00 | 20.2 | 16.3 | 440.7 | 726 |
| 14:00〜15:00 | 21.5 | 18.3 | 190.6 | 726 |
| 15:00〜16:00 | 26.8 | 22.7 | 322.2 | 726 |
| 16:00〜17:00 | 29.5 | 24.3 | 269.7 | 724 |
| 17:00〜18:00 | 27.6 | 23.6 | 200.0 | 723 |
| 18:00〜19:00 | 23.2 | 20.3 | 172.4 | 722 |
| 19:00〜20:00 | 20.3 | 17.5 | 238.6 | 723 |
| 20:00〜21:00 | 20.8 | 18.5 | 195.5 | 724 |
| 21:00〜22:00 | 32.8 | 25.0 | 330.5 | 723 |
| 22:00〜23:00 | 35.0 | 28.4 | 323.8 | 723 |
| 23:00〜00:00 | 34.1 | 29.3 | 203.2 | 723 |
※単位はpips(ドル円の0.01円=1pips)。集計期間は2023年11月29日〜2026年9月16日。土曜早朝のクローズ直前の時間帯は除外。データはYahoo Financeのドル円1時間足。着色行は上位・下位の時間帯。
平均値幅を24時間ぶん足し合わせると573pipsになります。ただしこれは「1日で573pips動く」という意味ではありません。上下に行ったり来たりした分をすべて合計した数字で、実際の始値から終値までの変化はこれよりずっと小さくなります。どの時間帯に値動きが集中しているかを比べるための指標として見てください。
夏時間と冬時間で「一番動く時間」は1時間ずれる
ここが多くの解説記事で抜け落ちている点です。米国には夏時間(サマータイム)があり、3月の第2日曜から11月の第1日曜まで、米国発の経済指標もニューヨーク市場の時刻も日本時間で1時間前倒しになります。そこで期間を夏時間と冬時間に分けて集計し直しました。
| 時間帯(日本時間) | 夏時間の平均 | 冬時間の平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 21:00〜22:00 | 37.8pips | 23.0pips | 夏が14.8pips大きい |
| 22:00〜23:00 | 32.9pips | 39.1pips | 冬が6.2pips大きい |
| 23:00〜24:00 | 33.8pips | 34.8pips | ほぼ同じ |
| 00:00〜01:00 | 25.5pips | 37.8pips | 冬が12.3pips大きい |
| 09:00〜10:00 | 31.0pips | 33.6pips | 冬がやや大きい |
| 18:00〜19:00 | 20.9pips | 27.6pips | 冬が6.7pips大きい |
※夏時間は米国の夏時間期間(3月第2日曜〜11月第1日曜)、冬時間はそれ以外。
一番動く時間帯は、夏時間は21時台(37.8pips)、冬時間は22時台(39.1pips)と、きっちり1時間ずれています。夏時間の21時台と冬時間の21時台を比べると37.8pipsと23.0pipsで、同じ時計の針でも中身は別物です。
米雇用統計や米CPIの発表は米東部時間の朝8時30分です。日本時間では夏時間なら21時30分、冬時間なら22時30分。11月の第1日曜を境に、毎年1時間ずれます。「21時半にポジションを整理する」という運用は、11月から3月までは30分早すぎることになります。
時間帯ごとの性格:なぜそこで動くのか
9時台(31.9pips)――東京の仲値
東京時間で突出して動くのが9時台です。国内の銀行が対顧客レートの基準となる仲値を9時55分に決めるため、輸入企業などの実需のドル買いがこの時間に集中します。10時台も28.5pipsと高く、東京時間の山はこの2時間に収まります。ただし仲値をめぐる通説どおりに円安に傾くかは別の問題で、これは別記事で検証しました。
11時〜14時台(20〜22pips)――東京の谷
仲値が終わると失速します。昼休みをはさむ12時台は20.1pipsで、6時台に次ぐ低さの日中帯です。なお13時台の最大値幅は440.7pipsを記録していますが、これは日銀の金融政策決定会合の結果が昼に出る日の影響です。ふだんは静かなのに、月に1〜2回だけ跳ねる時間帯という性格です。
15時〜17時台(26〜30pips)――欧州勢の参入
15時台から明確に上向きます。ロンドン市場のオープンは冬時間で17時、夏時間で16時。その準備段階から取引が厚くなり、16時台は29.5pipsまで戻します。日中に仕事があって夜まで見られない人にとっては、15〜17時台が現実的な選択肢になります。
21時〜23時台(32〜35pips)――1日の本番
米国の経済指標、欧州市場の午後、ニューヨーク市場の寄り付きが重なります。1日の値動きの主要部分がここで作られます。ただし動くということは、狙った方向と逆にも同じだけ動くということでもあります。損切り注文を置かずにこの時間帯へ持ち込むのは、値幅の大きさをそのままリスクの大きさに変換する行為です。
4時〜7時台(14〜18pips)――流動性の谷
ニューヨークが引けてから東京が動き出すまでの空白です。6時台の13.9pipsは24時間で最小。この時間帯はスプレッドが広がりやすいのが実務上の注意点で、値幅が小さいうえに取引コストが上がるため、短期売買には最も向きません。なお5時台の最大値幅は460.0pipsに達していますが、これは週明けの窓が開いた回を含むためです。
会社員が現実的に取れる時間はどこか
時間帯の数字をそのまま生活に当てはめると、選択肢は絞られます。
- 出勤前8時台〜9時台:21.5→31.9pips仲値に向けて動き出す時間。9時55分を過ぎると失速するため、出社前の短い時間で完結させやすい一方、朝の慌ただしさと重なります。
- 日中11時〜14時台:20〜22pips最も静かな日中帯。仕事中にチャートを見るのは現実的でなく、値幅も出ません。日銀会合の日だけが例外です。
- 帰宅後16時〜17時台:29.5→27.6pips欧州勢の参入で戻る時間帯。早い時間に帰れる日は狙えます。夏時間と冬時間でロンドンの開始が1時間ずれる点に注意。
- 本番21時〜23時台:32.8→35.0→34.1pips値幅が最大になる時間。多くの会社員にとって唯一まとまって取れる時間でもあります。損切り注文を必ず置いてから入ること。
- 深夜〜早朝4時〜7時台:14〜18pips値幅が小さくスプレッドが広い、最も分の悪い時間帯。寝る前にポジションを持ち越すなら、この時間帯に損切りが刺さっても許容できる水準にしておく必要があります。
本記事の数字は「動きやすさ」であって「勝ちやすさ」ではありません。値幅が大きい時間帯は、同じだけ逆行の幅も大きくなります。22時台の平均35.0pipsに対して最大は323.8pips。平均の9倍を超える回が実際に存在するという事実のほうが、平均値より重要です。
よくある質問
Q. FXで一番動く時間帯はいつですか?
A. 日本時間の22時台です。2023年11月から2026年9月までのドル円1時間足で平均値幅35.0pipsでした。ただし米国の夏時間中は21時台(37.8pips)が最大になり、冬時間は22時台(39.1pips)が最大です。米国の夏時間は3月の第2日曜から11月の第1日曜までで、この切り替わりで1時間ずれます。
Q. 逆に動かない時間はいつですか?
A. 日本時間の6時台で、平均13.9pipsと24時間で最小でした。次いで5時台16.2pips、7時台16.5pips、4時台17.9pipsと、早朝が谷になります。ニューヨーク市場が引けてから東京市場が動き出すまでの空白の時間帯です。この時間帯はスプレッドも広がりやすく、値幅の小ささとコストの高さが重なります。
Q. 東京時間は動かないというのは本当ですか?
A. 半分は正しく、半分は誤りです。9時台は平均31.9pipsで、これは16時台(29.5pips)より大きく、24時間のなかでも4番目に大きい数字です。動かないのは仲値が終わった11時から14時台(20〜22pips)のほうです。東京時間全体が静かなのではなく、9〜10時に集中して11時以降に失速するという形です。
Q. サラリーマンはいつ取引すべきですか?
A. 値幅だけで選ぶなら21〜23時台です。ただし値幅が大きい時間帯は逆行の幅も大きくなるため、損切り注文を置ける状態であることが前提になります。早く帰宅できる日は16〜17時台も選択肢です。逆に深夜3時以降まで粘るのは、値幅が縮む一方で睡眠を削るため割に合いません。
Q. この数字はドル円以外にも当てはまりますか?
A. 本記事の集計はドル円のみです。ユーロドルやポンド円は欧州時間の比重がさらに大きくなり、時間帯の山の形が変わります。一方でクロス円全般は東京仲値の影響を受けるため、9時台に山ができる傾向は共通しやすいと考えられます。
Q. 経済指標の日はどれくらい動きますか?
A. 別記事で実測しましたが、FOMCの結果発表の1時間は平常の4.6〜5.3倍、米雇用統計の発表時刻は夏時間で3.29倍の値幅になります。本記事の平均値は指標がない日も含めた全体平均なので、指標日はこの表の数倍を見込む必要があります。
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出典・参考資料
- ドル円1時間足(2023年11月29日〜2026年9月16日/Yahoo Finance チャートAPI、JPY=X)を筆者が集計
- 米連邦準備制度理事会 FOMC Calendars(米国夏時間の期間および指標発表時刻の確認)
- 日本銀行「金融政策決定会合の運営」(昼の時間帯が跳ねる日の特定)
本記事の数値は筆者が1時間足データから独自に集計したものです。データ提供元の仕様により、実際の各FX会社の配信レートとは小数点以下で差が出ることがあります。値幅の大きさは将来の値動きを保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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