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お名前.com不正アクセスでFX口座が不正操作、なぜ?今すぐやること
GMOインターネットのFX自動売買向けVPS「お名前.com デスクトップクラウド」が第三者の不正アクセスを受け、サーバー内に保存されていたFXの取引口座のログイン情報などが取得され、不正に使われた可能性があると発表されました。影響の可能性があるサーバーは2万6,739件で、全プランが止まっています。第1報から第3報、10月23日の適時開示までを時系列で整理し、「VPSに口座のパスワードを置く」構造の何が危ないのか、利用者が今すぐやることをまとめました。
この記事の結論
- 10月20日に一部の利用者のサーバーに不正なプログラムが置かれているのが見つかり、10月21日午前4時から全プランのサーバーを順次停止。再開時期は未定です。
- 10月21日以降、利用者から取引口座で身に覚えのない操作があったとの報告が寄せられています。GMOはMT4/MT5などに保存した口座のログイン情報が第三者に取得され、不正に使われた可能性があるとしています。件数と被害額は公表されていません。
- 利用者がやることは①VPS以外の端末でパスワード変更 ②全セッションの切断 ③取引履歴と残高の確認 ④二段階認証 ⑤使い回しパスワードの変更。パスワードを変えてもセッションが残ると取引され続ける場合があると第3報は注意しています。
- 金融庁は22日付で、金融先物取引業協会を通じてFX各社に利用者への注意喚起と不審な取引の監視を求めました(日経・朝日)。損失の補償については、10月24日時点の公式発表では触れられていません。

お名前.com デスクトップクラウドの不正アクセスとは?いつ何が起きたか
「お名前.com デスクトップクラウド」は、ドメイン登録で知られる「お名前.com」ブランドのVPS(仮想専用サーバー)です。FXの自動売買ソフト(EA)を動かすMT4/MT5を、自宅のパソコンではなくデータセンターのWindows環境で24時間動かし続けるために使われます。そのサーバーに第三者が侵入し、不正なプログラムを置いていたことが分かりました。
| 項目 | 内容(10月24日時点) |
|---|---|
| サービス | お名前.com デスクトップクラウド(GMOインターネットのFX自動売買専用VPS。MT4/MT5対応、月額2,640円から、累計契約数20万件以上) |
| 発覚 | 10月19日に利用者の問い合わせで調査開始、10月20日に一部の利用者のサーバー環境で不正なプログラムの設置を確認 |
| 停止 | 10月20日に新規申し込みとコントロールパネルを停止。10月21日午前4時から全プランのサーバーを順次停止 |
| 影響の可能性 | サーバー2万6,739件。対象となりうる数で、不正アクセスや情報取得が確認された件数ではない |
| 影響の可能性がある情報 | サーバー内に保存されていた情報。取引ツールに保存された取引口座のログイン情報などを含む。クレジットカードなどの決済情報はサーバー上に持っていない |
| 被害 | 利用者から取引口座で身に覚えのない操作の報告。個別の情報取得・不正利用の有無と範囲は調査中(件数・金額は非公表) |
| 原因 | 第三者による不正アクセス。侵入経路はセキュリティ専門会社と調査中 |
| 国・警察 | 10月22日に警察に相談。関係当局への報告・相談を進めている |
| 業績への影響 | GMOインターネット(4784)とGMOインターネットグループ(9449)は「精査中」「現時点では算定できていない」 |
| 相談窓口 | お問い合わせフォーム(help.onamae.com)と電話 03-5456-2560(第3報から土日・祝日も含め24時間受付) |
出典:第1報(10月21日4:00時点)・第2報(10月22日16:59時点)・第3報(10月23日16:10時点)、GMOインターネットの適時開示(10月23日)、サービスサイト。料金は1か月あたりの最低料金の表示です。
第1報から適時開示までの流れ
- 10月19日利用者からの問い合わせで調査開始GMOインターネットが調査を始めました。
- 10月20日不正なプログラムを確認一部の利用者のサーバー環境で確認。同日に「緊急メンテナンス」を告知し、21時ごろから新規申し込みとコントロールパネルを止めました。
- 10月21日 4:00第1報:全プランのサーバーを順次停止影響の可能性があるサーバーは2万6,739件。この時点では「閲覧された情報が悪用された事実は確認されていない」としていました。
- 10月21日以降口座の不正操作の報告が届く利用者から取引口座での身に覚えのない操作の報告を受け付け、関係する事業者に状況を共有しました。
- 10月22日警察に相談・第2報(16:59時点)取引ツール(MT4/MT5等)と取引口座のログイン情報が第三者に取得され、不正に使われた可能性があると発表。同日付で金融庁がFX各社に通知(日経・朝日)。
- 10月23日 16:10第3報:セッションの切断を強く要請パスワードを変えてもセッションが残ると取引され続ける場合があると注意。犯人を名乗るメールへの対応も追加。電話窓口を24時間に。
- 10月23日 19:30適時開示GMOインターネットと親会社のGMOインターネットグループがTDnetで開示。業績への影響は精査中としました。
- 10月24日再開は未定10月24日朝の時点で新しい報は出ていません。サービス停止は続いています。
出典:緊急メンテナンスのお知らせ、第1〜3報、適時開示。金融庁の通知は日本経済新聞・朝日新聞の報道によります(金融庁のWebサイトの報道発表資料には、10月24日朝の時点で掲載を確認できませんでした)。
第1報と第2報で何が変わったか
第1報(21日)は「サーバー内の情報が閲覧された可能性」までで、悪用の事実は確認されていないとしていました。第2報(22日)で、利用者から取引口座の不正な操作の報告が届いていることを明らかにし、口座のログイン情報が取得され、不正に使われた可能性に踏み込みました。第3報(23日)は事実関係をほぼ同じに保ちつつ、セッションの切断や犯人を名乗るメールへの対応など、利用者へのお願いを大幅に増やしています。
FX口座はなぜ不正操作された?VPSにパスワードを置く危うさ
今回の件で被害につながったとみられるのは、サーバーそのものよりも、サーバーの中に入っていた「口座の鍵」です。FXの自動売買は、取引ツールが口座にログインした状態のまま動き続けることで成り立っています。VPSには、その「ログイン済みのツール」と「ログインに使うID・パスワード」が同じ場所に置かれていました。
| VPSの中にあったもの | どういう状態か | 第三者に取られると |
|---|---|---|
| 取引ツール(MT4/MT5など) | EAを動かすため、口座にログインしたまま24時間動いている | サーバーを操られると、その場で注文を出せる |
| 取引口座のログインID・パスワード | ツールの「保存」機能などでサーバー内に残る(GMOは「取引ツール等に保存された取引口座のログイン情報等」と明記) | 抜き取られると、別の場所から口座にログインできる |
| ブラウザに保存したID・パスワード | FX会社のマイページなどを同じサーバーのブラウザで開いていれば残る | 第3報が変更を求めている |
| 利用者が置いたファイル(EA・設定・メモなど) | 利用者が自分で保存したもの | 第3報は「影響範囲に含まれる」と明記 |
GMOの第2報・第3報の記載をもとに当サイトが整理。実際にどの情報がどの方法で取られたかは調査中で、公表されていません。
危うさは3つ
- 1. 鍵と「取引できる状態」が1台に同居している:パスワードを抜き取るだけでなく、ログイン済みのツールを操作すれば、その場で売買できてしまいます。どちらの方法が使われたのかは明らかになっていません。
- 2. パスワードを変えても止まらないことがある:第3報は、FX会社などのサーバーの仕様によっては、パスワード変更後も既存の接続セッションが一定期間維持され、第三者が継続的に取引できる場合があると注意しています。だから「パスワード変更」と「全セッションの切断」をセットで求めています。
- 3. 使い回しで被害が広がる:同じパスワードをFX会社のマイページや他のサービスでも使っていると、そちらも開けられるおそれがあります。第3報はブラウザに保存したパスワードの変更まで求めています。
FXは証拠金の何倍もの金額を取引できる仕組みのため、第三者に短時間で大きな売買をされると、口座の残高が一気に減るおそれがあります。ITmedia NEWSによると、Xには「勝手に取引され、数十万〜数百万円の損失が出た」という利用者の投稿が相次いでいます。ただし、これらは個人の投稿で、GMOは被害の件数・金額を公表していません。
侵入経路はまだ分かっていない
どうやってサーバーに不正なプログラムが置かれたのかは、セキュリティ専門会社と調査中です。「自分のパスワードが弱かったから」とは限りません。現時点では、このサービスを使っていた人は全員、口座の鍵が見られた前提で動くのが安全です。
利用者が今すぐやること|チェックリスト
GMOの第2報・第3報と適時開示で求められている対応を、やる順番に並べました。サーバーが止まっていても、口座のパスワードやセッションは生きているので、VPSが使えないことは安心材料になりません。
- 1. VPSではない端末でパスワードを変える:取引口座と取引ツール(MT4/MT5など)のパスワードを、FX取引に使っていないスマートフォンや別のパソコンから変更します。
- 2. 全セッションを切断する:FX会社のマイページなどで接続中のセッションをすべて切るか、FX会社の窓口に切断を依頼します。すでにパスワードを変えた人も必ず実施、と第3報は求めています。
- 3. 取引履歴と残高を確認する:身に覚えのない取引があれば、まず取引先のFX会社・証券会社に連絡します。履歴の画面は保存しておくと、あとで説明しやすくなります。
- 4. 二段階認証(二要素認証)を設定する:取引先が提供していれば設定します。
- 5. 使い回しのパスワードとブラウザ保存分を変える:同じパスワードをほかのサービスでも使っている場合、サーバーのブラウザにID・パスワードを保存していた場合も変更します。
- 6. 自分の端末をスキャンし、バックアップを取る:予防的な対応として、手元のパソコン・スマホでウイルス対策ソフトのフルスキャンとデータのバックアップが求められています(バックアップの扱いにも注意)。
- 7. 犯人を名乗るメールは開かない:不正アクセスをした第三者を名乗るメールやメッセージが届いても、URLやファイルを開かず、返信もしないよう呼びかけています。
- 8. 「補償」「返金」をうたう連絡を疑う:GMOがメールや電話でパスワード、クレジットカード情報、口座情報を聞くことはないとしています。
出典:GMO 第2報・第3報「お客様へのお願い」。順番は当サイトで整理しました。
犯行声明とみられるメールも
ITmedia NEWSによると、犯行声明とみられるメールが届いたと報告する利用者もおり、GMO側に金銭を求めていることをほのめかす内容だったといいます。第3報の「第三者を名乗る者からのメールに返信しない」というお願いは、こうした状況を受けたものとみられます。メールの真偽や本件との関係は公表されていません。
サービスが再開しても、すぐに元の運用に戻すのではなく、FX会社の案内を確認したうえで、VPSに保存する情報を必要最小限にすることも検討したいところです。
国内のFX口座はどれくらい?協会の統計で見る規模【独自集計】
今回の件で、FXの利用者はどれくらいいるのかを、FX会社が加盟する自主規制団体、金融先物取引業協会(FFAJ)の四半期統計で確かめました。各年の4〜6月期の数字を抜き出しています。
| 期間(4〜6月期) | 顧客口座数 | 取引実績口座数 | 顧客取引証拠金 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | 642万 | 70.5万 | 1.18兆円 |
| 2018年 | 751万 | 69.2万 | 1.41兆円 |
| 2020年 | 881万 | 78.2万 | 1.52兆円 |
| 2022年 | 1,029万 | 84.2万 | 1.83兆円 |
| 2024年 | 1,162万 | 85.2万 | 2.01兆円 |
| 2025年 | 1,182万 | 74.3万 | 1.87兆円 |
| 2026年 | 1,243万 | 71.2万 | 2.06兆円 |
出典:金融先物取引業協会「店頭外国為替証拠金取引の状況(四半期)」全通貨ペア合計。店頭FX(取引所のくりっく365を除く)、全会員の報告に基づく。口座数は万未満を四捨五入。取引実績口座数はその四半期に取引があった口座。
国内の店頭FXの口座は2026年4〜6月期で12,430,116口座。10年前(2016年)の約1.9倍で、1年前からも約61万口座増えました。一方、その四半期に実際に取引があった口座は712,096口座(全体の5.7%)で、2016年以降の4〜6月期は67万〜85万口座の間を行き来しています。口座を開いても動かしていない人が大半で、実際に売買している口座は70万前後だと読めます。
2万6,739サーバーは「動いている口座」の約3.8%にあたる規模
影響の可能性がある2万6,739サーバーを、取引実績口座数の712,096口座と並べると約3.75%、口座数全体と比べると約0.22%です。自動売買の利用者は、普段から取引がある層に多いと考えられるため、「動いている口座」と比べると無視できない規模だといえます。
また、協会の店頭FX月次速報によると、店頭FXを扱う会員は46社(2026年9月30日現在)。顧客から預かった資金として各社が分けて管理すべき額(顧客区分管理必要額)は、2026年9月末で約1.82兆円(18,233億円)にのぼります。
比べるときの注意
サーバー1台で複数の口座を動かす人もいれば、1つの口座を複数のサーバーで使う人もいます。海外のFX業者の口座はこの統計に入っていません。また統計は2026年6月末時点、サーバー数は10月の発表で、時点も違います。あくまで規模感の目安で、被害を受けた口座数を示すものではありません。
損失は補償される?公式発表で分かっていること・いないこと
利用者がいちばん気にしているのは、勝手に取引されて出た損失がどうなるかです。10月24日朝までの公式発表を確認すると、次のように整理できます。
- 分かっていること:サーバーは全プランで停止中、再開は未定。取引口座のログイン情報が取られ、不正に使われた可能性がある。警察に相談し、関係当局に報告・相談している。業績への影響は精査中。
- サービス停止の扱い:サービスサイトには、SLA(品質保証制度)の案内とともに「本件に伴う取り扱いは、決定次第あらためてお知らせ」とあります。サーバー停止の期間をどう扱うかは、これから決まるとみられます。
- まだ分かっていないこと:不正な取引による口座の損失を補償するかどうかは、第1〜3報・適時開示のいずれにも書かれていません。被害の件数・金額、侵入経路も調査中です。
損失の扱いは、サーバーを提供したGMOインターネットと、口座を管理するFX会社・証券会社の双方が関わる問題です。現時点で「補償される」「されない」と判断できる材料はありません。被害が疑われる場合は、取引先のFX会社への連絡と、GMOの相談窓口(03-5456-2560、24時間)への相談を並行して進め、取引履歴などの記録を残しておくのが現実的です。
朝日新聞によると、金融庁は被害の拡大を防いだうえで不正アクセスの発生状況を調べ、問題があれば再発防止策の検討を求める方針です。証券口座では、10月にも岩井コスモ証券で顧客の意図しない売買が成立した事案が起きており、金融サービスを狙った不正アクセスへの警戒が続いています。
お名前.com不正アクセスのよくある質問
Q. お名前.com デスクトップクラウドの不正アクセスで何が起きたのですか?
A. 10月20日、一部の利用者のサーバー環境に第三者が不正なプログラムを置いていたことが確認されました。GMOインターネットは、サーバー内に保存されていた取引口座のログイン情報などが第三者に取得され、不正に使われた可能性があると発表しています。影響の可能性があるサーバーは2万6,739件で、全プランが停止中です。
Q. 自分のFX口座も危ないですか?
A. このサービス上でMT4/MT5などを使っていた人は、口座のログイン情報が見られた可能性があります。VPS以外の端末でパスワードを変え、全セッションを切断し、取引履歴と残高を確認してください。サービスを使っていない人も、同じパスワードを使い回している場合は変更しておくと安心です。
Q. パスワードを変えれば大丈夫ですか?
A. それだけでは足りない場合があります。GMOの第3報は、FX会社などの仕様によってはパスワード変更後も既存のセッションが一定期間残り、第三者が取引を続けられる場合があるとしています。全セッションの切断をマイページで行うか、FX会社に依頼してください。
Q. 不正な取引で出た損失は補償されますか?
A. 10月24日時点で、GMOの第1〜3報と適時開示には損失の補償についての記載はありません。サーバー停止の扱いは「決定次第知らせる」としています。被害が疑われる場合は取引先のFX会社とGMOの相談窓口に連絡し、記録を残しておきましょう。
Q. 犯人を名乗るメールが届いたらどうすればいいですか?
A. GMOは、不正アクセスをした第三者を名乗る者からメールやメッセージが届いても、URLやファイルを開かず、返信もしないよう呼びかけています。補償や返金を装う連絡にも注意が必要です。
Q. サービスはいつ再開しますか?
A. 再開時期は未定です。GMOは安全を確認したうえで、確定次第知らせるとしています。
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出典・参考資料
- GMOインターネット:第三者による不正アクセスに関するお詫びとお知らせ(第1報、10月21日4:00時点)、第2報(10月22日16:59時点)、第3報(10月23日16:10時点)、【緊急】システムメンテナンス(10月21日更新)、お名前.com デスクトップクラウド サービスサイト
- TDnet:GMOインターネット「当社の提供サービスへの不正アクセスに関するお知らせ」(10月23日)(親会社GMOインターネットグループも同日に開示)
- 金融先物取引業協会:四半期統計(2026年度第1四半期)、店頭FX月次速報(2026年9月)
- 報道:ITmedia NEWS(10月21日)、ITmedia NEWS(10月23日)、日本経済新聞(10月23日)、朝日新聞(10月23日)
口座数の推移、サーバー数との比率は、各資料をもとに当サイトが集計・計算したものです。内容は2026年10月24日朝時点の情報で、今後の調査で変わる可能性があります。特定のFX会社やサービスの利用・解約を勧めるものではありません。アイキャッチと本文の写真:Carl Lender(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)をトリミング・明るさ調整し、アイキャッチには文字を加えています。


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