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住宅ローン固定金利、11月はなぜ下がる?大手4行下げと返済額の差
大手5銀行は10月30日、11月に新しく借りる人向けの住宅ローン金利を発表しました。代表的な10年固定型の最優遇金利は4行が引き下げ、三菱UFJ銀行だけが引き上げています。各行の公式サイトで11月と10月の金利を並べて下げ幅を計算し、財務省の国債金利データで10月の長期金利の動きを確かめ、3,000万円を35年で借りた場合の毎月の返済額も試算しました。
この記事の結論
- 11月の10年固定(最優遇)は、三井住友信託銀行が0.52%、三井住友銀行が0.30%、みずほ銀行が0.20%、りそな銀行が0.14%引き下げ。三菱UFJ銀行は0.14%引き上げて3.89%です。5行平均は4.104%から3.90%へ0.204%下がりました。
- 背景は長期金利の低下です。財務省のデータで10年国債の利回りは10月7日に3.111%と1996年8月以来の高さをつけた後、10月26日に2.824%まで下がり、29日は2.876%でした。9月末からは0.181%の低下です。
- 3,000万円・35年・元利均等で試算すると、毎月の返済額は三井住友信託で9,780円減り、三菱UFJでは2,488円増えます。
- 11月の10年固定がいちばん低いのはみずほ銀行の3.40%で、10月も最安だった同行がさらに差を広げました。10月は2番目に低かった三菱UFJは3番目になり、みずほとの差は0.15%から0.49%に開きました。
- 変動型は5行とも据え置きで、最も低い三菱UFJ(1.195%)と10年固定の差は、同じ銀行で2.695%あります。どちらがよいかは、借入額・返済期間・家計の余裕で変わります。
11月の住宅ローン固定金利はどう変わった?大手5行の10年固定を一覧
共同通信によると、国内大手5銀行は30日、11月に適用する住宅ローン金利を発表しました。10年固定型の最優遇金利(条件を満たした場合のいちばん低い金利)を、10月と11月で並べると次のとおりです。11月の数字は、りそな銀行を除く4行の公式サイトで10月31日に確認しました。
| 銀行 | 10月 | 11月 | 前月比 | 11月の確認元 |
|---|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 3.75% | 3.89% | +0.14% | 公式サイト |
| 三井住友銀行 | 4.00% | 3.70% | −0.30% | 公式サイト |
| みずほ銀行 | 3.60% | 3.40% | −0.20% | 公式サイト |
| りそな銀行 | 4.205% | 4.065% | −0.14% | 共同通信 |
| 三井住友信託銀行 | 4.965% | 4.445% | −0.52% | 公式サイト |
| 5行平均 | 4.104% | 3.90% | −0.204% | 筆者計算 |
10年固定の最優遇金利(年率)。三菱UFJは「最初に大きな優遇コース」、三井住友は「最初にぐっと引下げプラン」(店頭金利6.30%から2.6%引き下げ)、みずほは「ローン取扱手数料型」、三井住友信託は「融資手数料型」の金利です。りそなの公式サイトは10月31日時点で10月1日現在の4.205%の表示だったため、11月は共同通信の数字を載せています。10月の数字は当ブログの10月1日の記事で各行の公式サイトなどから確認したものです。三井住友信託の11月の金利は11月2日から30日までの借入に適用されます。
共同通信は下げ幅を「0.140~0.520%」と伝えており、表の計算と一致します。下げ幅がいちばん大きかった三井住友信託銀行は、10月に0.77%と5行で最も大きく上げていた銀行です。5行のうち最も高い金利と最も低い金利の差は、10月の1.365%から11月は1.045%に縮まりました。
朝日新聞によると、3メガバンクの10年固定の基準金利(店頭金利)の平均は6.157%、最優遇金利の平均は3.663%で、ともに10月から下がります。朝日新聞は、3メガ平均の固定金利が比較可能な2006年4月以降で最も高い水準を15か月連続で更新してきたと伝えており、11月でその記録が止まる形です。表の3行の11月の最優遇金利(3.89%・3.70%・3.40%)を平均すると3.663%で、報道の数字と一致しました。
なぜ三菱UFJ銀行だけ引き上げたのか?2か月で見ると別の姿
三菱UFJ銀行の公式サイトでは、2026年11月1日現在の10年固定は年3.89%(店頭表示金利6.67%)です。朝日新聞によると、同行は基準金利を0.14%引き上げました。各社の報道では、なぜ同行だけが上げたのかの説明は見当たりません。
そこで、9月から11月までの2か月の動きで見ると、5行の違いがわかりやすくなります。9月の金利は、当ブログの10月1日の記事の数字(10月の金利から前月比を引いたもの)です。
| 銀行 | 9月 | 10月 | 11月 | 2か月の変化 |
|---|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 3.63% | 3.75% | 3.89% | +0.26% |
| 三井住友銀行 | 3.70% | 4.00% | 3.70% | 据え置き |
| みずほ銀行 | 3.45% | 3.60% | 3.40% | −0.05% |
| りそな銀行 | 3.955% | 4.205% | 4.065% | +0.11% |
| 三井住友信託銀行 | 4.195% | 4.965% | 4.445% | +0.25% |
10年固定の最優遇金利。9月は10月の金利から10月の前月比を引いて算出(りそなの9月3.955%は公式サイトの表示と一致)。
10月に三菱UFJ銀行が上げたのは0.12%で、5行で最も小さい上げ幅でした。2か月を通すと、三菱UFJ(+0.26%)と三井住友信託(+0.25%)はほぼ同じだけ上がり、三井住友銀行は9月と同じ水準、みずほ銀行は9月より0.05%低くなっています。10月に小さく上げた銀行が11月も上げ、10月に大きく上げた銀行が11月に大きく下げたという並びです。各行が何を基準に金利を決めているかは公表されていないため、これが理由だとは言えませんが、「11月に下げた銀行=安くなった銀行」とは限らない点は押さえておきたいところです。
なぜ固定金利が下がったのか?10年国債の利回りは10月7日がピーク
固定型の住宅ローン金利は、長期金利(10年国債の利回りなど)を目安に決まります。共同通信は今回の引き下げについて「最近の長期金利の低下などを反映したとみられる」と伝えています。財務省が毎日公表している国債金利情報(10年)を、2026年1月から月ごとに集計しました。
| 月 | 平均 | 最低 | 最高 | 月末 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年1月 | 2.203% | 2.083% | 2.33% | 2.247% |
| 2026年2月 | 2.198% | 2.119% | 2.289% | 2.132% |
| 2026年3月 | 2.243% | 2.087% | 2.38% | 2.366% |
| 2026年4月 | 2.42% | 2.315% | 2.52% | 2.52% |
| 2026年5月 | 2.648% | 2.485% | 2.783% | 2.657% |
| 2026年6月 | 2.654% | 2.577% | 2.715% | 2.69% |
| 2026年7月 | 2.773% | 2.697% | 2.866% | 2.801% |
| 2026年8月 | 2.871% | 2.773% | 2.943% | 2.943% |
| 2026年9月 | 2.992% | 2.891% | 3.082% | 3.057% |
| 2026年10月 | 2.974% | 2.824% | 3.111% | 2.876% |
財務省「国債金利情報」の10年(2026年10月29日分まで)から筆者が集計。財務省の数字は国債の利回り曲線から求めた値で、報道で使われる「新発10年債の利回り」とは少しずれることがあります。
月の平均で見ると、9月の2.992%に対して10月は2.974%と、ほとんど変わっていません。動いたのは10月の後半です。10月7日に3.111%と、財務省のデータで1996年8月以来の高さをつけた後、15日に3%を割り、26日には2.824%まで下がりました。29日の2.876%は、9月末(3.057%)より0.181%、10月7日のピークより0.235%低い水準です。
大手5行の10年固定の平均の下げ幅(0.204%)は、9月末から10月29日までの長期金利の下げ幅(0.181%)と近い大きさです。共同通信も、9月に3%を超えた新発10年債の利回りが足元では2%台後半で推移していると伝えています。ただ、年初の1月は平均2.203%だったので、年初の水準に戻ったわけではありません。
- 10月1日10月の住宅ローン金利が適用開始10年固定は5行とも引き上げ、5行平均4.104%(当ブログ10月1日の記事)
- 10月7日10年国債 3.111%10月の最高。1996年8月27日(3.179%)以来の高さ
- 10月15日10年国債 2.948%3%を下回る
- 10月26日10年国債 2.824%10月の最低
- 10月29日10年国債 2.876%財務省データの最新値
- 10月30日大手5行が11月の金利を発表10年固定は4行が引き下げ、変動型は全行据え置き。同じ日に日銀は政策金利1.25%の据え置きを決定
- 11月1日11月の金利が適用開始三井住友信託は11月2日から
日銀は10月30日の会合で物価の基調が2%に達したと判断しつつ、政策金利は据え置きました。くわしくは日銀が物価2%到達と判断、何が変わる?で整理しています。米国の長期金利の上昇と日本の住宅ローンの関係は米10年債利回り上昇はなぜ?でまとめました。
11月に借りると返済額はいくら変わる?3,000万円・35年で試算
10年固定で3,000万円を35年(420回)、元利均等返済・ボーナス返済なしで借りた場合の毎月の返済額を、10月と11月の最優遇金利で計算しました。10年固定の間は、この返済額が変わりません。
| 銀行 | 10月の金利で | 11月の金利で | 毎月の差 | 10年間の差 |
|---|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 128,372円 | 130,860円 | +2,488円 | +298,560円 |
| 三井住友銀行 | 132,832円 | 127,488円 | −5,344円 | −641,280円 |
| みずほ銀行 | 125,732円 | 122,255円 | −3,477円 | −417,240円 |
| りそな銀行 | 136,546円 | 134,005円 | −2,541円 | −304,920円 |
| 三井住友信託銀行 | 150,737円 | 140,957円 | −9,780円 | −1,173,600円 |
元利均等返済の式(毎月の返済額=借入額×月利÷{1−(1+月利)^−420})で筆者が計算し、円未満は四捨五入。最優遇金利が適用された場合の試算で、保証料・事務手数料・団信の上乗せ金利などは含みません。実際の金利は審査で決まります。
11月に借りると、三井住友信託銀行では毎月9,780円、10年で約117万円軽くなります。反対に三菱UFJ銀行は毎月2,488円重くなります。11月の金利で比べると、いちばん低いみずほ銀行(122,255円)と三菱UFJ銀行(130,860円)の差は毎月8,605円です。
10年後に金利を選び直すときに注意
10年固定は、11年目以降の金利がまだ決まっていません。上の試算どおりに返した場合、10年後の残高はみずほ銀行(3.40%)で約2,468万円、三菱UFJ銀行(3.89%)で約2,507万円残ります。そのときの金利しだいで返済額は上下します。また、三菱UFJ銀行は固定期間が終わった後の金利を「その時点の店頭表示金利より年1.55%」引き下げると案内しており、最初の10年ほど大きな優遇にはなりません。
変動金利と比べると?11月は変動型が全行据え置き
共同通信によると、変動型は5行とも据え置きです。11月の変動型の最優遇金利を10年固定と並べ、3,000万円・35年で借りた場合の、借入当初の毎月の返済額の差を計算しました。
| 銀行 | 変動(11月) | 10年固定(11月) | 金利の差 | 毎月の返済額の差 |
|---|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 1.195% | 3.89% | 2.695% | 43,421円 |
| 三井住友銀行 | 1.525% | 3.70% | 2.175% | 35,265円 |
| みずほ銀行 | 1.275% | 3.40% | 2.125% | 33,670円 |
| りそな銀行 | 1.25% | 4.065% | 2.815% | 45,779円 |
| 三井住友信託銀行 | 1.70% | 4.445% | 2.745% | 46,134円 |
変動は三菱UFJ「ずーっと一律優遇コース」、三井住友「最後までずーっと引下げプラン」(店頭3.375%−1.85%)、みずほ「ローン取扱手数料型」、三井住友信託(店頭3.375%−1.675%)の11月の金利を公式サイトで確認。りそなは10月1日現在の公式サイトの1.25%で、共同通信の「変動型は5行とも据え置き」にもとづき11月も同じとしています。
同じ銀行で比べると、10年固定は変動より毎月約3.4万〜4.6万円高くなります。この差は、10年間の金利上昇に備える「保険料」のようなものです。変動型は、日銀の利上げに合わせて短期プライムレートが上がると、借入中の人の金利も見直されます。10月の変動金利の引き上げと、返済額に反映される時期は住宅ローン変動金利、10月から引き上げで解説しています。
どちらを選ぶかは家計しだい
今後の金利の動きは誰にも分かりません。変動型は当初の返済額が軽い一方で、金利が上がれば返済額が増える可能性があります。固定型は返済額が当面決まる代わりに、当初の負担が重くなります。借入額、返済期間、手元の貯蓄、収入の見通しなどで向き不向きが変わるため、各行のシミュレーションや窓口で、複数の金利で試算してから決めるのがおすすめです。
11月の住宅ローン金利のよくある質問
Q. 11月の住宅ローン固定金利は下がりましたか?
A. 大手5行のうち4行が、10年固定の最優遇金利を引き下げました。三井住友信託銀行が0.52%、三井住友銀行が0.30%、みずほ銀行が0.20%、りそな銀行が0.14%の引き下げです。三菱UFJ銀行は0.14%引き上げて3.89%にしました。
Q. なぜ固定金利が下がったのですか?
A. 目安となる長期金利が下がったためとみられます。財務省のデータで10年国債の利回りは10月7日に3.111%をつけた後、10月29日には2.876%まで下がりました。共同通信も「長期金利の低下などを反映したとみられる」と伝えています。
Q. 11月の10年固定でいちばん低いのはどこですか?
A. みずほ銀行の3.40%(ローン取扱手数料型、最優遇)です。次いで三井住友銀行3.70%、三菱UFJ銀行3.89%、りそな銀行4.065%、三井住友信託銀行4.445%の順です。手数料の種類や団信の内容が銀行ごとに違うため、金利だけでなく総額で比べる必要があります。
Q. 3,000万円を借りると返済額はいくら変わりますか?
A. 35年・元利均等で試算すると、11月の金利で借りた場合の毎月の返済額は、10月と比べて三井住友信託銀行で9,780円、三井住友銀行で5,344円、みずほ銀行で3,477円、りそな銀行で2,541円減り、三菱UFJ銀行で2,488円増えます。
Q. 変動金利は11月に上がりましたか?
A. 大手5行とも据え置きです。11月の最優遇金利は三菱UFJ銀行1.195%、りそな銀行1.25%、みずほ銀行1.275%、三井住友銀行1.525%、三井住友信託銀行1.70%です。
Q. すでに固定で借りている人の返済額も下がりますか?
A. 下がりません。今回の金利は11月に新しく借りる人(借り換えを含む)に適用されるもので、固定期間中の人の金利と返済額は契約時のまま変わりません。
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出典・参考資料
- 各行の住宅ローン金利(2026年10月31日に確認):三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、三井住友信託銀行(金利一覧)
- 財務省:国債金利情報(10年、2026年10月29日分まで)
- 報道(Yahoo!ニュース配信版):共同通信「住宅ローン固定型4行下げ 11月、長期金利低下で」(10月30日)、時事通信「11月住宅ローン固定金利、4行が引き下げ」(10月30日)、朝日新聞「住宅ローン固定金利、3メガ平均が下落 過去最高の更新がストップ」(10月30日)
- 当ブログ:住宅ローン変動金利、10月から引き上げ(10月の5行の金利)
内容は2026年10月31日時点の情報です。金利はいずれも最優遇金利で、実際の金利は審査で決まります。返済額・長期金利の集計は筆者によるものです。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融機関や商品をすすめるものではありません。アイキャッチ背景:ume-y「坂道の住宅街」(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)をトリミング・明るさ調整・文字入れ。


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