競馬で150万円当たったら税金はいくら?確定申告のやり方と注意点
「三連単が当たって100円が150万円に。でも税金がかかるって本当?」——本当です。競馬の払戻金は一時所得として課税され、150万円なら税額の目安は約10万〜15万円。しかも外れ馬券は1円も経費になりません。年間収支がマイナスでも課税されうる仕組みを、国税庁・JRAの公開資料をもとに解説します。
2026年8月29日 公開/出典:国税庁・JRAの公表資料(記事末尾にリンク)
この記事の内容は、当ブログ制作の解説動画でもご覧いただけます(約20分)。記者ずんだもんが、税理士・実際に万馬券を当てた会社員・FPなど5件を取材しています。
15万円150万円当たった場合の税額目安
2/16〜3/15確定申告の期間
- 競馬の払戻金は一時所得。(受取額−当たり馬券代−50万円)×1/2が課税対象になる。
- 外れ馬券は経費にならない。年間トータルで負けていても、大きな当たりが出た年は課税されうる。
- ネット投票は購入も払戻も全記録が残る。当たったら記録を残し、翌年2/16〜3/15に確定申告。
結論:競馬の払戻金には税金がかかる|計算式は4ステップ
競馬・競輪・オートレース・ボートレースといった公営競技の払戻金は、所得税法上の一時所得に区分されます。一時所得とは、働いた対価ではない「たまたまの臨時収入」のこと。懸賞の賞金や福引きの当せん金と同じ引き出しに、馬券の払戻金も入ります。
国税庁のリーフレット「払戻金の支払を受けた方へ」が示す計算手順は、次の4ステップです。
- 1年間の払戻金の受取額を合計する1月〜12月に受け取った払戻金の合計。外れたレースは受取額に含めません。
- 当たり馬券の購入額を合計する差し引けるのは「当たった馬券そのもの」の購入費だけです。
- ①−②−特別控除50万円を計算する年間の利益が50万円以下なら、この時点でゼロ=課税されません。
- 残りを半分(×1/2)にするこの金額が「課税される一時所得」。給与など他の所得に上乗せされます。
150万円の馬券が当たった場合の計算例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 払戻金の受取額 | 1,500,000円 |
| 当たり馬券の購入額 | −100円 |
| 特別控除 | −500,000円 |
| 小計 | 999,900円 |
| 課税される一時所得(×1/2) | 499,950円 |
約50万円が給与などに上乗せされて課税されます。年収500万円前後の会社員(所得税率10%区分)なら所得税+住民税でおよそ10万円、所得税率20%区分の人ならおよそ15万円。150万円の当たりのうち、1割弱が税金になるイメージです。
外れ馬券は経費にならない|年間収支がマイナスでも課税
ここが競馬の税金でいちばん誤解されているところです。計算式で引けるのは「当たり馬券の購入額」だけ。同じ年にほかのレースでいくら外れ馬券を買っていても、その分を差し引くことはできません。国税庁のリーフレットにも「外れ投票分(払戻金のない投票)は受取額・投票額ともに計算に含みません」と明記されています。
年間トータルの収支が赤字でも、50万円を超える当たりが出た年には税金が発生しうる——当たった馬券だけを見て計算する仕組みだからです。理不尽に感じるかもしれませんが、これが現在のルールです。
例外は「プロ級の買い方」だけ|外れ馬券をめぐる最高裁判決
「外れ馬券が経費として認められた裁判があったのでは?」と思った方もいるでしょう。確かに、平成27年と平成29年の最高裁判決では、外れ馬券の購入費が必要経費として認められました。ただしこれは、予想ソフトや独自の基準でほぼ全レースの馬券を年間を通じて買い続け、年間トータルで利益を上げていたという極めて特殊なケースで、所得区分も「雑所得」と判断されたものです。
判決を受けて国税庁は取り扱いを整理しましたが、そこでも「一般の競馬愛好家の方につきましては、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できません」と明言しています。週末にレースを楽しむ普通のファンは、まずこちらに該当します。
税金はいくら?払戻額別の目安早見表
当たり馬券の購入額を1,000円、給与所得のある会社員と仮定した場合の目安です。税額は所得や控除の状況で変わります。
| 年間の払戻金 | 課税される一時所得 | 税額の目安(所得税+住民税) |
|---|---|---|
| 50万円 | 0円 | かかりません |
| 90万円 | 約20万円 | 所得税の申告不要ラインの目安 |
| 150万円 | 約50万円 | 約10万〜15万円 |
| 300万円 | 約125万円 | 約25万〜38万円 |
| 1,000万円 | 約475万円 | 約140万円前後 |
大きく当てるほど累進課税の階段を上がっていくため、税額の割合も重くなっていきます。
確定申告が必要な人・不要な人の線引き
年末調整で税金の手続きが終わっている会社員には、「給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要」というルールがあります。一時所得は半分にしてから数えるので、馬券だけなら年間の払戻金がおよそ90万円以下なら所得税の確定申告は不要という計算になります(90万円−50万円=40万円、その半分=20万円)。
- 給与1か所・年末調整済みの会社員
- 馬券の年間受取が約90万円以下
- 年間の当たりの利益が50万円以下(そもそも課税対象なし)
- 150万円の当たりなど、課税一時所得が20万円を超える
- もともと確定申告をする人(自営業・医療費控除など)は金額にかかわらず記載が必要
- 公営競技以外にも副収入があり合計20万円を超える
20万円以下申告不要のルールは所得税(国税)だけの制度です。住民税には同じルールがなく、厳密には一時所得が少額でも市区町村への住民税の申告が別途必要になります。詳しくはお住まいの市区町村の窓口で確認してください。
確定申告の際、住民税の納付方法で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと、馬券分の住民税が会社の給与天引きに上乗せされない方法もあります。運用は自治体により異なるため、税務署や市区町村で確認するのが確実です。
確定申告のやり方|当たったらやることは3つだけ
- 記録する「開催日・開催場・レース」「受取額」「その馬券の購入額」の3点をノートやスマホに控える。ネット投票なら該当画面のスクリーンショットでも代用できます(国税庁の案内より)。
- 計算する国税庁サイトの「公営競技の払戻金に係る所得の計算書」(エクセル)に入力すれば、一時所得の金額が計算できます。
- 申告する翌年2月16日〜3月15日に「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成。金額を入れれば税額は自動計算されます。
期限をカレンダーにすると次のとおりです。2026年の秋に当たった場合の例で示します。
- 当たった日記録3点セットを残す開催日・レース、受取額、購入額。ネット投票なら画面の写しを保存しておけばOKです。
- 2027年2月16日〜3月15日確定申告国税庁「確定申告書等作成コーナー」で作成・提出。所得税はこのときに納付します。
- 2027年6月ごろ〜住民税の納付申告内容をもとに住民税の通知が届きます。「自分で納付」を選んだ場合は納付書で支払います。
申告しないとバレる?|ネット投票の記録とJRAの情報提供
「馬券の税金なんて、誰も払っていない」——競馬ファンの間でよく聞く言葉ですが、これは危険な思い込みです。理由は3つあります。
①ネット投票は購入も払戻も全部記録が残る
いまや馬券の大半は電話・インターネット投票で買われています。アカウントには、いつ・どのレースを・いくら買って・いくら受け取ったかがすべてデータで残っています。税務調査で照会されれば、ごまかしようがありません。
②JRAは高額払戻の情報を国税に提供している
JRAは公式サイトで、1発売単位(100円)あたり1,000万円以上の払戻を受けた電話・インターネット投票会員の情報を、国税通則法にもとづき国税当局へ提供することを明らかにしています。超高額の的中は、申告する前から把握されていると考えるべきです。
③実際に多額の追徴課税を受けた事例が相次いでいる
高額の払戻金を申告せず、数千万円規模の追徴課税を受けた事例は繰り返し報道されています。有名なのはお笑い芸人・じゃいさんのケースです。
2022年、じゃいさんは「競馬の払戻金への追徴課税で、マンションが買えるくらいの金額を請求された」と自ら公表しました。払戻は約6,400万円と報じられています。じゃいさん側は「外れ馬券も経費のはず」と主張しましたが、国税の判断は「一時所得」——外れ馬券は認められませんでした。
※本人のYouTubeでの公表および各社報道より無申告が発覚すると、本来の税金に無申告加算税が上乗せされ、遅れた日数分の延滞税もつきます。仮装・隠蔽など悪質と判断されれば、さらに重い重加算税の対象です。「あとから払う」は、必ず「多く払う」になります。
宝くじは非課税なのに馬券は課税?線引きと見直し議論
「同じギャンブルなのに、宝くじは非課税で馬券は課税なのはおかしい」という声は根強くあります。整理すると次のとおりです。
| 種類 | 税金の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 宝くじ | 非課税 | 当せん金付証票法13条 |
| サッカーくじ(toto・BIG) | 非課税 | スポーツ振興投票法 |
| 競馬・競輪・オート・ボート | 課税(一時所得) | 所得税法34条 |
「外れ馬券も含めた年間収支で課税すべき」「払戻金を非課税にすべき」といった見直しの議論は、国会でもたびたび取り上げられています。ただし2026年8月時点でルールは変わっていません。今のルールを知って、当たった人があとから泣かないことが先決です。
よくある質問
Q. 競馬の払戻金はいくらから税金がかかりますか?
A. 年間の当たりの利益(受取額−当たり馬券の購入額)が特別控除の50万円を超えると、課税対象が発生します。給与所得のある会社員なら、馬券だけの場合、年間の払戻金がおよそ90万円以下であれば所得税の確定申告は不要という計算になります(住民税の申告は別途必要です)。
Q. 年間トータルでは負けています。それでも税金がかかりますか?
A. かかりえます。外れ馬券の購入費は経費として引けないため、年間収支が赤字でも、50万円を超える当たりが出た年には課税対象が発生します。一般の競馬愛好家の場合、これが現在のルールです。
Q. 窓口で現金で払い戻せば記録は残りませんか?
A. 申告義務は購入方法にかかわらず同じです。なお、ネット投票は全記録が残るほか、100円あたり1,000万円以上の払戻はJRAから国税当局へ情報提供されます。無申告が発覚すれば加算税・延滞税の対象になるため、正しく申告することを強くおすすめします。
Q. WIN5や地方競馬、競輪・ボートレースも同じ扱いですか?
A. 同じです。中央競馬・地方競馬のほか、競輪・オートレース・ボートレースの払戻金も一時所得として同じ計算式で課税されます。法律で非課税と定められているのは宝くじとサッカーくじだけです。
Q. 確定申告はいつ、どこですればいいですか?
A. 当たった年の翌年2月16日〜3月15日に、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(Web)から申告できます。開催日・レース・受取額・購入額の記録(ネット投票なら画面の写し)を用意しておくとスムーズです。
まとめ:当たった喜びは税金と半分こ|記録と申告が残りを守る
- 競馬の払戻金は一時所得。(受取額−当たり馬券代−50万円)×1/2が課税対象。150万円なら税額の目安は約10万〜15万円。
- 外れ馬券は経費にならない。年間収支がマイナスでも課税されうる。例外はプロ級の買い方だけ。
- 会社員は年間払戻約90万円以下なら所得税の申告不要(住民税は別)。超えたら記録3点セット→翌年2月16日〜3月15日に確定申告。
大きな当たりは、競馬ファンにとって人生の記念日です。その記念日を、翌年の追徴課税で苦い思い出にしないために——「当たったら、ノートと申告」。これだけ覚えて帰ってください。
※本記事は国税庁・JRAの公開資料にもとづく一般的な税制の解説です。税額は所得や控除の状況により変わります。個別の税務判断は税務署または税理士にご確認ください。馬券の購入は20歳になってから。無理のない範囲で競馬を楽しみましょう。
- 国税庁「公営競技の払戻金の支払を受けた方へ」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/koueikyougi/
- 国税庁「競馬の馬券の払戻金に係る課税について」(平成30年7月)https://www.nta.go.jp/information/other/data/h30/keiba/index.htm
- JRA「払戻金の支払を受けた方へ」https://jra.jp/company/social/taxation/


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