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マクロン氏はなぜデモ規制を強化?労組以外は禁止へ、法の壁と今後
フランスのマクロン大統領は10月22日(木)、エリゼ宮で治安閣僚と情報機関を集めた「安全保障会議」を開き、今後数日は「正当性のない」人たちによるデモの申請を県知事(プレフェ)が禁止し、労働組合のデモには都心を避ける別ルートを示す方針を表明しました。17日の暴動を「急進左派(ウルトラ左派)による政治的、さらには扇動的(séditieux)な行為」と非難しています。ただ、フランスの法律には「労組かどうか」でデモを区別する規定はなく、パリでは22日、警視庁の禁止命令が行政裁判所で覆されました。規制の中身と法律上の限界、日本人旅行者への影響を一次資料から整理します。
この記事の結論
- マクロン大統領は10月22日、「今後数日はデモを行わないのが全般的な勧告」としたうえで、労組以外の申請は「可能な限り」禁止、労組のデモは都心・商店街を避けるルートに変更する方針を示しました。リヨンとマルセイユでは24日(土)のデモがすべて禁止されています。
- 背景は17〜18日の暴動です。ダルマナン法相によると拘束(ガルダビュ)は少なくとも2,700人、うち217人がすでに収監(約8%)。保険損害は最大12億ユーロとの推計があり、2023年夏の暴動(7.3億ユーロ)を上回る見通しです。
- 一方、フランスの法律(国内治安法典L211-1〜4条)は、届け出たデモを「公の秩序を乱すおそれ」があるときに禁止できると定めるだけで、労組と他の団体を区別する規定はありません。禁止は裁判所で48時間以内に争え、22日のパリでは実際に禁止命令が取り消されました。
- 政府は個人に対する行政の「デモ参加禁止」の導入も検討していますが、同様の規定は2019年に憲法院が違憲と判断しています。どこまで条件を絞るかが焦点とみられます。
- 外務省は10月21日、フランスを含む欧州43か国・地域を対象に広域情報を出し、在仏公館は20〜21日に夜間外出禁止令の情報を5通配信しました。24日(土)はルーブル美術館なども閉館予定と報じられています。
拘束・収監はダルマナン法相の22日の発表(AFP、Al Jazeera)。利回りはロイター。対象国数は外務省オープンデータから当サイトが集計。
マクロン大統領は何を発表した?10月22日のデモ規制の中身
エリゼ宮の発表によると、マクロン大統領は22日、首相、関係閣僚、すべての情報機関を集めた安全保障会議を開き、今後数週間の情報収集・警備の態勢と、17日の週末に起きた事態の「機能不全」を検証しました。会議後の発言の要点は次の3つです(ロイター、Public Sénat)。
- 正当性のない申請は禁止:デモや集会を開く「正当性のない人たち」の申請は、県知事が禁止する。「今はその時ではない。平静を取り戻したい」。
- 労組のデモはルート変更:労働組合の申請には、都心、特に商店や公共の建物を守るための「代替ルート」を示す。
- 全般的な勧告は「デモをしないこと」:今後数日はデモを行わないのが全般的な勧告だとしました。
17日の暴動については「ウルトラ左派の組織されたグループによる、政治的で、さらには扇動的な行為」と「非行(略奪など)」が同時に起きたとし、両者を区別しました。「séditieux」は国家への反乱をあおるという意味の強い言葉です。
都市ごとの禁止・許可の状況
| 都市 | 主な措置(10月22日時点の報道) |
|---|---|
| パリ(22日木) | 学生団体インターファックの集会を警視庁が禁止 → 主催者の申し立てで行政裁判所が禁止を取り消し、デモは実施(Public Sénat、Irish Times)。都心の地下鉄駅は交通当局が閉鎖(ロイター)。 |
| パリ(24日土) | 学生・労組の統一デモはバスティーユ広場→ナシオン広場で許可。一方、インターファックと「黄色いベスト」のグループが届け出たバスティーユ→オペラのデモは禁止(Public Sénat)。 |
| リヨン | 24日は「すべてのデモ」を禁止(ローヌ県)。22日の学生団体UNEFなどのデモも、警備担当者(サービス・ドルドル)がいないとして禁止(Public Sénat)。 |
| マルセイユ | ブーシュ=デュ=ローヌ県が24日のデモをすべて禁止(Al Jazeera)。 |
| リール・グルノーブル | 22日に予定されたデモを当局が禁止(Al Jazeera)。 |
| オルレアン | 右派政党・国民連合(RN)の党大会に合わせ、24日の反対デモは許可、25日(日)のデモは会場に近いとして不許可(Public Sénat)。 |
日付はいずれも現地時間。今後、県の命令や裁判所の判断で変わる可能性があります。
内務省は24日の警備について、動員する警察・憲兵の規模を先週より20%多くするとしており、装甲車や、テロ警戒のため街頭に配置されている軍の「サンティネル作戦」の部隊も建物の警備などに就くとされます(AFP)。17日は全国で警察・憲兵6万人を動員しましたが、各地で同時多発的に集団ができ、対応しきれませんでした(Public Sénat)。
- 10月17日全国デモと暴動仏政府発表で約55万人が参加。リモージュの市庁舎が放火され、各地で略奪(詳しくはこちら)。
- 10月18日大統領がテレビ演説県知事が市長と連携し「必要なときは一部の集会を禁止する」方針を表明(エリゼ宮)。
- 10月19〜21日パリ・ボルドー・リールなどで夜間外出禁止パリは広場周辺の区域を夜間通行禁止。ボルドー・リールは保護者を伴わない未成年が対象。
- 10月21日内相、個人のデモ参加禁止に前向き上院の提案を、審議中の「壊した者が払う」法案に取り込む考え(Public Sénat)。
- 10月22日安全保障会議、規制強化を表明同日、法相が拘束2,700人・収監217人を発表。
- 10月24日次の全国行動(土曜)パリは労組・学生の統一デモのみ許可。
- 10月26日首相が若者・労組などと会合(月曜)高校生・学生団体、教員、労使、自治体、議員を集める予定(ロイター)。
- 11月5日労組の全国行動日官民の労働者に参加を呼びかけ(Al Jazeera)。
なぜ規制を強めたのか?10月17〜18日の被害と「扇動的」発言
18日夜のテレビ演説(エリゼ宮が全文を公開)で、マクロン大統領は17日の出来事を「ウルトラ左派の小集団から出た反乱分子(factieux)に、多くの非行者が加わった」ものだと説明しました。リモージュの市庁舎の放火、リヨンの観光案内所の放火、マルセイユの市庁舎への侵入、ボルドーの県知事公邸への攻撃を挙げ、警察官・憲兵数百人が負傷したと述べています。

パリ警視庁の命令書に書かれた18日の被害
20日夜の外出禁止を定めたパリ警視庁の命令(Arrêté n°2026-01382)は、理由として18日(日)のパリだけで351人を拘束(未成年を含む)、治安部隊17人が負傷、36店舗が損壊し、うち33店舗が略奪されたと記しています。損壊した店のおよそ92%が略奪されていた計算です。19日夜の外出禁止は「略奪も損壊も1件も確認されず有効だった」として、20日夜も延長しました。
拘束2,700人のうち収監は約8%
ダルマナン法相は22日、暴動と略奪で少なくとも2,700人が拘束(ガルダビュ=警察での身柄拘束)され、そのうち217人がすでに収監されたと発表しました(AFP)。Al Jazeeraによると、ほかに約1,000人が訴追手続き中です。拘束者に占める割合は、収監が約8%、訴追中が約37%です(当サイト計算)。
保険の損害は2023年の暴動を上回る見通し
保険でカバーされる損害額。2026年は格付け会社モーニングスター DBRSの推計(最大)、ほかは仏保険協会などの集計で、いずれもPublic Sénat(10月22日)の掲載値。ニューカレドニアは「約10億ユーロ」。
今回の損害推計(最大12億ユーロ)は、2023年夏の暴動(7.3億ユーロ)の約1.6倍、黄色いベスト運動(2.2億ユーロ)の約5.5倍にあたります。セルジュ・パパン商業相は暫定集計で全国約3,000店が被害を受けたとしています(Public Sénat)。
「ウルトラ左派が原因」には異論も
政府は暴動の主因をウルトラ左派の組織的な行動だとしていますが、パリのベキュオー検事正は19日、パリの暴力の加害者が「ウルトラ左派に政治化した人たち」だとは「まったく確認できない」と述べ、拘束者の大半は黙秘し政治的な主張もしていないと説明しました(20 Minutes)。急進左派「不服従のフランス」のメランション氏は当局の「容赦ない弾圧」が混乱を招いたと批判し、極右・国民連合のルペン氏は政府の対応が「甘い」と批判しています(Al Jazeera)。誰が主導したのかは、捜査の結果を待つ必要があります。
デモの規模はどう変わった?内務省と主催者の数字を比較
フランスでは、デモの参加者数を内務省(警察)と主催者がそれぞれ発表します。9月下旬に高校から始まった今秋の運動のうち、全国の数字が両方そろう3日分を並べました。
| 日付 | 内務省 | 主催者 | 主催者÷内務省 |
|---|---|---|---|
| 10月6日(火) 第3波(acte III) |
25.6万人 | 45万人 | 1.76倍 |
| 10月13日(火) 第5波(acte V) |
16.15万人 | 48万人 | 2.97倍 |
| 10月17日(土) 物価高デモと合流 |
55万人 | 80万人 | 1.45倍 |
10月6日はTF1 Info、13日はfranceinfo、17日は外務省の広域情報(仏政府発表と主催者推計)。倍率は当サイト計算。
内務省の数字では、13日の約16万人から17日は約55万人へ、4日で約3.4倍に膨らみました。高校生・学生中心の運動に、労働組合や物価高への抗議、2018年の「黄色いベスト」の元参加者が合流したためです。一方、主催者と内務省の差は13日の2.97倍から17日は1.45倍に縮まりました。内務省の数字の中でパリが占める割合は、6日が22%、13日が26%、17日が20%で、地方でも大きく動員されていたことが分かります。
2023年の年金改革デモなど過去の大規模デモとの比較は、「フランスのデモはなぜ55万人に?」で扱っています。
「労組以外は禁止」は法律上できる?フランスのデモのルール
フランスでは、デモ(集団で意見を表す権利)は1789年の人権宣言に由来する基本的な自由とされ、禁止は「公の秩序を乱すおそれ」がある場合に限られます。今回の方針がどこまで法律で裏付けられるのか、仏政府の行政情報サイトや憲法院の決定などで確かめました。
| 項目 | ルール | 根拠 |
|---|---|---|
| 届け出 | 道路上のデモは、市長または県知事に3日前から15日前までに届け出る(土日祝を含まない「満日」で数える)。 | 国内治安法典 L211-1〜L211-4条 |
| 禁止できる人 | 「公の秩序を乱すおそれがある」と判断したとき、市長または県知事が命令で禁止。県庁所在地や人口2万人超など国家警察が受け持つ都市では県知事だけが判断(パリは警視総監)。 | 地方自治体一般法典 L2214-1条ほか |
| 不服の申し立て | 禁止命令は行政裁判所の急速審理(レフェレ)で争え、48時間以内に判断される。 | 政府行政情報サイト |
| 主催者の罰則 | 届け出なしのデモ、禁止されたデモの主催、不正確な届け出は最大で禁錮6か月・罰金7,500ユーロ。 | 刑法典 431-9〜431-12条 |
| 夜間外出禁止 | パリ警視庁は区域と時間を定めて人の通行を禁止(10月19日夜から)。 | パリ警視庁 命令2026-01382 |
| 個人へのデモ参加禁止 | 2019年の「破壊者対策法」で導入された行政による個人の参加禁止は、憲法院が違憲と判断し削除。裁判官が付ける参加禁止(司法監督)は合憲。 | 憲法院 2019-780 DC |
service-public.gouv.fr「Organisation de manifestations, défilés ou rassemblements sur la voie publique」(仏首相府の法律・行政情報局、2024年9月3日確認版)、憲法院の決定、パリ警視庁の命令書をもとに当サイトが整理。
法律には「労組か、それ以外か」の区別がない
パリ・ナンテール大学のロラン准教授(公法)はPublic Sénatの取材に、法律には労組が主催するデモとほかの団体のデモを区別できる規定はないと指摘しました。労組には自前の警備担当者がいて情報機関とも連絡を取り合うため、区別したい事情は理解できるものの、権限にない線引きをすれば裁判所に退けられる危険がある、という見方です(Public Sénat)。
実際、22日にパリ警視庁が禁止した学生団体の集会は、主催者の申し立てを受けた行政裁判所が開始の直前に禁止を取り消しました。マクロン大統領の発言は、法的には各県知事への「指示」にあたり、個々の禁止命令は一件ずつ「その場所・その日に秩序を乱すおそれがあるか」で判断されることになります。リヨンで22日のデモが禁止された理由も「警備担当者がいない」という具体的な事情でした。
検討中の追加策と、2019年の「違憲」判断
政府はさらに踏み込んだ策も検討しています。ダルマナン法相は、禁止されたデモへの参加を強行した人の選挙権の停止や、暴力・略奪に関わった人のSNS利用の制限を求めました(ロイター)。いずれも現時点では法相の提案で、決まったものではありません。
ヌニェス内相は21日、上院の調査団がまとめた30の提案のうち、秩序を著しく乱すおそれのある個人に、県知事がデモ参加を禁止する仕組みを、来週上院で審議される「壊した者が払う(casseurs-payeurs)」法案に修正で加える考えを示しました(Public Sénat)。
ただ、これとよく似た規定は、黄色いベスト運動を受けた2019年の法律に盛り込まれ、憲法院が2019年4月4日に違憲と判断しています。憲法院は、禁止の理由となる「行為」が実際の暴力と結びついている必要がなく、いつの行為でもよいなど、行政に「過度な裁量」を与えていると指摘し、集団で意見を表す権利への制約として「適切・必要・比例的ではない」と結論づけました。新しい案が、対象者や期間、裁判で争う手段をどこまで絞り込むかが焦点になるとみられます。
背景は燃料高と財政不安、国債利回りは2002年以来の水準
マクロン大統領は18日の演説で、デモ参加者の不安は生活費と燃料価格にあり、それは「ペルシャ湾で始まった紛争」に起因すると述べました。(エリゼ宮)。物価のデータは前回の記事で扱ったので、ここでは市場の反応を見ます。
| 月(平均) | フランス | ドイツ | 差(仏−独) |
|---|---|---|---|
| 2026年1月 | 3.53% | 2.81% | 0.72pt |
| 2026年3月 | 3.64% | 2.91% | 0.73pt |
| 2026年5月 | 3.74% | 3.04% | 0.70pt |
| 2026年7月 | 3.85% | 3.07% | 0.78pt |
| 2026年8月 | 4.00% | 3.19% | 0.81pt |
| 2026年9月 | 4.44% | 3.47% | 0.97pt |
10年国債利回りの月平均。EU統計局(Eurostat irt_lt_mcby_m)から当サイト集計(10月分は未公表)。
EU統計局の月平均では、フランスの10年国債利回りは1月の3.53%から9月は4.44%に上がり、2008年7月以来の高さでした。ドイツとの差(上乗せ金利)も9月は0.97ポイントと、2012年7月以来の大きさです。ロイターによると、22日には利回りが5.14%と2002年7月以来の水準に達し、ドイツとの差は15年ぶりの大きさになりました。月平均で5.14%以上だったのは、データでは2002年5月が最後です。
Public Sénatによると、10年債利回りは先週末の4.80%から5.10%超に上がり、来年の国債の利払いが約10億ユーロ増える計算だといいます。格付け会社ムーディーズはフランス時間23日(金)夜にフランスの格付けを見直す予定で、引き下げを予想する見方が多いと報じられています(Boursorama掲載のAFP)。大統領選挙まで約6か月という時期で、治安と生活費、財政が同時に問われている状況です。
日本人旅行者への影響は?外務省の注意喚起と夜間外出禁止
外務省は欧州43か国・地域に広域情報
外務省は10月21日、「欧州での抗議活動を受けた注意喚起」として、フランス、イタリア、イギリス、ドイツなど欧州の43か国・地域を対象にした広域情報を出しました。フランスについては、17日の全国一斉デモに約55万人(仏政府発表。主催者推計は約80万人)が参加し、一部が暴徒化して放火や略奪、治安部隊との衝突が起きたと説明。抗議活動の場所に不用意に近づかず、遭遇したらすぐ離れること、人が集まる場所でスマートフォンで撮影しないことを呼びかけています。フランスに危険情報(レベル1〜4)は出ていません(10月23日時点、外務省オープンデータ)。
在フランス大使館と各総領事館が配信した領事メールを数えると、9月29日以降でデモ・ストライキの注意喚起が10通、夜間外出禁止令の情報が10月20〜21日に5通でした。夜間外出禁止令のメールは、今秋の一連の運動で初めてです(当サイト集計)。
| 地域 | 区域・時間 | 対象 |
|---|---|---|
| パリ | レピュブリック広場の中央部とシャトレ地区(レ・アール周辺)の指定区域:10月20日(火)23時〜21日(水)6時(19日夜に続く延長) | 区域内の通行(住民・通勤者などは除く) |
| ボルドー | 10月20日(火)〜26日(月)の22時〜7時 | 保護者などを伴わない未成年 |
| リールなど | 10月20日(火)20時〜21日(水)6時 | 保護者などを伴わない未成年 |
在フランス日本国大使館の領事メール(10月21日配信)とパリ警視庁の命令書から作成。ロイターは22日、外出禁止の3夜目が大きな混乱なく過ぎたと伝えています。延長の有無は各自治体・県の発表で確認してください。
観光地の閉館や店舗の休業も
24日(土)は、ルーブル美術館、オルセー美術館、ピカソ美術館が新たなデモに備えて閉館すると仏政府が発表しました(Al Jazeera)。パリ中心部の展示会場で開かれている美術見本市「アート・バーゼル・パリ」は週末の閉場を決め、エルメスは国内店舗の警備を強化、中心部では店がショーウインドーを板でふさぎ始めています(ロイター)。22日にはデモに備えて都心の地下鉄駅も閉鎖されました。
フランス観光開発機構(Atout France)によると、日本からフランスへの訪問者は2019年に約60万人、2024年に日本人旅行者がフランスで使ったお金は6億1,800万ユーロでした。日本人の訪仏は秋が全体の約30%(春と並んで最多)とされ、平均滞在は7日です。パリを含むイル・ド・フランス地域のホテル業界団体の代表は、約10%の予約キャンセルを懸念していると報じられています(Public Sénat)。
フランスのデモ規制は今後どうなる?5つの焦点
10月23日時点(日本時間)で見えている今後の日程と論点を整理します。
- 24日(土)の全国行動:パリは労組・学生の統一デモ(バスティーユ→ナシオン)のみ許可され、「黄色いベスト」も合流すると表明しています(Irish Times)。リヨン・マルセイユは全面禁止。禁止区域でデモが起きた場合の対応と、17日のような略奪を防げるかが最初の試金石になります。
- オルレアンの国民連合(RN)党大会:反対デモに2万〜3万人が見込まれ、警察・憲兵約3,000人が配置されます(AFP)。
- 26日(月)の首相会合:高校生・学生団体、教員、労使、自治体、議員を集め、若者の要求への対応を話し合います。左派政党は22日の首相との会合が治安対策だけだったとして強く反発しており、具体策が出るかが注目されます。
- 上院の「壊した者が払う」法案:個人へのデモ参加禁止を加えるか、加えるならどのような条件にするか。2019年の違憲判断との関係が問われるとみられます。保守系の共和党(LR)のルタイヨー氏は非常事態宣言の発令を求めていますが、政府は決めていません(AFP)。
- 11月5日の労組の全国行動:労組は21日の首相との会談で具体的な提案がなかったとして、官民の労働者に参加を呼びかけています(Al Jazeera)。
規制が裁判所の審査に耐えられるか、そして生活費や教育への不満にどう答えるかの両方が問われています。
規制強化の報道(X)
英フィナンシャル・タイムズは10月22日、マクロン大統領が労働組合など正当な団体が主催しないデモを禁止すると警告したと伝えました。
Emmanuel Macron warned that the government will ban protests that are not organised by legitimate groups such as unions to prevent a repeat of the rioting and looting that erupted across France last weekend. https://t.co/t8XIGveGQn pic.twitter.com/yO8qg6BkUD
— Financial Times (@FT) October 22, 2026
フランスのデモ規制のよくある質問
Q. マクロン大統領はデモについて何を発表したのですか?
A. 2026年10月22日、エリゼ宮での安全保障会議の後、今後数日はデモを行わないのが全般的な勧告だとしたうえで、正当性のない人たちの申請は県知事が禁止し、労働組合の申請には都心や商店を避ける別ルートを示す方針を表明しました。17日の暴動は「ウルトラ左派による扇動的な行為」だと非難しています。
Q. フランスではすべてのデモが禁止されたのですか?
A. いいえ。禁止は県知事が都市・日付ごとに判断します。10月24日(土)はリヨンとマルセイユで全面禁止ですが、パリでは労組・学生の統一デモ(バスティーユ広場からナシオン広場)が許可されています。22日のパリでは、警視庁の禁止命令が行政裁判所で取り消されました。
Q. フランスの法律でデモはどんなときに禁止できますか?
A. デモは3日前から15日前までに市長か県知事に届け出る必要があり、公の秩序を乱すおそれがあるときに命令で禁止できます(国内治安法典L211-1〜4条)。禁止は行政裁判所で48時間以内に争えます。労組とそれ以外の団体を区別する規定はありません。
Q. 禁止されたデモを主催するとどうなりますか?
A. フランスの刑法典では、届け出のないデモや禁止されたデモを主催すること、不正確な届け出をすることは、最大で禁錮6か月・罰金7,500ユーロの対象になります。法相は禁止を無視した人の選挙権停止なども提案していますが、10月23日時点で決まってはいません。
Q. 今フランス旅行に行っても大丈夫ですか?
A. 外務省はフランスに危険情報(レベル)を出していませんが、10月21日に欧州43か国・地域を対象に抗議活動への注意を呼びかける広域情報を出しました。パリなどでは夜間外出禁止の区域が設けられ、24日はルーブル美術館なども閉館予定と報じられています。デモの現場に近づかず、たびレジに登録して最新情報を受け取るのが基本です。
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出典・参考資料
- エリゼ宮:「Conseil de sécurité」(2026年10月22日)、「Adresse aux Français」(10月18日、演説全文)
- フランス憲法院:Décision n° 2019-780 DC du 4 avril 2019
- フランス政府 行政情報サイト:Organisation de manifestations, défilés ou rassemblements sur la voie publique
- パリ警視庁:Arrêté n°2026-01382 portant couvre-feu du 20 au 21 octobre 2026
- 外務省:在フランス日本国大使館「夜間外出禁止令・続報」、海外安全情報オープンデータ(フランス、広域情報「欧州での抗議活動を受けた注意喚起」を含む)
- EU統計局(Eurostat):長期金利(irt_lt_mcby_m)/フランス観光開発機構:Chiffres clés Japon(2025年6月)
- ロイター:「France’s Macron tightens curbs on protests, blaming hard left for unrest」、仏語版(Boursorama掲載)/AFP:Boursorama掲載(10月22日)
- Al Jazeera(10月22日)、The Irish Times(10月22日)、20 Minutes(10月19日)
- Public Sénat:10月22日(規制の内容)、10月22日(デモの自由の限界)、10月22日(被害額)、10月21日(内相と上院の提案)
- TF1 Info(10月6日)、franceinfo(10月13日)
デモ参加者数の倍率、拘束者に占める収監の割合、国債利回りの比較、外務省の領事メールの件数は当サイトの集計で、各機関の公式統計ではありません。写真:アイキャッチ=FreCha、本文=Silanoc(いずれもWikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)。アイキャッチはトリミング・文字入れ・明るさ調整あり、本文はリサイズ。


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