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ソフトバンクG株価はなぜ下落?時価総額は半分、アーム4割安の重み
ソフトバンクグループ(SBG、9984)の株価が10月に入って大きく下げています。10月23日には取引時間中に一時3,962円と4,000円を割り込み、終値は4,276円。6月2日の終値(8,632円)から-50.5%下がり、時価総額は約49.3兆円から約24.4兆円へ半分になりました。株価の記録と、SBGの決算資料・開示を突き合わせて、何が下げの重しになっているのかを数字で切り分けます。
この記事の結論
- SBG株は10月23日の終値4,276円で、6月2日の終値8,632円から-50.5%安。9月末からの1か月足らずで-33.5%下げ、同じ期間の日経平均(-6.1%)を大きく下回りました。4,000円割れは取引時間中の一時的なもので、終値では割れていません。
- SBGの保有株式価値(6月末83.11兆円)の約60%はアーム株です。そのアームの株価は6月末から10月22日までに-40.7%下がりました。当サイトの試算では、アームの値下がりだけで保有株式価値は約21.6兆円減ります。
- OpenAIへの出資は10月1日の最終回で累計646億ドル(持分約13%)に。資金の一部は9月の外債(米ドル建ての利率8.625〜9.75%、格付けBB+)でまかないました。報道では、AI企業の借金に対する不安や、SBGの信用リスク指標(CDS)の上昇が重なっています。
- 次の節目は11月10日の決算発表です。自社ルールの財務指標(LTV)は6月末で13.0%。上限の目安25%に届くのは、純負債が同じなら保有株式価値が約48%減ったときという計算になります。

ソフトバンクG株はいつからどれだけ下がった?高値からの下落率
SBGの株価は2026年1月1日に1株を4株に分ける株式分割をしたあと、6月2日に取引時間中の上場来高値9,074円を付け、終値も8,632円と最も高くなりました。Bloombergによると、6月には時価総額が一時トヨタ自動車を抜いて国内首位に立っています。そこから4か月半で、株価はほぼ半分になりました。
| 日付 | 終値 | 時価総額 | メモ |
|---|---|---|---|
| 6月2日(上場来の高値の日) | 8,632円 | 49.3兆円 | 取引時間中の高値は9,074円 |
| 6月30日(第1四半期末) | 5,963円 | 34.1兆円 | |
| 9月30日 | 6,430円 | 36.7兆円 | 9月は大きく上昇 |
| 10月22日 | 4,305円 | 24.6兆円 | 前日比-6.9% |
| 10月23日 | 4,276円 | 24.4兆円 | 一時3,962円、終値は前日比29円安 |
出典:Yahoo!ファイナンス「ソフトバンクグループ 時系列」。時価総額は発行済株式数5,711,848,120株(自己株式を含む、Yahoo!ファイナンスと同じ基準)×終値で当サイトが計算。Bloombergは6月の最高水準を「約49兆3050億円」と報じており、計算と一致します。
6月2日の終値から10月23日の終値までの下落率は-50.5%、取引時間中の高値9,074円からなら-52.9%です。株探によると、23日の安値3,962円は4月14日以来、半年ぶりの安値圏でした(4月14日の安値は3,903円)。ただし23日は売りが一巡したあと値を戻し、終値は4,276円で4,000円台を保っています。
10月の値動きを1日ずつ見ると
| 日付 | 終値 | 前日比 | 9月末比 |
|---|---|---|---|
| 10/1 | 6,701円 | +4.2% | +4.2% |
| 10/2 | 6,310円 | -5.8% | -1.9% |
| 10/5 | 6,497円 | +3.0% | +1.0% |
| 10/6 | 6,295円 | -3.1% | -2.1% |
| 10/7 | 6,310円 | +0.2% | -1.9% |
| 10/8 | 6,040円 | -4.3% | -6.1% |
| 10/9 | 5,803円 | -3.9% | -9.8% |
| 10/13 | 5,310円 | -8.5% | -17.4% |
| 10/14 | 5,351円 | +0.8% | -16.8% |
| 10/15 | 4,852円 | -9.3% | -24.5% |
| 10/16 | 4,944円 | +1.9% | -23.1% |
| 10/19 | 4,845円 | -2.0% | -24.7% |
| 10/20 | 4,554円 | -6.0% | -29.2% |
| 10/21 | 4,622円 | +1.5% | -28.1% |
| 10/22 | 4,305円 | -6.9% | -33.0% |
| 10/23 | 4,276円 | -0.7% | -33.5% |
出典:Yahoo!ファイナンスの時系列から当サイトが計算。色付きの行は前日比で6%以上動いた日です。
10月の16営業日のうち10日が値下がりで、前日比6%以上の下げが4回ありました。Bloombergは22日時点で、10月の騰落率がマイナス33%と日経平均の225銘柄の中で最下位になったと伝えています。日経平均そのものは同じ期間に-6.1%の下げなので、SBGの下げは市場全体の動きだけでは説明できません。
SBGの価値は何でできている?保有株式83兆円の内訳
SBGは自社を「投資会社」と位置づけ、持っている株の価値(保有株式価値)から借金(純有利子負債)を引いたNAV(時価純資産)を重要な指標にしています。最新の決算資料(2026年6月末時点)では次のとおりです。
| 保有株式 | 価値 | メモ |
|---|---|---|
| アーム(Arm) | 49.91兆円 | 株価×保有株数から、アーム株を担保にした借入3.22兆円を差し引き |
| ビジョン・ファンド2(SVF2) | 19.29兆円 | OpenAI株はここに入る |
| その他の上場株・未上場株など | 6.51兆円 | |
| ビジョン・ファンド1(SVF1) | 3.60兆円 | |
| ソフトバンク(通信) | 2.79兆円 | 株を担保にした借入1.20兆円を差し引き |
| ラテンアメリカ・ファンド | 1.00兆円 | |
| Tモバイル | 0.00兆円 | 担保にした契約分を差し引くと0 |
| 合計(保有株式価値) | 83.11兆円 | 純有利子負債は10.81兆円 |
出典:ソフトバンクグループ 2026年度第1四半期 投資家向け説明会資料(財務編)「LTVの算出:SBG単体 保有株式価値」。株価は2026年6月30日終値、為替は1ドル=162.39円。端数処理のため内訳の合計は一致しません。
ひと目で分かるとおり、保有株式価値の約60%がアーム(英国の半導体設計会社、米国上場)です。OpenAIの株はビジョン・ファンド2(SVF2)の中に入っており、SBGの決算短信によると6月末時点のOpenAIへの累計投資額は446億ドル、公正価値は896億ドル(投資額の約2.0倍)と評価されていました。
| 指標 | 2026年6月末(3月末) |
|---|---|
| NAV(時価純資産) | 72.3兆円(40.1兆円)。過去最高 |
| LTV(純負債÷保有株式価値) | 13.0%(17.0%)。自社ルールは平時25%未満、異常時でも35%が上限 |
| 手元流動性 | 2.3兆円(3.5兆円) |
| 純利益(4〜6月) | 3,473億円(前年同期比17.7%減)。投資利益は1兆8,594億円で、うちIntel株が1兆3,329億円 |
| 8月5日時点のNAV | 58.3兆円(決算資料のプロフォーマ)。6月末から約14兆円減っていた |
出典:ソフトバンクグループ 2026年度第1四半期 決算説明会資料、2027年3月期 第1四半期 決算短信(2026年8月6日)
つまり、SBGの株価を左右しやすいのは、アームとOpenAIという2つの大きな保有株の値段と、それを支える借金の重さだと考えられます。6月の株価のピークも、決算資料によるとアーム株の上昇でNAVが大きく増えた時期に重なります。
なぜ下がっている?報道の要因と一次資料で切り分け
下げの理由として報道で挙がっているものを、SBGの開示や株価データで確かめられる部分と、まだ確かめられない部分に分けました。
1. 最大の保有株・アームが4割下がった【独自集計】
アームの株価(米国預託証券、ドル建て)は6月30日の354.57ドルから、10月22日には210.10ドルへ-40.7%下がりました。9月末(289.66ドル)からでも-27.5%安です。SBGの決算資料では、6月末のアーム株の価値は3,272億ドル(53.13兆円)。これを株価だけで置き直すと、約1,333億ドル(6月末の為替で約21.6兆円)の目減りになります。
ほかの資産と借金が6月末のままだと仮定すると、保有株式価値は83.11兆円から約61.5兆円へ、LTVは13.0%から約17.6%へ上がる計算です。
試算の前提
アーム株の数(約9.2億株相当)は決算資料の価値÷6月30日の株価から逆算し、為替は6月末の1ドル=162.39円で固定しました。6月末以降にOpenAIへの計200億ドルの出資や、DigitalBridgeの買収(約31億ドル)があり、その資金は借入や社債でまかなわれています。実際のLTVは、SBGが11月10日の決算で示す数字で確かめる必要があります。
2. AI企業の「借金」への不安が広がった
Bloombergによると、米国のAIクラウド企業コアウィーブの社債価格の下落をきっかけに、AI投資の資金調達に対する懸念が世界的に高まりました。SBGの信用リスクを示す5年物CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は10月20日朝時点で432ベーシスポイントと2022年11月上旬以来の高さで、日本企業の主要銘柄で最も高い水準だと報じています。市場関係者からは、借金をてこにした財務構造のSBGは弱さが目立つとの指摘も出ています。
3. 高い利率の社債と、新たな大型買収の報道
SBGは9月24日、米ドル建てとユーロ建ての社債を合わせて約111億ドル相当発行しました。格付けはS&P、FitchともにBB+(投資適格より1段階下)で、米ドル建ての利率は年8.625〜9.75%(発行額で平均すると約9.41%)です。米ドル建て100億ドル分の利息だけで年約9.4億ドルになります。10月22日に期限前に返し終えた2021年発行のユーロ建て社債の利率は年2.875%でした。
さらにBloombergは、米国最大の警備会社アライド・ユニバーサルの買収検討が、新たな財務負担として意識されていると伝えています。この買収について、SBGは10月24日時点で発表していません。
4. OpenAIの企業価値をめぐる報道
株探によると、米CNBCは22日(米国時間)、OpenAIが最大300億ドルの資金調達の最終段階にあり、調達前の企業価値は1兆2,500億ドルになる見込みだと報じました。それまでの報道では1兆4,000億ドル超もありうるとされていたため、「期待より低い」と受け止められたとみられます。一方、SBGが2月に決めた300億ドルの出資は調達前の企業価値7,300億ドルが前提で、1兆2,500億ドルはその約1.7倍です。財経新聞(ロイター報道の紹介)によると、SBGは今回の調達への参加も協議しているとされます。
| 要因 | 確かめられること | 出どころ | この記事での扱い |
|---|---|---|---|
| アーム株の下落 | 6月末比-40.7% | 株価データ・決算資料 | 数字で確認できる |
| 社債の利率・格付け | 8.625〜9.75%、BB+ | SBGの開示 | 数字で確認できる |
| CDSの上昇 | 432bp(10月20日朝) | Bloomberg | 報道の数字 |
| OpenAIの企業価値 | 1兆2,500億ドル見込み | CNBC(株探が紹介) | 未確定。OpenAIは発表していない |
| アライド・ユニバーサル買収 | 検討と報道 | Bloomberg | 未確定。SBGは発表していない |
出典:Yahoo!ファイナンス「アーム 時系列」、SBG 投資家向け説明会資料(財務編)、SBG「外貨建シニア社債の発行に関するお知らせ」(9月24日)、同「2021年発行ユーロ建普通社債の期限前償還完了のお知らせ」(10月23日)、Bloomberg(10月20日、TBS CROSS DIG転載)、Bloomberg(10月22日、同)、株探(10月23日)、財経新聞(10月21日)
OpenAIへの646億ドル出資、お金はどう工面した?
SBGの開示を時系列に並べると、OpenAIへの出資は「まず銀行のつなぎ融資で払い、あとで社債や保有資産に置き換える」という流れで進んできました。
- 2月27日OpenAIに300億ドルの追加出資を決定調達前の企業価値7,300億ドルが前提。4月・7月・10月の3回に分けて100億ドルずつ。完了すれば累計646億ドル、持分約13%。
- 3月27日400億ドルのブリッジローン契約みずほ・三井住友・三菱UFJの3メガ銀行とGoldman Sachs、JPMorgan Chaseから、つなぎの借入枠を確保。
- 4月1日・7月1日1回目・2回目の出資(各100億ドル)どちらもブリッジローンから100億ドルずつ借りて払い込み。
- 6月2日株価が上場来の高値取引時間中に9,074円、終値8,632円。時価総額は約49.3兆円。
- 8月6日第1四半期決算NAVは過去最高の72.3兆円、LTVは13.0%。8月にはOpenAI株を担保にした100億ドルの借入契約も。
- 9月15日ブリッジローンの残り259億ドルを返済9月9日に期限前の返済を決定。
- 9月24日外債を約111億ドル発行利率は米ドル建て8.625〜9.75%、ユーロ建て7.125〜8.0%。格付けBB+。
- 10月1日OpenAIへの最終回の出資外債の資金を充てて完了。累計646億ドル、持分約13%。ブリッジローンの残り枠100億ドルは解約。
- 10月22日・23日時価総額がピークの半分に22日は6.9%安。23日は一時3,962円、終値4,276円。
- 11月10日第2四半期の決算発表9月末時点のNAV・LTVと、OpenAIやアームの評価が示される予定。
出典:ソフトバンクグループのプレスリリース(2月27日・3月27日・9月9日・9月24日・10月1日)、第1四半期決算短信、IRカレンダー。株価はYahoo!ファイナンス。
SBGは2月の発表で、LTVを平時25%未満・異常時でも35%以内に保ち、今後2年分の社債の償還資金以上の手元資金を持つという財務方針は「不変」としています。純負債を6月末の10.81兆円のままとすると、LTVが25%になるのは保有株式価値が約43.2兆円(6月末から約48%減)、35%になるのは約30.9兆円(約63%減)まで下がったときです。
株価の下落と会社の財務は別もの
時価総額は株式市場での評価です。SBGが財務の健全性を測る基準として示しているのは、保有株式の価値と借金の比率(LTV)や手元資金のほうです。保有株の値段が下がれば、SBG自身の株価とは別にLTVは上がります。
今後どうなる?確認したい3つの日程と注意点
- 11月10日(火):SBGの第2四半期決算 9月末のNAV・LTV・手元流動性が出ます。9月末のアーム株は289.66ドルで、6月末より低い水準でした。
- 11月中旬:アンソロピックの上場(予定と報道) OpenAIの競合の上場で、AI企業の値付けがどう変わるかが注目されています。
- OpenAIの資金調達の正式発表 企業価値がいくらになるか、SBGが追加で出資するかどうか。現時点ではいずれも報道段階です。
なお、SBGは10月23日に中間配当を1株5円50銭(12月2日支払い)と決め、年間11円の予想も変えていません。
この記事は売買を勧めるものではありません
株価の数字は過去の記録で、今後の値動きを示すものではありません。SBGの株は値動きが大きく、前日比で6%以上下げた日が10月だけで4回ありました。投資の判断はご自身で、最新の開示を確かめたうえで行ってください。
ソフトバンクG株価の下落についてよくある質問
Q. ソフトバンクグループの株価はなぜ下がっているのですか?
A. 報道では、AI企業の借金への不安の広がり、SBGの信用リスク指標(CDS)の上昇、OpenAIの企業価値をめぐる報道、新たな大型買収の検討報道が挙げられています。数字で確かめられるのは、最大の保有株であるアームの株価が6月末から-40.7%下がったことと、9月に年8.625〜9.75%という高い利率の外債を発行したことです。
Q. ソフトバンクGの株価は4,000円を割ったのですか?
A. 10月23日の取引時間中に一時3,962円まで下がりましたが、その後値を戻し、終値は4,276円(前日比29円安)でした。終値ベースでは4,000円を割っていません。
Q. 時価総額はいくら減りましたか?
A. 6月2日の終値8,632円で計算すると約49.3兆円、10月23日の終値4,276円では約24.4兆円で、ほぼ半分になりました。株価の下落率は-50.5%です。
Q. OpenAIにはいくら出資しているのですか?
A. 2024年9月以降の346億ドルに、2026年4月・7月・10月の3回で計300億ドルを追加し、累計646億ドル、持分は約13%です。10月1日の最終回の資金には、9月に発行した外債の資金を充てました。
Q. LTVとは何ですか?今どのくらいですか?
A. LTVは純有利子負債を保有株式価値で割った比率で、SBGは平時25%未満、異常時でも35%以内に管理する方針です。2026年6月末は13.0%でした。9月末の数字は11月10日の決算で公表される予定です。
Q. 次の決算発表はいつですか?
A. SBGのIRカレンダーによると、2027年3月期第2四半期の決算発表は2026年11月10日(火)です。
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出典・参考資料
- ソフトバンクグループ:2027年3月期 第1四半期 決算短信〔IFRS〕(2026年8月6日)、決算説明会資料、投資家向け説明会資料(財務編)、IRカレンダー
- ソフトバンクグループ プレスリリース:OpenAIへの追加出資に関するお知らせ(2月27日)、ブリッジファシリティ契約締結(3月27日)、ブリッジローンの期限前返済(9月9日)、外貨建シニア社債の発行(9月24日)、DigitalBridgeの買収完了(9月30日)、OpenAIへの追加出資(サードトランシェ)の実行(10月1日)、ユーロ建普通社債の期限前償還完了(10月23日)
- 株価:Yahoo!ファイナンス ソフトバンクグループ 時系列、同 アーム 時系列、日経平均株価の時系列
- 報道:Bloomberg「ソフトバンクG株の時価総額、ピークの半分に」(10月22日、TBS CROSS DIG転載)、Bloomberg「ソフトバンクGの信用リスク、4年ぶり高水準」(10月20日、同)、株探(10月23日)、財経新聞(10月21日)
下落率、時価総額、保有株式の構成比、アーム株の値下がりの影響、LTVの感応度、社債の平均利率は、各資料をもとに当サイトが計算したものです。内容は2026年10月24日時点の情報です。写真:Kakidai(Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)をトリミングし、アイキャッチには文字を加えています。


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