国際・経済
バイナンスから約63億ドル流出、暗号資産で過去最大
世界最大の暗号資産(仮想通貨)交換業者バイナンス(Binance)で、日本時間2026年10月30日の早朝、ウォレットから大量の暗号資産が不正に引き出されました。バイナンスは影響額を約63億ドル(約9,900億円)と推定し、出金を一時停止。損失は利用者保護基金「SAFU」と自社資金で全額補償するとしています。公式発表と分析会社のデータから、盗まれた資産の内訳、過去の流出事件との比較、日本の利用者への影響を整理しました。
この記事の結論
- バイナンスは影響額を約63億ドルと推定。分析会社TRM Labsは、10のブロックチェーンで約63億6,000万ドルが移され、大半は約20分間だったと分析しています。
- これまで最大とされたBybit(2025年2月、約15億ドル)の約4.2倍。日本の事件と円で比べると、コインチェック(約580億円)の約17倍、DMM Bitcoin(約482億円)の約21倍です。
- バイナンスは「エンジニアのノートPCが侵害された可能性」を初期調査として示しましたが、その後「ほかにも侵害箇所が見つかった」と説明しています。秘密鍵の流出の証拠は見つかっていないとしています。
- 凍結はバイナンス発表で約30億ドル。残る約33億ドルに対し、SAFU基金(1万5,000BTC)の価値は現在の価格で約11.6億ドルで、約35%にあたります(当サイト計算)。
- Binance Japanは「国内の顧客資産への影響は確認されていない」と発表。暗号資産の出庫だけを止め、48時間以内の再開を見込んでいます。
円換算はNHK・日本経済新聞などの報道に合わせ「約9,900億円」としています。倍率は当サイトの計算です。
バイナンスで何が起きた?日本時間の時系列
流出が始まったのは、協定世界時(UTC)で10月29日20時5分、日本時間では10月30日の午前5時5分です。米東部時間では29日(木曜)の午後4時5分にあたります。分析会社TRM Labsのブロックチェーン上の記録の分析と、バイナンスの発表を日本時間に直して並べました。
- 28日(UTC)攻撃の準備が始まる攻撃者の口座が、資金の出どころを分かりにくくするサービス「トルネードキャッシュ」から少額の資金を受け取り始めます。TRM Labsは、準備は流出の少なくとも36時間前から始まっていたと分析しています。
- 30日 5:05XRPから流出が始まるバイナンスの5つのウォレットからXRP約2億3,346万枚が攻撃者の口座へ。続いてソラナ、オプティミズムでも流出しました(TRM Labs)。
- 30日 5:20ビットコイン1万8,270BTCとイーサリアムが流出ビットコインのホットウォレット(ネットにつながった出金用の財布)から1万8,270BTC。イーサリアムでは事前に用意された50件の承認を使ってウォレットの操作権を奪い、約3分半後に残高を丸ごと移したとされます(TRM Labs)。
- 30日 6:01〜6:04テザー・サークルが凍結ドル連動型のステーブルコインを発行するテザーとサークルが、攻撃者の受け取り口座にあったUSDT・USDCを凍結しました(TRM Labs)。
- 30日 8:05第2波アバランチとポリゴンのバイナンスのウォレットからも流出(TRM Labs)。
- 30日 8:35凍結額「確認済み25.4億ドル」バイナンスがX(旧ツイッター)で、確認済みの凍結総額を25億4,000万ドルと発表しました(TRM Labs、CNBC)。
- 30日 11:23バイナンスが公式発表影響額は約63億ドル、凍結は約30億ドル、損失はSAFU基金と自社資金で全額補償すると発表。出金を一時停止しました。
- 30日 12:22Binance Japanが第1報「現時点でBinance Japanのお客様資産への影響は確認されておりません」として、暗号資産の入出庫を一時停止したと告知しました。
- 30日 18時ごろ出金の再開見通しと調査の更新AFP通信によると、バイナンスはグリニッジ標準時9時(日本時間18時)ごろ、45時間以内に出金を再開する見通しだと説明。Binance Japanは18時6分、顧客資産の安全を確認したと発表しました。
出典:TRM Labs(2026年10月30日公開、同日00:30 UTC時点のデータ)、バイナンス公式発表、Binance Japan(12:22)、Binance Japan(18:06)、AFP(Yahoo Finance掲載)。時刻はUTCに9時間を足した日本時間。
63億ドルは何が盗まれた?10のブロックチェーン別の内訳
TRM Labsは、バイナンスのウォレットから攻撃者の口座への送金をすべて追跡し、引き出された時点の価格で合計約63億6,000万ドルと算出しています。チェーン別の内訳を足し合わせると63億6,000万ドルになり、合計と一致します。最も大きいのはイーサリアムで全体の約60%、次いでビットコインが約23%です。
| ブロックチェーン | 主な流出資産 | 金額(割合) |
|---|---|---|
| イーサリアム | ETH 200,630枚+USDT 18.75億・USDC 8.23億・RLUSD 8,850万など185種類 | 3,790百万ドル(59.6%) |
| ビットコイン | BTC 18,270枚 | 1,470百万ドル(23.1%) |
| トロン | USDT 6.127億・TRX 4,640万 | 628百万ドル(9.9%) |
| XRPレジャー | XRP 2億3,346万 | 296百万ドル(4.7%) |
| ソラナ | SOL 97万500 | 96百万ドル(1.5%) |
| アービトラム・オプティミズム・ベース | ARB 7,460万など | 39百万ドル(0.6%) |
| アバランチ | — | 28百万ドル(0.4%) |
| ポリゴン | — | 10百万ドル(0.2%) |
出典:TRM Labs。割合は当サイトが内訳の合計から計算。アバランチ・ポリゴンは金額のみの公表。TRM Labsによると、現在の価格で評価し直すと約62億3,000万ドルです。
「ホットウォレット」とは
取引所が利用者の出金に応じるため、インターネットにつないだまま運用している財布(ウォレット)です。すぐに送金できる反面、攻撃の入り口になりやすい弱点があります。TRM Labsは、種類の違う10のチェーンのウォレットが約30分のうちに攻撃者のための正しい署名を出していたことから、「バイナンスのホットウォレットの署名の仕組みそのものが侵害された」可能性が高いと分析しています。ただし、バイナンスはまだ根本原因を公表していません。
原因は「エンジニアのノートPC」?バイナンスの説明はどう変わった
バイナンスは10月30日の公式発表で、初期調査の結果として「開発・運用(DevOps)を担当するエンジニアのノートPCが侵害され、攻撃者がサービスのコンテナ(社内のシステム環境)に入り込み、不正な出金取引を送った可能性がある」と説明しました。あわせて「ウォレットの秘密鍵が流出した証拠は見つかっていない」とし、調査が終わり次第、詳しい技術的な検証結果を公表するとしています。
ただし、その後の説明は変わっています。CNBCによると、リチャード・テン共同CEOは同日、攻撃は1人のエンジニアの権限が悪用されたというより複雑なものだったと述べ、特定の個人の責任とは結論づけていないことを強調しました。AFP通信は、バイナンスがXで「その後の調査で、追加の侵害箇所が見つかった」「複雑な攻撃だった」と投稿したと伝えています。
原因はまだ確定していません
「ノートPC1台から」という説明は、あくまで初期調査の段階のものです。バイナンス自身が追加の侵害箇所を認めており、技術的な検証報告(ポストモーテム)が出るまでは、侵入の経路は確定していないと見るのが妥当です。
凍結された約30億ドルの内訳は?凍結=返ってくるではない
ステーブルコインは発行会社が特定の口座の送金を止められるため、流出直後から凍結が相次ぎました。TRM Labsが日本時間30日9時30分時点で数えた凍結額は次のとおりで、合計は約27億ドルです。バイナンスはその後、凍結額を「約30億ドル」と発表しています。
| 凍結した主体 | 凍結額 | 内容(日本時間) |
|---|---|---|
| テザー(USDT) | 約1,770百万ドル | 6時1分に主な受け取り口座の9億7,110万USDTを凍結、その後も追加 |
| サークル(USDC) | 約825百万ドル | 6時4分に8億2,300万USDCを凍結 |
| リップル(RLUSD) | 約40百万ドル | 7時1分、8,850万RLUSDのうち残っていた4,050万を凍結 |
| ワールド・リバティー(USD1) | 約28百万ドル | 7時10分に2,780万USD1を凍結 |
| アービトラム評議会(ETH・ARB) | 約30百万ドル | 9時8分に8,426ETHと7,460万ARBを攻撃者の口座から移動 |
出典:TRM Labs。凍結額の合計は当サイト計算。CNBCによると、テザーのCEOは15億ドル超、サークルのCEOは8億ドル超を凍結したと投稿しています。リップルについて、バイナンスのイー・ハー共同CEOは「約2億ドルの移動を止めた」と述べていますが、TRM Labsがブロックチェーン上で確認したのは4,050万RLUSDの凍結です。
一方、ビットコインやイーサリアムには発行会社がなく、凍結できません。TRM Labsによると、攻撃者は凍結される前にステーブルコインの一部を相場より10%以上不利なレートでイーサリアムに替えるなどしており、発行会社の手が届かない資産を約24億ドル分持っているとされます。
凍結した資金はいつ戻る?
TRM Labsのアリ・レッドボード氏はCNBCに、凍結は資金の移動を止めるだけで、取り戻すには裁判所の命令などの法的な手続きが必要だと説明しています。チェイナリシスのエリック・ジャーディン氏も「回収に標準的な期間はない。凍結はすぐでも、返還には数か月から数年かかることがある」と述べています。
暗号資産の流出事件で過去最大?大型事件と比べると
暗号資産の流出事件のうち、FBIなどの当局が被害額を明示した大型事件を、金額の大きい順に並べました。今回のバイナンスは、これまで最大だったBybitの約4.2倍、Roninの約10倍、DMM Bitcoinの約20倍にあたります。
| 時期 | 被害を受けた事業者 | 被害額 | 金額の出典 | 犯行主体の見方 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年10月 | バイナンス(世界最大の暗号資産交換業者) | 6.30十億ドル | バイナンス公式発表(影響額の推定) | TraderTraitorとみられる(TRM Labs分析・バイナンスは未特定) |
| 2025年2月 | Bybit(暗号資産交換業者) | 1.50十億ドル | FBI公共サービス告知(I-022625-PSA) | 北朝鮮「TraderTraitor」(FBI) |
| 2022年3月 | Ronin Network(ゲーム「Axie Infinity」のブロックチェーン) | 0.62十億ドル | FBI声明(2022年4月14日)※事件名は報道で確認 | 北朝鮮「Lazarus Group」「APT38」(FBI) |
| 2024年5月 | DMM Bitcoin(日本) | 0.31十億ドル | FBI・DC3・警察庁の連名発表(4,502.9BTC、約482億円) | 北朝鮮「TraderTraitor」(FBI・警察庁) |
出典:バイナンス、FBI(Bybit)、FBI(2022年4月14日)、FBI(DMM Bitcoin、2024年12月23日)。倍率は当サイト計算。1十億ドル=10億ドル。FBIの2022年の声明は事件名を書かず「3月29日に報告された6億2,000万ドル相当のイーサリアムの窃取」としており、これがRonin Networkの事件(同日公表、約17万3,600ETHと2,550万USDC)であることはSiliconANGLE(2022年3月29日)などの報道で確認しました。金額は各発表の表記で、当時の相場で評価したもの。2014年のマウントゴックス事件など、当局の金額を確認できなかった事件は載せていません。
日本の事件と「円」で比べると
| 事件 | 流出額(円) | 今回はその何倍? |
|---|---|---|
| バイナンス(2026年10月) | 約9,900億円 | — |
| コインチェック(2018年1月) | 約580億円 | 約17倍 |
| DMM Bitcoin(2024年5月) | 約482億円 | 約21倍 |
出典:バイナンスの円換算はNHKなどの報道、コインチェックはITmedia NEWS(2018年1月30日)が伝えた流出直前の相場での金額(返金予定額は約460億円)、DMM Bitcoinは警察庁・内閣サイバーセキュリティセンター・金融庁の注意喚起(2024年12月24日)。倍率は当サイト計算。
バイナンスは過去にも流出している?2019年・2022年との比較
バイナンスが大きな流出を経験するのは初めてではありません。公式発表をもとに、過去2回と今回を並べました。
| 時期 | 何が起きた | 規模 | 対応 |
|---|---|---|---|
| 2019年5月 | 利用者のAPIキーや2段階認証コードを盗まれ、1回の取引で引き出された | 7,000BTC(BTCのホットウォレットのみ。BTC保有全体の約2%) | SAFU基金で全額補償。入出金を約1週間停止し、取引は継続 |
| 2022年10月 | BNBチェーンのブリッジ「BSC Token Hub」の弱点を突かれた | 200万BNB | バリデーター(承認者)に連絡してチェーンを止め、被害の拡大を抑えた |
| 2026年10月 | 10チェーンのウォレットから同時に不正出金。原因は調査中 | 約63億ドル(推定) | SAFU基金と自社資金で全額補償。出金を一時停止(入金は通常どおり) |
出典:バイナンス「Binance Security Breach Update」(2019年5月8日)、BNB Chain「BNB Chain Ecosystem Update」(2022年10月)、バイナンス(2026年10月30日)。
2019年は「ホットウォレットにあったのはBTC保有の約2%」と、被害が一部に限られていたことを公式に説明していました。今回はビットコインだけで1万8,270BTCが流出しており、規模は桁違いです。
SAFU基金で全額補償できる?1万5,000BTCの価値を試算
SAFU(Secure Asset Fund for Users)は、バイナンスが2018年に設けた利用者保護のための緊急基金です。The Blockによると、バイナンスは2026年2月12日、基金を1万5,000BTCに全額切り替え終えたと発表しました(完了時の価値は約10億500万ドル)。基金の時価が8億ドルを下回った場合は10億ドルに戻すとしています。
凍結されていない約33億ドルに対し、SAFU基金で埋められるのは約3分の1です。残りは自社資金で補う計算になります。CNBCによると、ファンドストラットのショーン・ファレル氏も、SAFUの価値を約12億ドルとして「残る損失の約3分の1をまかなえる」と同じ見方を示し、「現時点でバイナンスに大きな支払い能力の問題はないようだ」と述べています。
ビットコイン価格はCoinGeckoの10月30日21時14分(日本時間)の値。預かり資産1,628億ドルは、バイナンスの2025年年次報告書の数字としてロイターが報じたもの。凍結された資金が全額戻るとは限らないため、実際の自社負担は変わる可能性があります。
ビットコインやBNBの値動きは?流出直前から最大6.6%安
流出が伝わると暗号資産の価格は下がりました。CoinGeckoの1時間ごとの価格で、流出が始まる直前の30日午前5時と比べました。バイナンスと関係の深いBNBの下げが最も大きくなっています。
| 銘柄 | 流出直前(5時) | その後の安値 | 安値の下落率 | 30日21時14分 |
|---|---|---|---|---|
| ビットコイン(BTC) | 80,769ドル | 76,666ドル(11時) | -5.1% | 77,448ドル(-4.1%) |
| イーサリアム(ETH) | 2,335ドル | 2,192ドル(11時) | -6.1% | 2,237ドル(-4.2%) |
| BNB | 744ドル | 695ドル(10時) | -6.6% | 700ドル(-5.9%) |
出典:CoinGeckoのAPI(1時間ごとの米ドル価格、日本時間)から当サイトで計算。1時間ごとの値のため、瞬間的な安値とは異なります。ロイターはビットコインが7万6,368ドル(6週間ぶりの安値)を付けたと伝えています。
ロイターによると、米国株の時間外取引では暗号資産交換業者コインベース・グローバルの株価が4.8%下落しました。なお、別会社のバイナンスUSと、コインベースはいずれも影響を受けていないと発表しています。
投資判断はご自身で
この記事は公表された事実を整理したもので、特定の暗号資産や取引所の利用・売買をすすめるものではありません。暗号資産は価格が大きく動き、元本を失うことがあります。
北朝鮮の犯行なのか?分析会社と当局の見方
TRM Labsは、北朝鮮の精鋭ハッカー集団「TraderTraitor(トレイダートレイター)」による犯行と「高い確信度」で判断したと発表しました。トルネードキャッシュからの少額の入金で口座を準備する、流出よりかなり前から仕込みを始める、事前に取得した署名を一気に使う、といった特徴が、2025年2月のBybit事件などと一致するとしています。チェイナリシスのジョナサン・レビンCEOも、TraderTraitorの犯行の可能性が高いとの見方を示しました(CNBC)。
一方で、バイナンスは犯行主体を特定したとは発表していません。AFP通信によると、米司法省とFBIはすぐにはコメントに応じていません。現時点では「北朝鮮系の集団による犯行とみられる」という段階です。
TraderTraitorについては、FBIがBybit事件(約15億ドル)の犯行主体と名指ししているほか、日本でも警察庁・内閣サイバーセキュリティセンター・金融庁が2024年12月24日、DMM Bitcoinから約482億円相当を盗んだのはTraderTraitorだと特定したと公表しています。警察庁などは、TraderTraitorは北朝鮮当局の下部組織とされる「Lazarus Group(ラザルスグループ)」の一部とされていると説明し、企業幹部などを装ってSNSで従業員に接近する手口に注意を呼びかけています(注意喚起PDF)。
日本の利用者への影響は?Binance Japanの対応
日本で暗号資産交換業者として登録しているBinance Japan(関東財務局長 第00031号)は、10月30日18時6分のお知らせで、ウォレットと残高を点検し、預かっている資産はすべて安全に保管されていることを確認したと発表しました。日本の利用者の暗号資産は日本の法令に従って同社のコールドウォレット(ネットにつながない財布)で管理しており、今回狙われたバイナンス本体のホットウォレットとは別だと説明しています。
| サービス | 状況(10月30日18時6分の発表) |
|---|---|
| 暗号資産の入庫 | 通常どおり |
| 暗号資産の出庫 | 一時停止中(48時間以内の再開を見込む) |
| 暗号資産取引(販売所・取引所) | 通常どおり |
| 日本円などの入出金 | 通常どおり |
出典:Binance Japan「Binanceグローバルでのセキュリティ事案を受けた、Binance Japanの対応に関するお知らせ」。
同社は、万が一日本の利用者に被害が確認された場合は全額補償する予定としています。また、12時22分の第1報では「不審なURLや連絡には反応しないように」と呼びかけています。大きな事件の直後は、補償や本人確認を口実にした偽のメール・SMSが出回りやすいため、情報は公式アプリやサイトで確認するのが安全です。
日本の交換業者は「95%以上をコールドウォレット」が原則
暗号資産交換業者に関する内閣府令第27条は、利用者の暗号資産をインターネットにつないで管理してよいのは、利便性のために必要な最小限で、利用者の暗号資産の5%を超えない範囲に限ると定めています。残りは「常時インターネットに接続していない電子機器」などで管理する決まりです。Binance Japanも「本邦法令の定めに従い」コールドウォレットで管理していると説明しています。
今後の焦点は?出金再開と技術報告
- 出金の再開:バイナンスは48時間以内の再開を見込み、AFPによると日本時間30日18時ごろには「45時間以内」と説明しました。Binance Japanも48時間以内の再開を見込んでいます。
- 技術的な検証報告(ポストモーテム):侵入経路が「ノートPC」だけなのか、署名の仕組みまで及んだのかが焦点です。
- 準備金証明(Proof of Reserves)の更新:対応が終わったあとに更新版を公表するとしています。
- 資金の行方と捜査:TRM Labsは、凍結できないイーサリアムやビットコインが今後、ブリッジや交換サービス、店頭取引業者を通じて洗浄されるとみて監視しています。
ファレル氏は、出金がどれだけ早く再開し、引き出しが秩序立って進むかが重要な指標だと指摘しています(CNBC)。
バイナンスの流出についてよくある質問
Q. バイナンスの流出はいつ起きた?
A. 日本時間2026年10月30日の午前5時5分ごろから流出が始まりました(協定世界時では29日20時5分)。TRM Labsによると、大半は約20分間に集中し、8時5分ごろに第2波がありました。
Q. 被害額はいくら?
A. バイナンスの推定で約63億ドル(報道の円換算で約9,900億円)です。TRM Labsは引き出し時点の価格で約63億6,000万ドルと算出しています。AFP通信によると、バイナンスは追跡と凍結が進むにつれて数字がさらに増える可能性があるとしています。
Q. 利用者のお金は返ってくる?
A. バイナンスは、損失をSAFU基金と自社資金で全額補償し、利用者の資金は安全だとしています。Binance Japanも、国内の利用者に被害が確認された場合は全額補償する予定としています。
Q. 日本のBinance Japanも被害を受けた?
A. Binance Japanは、国内の顧客資産への影響は確認されていないと発表しています。予防措置として暗号資産の出庫だけを止めており、入庫・売買・日本円の入出金は通常どおりです。
Q. 犯人は北朝鮮?
A. TRM Labsとチェイナリシスは北朝鮮系の「TraderTraitor」による犯行の可能性が高いと分析していますが、バイナンスは犯行主体を特定したとは発表していません。現時点では「とみられる」段階です。
Q. 過去最大の流出事件と言えるの?
A. FBIなどが金額を示した事件の中では、これまで最大だったBybit(2025年2月、約15億ドル)の約4.2倍で、過去最大の規模です。
あわせて読みたい
出典・参考資料
- バイナンス「Security Incident Update (2026-10-30)」(2026年10月30日)
- Binance Japan「Binanceグローバルでのセキュリティ事案に関するお知らせ」「Binanceグローバルでのセキュリティ事案を受けた、Binance Japanの対応に関するお知らせ」(2026年10月30日)
- バイナンス「Binance Security Breach Update」(2019年5月8日)、BNB Chain「BNB Chain Ecosystem Update」(2022年10月)
- TRM Labs「North Korea Steals USD 6.36 Billion From Binance in the Largest Hack in History」(2026年10月30日)
- FBI「Alert Number I-022625-PSA」(2025年2月26日)、FBI Statement on Attribution…(2022年4月14日)、FBI, DC3, and NPA Identification…(2024年12月23日)
- 警察庁・内閣サイバーセキュリティセンター・金融庁「北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループTraderTraitorによるサイバー攻撃について(注意喚起)」(2024年12月24日)
- e-Gov法令検索「暗号資産交換業者に関する内閣府令」第27条
- CoinGecko(価格データAPI、2026年10月30日取得)
- CNBC「Biggest-ever crypto hack impacts $6.3 billion…」(10月29日公開・30日更新)、「Binance’s $6.3 billion hack: What we know…」(10月30日)
- AFP「Crypto platform Binance confirms ‘complex’ $6.3 bn hack」(Yahoo Finance、10月30日)、ロイター「暗号資産下落、バイナンスでセキュリティー侵害」(10月30日)、NHK(10月30日)
- ITmedia NEWS「「コインチェック」業務改善命令 金融庁は何を問題視?」(2018年1月30日)、The Block「Binance finalizes $1 billion SAFU reserve conversion into bitcoin」(2026年2月12日)
- アイキャッチ写真:Bitcoin on Laptop Keyboard/Satheesh Sankaran(CC BY 2.0、トリミング・明るさ調整し文字を追加)


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