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パスキーのスマホを紛失したらどうなる?復元の条件と証券4社の手順
パスワードの代わりに顔認証や指紋でログインできる「パスキー」。証券会社では2026年6月末までに原則必須になり、使い始めた人が一気に増えました。では、パスキーを入れたスマホを落としたらどうなるのか。拾った人に使われるのか、自分は新しいスマホでログインできるのか。Apple・Googleの公式資料と、証券4社の手続きを読み比べました。
この記事の結論
- パスキーを使うには、そのスマホの顔認証・指紋認証か画面ロックのパスコードが必要です。拾った人がロックを解けなければ、ログインには使えません。
- iPhoneのiCloudキーチェーンやAndroidのGoogleパスワードマネージャーに保存した同期型のパスキーは、新しいスマホで元に戻せます。ただし前のスマホのパスコード(Androidは「Googleパスワードマネージャー PIN」でも可)を聞かれ、何度も間違えると戻せなくなります。
- Windows Helloなど端末にしか保存されないパスキーは戻りません。サービス側で古いパスキーを消して、登録し直します。
- 証券会社の手続きは会社ごとに違います。ID・パスワードで入り直せる会社もあれば、電話で本人確認を受けないと消せない会社もあります。窓口は平日の日中だけのところが多いです。
- 一番の備えは、パスキーを2台以上の端末に登録しておくことと、Apple Account・Googleアカウントの復旧手段を整えておくことです。
パスキーのスマホを紛失しても、他人はログインできない
パスキーは、ログインに使う「鍵」を2つに分けて管理します。サービスの側には公開鍵だけを登録し、対になる秘密鍵は自分の端末(またはその端末と同期するクラウド)に暗号化して保存します。ログインのたびに秘密鍵を呼び出すには、端末の顔認証・指紋認証か、画面ロックのパスコードが必要です。
つまり、スマホを拾った人がいても、画面ロックを解けなければパスキーは使えません。楽天証券も操作ガイドで「スマートフォンを紛失した場合でも、他人がパスキーでログインすることはできない」と説明しています。サービス側に秘密鍵が置かれないので、パスワードのように「サーバーから大量に漏れて使い回される」ことも起きません。
危ないのは「画面ロックが弱い」とき
パスキーの安全性は、スマホの画面ロックに乗っています。「0000」や誕生日のような推測しやすいパスコード、人前で入力して盗み見られたパスコードでは、守りが崩れます。iPhoneには、自宅や職場以外の場所で保存済みパスワードなどにアクセスするときにパスコードではなくFace ID・Touch IDを必須にする「盗難デバイスの保護」(iOS 17.3以降)があります。パスコードを知られた状態で盗まれる手口への備えになるので、オンにしておきましょう。
自分は新しいスマホでログインできる?同期型か端末固定かで決まる
落とした後に困るかどうかは、パスキーがどこに保存されていたかで決まります。iPhoneやAndroidで普通にパスキーを作ると、多くの場合はOSのクラウド(iCloudキーチェーン、Googleパスワードマネージャー)に保存され、同じアカウントの端末へ自動で同期されます。この「同期型」なら、新しいスマホに同じアカウントでサインインすれば戻ってきます。
| 保存先 | 失くしたら | 戻し方 |
|---|---|---|
| iPhone・iPad・Mac (iCloudキーチェーン) |
戻る | 同じApple Accountでサインインすると戻る。前のデバイスのパスコードが必要 |
| Android・Chrome (Googleパスワードマネージャー) |
戻る | 同じGoogleアカウントでログインすると戻る。パスワードマネージャーのPINか、前のAndroidの画面ロックが必要 |
| パスワード管理アプリ (1Passwordなど) |
戻る | そのアプリのアカウントに入り直せば戻る(アプリの復旧手段しだい) |
| Windowsパソコン (Windows Hello) |
戻らない | パソコン本体にだけ保存される。新しいパソコンでは登録し直し |
| USBなどの物理セキュリティキー | 戻らない | キーそのものが鍵。失くしたら、そのキーをサービス側で削除して登録し直し |
マネックス証券のFAQ(パスキー登録デバイスを機種変更・紛失した場合)、Apple・Googleの公式資料をもとに作成。Windowsのパスキーをスマホに保存する設定にしている場合は、スマホ側の扱いになります。
同じApple AccountでサインインしているMacやiPad、同じGoogleアカウントのパソコンのChromeが手元にあれば、そちらにはパスキーが残っています。スマホを失くしても、まずは手元の別の端末からログインできないか試してみてください。
新しいスマホでパスキーを復元する条件|前のスマホのパスコードが鍵
同期型のパスキーは、クラウドに預けてあるとはいえ、Apple・Googleにも中身が読めない形で暗号化されています。その暗号を解く鍵の役目をするのが、前のスマホの画面ロックのパスコードです。アカウントのパスワードだけでは戻せない点が、写真や連絡先のバックアップとの大きな違いです。
| 項目 | iPhone(iCloudキーチェーン) | Android(Googleパスワードマネージャー) |
|---|---|---|
| 新しい端末で必要なもの | Apple Accountのパスワード/登録した電話番号に届くSMS/前のデバイスのパスコード(2ファクタ認証のアカウントの場合) | Googleアカウントへのログイン/Googleパスワードマネージャー PINか、前のAndroidの画面ロック |
| 間違えられる回数 | 10回まで。数回失敗するとロックされ、10回失敗するとキーチェーンが完全に失われる | 前の端末の画面ロックは10回以下の連続失敗で使えなくなる(他の端末のロックがあればまだ戻せる) |
| Apple・Googleは中身を見られるか | 見られない(エンドツーエンド暗号化) | 見られない(PINや画面ロックはGoogleにも分からない) |
| 紛失した端末の扱い | 「探す」で紛失としてマーク・ロック・消去 | Googleアカウントの「パスキーとセキュリティキー」から紛失端末のパスキーを削除。「デバイスを探す」でロック・消去 |
Apple「Appleプラットフォームのセキュリティ」の「安全なiCloudキーチェーン復元」「iCloudキーチェーンエスクローのセキュリティ」、Google Security Blog(2022年10月)、Google(2024年9月)、Googleアカウントヘルプ「パスワードの代わりにパスキーでログインする」をもとに作成。
iPhoneは「SMS+前のパスコード」、10回で消える
Appleの資料によると、2ファクタ認証を使っているApple Accountでは、預けたキーチェーンはデバイスのパスコードを使って復元されます。復元の手順では、Apple Accountで認証したうえで、登録した電話番号に届くSMSにも応える必要があります。試行は10回までで、数回失敗するとロックされてAppleサポートへの連絡が必要になり、10回失敗するとキーチェーンが完全に失われます。総当たりで破られないための仕組みです。
Androidは「PIN」か「前の画面ロック」
Googleは2024年9月、Androidだけでなくパソコン(Windows・Mac・Linux)でもGoogleパスワードマネージャーにパスキーを保存・同期できるようにし、あわせてGoogleパスワードマネージャー PINを導入しました。新しい端末でパスキーを使い始めるときは、このPINか、Android端末の画面ロックのどちらかを入力します。前の端末の画面ロックは、連続して10回以下の決められた回数を間違えると復元に使えなくなります。
機種変更のあとも、前のスマホのパスコードは覚えておく
スマホを買い替えてパスコードを変えた人は、紛失時に聞かれるのが「今のスマホ」のパスコードか「前のスマホ」のものか、迷うことがあります。普段使っているスマホのパスコードを複雑なものにしたら、紙に書いて家に保管しておくと、いざというときに慌てずに済みます。GoogleパスワードマネージャーのPINも同じです。
証券口座のパスキーはなぜ必須に?不正アクセスは最多月の0.3%に
証券会社がパスキーを急いで導入したのは、2025年春に証券口座の乗っ取りが相次いだためです。偽サイトで盗んだIDとパスワードでログインし、口座の株を勝手に売って別の株を買う手口でした。金融庁は2025年10月15日に監督指針を改正・施行し、フィッシングに強い多要素認証(パスキーなど)の必須化を求めました。期限は原則として2026年6月末です。
| 月 | 不正アクセス件数 | 不正取引件数 |
|---|---|---|
| 2025年 | ||
| 1月 | 144件 | 69件 |
| 2月 | 97件 | 34件 |
| 3月 | 2,321件 | 935件 |
| 4月 | 5,490件 | 3,033件 |
| 5月 | 3,404件 | 2,440件 |
| 6月 | 1,864件 | 920件 |
| 7月 | 1,099件 | 930件 |
| 8月 | 1,448件 | 654件 |
| 9月 | 325件 | 195件 |
| 10月 | 778件 | 377件 |
| 11月 | 363件 | 157件 |
| 12月 | 382件 | 116件 |
| 2026年(6月末=必須化の期限) | ||
| 1月 | 330件 | 146件 |
| 2月 | 217件 | 171件 |
| 3月 | 158件 | 121件 |
| 4月 | 337件 | 101件 |
| 5月 | 222件 | 106件 |
| 6月 | 171件 | 104件 |
| 7月 | 18件 | 5件 |
| 8月 | 39件 | 25件 |
金融庁「インターネット取引サービスでの不正アクセス・不正取引の被害状況」(2026年9月9日更新、PDF)。各証券会社から報告を受けた発生日ベースの暫定値。売却額は被害口座内の不正な売却代金の合計で、顧客の損失額とは一致しません。
不正アクセスは2025年4月の5,490件が最多でした。2026年1〜6月は月平均239件まで減り、必須化の期限を過ぎた7月は18件、8月は39件。7〜8月の平均(28.5件)は1〜6月平均の約8分の1、7月は最多月の0.3%です。
減った理由をパスキーだけとは言い切れない
金融庁は、まだ判明していない不正アクセスがある可能性に注意を促しています。直近の月ほど後から数字が増えることがあります。また、証券各社は同じ時期に出金時の認証や通知サービスも強化しています。それでも、期限の前後で件数がはっきり変わったことは数字から読み取れます。
パスキーを入れたスマホを紛失したら|証券4社の手順を比較
証券会社で同期型のパスキーを使っていて、新しいスマホでiCloudキーチェーンやGoogleパスワードマネージャーを戻せた場合は、そのまま同じパスキーでログインできます。戻せなかった場合や、端末にしか保存されないパスキーだった場合は、会社ごとの手続きになります。主なネット証券4社の公式FAQを読み比べました。
| 証券会社 | 紛失したときの手順 | パスキー以外で入る方法 | 電話が必要なとき |
|---|---|---|---|
| SBI証券 | ユーザーネームとログインパスワードでログインし、登録済みのパスキー(パスキープロバイダ)を削除してから登録し直す。パスキーは10個まで | ID・パスワード パスキーが使えないときは、ユーザーネームとログインパスワードでログインできる(パスキーは2026年6月30日から原則必須) |
「ログインパスワード無効化設定」をオンにしている人はテクニカルサポートデスク(平日8:00〜17:00) |
| 楽天証券 | 別の端末でログインして、パスキーを追加・削除する。パスキーは10個まで | 30分だけ 自動音声ダイヤルに電話すると、30分間だけID・パスワードでログインできる |
どの端末でも入れないとき(自動音声ダイヤル) |
| マネックス証券 | 本人がログイン・各種手続きダイヤルに電話し、本人確認を受けると、その場でパスキーを削除してもらえる | なし パスキーを登録すると自動で「パスキーのみでログイン」になる |
紛失したらまず電話(同期型が使える場合を除く) |
| 松井証券 | 「ID・パスワードでログイン」タブに切り替え、ID・パスワードと多要素認証(電話番号認証・SMS認証)でログインし、紛失した端末のパスキーを削除する | ID・パスワード +電話番号認証かSMS認証 |
ID・パスワードが分からない、自分でログインできないとき(顧客サポート) |
各社の公式FAQ・操作ガイド(2026年10月9日閲覧)から筆者がまとめたもの。手続きは変わることがあるので、実際には各社の最新の案内を確認してください。
「パスキー以外の道」が残っているかで差が出る
4社を比べると、パスキー以外のログイン方法がどこまで残っているかで、紛失時の手間が大きく変わります。SBI証券と松井証券はID・パスワード(と追加の認証)で入り直して自分で消せます。楽天証券は電話の自動音声で一時的に道を開ける方式です。マネックス証券はパスキー以外の道を閉じる代わりに、紛失時は電話で本人確認を受けて消してもらいます。
SMS認証は、スマホと一緒に失くしている
松井証券のSMS認証のように、紛失時の手続きに携帯電話番号でのSMS認証を使う会社は少なくありません。ところが、スマホを失くすとSIMも一緒に失くしています。まず携帯会社で回線を止め、SIM(eSIM)を再発行してもらうと、同じ電話番号でSMSを受け取れるようになります。
パスキーを設定したスマホを紛失したら、すぐやること
- STEP 1「探す」で場所を確認し、紛失としてマークするiPhoneは別のApple製品かiCloud.com/findの「探す」、AndroidはGoogleの「デバイスを探す」で、場所の確認とロックができます。見つかる見込みがなければ、遠隔でデータを消去します。
- STEP 2携帯会社に連絡して回線を止めるSMSで届く認証コードを他人に受け取られないようにします。あわせてSIM(eSIM)の再発行を頼むと、SMS認証の手続きに進めます。
- STEP 3別の端末でApple Account・Googleアカウントを確認するサインイン中の端末の一覧に、知らないログインがないかを見ます。Googleアカウントでは、紛失した端末のパスキーを「パスキーとセキュリティキー」から削除できます。
- STEP 4証券・銀行など大事なサービスで古いパスキーを消す上の表のように、会社ごとの手順で紛失した端末のパスキーを削除します。電話窓口は平日の日中だけのところが多いので、早めに連絡しましょう。
- STEP 5新しいスマホでパスキーを戻す・作り直す同じアカウントでサインインし、前のスマホのパスコード(AndroidはPINも可)を入力すると同期型のパスキーが戻ります。戻らなかったサービスでは、新しいスマホでパスキーを作り直します。警察への遺失届も忘れずに。
スマホを紛失する前にできる備え5つ
- 備え 1パスキーを2台以上の端末に登録するSBI証券と楽天証券は1つの口座に10個まで登録できます。スマホのほかにパソコンやタブレットにも登録しておけば、1台失くしても困りません。
- 備え 2パスキーの同期がオンになっているか確かめるiPhoneは「設定」→自分の名前→「iCloud」で、パスワード(キーチェーン)の同期がオンかを見ます。AndroidはGoogleパスワードマネージャーにパスキーが表示されるかを確認します。
- 備え 3Apple Account・Googleアカウントの復旧手段を整えるパスキーをまとめて預けているアカウントそのものに入れなくなると、全部を失います。予備の電話番号、再設定用のメールアドレス、Appleの「アカウント復旧用連絡先」などを登録しておきましょう。
- 備え 4iPhoneは「盗難デバイスの保護」をオンにする「設定」→「Face IDとパスコード」から設定できます。自宅や職場以外では、Apple Accountのパスワード変更に1時間の待機と生体認証が必要になり、パスコードを知られた状態で盗まれても乗っ取りを防ぎやすくなります。
- 備え 5証券会社の電話番号と受付時間を控えておくスマホを失くすと、連絡先を調べる手段も一緒に失います。ネット証券の電話窓口は平日の日中だけのことが多いので、紙のメモにしておくと安心です。
パスキーとスマホ紛失のよくある質問
Q. パスキーを設定したスマホを落としたら、拾った人にログインされますか?
A. パスキーを使うにはスマホの顔認証・指紋認証か画面ロックの解除が必要なので、ロックを解けない人はログインできません。ただし、推測しやすいパスコードや盗み見られたパスコードでは危険です。
Q. スマホを紛失したら、パスキーは新しいスマホに戻りますか?
A. iCloudキーチェーンやGoogleパスワードマネージャーに保存した同期型のパスキーは、同じアカウントでサインインすれば戻ります。Windows Helloや物理セキュリティキーのように端末にしか保存されないものは戻りません。
Q. 前のスマホのパスコードを忘れたらどうなりますか?
A. iPhoneのiCloudキーチェーンは復元に前のデバイスのパスコードを使い、10回失敗するとキーチェーンが完全に失われます。AndroidはGoogleパスワードマネージャー PINでも戻せます。どちらも戻せない場合は、各サービスで古いパスキーを削除して作り直します。
Q. 紛失したスマホのパスキーは削除したほうがいいですか?
A. 同期型でも、紛失した端末の分はアカウントやサービス側から削除しておくと安心です。Googleアカウントは「パスキーとセキュリティキー」から削除できます。証券会社は会社ごとの手順に従います。
Q. 証券口座のパスキーが使えなくなったらどうすればいいですか?
A. SBI証券と松井証券はID・パスワード(と追加の認証)でログインして削除・再登録できます。楽天証券は自動音声ダイヤルで30分間だけID・パスワードでのログインが可能になります。マネックス証券は電話で本人確認を受けて削除してもらいます。
Q. パスキーは何台の端末に登録できますか?
A. サービスによって違います。SBI証券と楽天証券は10個までと案内しています。同期型のパスキーは1つで同じアカウントの複数の端末から使えるので、パソコンなど別の端末にも登録しておくと紛失に強くなります。
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出典・参考資料
- Apple:安全なiCloudキーチェーン復元/iCloudキーチェーンエスクローのセキュリティ/iPhoneの「盗難デバイスの保護」について
- Google:パスワードの代わりにパスキーでログインする(Googleアカウントヘルプ)/Security of Passkeys in the Google Password Manager(2022年10月)
- 金融庁:インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください(被害状況PDF・2026年9月9日更新)/業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点(2025年11月、PDF)
- 証券各社:SBI証券 パスキーの設定(追加・削除)方法/楽天証券 パスキー認証(FIDO2)操作ガイド/マネックス証券 パスキー登録デバイスを機種変更・紛失した場合/松井証券 パスキーを設定している端末を紛失した場合
月別件数の平均・比率、証券4社の比較表は、公表資料をもとに筆者がまとめたものです。各社の手続きや画面の名前は変わることがあります。アイキャッチ画像は自作のAI生成画像です。


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