明治安田生命は10月22日、学資保険「つみたて学資」の予定利率を1.85%から2.10%に上げると発表しました。2026年12月1日の契約から変わります。ただ、この2.10%は払ったお金がそのまま増える利回りではありません。公表された保険料と受取額から、実際の年利を計算し直しました。
(現行1.85%)
(契約者30歳男性)
直すと(編集部試算)
契約日から適用
結論:予定利率2.10%でも、実際の年利は約1.75%
先に答えを書きます。明治安田生命の発表資料にある契約例(子ども0歳・月払い・受取総額280万円)を年利に直すと、10歳で払い終えるプランで年約1.76%、15歳で払い終えるプランで年約1.74%になりました。予定利率の2.10%より0.35ポイントほど低くなります。
それでも、改定前と比べると年利は約0.26ポイント上がります。10歳払込のプランは月の保険料が681円下がり、受取額280万円は同じです。学資保険を考えている家庭にとっては、12月1日以降の契約日を選ぶ意味がある改定です。
さらに、学資保険の保険料は生命保険料控除の対象です。控除の枠が空いている人は、税金が減る分まで入れると年利は約1.9〜2.1%になります。逆に、ほかの保険ですでに控除の上限を使っている人には、この上乗せはありません。
この記事の立場
明治安田生命と富国生命の発表資料をもとに、学資保険の利回りを計算した記事です。年利は編集部の試算で、保険会社の公表値ではありません。特定の保険商品への加入をすすめるものではありません。
明治安田「つみたて学資」は何が変わる?
明治安田生命が2026年10月22日に出した発表によると、改定の中身は次の3つです。
- 予定利率:1.85% → 2.10%(+0.25ポイント)
- 適用:2026年12月1日以降の契約日の契約から
- 契約者の年齢の上限:子どもが0〜1歳なら66歳まで(現行64歳)など、2歳ずつ広がる
時事通信は、この水準を2001年以来、25年ぶりと伝えています。背景にあるのは国内の金利の上昇です。明治安田は、改定後の受取率を「業界最高水準」(2026年10月時点、同社調べ)としています。
発表資料の契約例は、子ども0歳(男の子)・月払い・基準保険金額70万円です。受取総額は280万円で、子どもが18歳・19歳・20歳・21歳のときに70万円ずつ、4回受け取ります。
| 払込満了 | 月の保険料 | 払う総額 | 受取率 |
|---|---|---|---|
| 10歳・改定後 | 18,098円 | 217.2万円 | 128.9% |
| 10歳・改定前 | 18,779円 | 225.3万円 | 124.2% |
| 15歳・改定後 | 12,607円 | 226.9万円 | 123.3% |
| 15歳・改定前 | 13,014円 | 234.3万円 | 119.5% |
10歳払込のプランで見ると、払う総額は約8.2万円少なくなり、受け取る280万円は変わりません。15歳払込のプランでも、払う総額は約7.3万円減ります。
受取率128.9%は年何%?保険料と受取額から計算
受取率128.9%は「払った額の1.289倍を受け取れる」という意味です。ただ、お金は0歳から10歳まで少しずつ払い、18歳から21歳にかけて受け取ります。何年預けたことになるかで、年利は変わります。
そこで、毎月の保険料を払った日と、70万円を受け取る日をそのまま並べ、預金の複利に直すと年何%になるかを計算しました(内部収益率)。
| プラン | 予定利率 | 受取率 | 年利に直すと |
|---|---|---|---|
| 10歳払込・改定後 | 2.10% | 128.9% | 約1.76% |
| 15歳払込・改定後 | 2.10% | 123.3% | 約1.74% |
| 10歳払込・改定前 | 1.85% | 124.2% | 約1.50% |
| 15歳払込・改定前 | 1.85% | 119.5% | 約1.48% |
受取率は10歳払込のほうが5ポイント以上高いのに、年利はほとんど同じです。早く払い終えるぶん、お金を長く預けているからです。受取率の高さだけでプランを比べると、早く払い終えるプランが実際以上によく見えます。
なぜ予定利率より低くなる?
予定利率は、保険会社が保険料を計算するときに使う運用利回りです。払った保険料の全部に2.10%がつくわけではありません。主な理由は2つあります。
- 保険会社の経費が引かれる保険料には、契約の管理や販売にかかる費用(付加保険料)が含まれます。予定利率で増えるのは、そこを除いた部分です。
- 親に万一のことがあったときの保障がつくこの契約例は、契約者が亡くなったときなどに以後の保険料が免除されるタイプです。その保障の分も保険料に入っています。発表資料でも、契約者が50歳だと受取率は126.3%に下がります(10歳払込・男性)。
貯蓄型の保険で「予定利率=自分の利回り」にならないのは、終身保険でも同じです。終身保険の例は予定利率2.25%の終身保険は実質1.75%で計算しています。
生命保険料控除を入れると年利はどう変わる?
学資保険の保険料は、生命保険料控除の「一般の生命保険料」に入ります。10歳払込のプランなら年間の保険料は約21.7万円なので、所得税の控除は上限の4万円、住民税の控除は上限の2.8万円になります。
| 所得税の税率 | 年に減る税金 | 10歳払込の年利 | 15歳払込の年利 |
|---|---|---|---|
| 5% | 約4,800円 | 約1.91% | 約2.00% |
| 10% | 約6,900円 | 約1.98% | 約2.12% |
| 20% | 約11,000円 | 約2.11% | 約2.35% |
控除を入れると、こんどは払込期間が長い15歳払込のほうが年利が高くなります。控除を受けられる年が5年多いからです。
なお、2026年分と2027年分は、23歳未満の子どもがいる人の一般の生命保険料控除の上限が4万円から6万円に上がっています(所得税のみ)。学資保険に入る家庭はほぼ当てはまるので、この2年は上の表より少し有利になります。書き方は保険料控除申告書2026の書き方にまとめました。
預金と比べるなら税引前で約2.2%
預金の利息には約20%の税金がかかります。学資保険と同じ年約1.75%を税引き後に得るには、税引前でおよそ2.2%の金利が必要です。学資保険の受取額は一時所得で、特別控除50万円があります。利益は10歳払込のプランで総額約63万円なので、課税されても対象は小さくなります。
富国生命「みらいのつばさ」はどうか
学資保険の予定利率は、明治安田だけが上げているわけではありません。富国生命は2026年4月1日に、予定利率を1.15%から2.00%に上げた新しい「みらいのつばさ」を出しています。
| 払込満了 | 月の保険料 | 返戻率(新) | 返戻率(旧) |
|---|---|---|---|
| 5歳(新設) | 25,368円 | 131.3% | - |
| 11歳 | 12,231円 | 123.8% | 109.5% |
| 14歳 | 9,920円 | 120.0% | 107.3% |
| 17歳 | 8,439円 | 116.1% | 105.1% |
2社の大きな違いは配当があるかどうかです。明治安田のつみたて学資は無配当で、受取額は契約したときに決まります。富国のみらいのつばさは有配当で、加入後に金利が上がれば配当で受取額が増える可能性があります。そのかわり、予定利率は明治安田より0.10ポイント低くなっています。受取の時期や型も違うため、返戻率をそのまま比べることはできません。
学資保険で気をつけたいこと
途中で解約すると、払った額より少ない額しか戻らない時期が長く続きます。また、無配当の学資保険は契約した時点の利率で固定されます。今後さらに金利が上がっても、受取額は増えません。物価が上がれば、280万円で払える学費は目減りします。
学資保険とこどもNISA、どちらを選ぶ?
2027年1月からは、0〜17歳が使える「こどもNISA」で投資信託の積み立てができるようになります。学資保険とは、ねらいがまったく違います。
| 学資保険(明治安田) | こどもNISA | |
|---|---|---|
| 増え方 | 契約時に決まる(年約1.75%) | 運用次第。元本割れもある |
| 親に万一のとき | 以後の保険料が免除 | 積み立ては止まる |
| 途中で引き出す | 解約すると元本割れしやすい | 小6の1月から(教育費などに限る) |
| 税金 | 一時所得(特別控除50万円)+生命保険料控除 | 運用益が非課税 |
大学の入学金など「18歳でこの金額は必ず用意したい」部分は学資保険、それ以上に増やしたい部分はNISA、と分けて考える家庭が多いようです。こどもNISAで実際にいくらになったかは、こどもNISAはいつから?18歳で2300万円は本当か過去55年で検証で計算しています。
学資保険を選ぶ前に確かめたい3つのこと
- 12月1日以降の契約日になるか明治安田の改定は契約日で決まります。申し込んだ日と契約日がずれることがあるので、窓口で確かめてください。
- 受取率ではなく、受け取る時期と総額で比べる受取率が高いプランは、早く払い終えるぶん月の負担が重くなります。家計で無理なく払える月額かが先です。
- 生命保険料控除の枠が空いているかほかの生命保険で一般の生命保険料控除をすでに上限まで使っていると、税金は減りません。手元の控除証明書を確認してください。
商品ごとの条件を自分で比べるのが大変なときは、保険の無料相談で複数社の学資保険を並べてもらう方法もあります。相談は無料で、すすめられた商品に入る義務はありません。本記事は特定の保険商品や相談サービスをおすすめするものではありません。
学資保険の予定利率についてよくある質問
Q. 11月に申し込むと、新しい予定利率になりますか?
A. 明治安田生命の改定は「2026年12月1日契約日分から」です。申し込んだ日ではなく契約日で決まるため、11月の申し込みでも契約日が12月1日以降になれば新しい利率になる場合があります。契約日の決まり方は、申し込む前に窓口で確かめてください。
Q. すでに入っている学資保険の利率も上がりますか?
A. 上がりません。予定利率は契約したときのものが満期まで続きます。今回の改定は新しく契約する人が対象です。入り直すと、子どもや親の年齢が上がって保険料が変わるうえ、解約した契約は元本割れになりやすいので注意が必要です。
Q. 受取率と返戻率は同じものですか?
A. ほぼ同じ意味です。明治安田は「受取率」、富国生命は「返戻率」と呼び、どちらも受け取る総額を払った保険料の総額で割った割合です。年あたりの利回りではないので、払込期間が違うプランを比べるときは年利に直して比べてください。
Q. 学資保険を受け取ったときに税金はかかりますか?
A. 保険料を払った人と受け取る人が同じなら、一時所得として所得税の対象になります。受取額から払った保険料を引き、さらに特別控除50万円を引いた残りの半分が課税対象です。この記事の契約例(10歳払込)は利益が総額約63万円なので、課税されても対象額は小さくなります。
Q. 学資保険の予定利率はこれからも上がりますか?
A. 決まっていません。予定利率は国内の金利をもとに保険会社が決めるため、長期金利が上がり続ければ再び上がる可能性はあります。ただ、待っている間に子どもや親の年齢が上がると保険料も変わるので、利率だけを理由に先送りするのはおすすめしません。
まとめ:2.10%は実質約1.75%。12月以降の契約日が有利
明治安田生命の学資保険は、2026年12月1日の契約日から予定利率が2.10%に上がります。公表された契約例を年利に直すと約1.74〜1.76%で、改定前より約0.26ポイント上がります。生命保険料控除の枠が空いていれば、税金が減る分を入れて年約2%前後です。
受取率は早く払い終えるプランほど高く見えますが、年利にするとほとんど差はありません。「18歳でいくら必要か」と「月にいくら払えるか」を先に決めてから、商品を比べてください。
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【出典】明治安田生命「「明治安田生命つみたて学資」の保険料率および契約者年齢範囲の改定」(2026年10月22日)/富国生命「新学資保険「みらいのつばさ」の発売について」(2026年3月25日)/国税庁タックスアンサー「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」/国税庁タックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」/時事通信(2026年10月22日配信)。改定前の保険料・受取率は発表資料の現行差からの逆算、年利と控除を入れた年利は編集部の計算です。


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